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オドノヒューさんの意外性とフォゲッタブル

  • 2012年11月01日(木) 12時00分
アイルランドのC.オドノヒューさんが来日した。
(アイルランドにはC.オドノヒューとD.オドノヒューの2人のオドノヒューがいる。以後、C.は省略)
期間は10月27日〜11月4日までだから実質4日騎乗。

え? 4日間!?

ちょちょちょっと! 短くない!?

先週、京都競馬場でオドノヒューさんが騎乗してるのを見て、お! 今年も来たんだ〜くらいに思っていた。
そういえば今年は同じアイルランドからベリーさんが来ないなぁ〜。
以前、このコラムでも書いたけど自分はベリーさんで複勝を取るのが趣味だったから、来日情報がないのを少し物足りなく思っていた。

だからオドノヒューさんが来たとあらば、ベリーさんの替りにどこかで馬券を取ってヒューヒューしたいなぁとは思っていた。そう、ちょっとのんびり構えていたのだ。
理由は、去年暮に来日したときも最初の2週間くらいはお試しみたいな成績で、日本の競馬に慣れるにつれて、ちょっとずつ成績をあげてたように思えたからだ。

前半[0-1-0-10]
後半[3-2-2-11]

そう、オドノヒューさんはスロースターターというイメージを勝手に抱いていたわけだ。

でも今回はちょっと違った。先週は8鞍騎乗して[1-2-0-5]。ヒューヒュー!
いきなり3つもヒューヒューじゃないか!!
(複勝圏内でオッケー!)

いや〜今回は飛ばしてるな〜? のっけから。
なんて呑気に構えていた。

で、今焦ってるわけです。今週でもう期間満了じゃないか!と。
(このあとどうするんだろう? もしかして香港競馬にでも行くのかな? いずれにせよ関東馬の栗東留学みたいだ)

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オドノヒューさんの売りは意外性のなさか!?
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先週の8鞍です。
13人気 13着
3人気 2着
4人気 2着
7人気 9着
12人気 18着
3人気 1着
18人気 17着
4人気 4着

3人気で1着、2着、4番人気で2着……。
13番人気で13着、18番人気で17着、4人気で4着………。

チャンスホースに騎乗できれば、勝ち負けに持ってくる腕はある。
だけどぜんぜん意外性がない!
13番人気で13着、18番人気で17着って、意外性がないのにもほどがある!

でもこの意外性のなさがどうやらオドノヒューさんの持ち味のようだ。
去年の暮れも12番人気で12着とか、16番人気で14着とか意外性のなさを披露してたからね。そういえば去年唯一騎乗した重賞・中日新聞杯でもマヤノライジンを14番人気で12着させてた! 披露してたなぁ〜。
もちろん去年も勝つときは1番人気で2つ1着してた! 

あ! そういえば2年前のジャパンカップにジョシュアツリーに騎乗してたな?
あんときはどうだったんだろう?

9番人気で10着!
披露してるなぁ〜〜〜!!
っていうか、挨拶がわりに既に披露してたんだなぁ〜。ひゅーひゅー!

つまり、何が言いたいのかというと、
チャンスホースに騎乗できれば、その人気の前後に着順を持って来るわけで、
先週、すでに1着1回、2着2回できてたということは、今年はすでにチャンスホースに騎乗できてると言いたいわけだ。

馬券になった馬
1着 マルカプレシオ 3人気 今野厩舎 社台F生産
2着 エーシンマックス 4人気 西園厩舎 外国生産
2着 リベルタス 3人気 角居厩舎 社台F生産

うん! なんか見えてきた!
社台F生産の人気馬だ! やったー! 超カンタンだ!

失礼ながら日本ではまだオドノヒューさんに春のウィリアムズさんや今のデムーロみたいに乗るだけで人気になるという状況はない。純粋に馬の力だけで人気が作られてるはず。
だから今なら人気どおりに買えるのかもしれない。

にしたって、「人気」+「社台」って、やっぱり意外性はない!

