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枠番がすべてを決めるレース!?/朝日杯フューチュリティS

  • 2012年12月12日(水) 18時00分
■朝日杯フューチュリティS(G1・中山芝1600m)フルゲート16頭/登録33頭
【特注必見データ!】 〜コースデータから〜
・中山芝1600m 枠番別成績(16頭立て)
 [全体平均] 勝率6.3% 連対率12.5% 複勝率18.8% 複勝回収率70%
 [1枠〜4枠] 勝率8.1% 連対率15.1% 複勝率21.1% 複勝回収率71%
 [5枠〜8枠] 勝率4.5% 連対率10.0% 複勝率16.4% 複勝回収率68%
 ────────────────────────────────
 [1枠〜2枠] 勝率8.4% 連対率15.9% 複勝率22.6% 複勝回収率76%
 [3枠〜4枠] 勝率7.8% 連対率14.3% 複勝率19.7% 複勝回収率67%
 [5枠〜6枠] 勝率5.6% 連対率10.6% 複勝率17.4% 複勝回収率77%
 [7枠〜8枠] 勝率3.5% 連対率 9.4% 複勝率15.5% 複勝回収率60%
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 [逃げ複勝率] 1枠〜2枠・36.2% 3枠〜6枠・複勝率36.7% 7枠〜8枠・33.3%
 [先行複勝率] 1枠〜2枠・37.3% 3枠〜6枠・複勝率33.2% 7枠〜8枠・25.3%
 [差し複勝率] 1枠〜2枠・25.0% 3枠〜6枠・複勝率19.4% 7枠〜8枠・15.1%
 [追込複勝率] 1枠〜2枠・ 4.2% 3枠〜6枠・複勝率 2.8% 7枠〜8枠・ 7.0%

・中山芝1600m 1000万下〜重賞 枠番別成績(16頭立て)
 [全体平均] 勝率6.4% 連対率12.5% 複勝率18.8% 複勝回収率70%
 [1枠〜2枠] 勝率10.8% 連対率20.3% 複勝率28.4% 複勝回収率80%
 [3枠〜6枠] 勝率6.4% 連対率10.8% 複勝率15.9% 複勝回収率69%
 [7枠〜8枠] 勝率2.0% 連対率8.2% 複勝率15.0% 複勝回収率61%

 中山芝1600mといえば「内枠有利」の代名詞的存在。1コーナー横のポケットからスタートする特殊なコースレイアウトであるため、外枠から思い通りのポジションを取りに行くのは至難の業なのだ。

 まずは、単純に[1枠〜4枠]と[5枠〜8枠]を比較したデータから。連対率ベースで見るとわかりやすいのだが、なんと5%前後という大差が出ている。たかが5%と思うかもしれないが、これは「平均値12.5%」における5%であり、劇的な差といっても過言ではないほど。信頼度に関していえば、間違いなく圧倒的に内枠有利である。

 これは、枠番をさらに細かく区切って見ると、さらによくわかる。枠番が内から外へ行くに従って、各数値がキレイに下り坂となっているのが見てとれるはずだ。とくに7枠〜8枠の成績不振は目立っており、明らかに不利と断言できるほど。ちなみに、集計期間内における「7枠〜8枠の4番人気以下馬」は、のべ487頭が出走して3頭しか勝っていない。

 この「枠番の内外」を最も気にするべきなのが、差し馬。1枠〜2枠に入った差し脚質がトータル複勝率25.0%なのに対して、7枠〜8枠のそれは15.1%と、その差じつに10%! 枠番を問わず好走が期待できる逃げ・先行脚質とは違って、枠番には徹底的にこだわるべきだ。

 そして最後に「特注」といえるデータを。よりシビアな戦いとなる1000万下〜重賞においては、内枠有利がさらに加速。1枠〜2枠が勝率が10.8%、連対率20.3%であるのに対して、7枠〜8枠は勝率2.0% 連対率8.2%と、その格差はさらに拡大する。出走馬すら確定していない段階にもかかわらず、1枠〜2枠というだけで「買い」と言ってしまいたくなる。

【コース基本情報】中山芝1600m Aコース使用
・コース回収率
 [標準] 単勝72%・複勝72% 回収率のわりには超人気薄の激走例多発で要注意

・馬連万馬券出現率
 [高め] 14.6%(平均値△2.6% 馬連平均配当6145円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [内枠有利] 内枠15.9%・中枠12.4%・外枠9.4%

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>>差し>>>追込 上のクラスだと差しは届くが追込は徹底的に不振

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 34.3-23.8-35.5=1.33.6 瞬発力よりも持久力の要求度が高い流れ

