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競馬を取り巻く変化

  • 2012年11月10日(土) 12時00分
 今年は日本近代競馬150周年。その間の変遷は、JRAやNARのホームページから入れる特設サイトで見ることができます。また、東京競馬場にある競馬博物館でも、それを記念した特別展が開催されていますので、ぜひご覧ください。

 ところで、150年という長い年月の中でも、ここ30年ほどの間は、“競馬激動の時代”と言ってもよさそうな気がします。兵庫の吉田勝彦さんや当サイトのコラムでもおなじみの長岡一也さんら、大先輩の方々に比べればまだまだ若造にすぎない私が言うのもおこがましいですが、私が競馬を見始めた頃からすると、いろんなことが大きく変わりました。

 まずは馬券。つい20数年前までは単勝、複勝、枠連しかなかったんですからね。昭和の終わり頃だったと思いますが、益田や浦和で枠単が(復活)発売されたときは、昔の枠単の時代を知らない我々にとっては一大事でした(ちょっと大げさ?)。さらに、馬券の発売窓口は200円券、500円券、1000円券の券面額ごとにわかれていました(一部の競馬場を除く)。100円単位で馬券を買えるようになったのは、わりと最近のことなわけです。

 それが変化し始めたのは1991年の馬複導入から。以後、馬単、ワイド、3連複、3連単、さらには重勝と賭け式が増え、1枚の馬券にまとめて買える買い目や金額もずいぶん融通が利くようになってきました。これだけ見ても“激動”でしょう。

 馬券を買える場所も様変わりしています。中央競馬で言えば、私が「土曜競馬中継」の実況を始めた頃は、東西の相互発売はごく限られたレースでしか行われていませんでした。なので、番組の中でナマ放送するレースが、東京や中山の2、3レースだけということのほうが多かったんです。その分、レースとレースの間を企画モノで埋めたり、当日の全レースに実況をつけてリプレイしたりしていました。その実況を1人で担当できたのは、私にとって幸いでした。おかげでずいぶん鍛えられましたから。

 今は、東西相互発売の拡大とウインズの拡充、電話・インターネット投票システムの導入などで、ほとんどのレースがどこにいても買えるようになりました。これも、昔に比べると隔世の感がありますね。そうそう、後楽園と難波の場外発売所はそれぞれ今はなき野球場の外野スタンド下、浅草の場外は花やしきの裏にあったのを覚えています。どちらもかなり昔の話になっちゃいました。

 そのほか思い返してみると、たとえばJRAの10競馬場も、すべて1世代前(京都で言えば、グランドスワンの上階がガラス張りになる前)を知っています。あれやこれや、まだまだ書きたいことはありますが、今回はこのへんにしておきましょう。とにかく、競馬を取り巻くさまざまなことが、ここ30年くらいの間に“激変”しました。“今”は、すぐに古くなっちゃうんでしょうね。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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