■有馬記念(GI・中山芝2500m)フルゲート16頭/登録20頭
【コース基本情報】中山芝2500m Aコース使用
・コース回収率
[やや高め] 単勝71%・複勝69% 6番人気以内馬の期待値がとくに高い
・馬連万馬券出現率
[低め] 6.2%(平均値▼5.8% 馬連平均配当3455円)
・枠番別連対率(16頭立て)
[外枠不利] 内枠18.8%・中枠13.8%・外枠4.2%
・脚質別信頼度
逃げ>先行>差し>>>追込 中山らしく基本的に前有利
・推定ラップ&タイム
[平均] 35.9-80.8-35.1=2.31.8 バラつき大きく流れを読みづらい傾向
中山芝2500mは開催レース数が少なく、過去10年で合計115レース。また、少頭数となることが多く、16頭立てのレースは期間内に12回しか行われていない。つまり、データの母数が少ないため、傾向とは大きく異なる結果が出てもおかしくないということだ。
とはいえ、意外に荒れないコースであるのは間違いなさそう。有馬記念というとけっこう荒れているイメージなのだが、当コースにおける馬連平均配当は3455円で、馬連万馬券の出現率も平均値を大きく割り込んでいる。これは、6番人気以内馬がトータル連対率30.0%、複勝率42.3%と高信頼度であるのが要因。7番人気以下馬になると、連対率3.2%、複勝率7.5%と、信頼度ガタ落ちなのである。
続いて枠番についてだが、トリッキーな中山らしく圧倒的に内枠優勢。16頭立てに限定したデータではかなり極端な結果が出たが、全データを対象として分析しても、結果は同じ。外枠、とくに8枠に入った馬については、大幅な割引が必要となる。
どういう流れになるか読みづらいレースだが、超スローで記録的なほどの上がり勝負となった昨年は、きわめて異例。「序盤から上がりまで一貫してそれなりに速い」というのが有馬記念の王道であり、末脚一辺倒の馬ではそうそう勝ち負けできない。前有利な中山コースでもあり、ある程度の器用さが欲しいところだ。
【レース基本情報】有馬記念(GI) 過去10回
・レース平均配当
単勝961円 馬連7532円 3連複3万6119円
・1番人気馬成績
[5-3-0-2] 勝率50.0% 連対率80.0%・複勝率80.0%
・3番人気以内馬成績
[8-4-2-16] 勝率26.7% 連対率40.0%・複勝率46.7%
・10番人気以下馬成績
[0-2-3-49] 連対率3.7%・複勝率9.3%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 10.0% [先行] 50.0% [差し] 40.0% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 10.0% [先行] 50.0% [差し] 33.3% [追込] 6.7%
・年齢別成績
[3歳馬] 3-4-2-31 連対率17.5% 複勝率22.5%
[4歳馬] 6-2-2-22 連対率25.0% 複勝率31.3%
[5歳馬] 1-2-3-27 連対率9.1% 複勝率18.2%
[6歳馬] 0-0-1-22 連対率0% 複勝率4.3%
[7歳以上馬] 0-2-2-12 連対率12.5% 複勝率25.0%
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[4歳以下馬] 9-6-4-53 連対率20.8% 複勝率26.4%
[5歳以上馬] 1-4-6-61 連対率 6.9% 複勝率15.3%
・枠番別成績
[1枠] 3-2-0-9 連対率21.4% 複勝率35.7%
[2枠] 1-0-3-11 連対率 6.7% 複勝率26.7%
[3枠] 1-2-1-13 連対率17.6% 複勝率23.5%
[4枠] 0-3-3-13 連対率15.8% 複勝率31.6%
[5枠] 2-2-1-14 連対率21.1% 複勝率26.3%
[6枠] 1-0-1-18 連対率 5.0% 複勝率10.0%
[7枠] 0-0-1-19 連対率 0% 複勝率 5.0%
[8枠] 2-1-0-17 連対率15.0% 複勝率15.0%
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[1枠〜4枠] 5-7-7-46 連対率18.5% 複勝率29.2%
[5枠〜8枠] 5-3-3-68 連対率10.0% 複勝率13.9%