 コース全体の回収率はいたって普通だが、馬連平均6145円、馬連万馬券出現率14.6%と波乱傾向アリ。きわめてクセの強いコースなので、こういう結果が出てくるのも当然といえば当然だ。また、圧倒的に先行優勢であるのも前述した通り。1000万下〜重賞ではさすがに差しが届くようになるが、基本的に前有利であるのは変わらない。

 また、レースの流れが前傾であり、そこで問われる適性は、翌年の牡馬クラシックで問われるものとは大きく異なる。「朝日杯はクラシックに繋がらない」などと言われて久しいが、論理的に考えれば当然の話。今からクラシック向きと言われているような馬だと、逆に危なっかしい側面がある。ここで狙うべきは「一流のマイラーに育ちそうな馬」なのだ。

 内枠有利については、特注データの項目で触れた通り。先行勢も差し馬も、内の枠であればあるほど信頼度が高いと考えていい。外枠がプラスに出るとすれば、追い込み脚質の馬くらいのもの。超ハイリスクでオススメはしかねるが、覚悟の上ならば買うのもアリか。

【レース基本情報】朝日杯フューチュリティS(G1) 過去10回
・レース平均配当
 単勝794円 馬連3093円 3連複6655円

・1番人気馬成績
 [2-2-4-2] 連対率40.0%・複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [7-4-5-14] 連対率36.7%・複勝率53.3%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-64] 連対率1.5%・複勝率3.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 13.3% [先行] 36.7% [差し] 36.7% [追込] 13.3%

・枠番別成績
 [1枠] 2-1-4-12 連対率15.8% 複勝率36.8%
 [2枠] 3-2-1-13 連対率26.3% 複勝率31.6%
 [3枠] 1-2-1-16 連対率15.0% 複勝率20.0%
 [4枠] 2-1-2-15 連対率15.0% 複勝率25.0%
 [5枠] 0-1-0-18 連対率 5.3% 複勝率 5.3%
 [6枠] 2-2-1-15 連対率20.0% 複勝率25.0%
 [7枠] 0-0-0-20 連対率 0% 複勝率 0%
 [8枠] 0-1-1-17 連対率 5.3% 複勝率10.5%

・前走クラス別成績
 [新馬・未勝利] 0-0-0-9 連対率0% 複勝率0%
 [500万下] 1-1-2-41 連対率4.4% 複勝率8.9%
 [OP特別] 1-0-2-22 連対率4.0% 複勝率12.0%
 [重賞] 8-9-6-53 連対率22.4% 複勝率30.3%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-5-4-51 連対率12.7% 複勝率19.0%
 [栗東] 7-5-6-74 連対率13.0% 複勝率19.6%

・注目出走パターン
 [買い] 前走重賞1着馬(連対率40.9%、複勝率54.5%)
 [買い] 1枠〜4枠に入った前走2番人気以内馬(複勝率48.4%)
 [全滅] 7枠〜8枠に入った前走2着以下馬
 [消し] 前走1番人気馬をのぞく前走4角10番手以下馬(複勝率2.6%)

 人気薄でこのレースを制したのは、過去10年で02年エイシンチャンプ(8番人気)くらいのもの。また、前走オープン以外からの臨戦で制したのも、昨年の勝ち馬アルフレード1頭である。平均配当を見てもわかるように、そう大きく荒れる傾向にはないレース。そろそろドカン!と来る気がしないでもないが、10番人気馬はトータル[0-1-1-64]で複勝率わずか3.0%。無茶振りはしないほうがよさそうだ。

 コースデータとの相違点となるのが、意外に差しが届いているという点。前半〜中盤で速いラップが刻まれやすいのもあって、中団からでも意外に届いている。しかし、4コーナーを10番手以下で回ってしまうと、さすがに期待薄。最低でも中団を取れることが、このレースを勝ち負けする上での必要条件と言える。

 枠番についてはコースデータ以上に外枠不利で、7枠〜8枠はトータル[0-1-1-37]と大不振。連対を果たせたのは、ハナに行けた上に1番人気馬だった03年のメイショウボーラーだけだ。昨年こそレオアクティブが3着に好走したが、同馬は「京王杯2歳Sを制した追い込み馬」であり、地力と脚質の両面で評価できる対象。高い能力を証明済みで、なおかつ強引にでもハナに行けるような馬でもなければ、手を出しづらい。

 最も信頼できるのは「前走重賞1着馬」で、この条件に該当する登録馬はエーシントップとコディーノ。いずれも人気に推されるのは確実だが、買いか消しかで言えば、やはり「買い」だろう。とはいえ、過剰人気になることも多いのが悩みどころだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週は差し馬優勢。追い込み馬の馬券絡みも意外に多く、外差し要注意。

・天候予測
 土曜日に雨予報も日曜日は曇り〜晴れの見込み。予想は良馬場前提で。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率12.4% 連対率24.8%

