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オルフェーヴルは7割でちょーどいい説

  • 2012年11月22日(木) 12時00分
タイガー・ジェット・シンは、横に上田馬之助がいて絵がはえたように、オルフェーヴルは、アヴァンティーノがいて絵がはえる。

とフランスでの2度のオルフェーヴルのレースを観てたからか、いつの間にかそう思うようになってしまった!

だからアヴェンティーノを特別枠(19番)としてジャパンカップに出走させたらどうだい? とか今さらながら言ってみたりして。
もちろんアヴェンティーノが引退したことは知ってますとも。
でも自分がプロレスの興行主だったら、断然そうするよねぇ〜。 とチープな感じで言ってみたりして。
(うむ、我ながら言うことが安い!)
よくわからない外国馬を勧誘するより、アヴェンティーノの方が断然単勝が売れると思うわけです。
オルフェーヴル withアヴェンティーノ
そんなカップリング馬券も用意したりなんかして。
(うむ、ミーハーとして最後まで言い切れた!満足だ!)

それはさておき、宝塚記念の週の当コラムで、自分はオルフェーヴル印象派として、こんなことを書いた。
「オルフェーヴルというより、父ステイゴールドが怖くて、面白くて、愉快で、ざわざわする」と。

父ステイゴールド自身の数奇な成長力、いやヘンテコな成長力に思いを馳せながら、宝塚記念でのオルフェーヴルに自分なりの期待を投影してみたわけだけど、結果は完勝だった。

一応、自分がヘンテコだと思う成長力をおさらいしておくと(宝塚記念週からの抜粋)、

---------抜粋-------------------------------------
そもそも父ステイゴールドも10着以下に負けながらも成長した馬でもあった。
っていうか、めちゃくちゃ大雑把に言えば、

ステイゴールドは、
「2着期」→「3着期」→「1着か馬券圏外期」
とシーズンが3回あった馬だった。

で、香港ヴァーズ(G1)1着で競走フィナーレ! (晩年は「1着か馬券圏外期」に属していたけど、この年は3勝中2勝が海外の重賞であげたもので、「国際期」にいたとも言える)

当時もヘンテコなサンデー産とは思っていたけど、改めてみると、最高に愉快な馬だったように思う。シリアス部門じゃなく、コメディー・ミュージカル部門のサンデー最高傑作とでも言えばいいか。
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父ステイゴールドは2歳12月にデビューして、7歳の12月に香港でG1を勝って引退した馬だった。結果的に引退レースがG1初勝利だった。
サンデー産で7歳いっぱいまで稼働することは珍しくはなかったけど、種牡馬になるようなサンデー産はだいたい5歳で引退だから、そういう意味では種牡馬としては期待されてなかったともいえる。

だけど本当に期待されてなかったら、ドバイや香港にだって連れて行ってもらえなかったはずで……ん?
ぬぬぬ……!

たしかこの年(2001年)のドバイワールドカップはトゥザヴィクトリーが逃げて2着したんだっけ…。
トゥザヴィクトリーはステイゴールドと同じ池江厩舎の馬だったな……。

トゥザヴィクトリーは5歳でメインレースのG1・ドバイワールドカップに出走で、ステイゴールドはG2のドバイシーマクラシックに出走だから……おっと、ステイゴールドもアヴァンティーノ的役割を担っていたともいえる。そういえば当時もそんなこと(帯同で勝っちゃった!)を思っていたような。あ〜すっかり忘れてた。

そんで今回の、フランスでの、アヴェンティーノ同行で、なるほど! そういうことか! やっぱりタッグだ! ステイは最強タッグ血統だ! やったー! (なにもかもわかったつもり。ワハー)

とにもかくにも、ステイゴールドはドバイでG2ながらも、7歳ながらも勝った。勝ってしまった。そのことが暮の香港ヴァーズ出走につながり、そこでも勝って、種牡馬へとつながったとしたら、やっぱり数奇だし、ヘンテコだ。いい意味でヘンテコだ。

ステイゴールド産は、よく成長力が凄いと言われる。それを否定するつもりはないけど、ステイゴールド自身は、成長力というより、適応力のあった馬だった気がする。娯楽の殿堂系用語でいうところのステージ・チェンジ力があるとでも言いましょうか。
ステイゴールドのステージ「2着期」→「3着期」→「1着か着外期(国際期)」を見てるとそう感じる。

だとすると、興味深い。フランス帰りのオルフェーヴルは今、どのステージにいるのか?