・厩舎所属別成績
[美浦] 4-0-6-28 連対率10.5% 複勝率26.3%
[栗東] 6-10-4-80 連対率16.0% 複勝率20.0%
・主要ステップ
[ジャパンC] 6-3-3-56 連対率13.2% 複勝率17.6%
[天皇賞・秋] 3-0-2-5 連対率30.0% 複勝率50.0%
[菊花賞] 1-2-1-6 連対率30.0% 複勝率40.0%
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[前走GI] 10-7-8-76 連対率16.8% 複勝率24.8%
[前走G2] 0-0-0-19 連対率 0% 複勝率 0%
[前走G3] 0-1-1-12 連対率 7.1% 複勝率14.3%
・注目出走パターン
[絶好] 前走菊花賞で4番人気以内かつ4着以内(複勝率80.0%)
[買い] 外国人ジョッキー騎乗馬(複勝率37.0%)
[買い] 前走上がり順位3位以内の4歳以下(複勝率33.3%)
[買い] 前走JCで2番人気以内かつ3着以内(勝率50.0%)
[不振] 日本人ジョッキー騎乗の前走GI以外出走馬(連対率5.9%)
[不振] 前走JCで4角10番手以下かつ3着以下(連対率4.8%)
[不振] 前走JCで4着以下、かつ人気>着順(複勝率8.0%)
コースデータよりも格段に荒れるレースなのは間違いなし。単勝平均こそ961円と控え目だが、馬連万馬券3回、3連複万馬券5回とかなりの波乱傾向。1着馬に関してはかなり堅いのだが、ヒモは「紛れて当たり前」くらいの勢いだ。
目立っているのが、年齢別成績と枠番別成績。まずは年齢別だが、連対馬20頭のうちじつに15頭までが4歳以下馬。4歳以下馬と5歳以上馬で、連対率にして3倍以上という大差が出ている。また枠番については、コースデータと同様に内枠が完全に優勢。1枠〜4枠の複勝率が29.2%であるのに対して、5枠〜8枠のそれは13.9%と、半分以下の数値。外枠に入ってしまうと、よほどの実力馬でなければキツい。
あとは、意外に前走ジャパンC組がアテにならないのも、有馬記念の大きな特徴。出走数が多いというのもあるが、それでも[6-3-3-56]で複勝率17.6%というのは、もの足りない数値。天皇賞(秋)からのローテが複勝率50.0%と超優秀であるのや、菊花賞好走組の強さと比較すると、余計にそう感じてしまう。前走JC組をどう扱うかが、勝負を分けるカギとなりそうである。
また、外国人ジョッキーの騎乗馬が非常に強いこと、休養明け3戦目〜4戦目となる馬が圧倒的優勢であることなども、押さえておきたいポイント。ふるいにかける材料には事欠かないレースなので、しっかり吟味した上で予想に臨みたいところだ。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
先々週よりは前が残る印象もやはり差せる。ペース次第では前崩れもあるか。
・天候予測
土曜日の降水確率高く水分を含んだ馬場となりそう。稍重前提くらいがいいか。
・勝利数トップ種牡馬
ステイゴールド 勝率22.6% 連対率32.3%
・著者の注目血統
データ母数が少ないコースであるため該当なし。
気になるのがお天気で、現在のところ土曜日の降水確率が高め。雪の有馬記念となる懸念はなさそうだが、それでも含水率の高い馬場となる可能性はある。また、今開催の中山はもともと芝の生育状況が芳しくなかった印象。荒れてきた馬場に降雨となると、かなりキレが殺される状況になることも考えられる。
血統についてはデータ母数の少なさから何とも言えない部分はあるが、Kingmambo系に向くコースなのは間違いなし。アメリカンボスやトゥザグローリーの激走が示すように、その適性は非常に高い。ただし、1着ではなく2着〜3着のヒモに来ることが多いので、アタマ固定での馬券はけっこう危険。ステイゴールドやゼンノロブロイといったサンデー系のほうが、1着には買いやすい。
★総論×各論
オルフェーヴルとジェンティルドンナが出走しないことで、一気に混沌とした今年の有馬記念。雰囲気はかなり波乱含みだが、データ分析の結果は、トップ評価がゴールドシップで次点がルーラーシップという、じつに順当かつ面白味に欠けるものとなった。
