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穴党で立候補します!

  • 2012年12月08日(土) 12時00分
 私は、ハッキリ言って穴党です。まず人気馬を疑ってかかり、「それだったらこの馬でも勝負になるんじゃないの?」というのを見つけ出して馬券を買うタイプ。そのほうが気楽でいいと思っています。

 どういうことかといえば、多くのファンが信頼を寄せる人気馬が勝つのはよくあること。それなりの実績があってのことですからね。でも、そういう馬が負けたときのショックは大きいでしょう? 堅めの馬券を買うときは、ついつい投資額も多くなって、ハズれたときの損害も大きくなりがちです。

 一方、穴馬は「まぁダメでもともと」というくらいの気持ちで買えます。ハイリスクハイリターンではあるものの、軽い気持ちと少ない投資で、当たればけっこう大きな払戻を受けられます。だから、気楽なんです。

「そんな馬、なかなか勝たないだろう」って? おっしゃるとおり。だから、そういう私のためにワイドがあるんです。最近買っている馬券はほとんどワイド。軸の穴馬から10頭くらいに流して、30〜50倍以上の配当を2本当てるのを目標に、チマチマ買っています。もし、その馬が勝っちゃって「馬単を買っておけばよかった」なんていうことがあっても、まったく動じません!(ときどきは悔やんでますけど)

 ところで、人気薄の穴馬に乗って、上位人気の馬を負かして勝った騎手って、上位人気馬の馬券を買っていた大勢のファンにひと泡吹かせたことになるわけですよね。そういうファンに対して「すまないことをした」という気持ちにはならないんでしょうか?

「オレの馬がそんなに人気にならなかったことのほうがおかしい。ファンの目は節穴だな」と言いたい騎手もいるはず。ごくまれに「〇〇を負かしちゃってスミマセン」なんていう勝利インタビューを聞くこともありますが、本当にそう思っているかどうかはビミョーです。

 話はガラッと変わりますが、世の中、衆議院総選挙の真っただ中。今回の選挙は、既成政党に“第三極”と言われる政党が加わって、候補者乱立の状況になりました。選挙制度は小選挙区比例代表並立制。定数は、小選挙区300、比例代表180です。

 候補者がこれほど増えると、小選挙区ではいわゆる“死票”の問題が出てくるかもしれません。例えば5人が立候補している選挙区の得票数がA候補=2万1000票、B候補=1万9000票、C、D、E候補=各2万票だったとすると、A候補が当選になりますが、“死票”は7万9000票にも上ってしまいます。

 それを補うのが比例代表制とは言うものの、小選挙区で“死票”を投じた有権者の思いはどこまで伝わるのでしょうか? 多数決は民主主義の基本ですが、今度の選挙で当選された議員の方々には、負かした相手候補に投票した人がいることもふまえて政治を行っていってほしいと思います。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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