でもそれがきっとウリなんだから、とりあえず今週のオドノヒューさんのラスト騎乗の生産牧場と人気には注目してみよう。たしか今週の日曜日は東京だったはず。

自分はベリーさんが複穴をあけるのは東京で騎乗したのが大きかったと思っている。
アイルランドの騎手は大きな競馬場でダイナミックに騎乗するほうが上手なのでは? と想定してるからだ。
週刊競馬ブックによるとオドノヒューさんはアルゼンチン共和国杯のフォゲッタブルにも騎乗するらしい。

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アルゼンチン共和国杯でのヒューヒュー指数
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フォゲッタブル 牡6 父ダンスインザダーク 母エアグルーヴ……で菊花賞を2着した……

おっとそういうのはどうでもよかった。
厩舎は池江厩舎。
オーナーは金子オーナー。
生産はノーザンF!!

社台Fではないけど、ノーザンFならスーパーオッケーだ。

肝心の人気の方はどうだろう。ちょっと心配だけど……
netkeiba.comの予想オッズでは……オ〜ノ〜〜〜〜!

10着だ!(つまり10人気ってこと。ここのリアクションは予想オッズ、もしくは前日、当日のオッズを見て、臨機応変に御調整ください)

とはいえ、このレースは重賞だ。ハンデ戦とはいえG2だ。
外国人騎手がsomething else(何か特別なこと)を感じると、テンションをあげて、いつも以上に力を発揮する場合があることは、ここでも毎日王冠の週に書いた。実際、天覧の天皇賞・秋でデムーロは1着させた(さぞテンション上がってたろうな〜)。

意外性のなさがウリだとしても、重賞ともなればテンションは上がるのではないか? アイルランド・ブロンコに火がつくのではないか? 
そういえばオドノヒューさんが唯一(?)意外性を発揮したのが去年のギャラクシーSだった。
ギャラクシーSは重賞ではないけど、オープンという名の立派なレースだ。そこでアドバンスウェイに騎乗して、10番人気で2着した。

重賞は平場とは別の人気の作られ方をする場合もある。この10人気が引き出されたものなら、ノーチャンスでもないはず。
今週はG1のない隙間の週。
できることならオドノヒューさんでヒューヒューしてみたい。

騎手ではなく、フォゲッタブルにアゲ要素はないか? なんらかのsomething elseはないか?

あった!
前走の京都大賞典にあった。

着差0.2秒の5着。

着順はともかく、この着差は久しぶりだ。
フォゲッタブルは4歳2月のダイヤモンドSを1着して以来、ずっと馬券圏内から見放されていた馬で、
この間の1着馬との最高着差は4歳12月のステイヤーズSでの0.5秒差の5着だった。

今回は休み明けで0.2秒差。
もしかして久しぶりに馬に活力がみなぎってきたか?
ちなみに0.2秒以内で負けたことは過去には2回しかない。

デビュー5戦目 0.2 2着 次走1着
セントライト 0.1 3着 次走菊花賞2着

ちなみに去年の京都大賞典は0.6秒差の5着だった。

京都大賞典といえば、オウケンブルースリだけど、そのオウケンとの闘いっぷりからも、
今回は調子がよさそうなことがうかがえる。少しずつオウケンとの着差を詰めてるからだ。

【10年】
2着 オウケンブルースリ5歳
6着 フォゲッタブル 4歳(オウケンとの着差1秒)

【11年】
3着 オウケンブルースリ 6歳
5着 フォゲッタブル 5歳(着差0.4秒)

【12年】
2着 オウケンブルースリ 7歳
5着 フォゲッタブル 6歳(着差0.2秒)

オウケンブルースリは京都2400では常に力を発揮させる馬。相手関係にもよるけど、7歳の今年も2着したわけで、そういう意味ではオウケンとの比較はできる。

アルゼンチンはハンデ戦。ハンデ差と馬のやる気が重なれば、少なくともオウケンにはもっと食らいつけるか?
オウケンは去年のアルゼンチン2着馬。オウケンに食らいつければ、おのずと結果は……………どうだ!どうなんだ!?

