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新星と古豪の一騎打ち!?/ジャパンCダート

  • 2012年11月28日(水) 18時00分
■ジャパンCダート(GI・阪神ダ1800m)フルゲート16頭/登録20頭
【コース基本情報】阪神ダ1800m
・コース回収率
 [やや高め] 単勝68%・複勝87% 人気薄の激走例が多くヒモ穴に妙味

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.2%(平均値△0.2% 馬連平均配当5825円)

・枠番別連対率(16頭立て)
 [やや内枠優勢] 内枠13.9%・中枠12.0%・外枠12.4%

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>>差し>>追込 クラスが上がっても完全に前有利

・推定ラップ&タイム
 [底力] 36.3-36.7-36.5=1.49.5 緩急がなく息を入れづらい厳しい流れ

 コース全体での単勝回収率は68%とソコソコの水準だが、これを「16頭立ての1000万下〜OP)に限定すると、その数値は一気に36%にまで低下。その要因となっているのが、1番人気馬の[18-5-2-13]という圧倒的なまでの好成績だ。とくに強烈なのが勝率で、47.4%という数値は圧巻のひと言。また、1着馬における4番人気以内馬の割合が89.5%と異様なまでに高いのも、大きな特徴といえる。

 ここまで人気馬が強いコースであるにもかかわらず、コース全体の複勝回収率は87%とかなり高く、2着や3着には高確率で人気薄が突っ込んできている計算になる。つまり、阪神ダ1800mは「アタマは堅いがヒモは荒れやすい」コースだということ。傾向がハッキリしているので、馬券はある意味、とても買いやすいのである。

 枠番別連対率を見てもらえばわかるように、クセのない非常にオーソドックスなダートコース。内枠の信頼度が最も高くはあるのだが、序盤のペースが速くなるGIでは、やや外めの枠番のほうがレースはしやすいかもしれない。実際に、16頭立てのレースで「1枠〜4枠」に入った馬の複勝回収率が68%であるのに対して、「5枠〜8枠」に入った馬のそれは110%と、大きな差が出ている。穴馬を取捨する場合には、外枠を選んだほうがベターか。

 そして最後に脚質だが、これはもう完全に先行勢優勢。16頭立て&1000万下〜OPのレースに限定しても、4コーナーを7番手以下で回った馬のトータル連対率は、たったの5.4%しかない。10番手以下で回るとなると、当然ながらさらに期待薄。中団より前でレースできる馬でないと、勝ち負けできないと考えたほうがいい。

【レース基本情報】JCダート(G1) 阪神過去4回
・レース平均配当
 単勝460円 馬連4938円 3連複1万5378円

・1番人気馬成績
 [3-0-1-0] 連対率75.0%・複勝率100%

・3番人気以内馬成績
 [3-0-2-7] 連対率25.0%・複勝率41.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-2-25] 連対率0%・複勝率7.4%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 25.0% [先行] 8.3% [差し] 41.7% [追込] 25.0%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-1-1-9 連対率9.1% 複勝率18.2%
 [4歳馬] 2-1-0-11 連対率21.4% 複勝率21.4%
 [5歳馬] 1-1-0-11 連対率15.4% 複勝率15.4%
 [6歳馬] 1-1-2-9 連対率15.4% 複勝率30.8%
 [7歳以上馬] 0-0-1-11 連対率0% 複勝率8.3%

・枠番別成績
 [1枠] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%
 [2枠] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%
 [3枠] 0-1-2-5 連対率12.5% 複勝率37.5%
 [4枠] 0-0-0-8 連対率0% 複勝率0%
 [5枠] 1-1-1-5 連対率25.0% 複勝率37.5%
 [6枠] 0-1-1-6 連対率12.5% 複勝率25.0%
 [7枠] 0-1-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [8枠] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-0-0-9 連対率0% 複勝率0%
 [栗東] 4-4-4-38 連対率16.0% 複勝率24.0%
 [地方] 0-0-0-1 連対率0% 複勝率0%
 [海外] 0-0-0-3 連対率0% 複勝率0%

・注目出走パターン
 [買い] 前走で4着以内だった関西の6歳以下牡馬(複勝回収率130%)
 [買い] 前走地方戦に2番人気以内で出走して3着以内(複勝率41.7%)
 [全滅] 前走武蔵野Sで上がり3F最速〜2位(複勝率0%)
 [全滅] 前走地方戦に出走して4着以下(複勝率0%)
 [全滅] 前走中央戦に3番人気以下で出走して2着以下(複勝率0%)