オルフェーヴルも父ステイゴールド同様に惨敗を糧に強くなってきた馬でもある。っていうか、圧倒的な力強さは父をすでに超えているし、その存在感は、行儀の悪さも含めて(父も母も振り落とし系ではあった)、すでに父を超えている。

1着(新馬)
2着(芙蓉S)
10着(京王杯2歳)
2着(シンザン)
3着(きさらぎ)
1着(スプリングS)3/26
1着(皐月賞)
1着(ダービー)
1着(神戸新聞)
1着(菊花賞)
1着(有馬記念)
2着(阪神大賞典)3/18
11着(天皇賞・春)
1着(宝塚)
1着(仏・フォワ賞)
2着(仏・凱旋門賞)

2011年の3/26から始まった「1着期」は2012年の3/18の阪神大賞典での暴走とともに終わりを告げたと仮定したのが宝塚記念直前。

その後、1着・1着・2着。
これだけを見ると、今は「連対期」にいるようにも思える。
ただ晩年のステイゴールドがいた国際期にいるとも考えられなくもない。

気になるのは阪神大賞典の暴走で、ステージチェンジが起きたようにも思えることだ。
だとすると、凱旋門賞での最後の直線だって途中から暴走したともとれる。
馬が疲れていた説や早めに先頭に立って走るのをやめた説等、諸説あるけど、スミヨンの指示に応えられなかったことには変わりない。

阪神大賞典…2着。大きく逸走したレース。気になるのは、その逸走より、猛然と追い込んだときに内に切れ込んだこと(審議対象)。
天皇賞・春…11着。メンコ着用で本気で走れなかったのかもしれない。2回続けての逸走だけは避けたい。だからメンコ着用で万全を期したとすれば、本質的には心配事は解消されてないともいえる。4角曲がるまで縦長のレースに最後方からではどんな馬でも間に合わない。にしては負け過ぎだけど、それだけ試走に専念したともとれる。
宝塚記念…1着。「7割のデキ」で勝ったレース。天皇賞春同様にペースはミドルだったけど、こちらは3角〜4角で馬群がつまった。馬群が凝縮されると力を発揮できるようにも見える。
フォワ賞…1着。5頭立て。特別強い勝ち方には見えなかったけど、5頭立てではむしろしょうがないのではないか。
凱旋門賞…2着。デキは最高とのコメントあり。ほぼ最後方から大外ごぼう抜き。ペースはスロー。18頭立て。でも馬群はつまっていた。本来の力を発揮しつつも、最後に内によれた。

阪神大賞典と凱旋門賞から言えることは、ある程度長めに一生懸命走ると、どこかでよれる傾向が見られること。阪神大賞典は大きく逸走してから、猛スピードで馬群に追いつき、そのまま全速力で直線に入って、最後によれた。凱旋門賞もそう。大外からごぼう抜きして、その後内に大きくよれた。どちらのレースでも自分には最後の最後に力つきたようにも見えた。

結局、レースに危なげがなかったのは「7割のデキ」のときだった気がする!
デキがよすぎると、その分、悪さのスケールも大きくなるなんてことはないのか!

ジャパンカップは3歳の牝馬が重量の恩恵はあるにせよ、牡馬一線級と互角に闘えるレース。つまり、レース中のプレッシャーがあまりないスムージーなレースになりやすいともいえる。そういう流れならば、オルフェーヴルも気持ちよく走れるのかもしれない。

けれども、気持ちよく走りすぎたらどうなんだろう。阪神大賞典前も凱旋門賞前もデキのいいコメントがあった。

ゆえにデキが気になる。今回のオルフェーヴルのデキは何割なんだろう?

