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今年はガツンと勝負できる!?/エリザベス女王杯

  • 2012年11月07日(水) 18時00分
■エリザベス女王杯(G1・京都芝2200m)フルゲート18頭/登録18頭
【コース基本情報】京都芝2200m Bコース使用
・コース回収率
 [やや高め] 単勝83%・複勝73% 人気薄の台頭も意外に目立ち高配当も狙える

・馬連万馬券出現率
 [やや高め] 12.7%(平均値△0.7% 馬連平均配当7369円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内枠強い] 内枠16.3%・中枠11.1%・外枠10.4%

・脚質別信頼度
 差し>先行>逃げ>>追込 バケモノ級の能力馬でないと追込はキツい

・推定ラップ&タイム
 [やや前傾] 35.2-61.1-36.0=2.12.3 芝中距離G1には珍しく序盤から速い流れに

 集計対象となったレース数が少ないとはいえ、枠番別連対率に大きな差が出たのは絶対に覚えておきたいポイント。コース形態的には枠順による有利・不利があまりないと思われるのだが、内枠が圧倒的に高い信頼度なのは事実。ここはアレコレ考えず、素直に「内枠有利」という認識でいきたい。

 単純に1枠〜4枠と5枠〜8枠を比較しても、前者が連対率14.3%、複勝率21.4%であるのに対して、後者は連対率10.2%、複勝率15.3%と、外よりも内のほうが明らかに優秀。取捨選択で迷った際には、できるだけ内に入った馬を残すようにすべきだ。

 また、外回りコースであるにもかかわらず、意外なほど追込が届かないのも大きな特徴。16頭立て以上で4角を10番手以下で回った馬のトータル連対率は4.6%で、複勝率もたったの5.9%しかない。スノーフェアリーのようなバケモノであれば話は別だが、基本的には「後方に置かれた時点で超期待薄」なコース。軸には、最低でも中団のポジションにつけられる馬をチョイスすべきだろう。

【レース基本情報】エリザベス女王杯(G1) 京都過去10回
・レース平均配当
 単勝1405円 馬連1万1601円 3連複1万9539円

・1番人気馬成績
 [3-2-2-3] 連対率50.0%・複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [6-7-4-13] 連対率43.3%・複勝率56.7%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-1-70] 連対率2.7%・複勝率4.1%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 30.0% [差し] 46.7% [追込] 10.0%

・年齢別成績
 [3歳馬] 6-2-2-46 連対率14.3% 複勝率17.9%
 [4歳馬] 3-3-5-37 連対率12.5% 複勝率22.9%
 [5歳馬] 1-4-2-36 連対率11.6% 複勝率16.3%
 [6歳馬] 0-1-1-9 連対率9.1% 複勝率18.2%
 [7歳以上馬] 0-0-0-5 連対率0% 複勝率0%

・枠番別成績
 [1枠] 0-2-1-14 連対率11.8% 複勝率17.6%
 [2枠] 0-1-2-15 連対率5.6% 複勝率16.7%
 [3枠] 1-1-2-14 連対率11.1% 複勝率22.2%
 [4枠] 3-2-0-15 連対率25.0% 複勝率25.0%
 [5枠] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [6枠] 1-1-1-16 連対率10.5% 複勝率15.8%
 [7枠] 0-2-1-22 連対率8.0% 複勝率12.0%
 [8枠] 4-0-3-19 連対率15.4% 複勝率26.9%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-1-4-33 連対率5.1% 複勝率15.4%
 [栗東] 7-9-5-92 連対率14.2% 複勝率18.6%

・注目出走パターン
 [買い] 前走、秋華賞で2番人気以内かつ3着以内(連対率率45.5%)
 [買い] 前走で牡馬混合の重賞に出走の日本馬(連対率53.8%)
 [全滅] 前走で重賞以外に出走していた日本馬(複勝率0%)
 [不振] 外国人ジョッキー以外に乗り替わる日本馬(連対率2.0%)