 現在の条件になってから4回しか行われておらずデータ不足な面は否めないが、1番人気馬が[3-0-1-0]とすべて馬券に絡み、単勝平均配当が460円と非常に低いのは大きなポイント。それでいて、馬連や3連複の平均配当は水準をキープしているのだから、コースデータで見られた傾向の通りだと考えていい。つまり今年も「1着馬に関して波乱はない」ということだ。

 ただし、ジャパンCダートでの2番人気〜3番人気馬は[0-0-1-7]とまったくアテにできず、ここを狙うくらいなら、4番人気〜8番人気の中穴ゾーンのほうが格段にオススメ。さらに条件を絞り込むなら、より信頼度が高い「前走4着以内の4番人気〜8番人気馬」を推奨したい。今年の登録メンバーでこれに該当しそうなのは、ソリタリーキング、トランセンド、ニホンピロアワーズ、ホッコータルマエの4頭である。

 現在のところ完全に関西馬優勢、牡馬優勢であり、関東馬と牝馬は馬券絡みゼロ。今年は武蔵野Sの勝ち馬イジゲン、JBCレディスクラシックを制したミラクルレジェンドの登録があるが、これらをどう扱うかにけっこう悩まされそうだ。また、7歳以上馬が[0-0-1-11]と不振なのも、意識しておいたほうが良さそうだ。

 最後に、過去全滅パターンとしてあげた、武蔵野Sでの「上がり3F順位」1位〜2位馬について。武蔵野Sが行われる東京ダ1600mは、ダートコースでありながらハイレベルな瞬発力が問われるという、やや特殊なコース。しかし、阪神ダ1800mは瞬発力よりも持久力を問われる正統派のダートコース。武蔵野S組がイマイチな成績に終わっているのも、これが大きく影響しているはずだ。基本的には、大きく割り引いて考えたい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開催替わりだがダートなのでとくに意識する必要ナシ。

・天候予測
 土曜日までは曇り予報も日曜日に多少の降雨があるかも。良〜稍重前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率14.2% 連対率24.5%

・著者の注目血統
 キングカメハメハ産駒、スペシャルウィーク産駒

 勝利数トップで内容も超優秀なのがキングカメハメハ産駒。全体での連対率が24.5%、複勝率が34.0%もあるうえに、回収率も単勝119%、複勝102%といずれも大台を突破しているのだから、文句のつけようがない。素直に、血統面での筆頭推奨としたい。

 また、スペシャルウィーク産駒も負けず劣らずの優秀さ。こちらは、母父にBold Ruler系やVice Regent系といった北米血統を持つ配合馬がとくに好成績をあげている。今年唯一の登録馬であるローマンレジェンドは、母父にVice Regent系Awesome Again、母母父Storm Birdという北米血統であり、そのコース適性は相当なものがありそう。過去に2勝をあげている好相性のコースで、さらなる飛躍を見せてもおかしくはない。

★総論×各論
 外国馬の参戦がないのは寂しいかぎりだが、それでもかなり面白いレースになるのは間違いなし。ローマンレジェンド、イジゲンといった新星が勝つのか、それともダート界を牽引してきたトランセンドやエスポワールシチー、ワンダーアキュートといった古豪が力を見せるのかと、かなりワクワクさせてもらえそうだ。

 データ分析の結果からトップ推奨となったのは、おそらく1番人気となるであろうローマンレジェンド。実績こそG3を2勝した程度だが、2走前のエルムSでエスポワールシチーを退けているように、その能力に不足はない。好位からキッチリ前を捉えるそつのないレース運びや、接戦をモノにする勝負根性のすごさも、このレースを制する上で大きな武器となるもの。みやこSをステップに選んでいるのもプラス材料だといえる。

 それに僅差で続くのが、現在二連覇中のトランセンド。いったん調子を落としたとはいえ、その地力の高さがピカイチなのは言うまでもない。勝ち馬に千切られたとはいえ、長期休養明けの前走で3着に粘ったのは評価すべき。もともと叩き良化型でもあり、ひと叩きされた効果でデキはグンと良くなるはずだ。今回はかなり美味しいオッズとなる可能性もあり、そういう意味でもそそられる存在となった。