最近のジャパンカップは4角5〜7番手にいないと勝てない。
オルフェーヴルは別格か。だとしても4角10番手がせいぜいか。
東京の2400は3角から動いたら、最後の最後に持たなくなるコース。
3角から動いたらそれこそ、阪神大賞典、凱旋門賞のように内に切れ込む可能性もある。

つまり3角で10番手にはいたいところ。そこからじっとして、直線で爆発させるのが理想か。
池江師はどう騎乗するかを騎手と作戦を立ててるという印象がある。当然、そういう作戦は立てるだろう。
でもその作戦を忠実に実行できるかは、枠にもよるし、馬のデキにもよるはず。

だから気になる。今回のデキは何割なんだろう。

もちろん7割なら買い。8割〜9割ならサゲ方向で検討したい。10割なら積極的にサゲてみたい。そもそも1番人気確実なんだし、10割なんて言われたらもっと人気になる。

いくら別格の馬でも、別格な強さを披露してくれたのは去年までであって、今年はまだ別格の強さを見たことはない。別格の2着、破格の2着は阪神大賞典、凱旋門賞で見せてもらった。でも1着はまだない。そういう馬の1番人気を頭から買うのは自分には少し難しい。ちと難儀だ。

オルフェーヴル印象派としては、別格の1着を鑑賞させて欲しい。けれど同時に、破格ならば2着、3着だってぜんぜんいい。
さらに同時にオルフェーヴルが2着、3着、はたまた4着に敗れたときの馬券も手にしていたい。
オルフェーヴルが1着のときの馬券はなくてもいいけど、1着しなかったときの馬券は持っていたい。
ムシがいい? はい、ムシがいいんであります。っていうかムシがいいのは生まれつきでゲス。もう治りません。

だから気になる。今回のデキは何割なんだろう。

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ジャパンカップ鑑賞的注目馬
オルフェーヴル…デキ7割で買い。デキ10割でサゲ。デキ8割〜9割で長考に入ります。
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ジャパンカップ注目馬
フェノーメノ&ジェンティルドンナ
トップレベルの3歳馬が出てきたら、3着か4着を想定して、馬券を買ってみるのも好き。
フェノーメノはジャパンカップ「1着位置取りゾーン」の4角5〜7番手くらいにいてくれそうだし、
ジェンティルドンナはジャパンカップでは別格、いや例外騎手になる岩田騎乗が心強い。

最後に去年も紹介した傾向と対策を今年も引用。

デットーリを除くと、日本人騎手の1番人気が負けるときは外国人騎手が1着しやすく、外国人騎手の1番人気が負けるときは日本人騎手が1着しやすい。例外は日本人1人気の武豊が負けたときに日本人騎手岩田が勝ったこと。そう岩田はジャパンカップではデットーリ同等に例外なのだ。

1着岩田→1人気シュタルケ
1着武豊→1人気スミヨン
(1着ルメール・1人気ルメール)
1着デムーロ→1人気四位
1着岩田→1人気武豊
(1着武豊・1人気武豊)
1着デットーリ→1人気デザーモ
(1着ペリエ・1人気ペリエ)
1着佐藤哲→1人気ペリエ
1着デットーリ→1人気ペリエ
1着ペリエ→1人気和田

これで行けば、今年は池添騎手が1番人気だろうから、オルフェーヴルが負けるならば、勝つのは外国人騎手騎乗馬となる。
ふつうに考えたら、ウィリアムズさんのルーラーシップが大有力で、ルメールのエイシンフラッシュやオドノヒューさんのジャッカルベリーにも、いやいやいやいやオドノヒューさんは違った。そっちじゃなかった。
オドノヒューさんの楽しみ方は意外性のなさだった。はたして何番人気になるのだろう。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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