ところで、フォゲッタブルはここ数戦すべて外国人騎手だ。
京都大賞典:ピンナ、5着、イタリア人
アルゼンチン:メンディザバル、8着、スペイン人
ステイヤーズS:ウィリアムズ、7着、オーストラリア人
京都大賞典:ピンナ、5着、イタリア人

騎手の実績的にはメンディザバル、ウィリアムズが上だけど、フォゲッタブルに関してはピンナと手が合ったとも言えなくもない(2回5着なら言ってもいいはず。ほんのちょっとのことだけど)。
もしかして、この馬はイタリア人と手が合うのか?

今回はアイルランド人のオドノヒュー。

アイルランドはイタリアと並ぶ火山国。持ってる気質は同じかー!!!
すんまっせん。正直、よくわかりません。同じ国でも手が合う手が合わないはあるわけで、国民性からのアプローチなんて自分には無理でした。

でも、同じアイルランド人のベリーさんがダークシャドウを上手く操っていたことを思うと、
オドノヒューさんが同じ父ダンスインザダークのフォゲッタブルのやる気を導く可能性はあるのではないか?
と、ほんの少しだけ感じる。

池江厩舎はただいま2年連続でアルゼンチン共和国杯を勝利中でもある。
勝つためのノウハウは持ってるはず。

よし! オドノヒューさんとフォゲッタブルでヒューヒュー、フォーフォーだ!

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池江厩舎は2頭出しだった!
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それはさておき、今年のアルゼンチン共和国杯のトップ系ハンデは59キロのビートブラック。
つづいてオウケンブルースリ・ギュスターヴクライ・マイネルキッツの3頭が58キロでつづく。

休み明けの馬は分の悪いレース(この10年で3ヶ月以上の休み明けの馬は2着1回、3着1回のみ)。
デルタブルースは休み明けの59キロで5着に負けた。1番人気だった。

以上の理由で実質休み明けの59キロ・ビートブラックは分が悪いと判断できる。

実は休み明けでない58キロ以上の馬は1、2番人気に支持されるとひじょうに頼もしくなる。
重たい馬は重い評価でというわけだ。
つまりオウケンブルースリ・ギュスターヴクライ・マイネルキッツの58キロ勢は1、2番人気になれば、馬券圏内で買いということになる。

予想オッズでは
1番人気 58ギュスターヴクライ
2番人気 56ルルーシュ
3番人気 58オウケンウルースリ

このままなら、ギュスターヴクライは圏内確実! オウケンは厳しいということに。
オウケンに迫ることで結果がついて来ると想定したのがフォゲッタブル。
もはや迫るだけではダメ。抜かないといけなくなった! 

勝ち馬は前走より重量減の馬が7勝、前走より重量増の馬が3勝。
ギュスターヴクライは1キロ増だから、馬券圏内での軸がやっぱり相応しい。
一方、フォゲッタブルは1キロ増。勝ち馬に限らず重量減の馬が幅を利かせてるのがアルゼンチン。
超えるハードルがまた増えた! ひぃ〜!

過去10年で直近5年は前走非重賞の馬が4勝している。その前の5年は前走京都大賞典の馬が4勝。
トレンドは完全に前走非重賞馬に。
ギュスターヴクライは前走京都大賞典だから、頭固定よりはやっぱり馬券圏内での軸だ(大賞典組は2着、3着には来ている)。
圏内は大丈夫だけど、一度に2頭は来てない。ギュスターヴが圏内に入るならば、席はもうない。
同じ大賞典のフォゲッタはオウケンだけでなく、ギュスターヴをも抜かないといけなくなった! ひぃひぃ〜!