 今年のように海外馬の参戦がない場合、エリザベス女王杯で上位に来る馬のパターンは、かなりわかりやすい。まずは秋華賞からのローテで参戦する3歳馬で、注目パターンにもあげたが、ヴィルシーナのように「秋華賞で2番人気以内かつ3着以内」という条件をクリアする馬は、本番でも非常に高い信頼度を誇っている。古馬との対戦が初であっても、とくに気にする必要はなさそうだ。

 そしてもうひとつが「牡馬と重賞で戦ってきた組の古馬」だ。古馬は府中牝馬Sからのローテが最も多いのだが、こちらは[0-4-4-48]で連対率7.1%と、信頼度イマイチ。対照的に、前走で牡馬混合重賞に出走していた馬は、[3-4-2-4]で連対率53.8%、複勝率69.2%という、とんでもない成績となっている。09年に大波乱の立役者となったクィーンスプマンテ、テイエムプリキュアの2頭も、このパターンの該当馬。牡馬と張り合ってきたというキャリアだけで、ここは買う価値があるのである。

 脚質面ではおおむねコースデータに準ずる結果が出ており、狙うべきはやはり差し馬と先行馬。対照的に、枠番別データでコースデータとは大きく異なる傾向が出ているが、より信頼度の高いコースデータのほうを信頼するべきだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 どの脚質もまんべんなく馬券に絡むフラットな馬場という印象。

・天候予測
 土曜日まで穏やかな天気が続くも、日曜日の降水確率高く馬場悪化の可能性も。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率20.6% 連対率32.4%

・著者の注目血統
 母父サンデー、母父トニービンなど末脚のキレが全面に出る配合馬

・瞬発力要求度
 70.3(基準値△20.3)※注

 ディープインパクト産駒が非常に優秀な成績を残し、キングカメハメハ産駒、ジャングルポケット産駒なども好調。母父別成績に目を移しても、上位は母父サンデー、母父トニービンといった配合パターンであり、瞬発力要求度の数値も超ハイレベル。末脚のキレが高いレベルで要求されるコースであるのは間違いない。

 となると、ここでチョイスすべきは「いかにも末脚がキレそうで実際キレる」馬。それも、後方に置かれず好位〜中団で折り合って、ハイレベルな瞬発力を発揮できるようなタイプだろう。血統の字面だけで選ぶなら、ヴィルシーナ、ピクシープリンセス、マイネイサベル、ラシンティランテあたりか。

★総論×各論
 イマイチ盛り上がりに欠けるメンバー構成ではあるが、馬券はある意味、ものすごく買いやすいレースとなりそう。というのも、エリザベス女王杯のデータ的な好走パターンに該当する馬が、今年は非常に少ないのだ。

 結論から言ってしまうと、データ的にプラス評価の項目がマイナス評価の項目を上回ったのは4頭だけ。最上位評価がヴィルシーナで、以下フミノイマージンマイネイサベルスマートシルエットというのが、上位評価馬のラインナップである。

 それ以外に押さえるとしても、オールザットジャズ、ラシンティランテ、レインボーダリアといったメンツであり、大きな波乱は正直なところ考えづらい。序盤からそれなりに速いラップが刻まれるコース&レースでもあり、余計に紛れる要素が少ないというのも、波乱はないと考えた要因のひとつだ。

 ホエールキャプチャの名前があがっていないのは、単純に「買える材料が少ない」というだけの話。ヴィクトリアマイルの覇者とはいえ、宝塚記念大敗→府中牝馬S大敗からの巻き返しは、やはり期待しづらい。いったん調子を落とした牝馬を立て直す難しさがある上に、牡馬を相手に好勝負してきた実績にも乏しいとなると、ここは消すのがたぶん正解。少しでも配当妙味を高める上でも、軽視のスタンスをオススメしたい。

