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地方競馬は“一大産業”

  • 2012年12月01日(土) 12時00分
 今回も地方競馬の話題。と言っても、またまた角度を変えての話です。

 厳しい経営が続く地方競馬ですが、平成23年度(4月〜24年3月)の地方競馬総売得金(馬券の売上げ)は3314億3768万2700円。3月に東日本大震災、12月末に荒尾競馬の廃止がありながら、前年度に続いて3300億円台をキープしました。これは健闘と言えるでしょう。

 この売上高を一般企業と比較してみたら? というのがきょうのテーマ。日本経済新聞のホームページでは、企業の売上高ランキングを検索することができます。それをもとに、われわれになじみの深い業種で、地方競馬とほぼ同じくらいの売上高をマークしている企業にはどんなところがあるかを調べてみました(決算月は最新のもの)。

 まずは全国上場企業から。食品では、「マルちゃん」でおなじみの東洋水産が、この業種の18位で3209億8800万円とありました。19位の日清オイリオと20位のヤクルトが3100億円台、21位のグリコ、22位のキッコーマンが2800億円台です。

 小売業では「お、ねだん以上。」のニトリホールディングスが3310億1600万円で28位、「あなたと、コンビに、」ファミリーマートが3292億1800万円で29位にランクされています。

 次は鉄道・バス。11位の西鉄が3275億900万円。これに、2900億円台の京急が12位、2600億円台の京阪が13位で続いています。

 今度は通信。9位のTBSホールディングスが3465億3800万円、10位の日本テレビホールディングスが3054億6000万円。地方競馬はその“中間”といったところです。フジテレビのフジ・メディア・ホールディングスは5936億4500万円で5位、テレビ東京ホールディングスは1115億2100万円で14位でした。

 そしてサービス業。11位の野村総合研究所が3355億5400万円。「ALSOK」の綜合警備保障が3047億2300万円で13位、ヤフーが3020億8800万円で14位となっています。

 一方、ジャスダック市場では、全業種中トップの楽天が3799億円、2位のジュピターテレコムが3690億7300万円、3位の日本マクドナルドホールディングスが3023億3900万円。地方競馬がここに入ったとすると、一気に3位にランクインしてくるわけです。

「それがどうした?」と言われてしまえばそれまで。ただ単純に売上げを比べてみただけですからね。とはいえ、地方競馬全体の馬券売上げって、けっこう大きな金額だと思いませんか? 売り物は馬券1つ。ひたすらそれを売って3300億円なんてねぇ。

 ちなみに、2011年のJRAの総売上げは2兆2935億7805万3600円。これを上回る売上げをマークした企業は、全国に44社しかありませんでした。日本の競馬は“ハンパじゃない金額”を動かしているんですね。これだけの売上げがある“一大産業”、みすみす衰退させたらバチが当たるんじゃないですか?

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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