 対照的に、積極的に嫌っていきたいのがイジゲン。前走で見せた驚異的な強さで2番人気に推される可能性もあるが、今回のコース替わりがプラスに働くタイプでないのは確実だ。また、出遅れグセがあるのも大きな減点材料であり、前回同様にいくと思ったら大間違い。ここで出遅れた上でアタマまで突き抜けたら、カネヒキリ級のバケモノである。

 以下は、ワンダーアキュート、エスポワールシチー、ソリタリーキング、ニホンピロアワーズ、ホッコータルマエといった評価順。大きな番狂わせはなく順当に決着する公算が高いが、ヒモ荒れで意外な高配当が出るパターンも十分にありうるので、人気薄の取捨にはかなり気をつかいたい。

■金鯱賞(G2・中京芝2000m)フルゲート18頭/登録17頭
 過去2年は京都にて開催されていた金鯱賞が、ようやく中京に戻った。とはいえ、時期が大幅に変更された上にリニューアル後の初開催とあっては、これはもう新設重賞のようなモノ。過去の金鯱賞はやたらと1番人気が強かったものだが、そういったイメージはスパッと捨てて、フラットな頭で考えたほうが良さそうだ。

 というわけで、中京リニューアル後に芝2000mで、15頭立て以上にて行われた16レースを分析対象として調査を敢行。3番人気以内馬はトータル[10-6-4-28]で連対率33.3%、複勝率41.7%とソコソコの信頼できるのだが、最もアツいのは8番人気〜12番人気といった「穴」ゾーンの馬で、こちらはトータル[3-7-6-64]で複勝率20.0%、複勝回収率182%という非常に高い期待値となっている。要するに、けっこうバットが振り回せるコースなのである。

 なかでも期待できそうなのが「前走で速い上がりを使っていた」人気薄の馬。直線の長いコースだけあって、前走での上がり3F順位が1位〜3位の馬は、連対率29.8%、複勝回収率108%と、信頼度と爆発力を兼ね備えている。この条件に該当する人気薄となりそうな馬は、オーシャンブルー、サトノギャラント、タニノエポレット、デスペラード、ロードオブザリングの5頭。ここでは、2走連続で最速上がりをマークしており、血統的にもコース適性が高そうなオーシャンブルーを、注目穴馬としてあげておきたい。

 人気馬では、ちょっと気になるのがエアソミュール。こちらも末脚は非常にキレるのだが、データ集計条件におけるジャングルポケット産駒の成績が[0-0-1-13]と、かなり低調なのだ。ここを狙うなら、ハーツクライ産駒のアドマイヤラクティのほうが断然オススメ。人気馬では、ココを推しておこう。

■ステイヤーズS(G2・中山芝3600m)フルゲート16頭/登録20頭
 年に一度しか使われないコースで開催される「長距離馬の祭典」ステイヤーズS。現在の主流からは大きくかけ離れた距離というのもあって、今年もきわめて難解なレースとなりそうだ。

 とはいえ、意外とアテになるのが、前走で出走していたレースの「格」。条件戦からでも平気で突っ込んできそうなイメージなのだが、前走中央重賞組が[9-7-8-65]で複勝率27.0%なのに対して、それ以外の馬は[1-3-2-39]で複勝率13.3%と、その差は2倍以上。どちらを狙ったほうが効率がいいかは明白である。前走非重賞組で買えるのは「斤量の軽い3歳馬」くらいのものである。

 前走重賞組のなかでも馬券絡みが圧倒的に多いのが、アルゼンチン共和国杯からのローテ。3着以内馬におけるこの組のシェアは、じつに56.7%にものぼる。あとは京都大賞典組、菊花賞組といったところが目立っており、「前走の格が高ければ高いほど期待できる」とシンプルに考えてよさそうだ。

 また、逃げ・先行勢が圧倒的に強いのも、このレースの特徴。4コーナーを7番手以下で回った馬でも、トータル[0-4-3-61]で複勝率はわずか10.3%。10番手以下だと[0-1-0-36]で複勝率2.7%と、もうその時点でほぼアウト。少しでも前に行ける馬を優先して、買い目を組み立てるべきレースだといえる。

 こういった各種ファクターからふるいにかけた結果、ここで「買い」といえそうなのがイケドラゴンケイアイドウソジンコスモグレースフルマイネルキッツの4頭。あとは人気次第だが、昨年の勝ち馬で、さらにG1馬でもあるマイネルキッツが最も信頼できるはず。ここまで相手が軽くなれば、昨年同様に巻き返しが期待できそうだ。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2008年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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