・著者の注目血統
 人気のキングカメハメハ産駒、人気のダイワメジャー産駒

 最終的な判断は土曜日待ちだが、先週末の中山は差し馬の活躍が目立っており、差し・追い込み馬に向く馬場バイアスと言えそう。開幕週からその気配は感じていたが、2週目になってより加速した印象を受けた。しかも、朝日杯フューチュリティSは、速いペースで流れる可能性が高いレース。先行勢の総崩れまでは考えにくいが、「差し→差し」決着ならば十分に考えられる状況だ。

 勝利数トップのキングカメハメハ産駒は内容も優秀で、その適性の高さは疑う余地ナシ。また、連対率27.4%、複勝率41.9%という高いアベレージを記録しているダイワメジャー産駒も高評価すべきだろう。いずれも人気サイドでは圧倒的な強さを見せており、この条件に合致しそうなコディーノ、フラムドグロワール、ラブリーデイの3頭はしっかり押さえておきたいところ。伏兵に向きそうな血統馬が見当たらないので、なおさらそう思ってしまう。

★総論×各論
 ここまで読んでいただければおわかりのように、朝日杯フューチュリティS「枠番」の比重がハンパなく大きいレース。プラス材料を多く持ち合わせる馬であっても、8枠に入った瞬間に期待薄となってしまうのだから、その影響たるや相当なものだ。

 ……と前置きしたところで、本題へと入ろう。東京スポーツ杯2歳Sでの好走もあって、ここはコディーノが圧倒的1番人気に推されるのが、ほぼ確実。レコード決着のペースを好位追走からアッサリ抜け出すのだから、センス・能力ともに抜群だ。データ分析の結果は、文句なしの筆頭評価。しかし、スケールがあまりに大きすぎて、朝日杯には向かない適性の持ち主という可能性もありそう。割り引く材料が何もない上にプラス材料はてんこ盛りなのだが、疑う余地は残されている。

 二番手評価はエーシントップで、ここに逆転の期待を託したいところ。前走の京王杯2歳Sはスローの流れに好位で乗っての楽勝だったが、デビューから2戦を前傾ラップで押し切っている。距離が延びていいタイプとは思えず、将来は下手するとスプリンターに育つ可能性もある馬。中山芝マイルで先行力と持久力をフルに生かせば、戴冠も十分にありうる。

 以下も、フラムドグロワール、ラブリーデイと、おおむね人気に即した評価順。ただし、新潟2歳Sの覇者ザラストロと、その2着馬ノウレッジ、デイリー杯2歳Sの勝ち馬テイエムイナズマの3頭は、マイナス材料が見られるため割り引いて考えたい。人気薄では、出走が叶えばカオスモス、ティーハーフの2頭が面白そう。前走8着で一気に人気を落としそうなマイネルエテルネルも、見直す余地がありそうだ。

 いずれにせよ、あとは枠番次第。「中団より前の位置を取れそうな1枠〜2枠」だけは、絶対に忘れず買っていただきたい。

■愛知杯(G3・中京芝2000m)フルゲート18頭/登録23頭
 現在の開催時期となってから今年が5年目で、昨年と一昨年は小倉での開催。中京開催でのレースデータを対象に分析を行っているが、1番人気〜3番人気が上位を独占した06年のようなケースがあれば、16番人気と14番人気で決まった08年のような大波乱もあるという、なかなか傾向の読みづらいレースとなっている。

 とはいえ、最もアテになるのは、やはりエリザベス女王杯組。全体でも非常に高い信頼度なのだが、なかでも「ハンデ54キロ以上の前走エリザベス女王杯組」は連対率30.8%、複勝率53.8%と、とくに信頼できる。今年の該当馬は、アカンサス、オールザットジャズ、ピクシープリンセスの3頭だ。

 斤量を背負う組のほうが信頼できるのは、それ以外のローテで出走する馬にも共通する傾向。斤量56キロ以上を背負った馬は9頭いるが、[3-1-1-4]で連対率44.4%と大活躍している。これに該当する登録馬は、今年はオールザットジャズただ1頭。ローテ面での後押しもあり、ここは期待できる一戦となりそうである。

 人気薄では、騎手の乗り替わりをプラス材料としたい。7番人気以下で馬券に絡んだ馬のうち、継続騎乗だったケースはゼロ。そのすべてが乗り替わりだったのは注目に値する。さらに「前走マイル以下戦出走組」と「前走2000m戦出走組」がほぼ壊滅状態なのも、押さえておきたいポイント。このあたりはコース改修で大きく傾向が変わってくる可能性もあるが、頭に入れておいて損はないデータだ。

 となると、人気薄ではシースナイプラフォルジュルネの2頭が面白そう。出走できれば激走が期待できるプロフィールの持ち主として、名前をあげておきたい。

※コース&血統データは2009年以降、レースデータは2006年以降が集計対象

※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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