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堅い決着も「1強」ではない!/ジャパンカップ

  • 2012年11月21日(水) 18時00分
■ジャパンカップ(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録17頭

【コース基本情報】東京芝2400m Cコース使用
・コース回収率
 [低め] 単勝58%・複勝72% 人気馬の勝率高く堅め決着の傾向

・馬連万馬券出現率
 [低め] 6.6%(平均値▼5.4% 馬連平均配当3755円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内枠優勢] 内枠14.7%・中枠10.3%・外枠11.4%

・脚質別信頼度
 差し>>先行≧逃げ>追込 勝ち馬も差し脚質が圧倒的に多い

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.9-36.6-36.4-34.9=2.23.8 一貫して速い底力必須の厳しい流れ

 ダービーやJCが開催される東京芝2400mは、堅い決着となる傾向がきわめて強いコース。16頭立て〜18頭立てにて行われたレースでの1番人気馬は、勝率41.2%という非常に高い信頼度を誇っている。また、1着馬における人気のシェアを見ても、1番人気〜3番人気が全体の65.7%を占めており、集計期間内に「9番人気以下で1着」に来た馬はなんとゼロ。つまり、人気薄を1着に固定する馬券での勝負は、ものすごく効率が悪いのだ。

 馬連万券が出た回数も期間内にわずか6回であり、当然ながら出現率も平均値よりかなり低め。馬連平均配当での3755円という数値も、そうそう出てくるモノではない。よって、通常の馬券よりもかなり堅めの方向に調整したほうがいいといえる。

 人気馬がキッチリ能力を発揮できるコースなので、大きなクセは見られない。ただ、1枠〜2枠がそれ以外よりも4%前後も高い連対率をマークしている点は、覚えておくべきだろう。直線が長いコースでもあり、脚質は圧倒的に差し優勢。「差し→差し」決着、または「差し→先行」決着を想定して、予想を進めるべきである。

【レース基本情報】ジャパンカップ(G1) 東京過去9回
・レース平均配当
 単勝1068円 馬連3048円 3連複1万1896円

・1番人気馬成績
 [3-2-3-1] 連対率55.6%・複勝率88.9%

・3番人気以内馬成績
 [5-5-5-12] 連対率37.0%・複勝率55.6%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-1-68] 連対率0%・複勝率1.4%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.7% [先行] 33.3% [差し] 48.1% [追込] 14.8%

・性別成績
 [牡馬] 連対率11.6% 複勝率16.3% (セン馬を含む)
 [牝馬] 連対率14.3% 複勝率28.6%

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-4-3-25 連対率15.2% 複勝率24.2%
 [4歳馬] 4-3-3-32 連対率16.7% 複勝率23.8%
 [5歳馬] 3-1-2-30 連対率11.1% 複勝率16.7%
 [6歳馬] 1-1-0-19 連対率9.5% 複勝率9.5%
 [7歳以上馬] 0-0-1-17 連対率0% 複勝率5.6%

・枠番別成績
 [1枠] 2-1-2-12 連対率17.6% 複勝率29.4%
 [2枠] 1-0-1-15 連対率5.9% 複勝率11.8%
 [3枠] 2-0-3-12 連対率11.8% 複勝率29.4%
 [4枠] 0-0-2-15 連対率0% 複勝率11.8%
 [5枠] 1-4-1-11 連対率29.4% 複勝率35.3%
 [6枠] 1-1-0-15 連対率11.8% 複勝率11.8%
 [7枠] 1-0-0-23 連対率4.2% 複勝率4.2%
 [8枠] 1-3-0-20 連対率16.7% 複勝率16.7%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-0-3-20 連対率8.0% 複勝率20.0%
 [栗東] 6-8-5-54 連対率19.2% 複勝率26.0%
 [地方] 0-1-0-5 連対率16.7% 複勝率16.7%
 [海外] 1-0-1-44 連対率2.2% 複勝率4.3%

・注目出走パターン
 [絶好] 前走天皇賞(秋)で2番人気以内(連対率60.0%・複勝率100%)
 [買い] 前走G1で2番人気以内の日本馬(連対率40.0%・複勝率65.0%)
 [全滅] 前走10番人気以下&前走10着以下の日本馬(複勝率0%)
 [不振] 6歳以上馬(連対率5.1%)
 [不振] 外国馬(連対率2.2%)

 コース同様に「堅め決着」を印象づけるデータが続出。1番人気馬が[3-2-3-1]ときわめて堅調であり、対照的に10番人気以下馬が[0-0-1-68]と1頭しか馬券に絡めていないのだから、そのほとんどが堅い決着となって当たり前である。

 ではまず、海外馬の扱いについて。今年も凱旋門賞馬ソレミアなど5頭の登録があるが、最後の馬券絡みが06年3着のウィジャボード、最後の勝ち馬が05年のアルカセットであり、07年以降に出走した24頭はすべて4着以下に終わっている。昨年1番人気のデインドリームですらJCでは通用していないワケで、日本の高速馬場がいかに特殊であるかを如実に物語っているといえよう。今年も「すべて消し」がオススメだ。