■武蔵野S(G3・東京ダ1600m)フルゲート16頭/登録37頭
 実績馬ダノンカモン、ダート界の新星となりそうなイジゲンなど大挙37頭が登録する武蔵野S。JCダートの前哨戦でもあり、JBCの翌週とは思えないほど多彩なメンバーが顔を揃える、かなり難解なレースとなりそうだ。

 どのようなローテからでも関係なく上位に来るが、意外にアテにならないのが、前走でも東京で出走していた馬。なかでも4番人気以下で出走していた馬となると、その複勝率はわずか10.0%しかない。また、距離短縮組が露骨なまでに強いのも、武蔵野Sの大きな特徴。前走1800m以上戦出走馬はトータル[5-4-5-38]で複勝率26.9%、複勝回収率143%という高い期待値を誇っている。

 その他にも、3歳馬の強さや、ダートとは思えないほど高い瞬発力要求度など多くの側面から考えると、最もプラスファクターが多いのはナムラビクター。現3歳世代の強さは今さら言うまでもなく、レパードSでホッコータルマエと好勝負しているのだから、地力に関しては文句なし。また、このコースで非常に強いゼンノロブロイ産駒であること、距離短縮組であることなども、大きなプラス。人気はレースが派手なイジゲンのほうが上かもしれないが、データ的に買うべきなのはこちらだと断言する。

■京王杯2歳S(G2・東京芝1400m)フルゲート18頭/登録19頭

 このレースで最も興味深いデータといえるのが、「前走1着馬」の徹底的なまでの弱さ。[1-6-6-59]という成績を見てもわかるように、馬券にはそれなりに絡むのだが、1着には驚くほど来ないのである。当然ながら、前走で新馬や未勝利を勝ち上がったばかりの馬は期待薄。芝マイルで勝ち上がった馬をのぞくと、その連対率はたったの3.1%しかない。

 また、前走500万下〜重賞で1着だった馬も、前走2番人気以内馬をのぞくと連対率わずか6.3%。この時点で、デイリー杯2歳Sの勝ち馬であるテイエムイナズマから買うという選択肢は、ほぼなくなるといっても過言ではない。

 オススメは期待値の高い「前走重賞惜敗組」である、マイネルエテルネルとノウレッジの2頭。両馬ともに芝1600mからの距離短縮であり、重賞で勝ち負けできる能力を証明済みなのも心強いポイント。あとはヴァンフレーシュと、穴馬で東京マイルを好内容で勝ち上がった点を評価してのレッドヴィーヴォをあげておきたい。

■ファンタジーS(G3・京都芝1400m)フルゲート18頭/登録17頭

 まだ未完成な2歳牝馬による重賞でもあり、3番人気以内馬はトータル[5-3-6-16]で連対率26.7%と、イマイチな成績。それとは対照的に人気薄は8番人気馬が2勝、13番人気での1着激走など好走例が目白押しで、かなり穴狙いのスタンスで攻めたほうがベターなレースといえそうだ。

 というわけで、5番人気以下だけを対象にデータを分析すると、面白いことに前走1400m戦組が[0-1-1-53]という超・低空飛行。好走例は前走1200m戦組と1600m戦に大きく偏っている。とくにアツいのが前走芝マイル組で、こちらはトータル連対率36.4%、複勝率45.5%という超ハイアベレージ。要するに「中穴人気の前走芝マイル組」を買っているだけで、けっこう的中が期待できてしまう……という話なのである。

 今年の登録馬でこのパターンに該当するのは、サウンドリアーナとディアマイベイビーの2頭だけ。さすがに人気までは当日まで読めないが、どちらの馬もギリギリ5番人気あたりになりそうな気配。どちらかを選ぶならば、そこは迷わず、重賞での好走実績があるサウンドリアーナ。血統や厩舎もどちらかといえば地味で、前走の7着で想像以上に人気を落としてくる可能性もありそう。ここを軸に手広く流す馬券で、高配当を狙ってみるのも面白い。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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