ただいま2年連続で勝利中の池江厩舎は今年も2頭出し。
去年はトレイルブレイザーが1着、フォゲッタブルが8着だった。
一昨年は1頭出しで、トーセンジョーダンが勝った。

10年
1着トーセンジョーダン 4歳牡 57キロ 1人気(前走アイルランド 2人気1着 56キロ)

11年
1着トレイルブレイザー 4歳牡 55キロ 3人気(前走1600万 1人気2着 57.5キロ)
8着フォゲッタブル 5歳牡 57キロ 7人気(前走京都大賞典 7人気5着 57キロ)

今年の出走馬
オーシャンブルー 4歳牡 55キロ 前走1600万 1人気1着 前走57キロ
フォゲッタブル 6歳牡 57キロ 前走京都大賞典 10人気5着 前走56キロ

勝った馬はどちらも前走が非重賞レース(オープン・条件戦)の4歳馬だった。
今年のオーシャンブルーも前走1600万条件で、1番人気で1着し、なおかつ重量も2キロ減の4歳馬。
もらったも同然のような臨戦だ。むむむ…!

フォゲッタブルがオーシャンブルーに勝る要素はもはや重賞実績のみ。
菊花賞2着、ステイヤーズS1着、ダイヤモンドS1着。
トーセンジョーダンは前走オープン、トレイルブレイザーは前走1600万条件とはいえ、重賞出走経験はあった。重賞勝ちはないものの複数回の重賞に出走していた。
オーシャンブルーは今回が初重賞。
オーシャンブルーに足りないものがあるとすれば、ここか。
ただし、これはオーシャンブルー自身の問題で、だからといってフォゲッタブルの成績が上がるというものではない。

っていうか、オーシャンブルーも少し足りない気になってきた。
オーシャンブルーがほんまもんならば、足りないもんを帳消しにして行くはずではある。
とはいえ、ここ2年の池江厩舎の1着馬より重賞経験が足りないのもたしか。

前走非重賞馬は前走1着であって欲しい。
前走より重量減であって欲しい。
重賞出走経験があって欲しい。

この3つを満たしてるのはただ1頭。
ムスカテールのみ。

あとはペースと仕掛けの鍵を握ることが確実の横山典のルルーシュ。
逃げ、番手、3番手。どこにつけてもペースと仕掛けのタイミングを握るはず。
またルルーシュはそういう競馬を教え込まれてきた馬だし、前走オールカマーで2回目の重賞体験をしたのもいい。

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ギュスターヴクライが圏内で1頭軸。
相手はムスカテールとルルーシュ。
もうこれでだいたいじゃないか?
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おっと、週の真ん中にして早くもまとまってしまった。

ヒモで、池江厩舎のオーシャンブルー、国枝厩舎の軽い方(マイネルマーク52キロ)、
買える理由は特に見つからないけど江田照騎乗のイケドラゴン(50キロ)などを
絡めたり、絡めなかったりすれば、ほんとだいたい…………ん? 買える理由は見つからない?

買える理由は見つからないけどイケドラゴンを引っ掛けるのなら、
前走・京都大賞典でスーパー久しぶりに「0.2秒差」に追い込んだフォゲッタブルを引っ掛けたっていいはずだ。少なくともイケドラゴンよりは買える理由はある!

(買える理由がない馬でないと江田照騎手の馬は買えないという買える理由だよ!このバカ!と自分を戒めつつも、今回は我ながらちゃんとやったんだから、1頭くらい未知の馬を拾ってもいいはずだ!このバカ!と目くそ鼻くそ問答。ひゅーひゅー!)

フォゲッタブルに対して、未知ということばを使うのはどうかと思うけど、「忘れがちな」看板を背負ってる馬なんだから、忘れがちな頃に買ってあげるのが筋だ。未知じゃなきゃ筋だ。っていうか少なくとも鞍上は日本ではいまだ未知だ! つまり総合すると今回は未知だ!!

意外性がないのにもほどがあるのがウリのオドノヒューさんが東京で意外性を発揮するか?
意外性がないのにもほどがあるのがウリのオドノヒューさんが東京でもその「ほど」を発揮するか?

もはやどっちでもいい。今週はもうオドノヒューさんから逃れられないっす。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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