とはいえ、「まくり脚質」のゴールドシップが中山向きといえば、さにあらず。皐月賞馬ではあるが、あのレースをもって中山適性の証明とするのは無理がある。またルーラーシップも「出遅れ癖」という非常に大きな難点を抱えており、今回の中山替わりがプラスに働くとは考えづらい馬。買うべきなのは事実だが、盲信していいワケではない。
また、有馬記念が非常にヒモ荒れの多いレースだというのも、この二強決着を素直に信じづらい要因。それに、09年や10年のようにキッチリ決まったケースもあるが、1番人気と2番人気が並び立たなかった年のほうが圧倒的に多いのだ。せっかくのドリームレースなのだから、個人的にはそちらに賭けたい。
というわけで夢を託すラインナップだが、上記2頭に次ぐ評価となったのがナカヤマナイトとダークシャドウの2頭。ここをかなり厚めに狙い、あとはエイシンフラッシュ、オーシャンブルー、ダイワファルコン、ビートブラックまでを押さえ評価とした。
危険な人気馬となる可能性があるのはルルーシュ。好内容でアルゼンチン共和国杯を制したとはいえ、データ面でプラスと言えるのは脚質と4歳馬である点くらいのもので、臨戦過程など割引材料のほうが目立っている。また、穴人気しそうな菊花賞の2着馬スカイディグニティも、過剰に評価するのは禁物だ。
■ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII・阪神芝2000m)フルゲート16頭/登録17頭
キャリアの浅い2歳馬によるレースだけに難しい側面はあるが、まずはレースデータから「前走4コーナー通過順位」を使って出走馬をふるいにかけたい。前走で直線一気を決めているような馬が人気になるレースだが、じつは前走で4コーナーを「7番手以下」で通過していた馬は、トータル[1-1-2-33]で連対率5.4%ときわめて危険なのだ。
中でもアテにならないのが、前走重賞以外で「4コーナー7番手以下」だった馬。こちらは過去10年の連対例ゼロで、複勝率も6.7%と低空飛行。たとえ人気馬であっても、積極的に消して勝負するべきパターンだと言える。
あとは順当に、前走が3番人気以内で、なおかつ2着以内であること。前走での上がり3ハロン順位が3番手以内であること。キャリア2戦〜4戦の馬であることなどが、ここでの勝ち負けに要求される必要条件。これらすべてを満たすのは、エピファネイアとラウンドワールドの2頭だけである。
人気の一角となりそうなキズナは、前走が「重賞以外で4コーナー7番手以下」であるのが大幅割引の対象。ここを狙うなら、キャリア1戦ながら人気薄となりそうなアドマイヤオウジャ、タガノトネールのほうが魅力的だろう。
■阪神C(GII・阪神芝1400m)フルゲート18頭/登録36頭
毎年のように10番人気以下馬が馬券に絡み、数ある重賞のなかでも有数の波乱度となっている阪神カップ。今年も大挙36頭が登録しており、フルゲートでのアツいレースが楽しめそうだ。
GIから臨戦する馬が多いハイレベルな一戦だけあって、前走で重賞以外に出走しているような馬は期待薄。やはり、前走GI出走組が最もアテになる。とはいえ、前走マイルCS組はトータル[2-4-2-23]で勝率6.5%、連対率19.4%といった程度の信頼度であり、過信は禁物。マイルCSでひとケタ人気に推されていたような実力馬であっても、意外にアテにならないと思っておいたほうがいい。
特徴的なのが決まり手。後方からの差し&追い込みがバンバン決まっており、4コーナーを4番手以内で通過した馬は[1-1-1-29]と大苦戦している。前走でも差し〜追い込んでレースをしていた馬のほうが期待できる上に、それが10着以下の大敗であってもとくに気にする必要はないという、かなり珍しい傾向にあるレースなのである。
あとは、GIと芝1400m戦における好走実績も重要。こういった要素を満たす登録馬は、サンカルロ、フィフスペトル、マルセリーナ、レオアクティブの4頭だ。あとは、クラレント、サウンドオブハートも押さえておきたいところ。逆に、人気になりそうなアドマイヤセプター、ファイナルフォームの2頭はマイナス材料が目立っているため、割り引いて考えたい。
※コース&レースデータは2002年以降、血統データは2009年以降が集計対象
※注 特定の種牡馬成績を用いて、そのコースで要求されるものが「軽さ」や「瞬発力」なのか、それとも「重さ」や「持久力」であるのかを筆者がポイント化したもの。50を中央値として、低い数値になればなるほど持久力寄りの、高い数値になればなるほど瞬発力寄りのコースとなる。