 次に日本馬だが、JCで来るパターンはかなり限定されている。最も信頼できるのはフェノーメノ、ルーラーシップが該当する「前走天皇賞(秋)2番人気以内馬」であり、こちらはなんと複勝率100%。また、天皇賞(秋)以外のG1から出走する馬については、こちらも前走2番人気以内ならば好走の期待大といえる。前走着順ではなく、前走人気のほうが指標としてアテになるという点も、頭の隅っこにでも入れておいてほしい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 荒れてきている状況だが意外なほどフラット。インでも馬場に殺されないはず。

・天候予測
 木曜日と金曜日に雨予報も日曜日までに回復すると思われる。良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 ステイゴールド 勝率10.0% 連対率20.0%

・著者の注目血統
 とくになし。能力次第でどんな血統でも来られるレース。

・瞬発力要求度
 47.5(基準値▼2.5)※注

 勝利数はステイゴールド産駒、ディープインパクト産駒、ゼンノロブロイ産駒といった順番。連対率25.0%、複勝率35.0%のディープインパクト産駒が一応はトップ評価になるが、実際にはほとんど差が見られない。また、母父に関しても同様の傾向にあり、血統面からの優劣が非常につけにくい。ここは「血統は気にしない」というのが、最も正しいスタンスとなるような気がする。

 凱旋門賞馬ソレミアはSadler's Wells系Poligloteの産駒で、母父Shirley Heightsといかにもヨーロッパ向きの印象。同様にレッドカドー、マウントアトス、スリプトラもバリバリの欧州血統であり、JCでは狙いにくい。最も日本の馬場適性が高そうなのはジャッカルベリーだが、それでも「向く」とまでは言いづらい血統構成。やはり今年も、外国馬には手を出さないほうがベターだろう。

★総論×各論

 波乱の要素はまるでなし、というのがデータからの分析結果。紛れのないコースで真の一線級がガチンコ勝負をするのだから、そうそう波乱が起こるワケがないのだ。一発があるとすれば日本適性が不明の海外馬だが、不確定要素が多すぎてあまりにもリスキー。日本の実績上位馬を素直に信頼するのが、どう考えてもベストだ。

 最上位評価はルーラーシップ。天皇賞(秋)でも出遅れたようにゲートに課題が残る現状だが、最後方から0秒3差で3着に食い込んでみせたレース内容は強いのひと言。宝塚記念からのぶっつけだったことを考えると、これは驚異的なパフォーマンスだ。スタートさえ決めれば、順当に勝ち負けが期待できるはずである。

 そして、二番手評価は3歳馬フェノーメノ。凱旋門賞での好走で1番人気が確実視されるオルフェーヴルは、ここでは三番手評価とした。割り引く材料はとくにないのだが、海外遠征からの帰国緒戦というのは、えてして調整面が難しいもの。実績・能力ともに断然の存在だが、まったく不安がないわけではない。

 以下、エイシンフラッシュ、ダークシャドウ、ジェンティルドンナまでが、データ分析の結果「買い」と判断した馬たち。馬券を的中させるのは簡単だが、どのような買い目でどう儲けるかが難しいレースとなりそうだ。あとはオッズや枠番が決まってからの判断となるが、個人的にはルーラーシップ軸での馬券に最も食指が動く。

■京阪杯(G3・京都芝1200m)フルゲート18頭/登録24頭

 現在の条件に変わってから今年で7回目となる京阪杯。過去6回で4番人気以内馬がトータル[5-5-3-11]で複勝率54.2%と高信頼度で、さらに3着以内シェアの72.2%を占めているという、堅め決着傾向の強いレースである。しかし、13番人気2着、16番人気3着といった「超」激走例もあり、荒れるときはとことん荒れる印象。登録馬にアテにしづらい馬が多い今年は、ドカ荒れが発生する可能性も十分にありそうだ。

 まずはローテだが、馬券に絡んだ馬のほとんどが、前走でも京都で出走。前走京都芝1400m以下戦出走組のトータル戦績[5-4-4-37]で、それ以外が[1-2-2-66]なのだから、その優位は明白である。また、6歳以上馬[1-0-2-33]に対して5歳以下馬[5-6-4-52]と、5歳以下馬のほうが圧倒的に優勢。あとは、スプリント戦であるにもかかわらず、前走で上がり1位〜2位の馬が好走しているのも特徴的である。

 その他にもさまざまなファクターから分析を行ったが、プラス材料が多く、しかもマイナス材料が見当たらなかったのがサドンストームビウイッチアスマコトナワラタナの3頭。押さえ候補が、アドマイヤセプター、オリービン、ジュエルオブナイル、シュプリームギフト、テイエムオオタカ、ハクサンムーンの6頭となる。

 実績上位で人気を集めそうなパドトロワ、ハナズゴール、スプリングサンダーといったあたりは、ちょっと手を出しづらい印象。ここを嫌って期待値をアップさせつつ、上位評価馬を中心に組み立てた馬券で勝負したいレースだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2002年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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