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ゴールドシップの封じ手と2頭逃げマジック

  • 2012年12月20日(木) 12時00分
まずは今年の有馬記念を自分なりに、あくまでも自分の極小な小宇宙(コスモ)なりで、捉えてみる。

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1番人気が非社台系になると、
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おそらく1番人気は非社台系のゴールドシップ。
非社台系が1番人気になるのはメイショウサムソン以来だから、5年ぶり。
この10年で非社台系が1番人気になったのは3回。
成績[1-0-0-2]
これをどう取るか?

ちなみに社台系1番人気馬の成績は
[4-3-0-0]
パーフェクト連対。

1番人気で出る以上はその期待に応える。応えられそうになければ、最初から回避する?
オルフェーヴル回避もどこかに不安があったからか?
すべてはお客様の旨いのために! さすが社台系! やっほー!

(つまり社台系のルーラーシップが1番人気になったら連軸鉄板! 出遅れ癖や中山非適性?等の心配事のハードルを超えて、それでも1番人気になったら、それはそれで素直に従う必要ありとも言える。自分は素直には従うタイプじゃないから、もちろんゴールドシップの1番人気にエールを贈る! がんばれー! ゴールドシップゥ〜!)

非社台系[1-0-0-2]
社台系[4-3-0-0]

並べてみるとはっきりくっきりする。
っていうか十分だ!
非社台系の馬すべてが人気に応えられないわけではない。
けれど、社台系の馬の1番人気に比べれば、スキが生まれるのは間違いない。
つまり今年の有馬記念は1番人気が圏外に敗れると想像しても良い可能性大! やったー!

とは叫んでみたものの、少し乱暴か?
もうちょっと踏んでみる。

非社台系1番人気馬の成績
02年ファインモーション(3歳牝) 5着 位置2-1-2-2
03年シンボリクリスエス(4歳牡) 1着 位置6-6-5-2
07年メイショウサムソン(4歳牡) 8着 位置11-11-11-11

そのときの勝ち馬は
02年シンボリクリスエス(3歳牡) 2人気 6-6-6-6
03年シンボリクリスエス(4歳牡) 1人気 6-6-5-2
07年マツリダゴッホ(4歳牡) 9人気 3-3-3-2

有馬記念の勝ち馬って、すべて4角を10番手以内で回っている。
それを思うと、負けた非社台の1番人気馬の脚質は、このレースにおいてはちょっと極端だったとも言える。

ファインモーションはタップダンスシチーに絡まれて、番手ー逃げー番手ー番手という戦法を余儀なくされた。
メイショウサムソンは負けパターンの4角11番手。
一方、勝ったシンボリクリスエスはペリエの安定先行走法。

社台系、非社台系に関わらず極端な戦法では負けるリスクが高まる。
1番人気だとそのリスクはグンっと高まる。

ゴールドシップは極端か極端じゃないかと問われれば、直近の走りからは極端系。
マクリ=極端=心配指数上昇
踏み込んでみたけど、やっぱりゴールドシップの1番人気のリスクは高い!
やったー!
やっぱり1番人気、危うしだ!

マクリで1着といえばドリジャニ、オルフェーヴル。
どちらも父ステイゴールド馬でマクリで有馬記念をぶっこ抜いた馬だった。

ゴールドシップも同じステイゴールド。
こと有馬記念では、ことステイゴールド産ならば、マクリは極端ではなくもっとも正常な戦法にも思える。

しかし、ドリジャニ、オルフェのレースはどちらもマクる環境の整ったレースだったようにも思える。

ドリジャニは15-15-14-8で1着した。
ぶん回してるイメージもあるけど、馬群は最終3〜4角で凝縮され、マクリやすいレースでもあった。

ーーーレースはリーチザクラウンが逃げて、1番人気ブエナビスタが先行(5-6-4-3)し、3角に入る頃にはリーチザクラウンは捕まって、馬群もギュっと凝縮されて、最終コーナーを回った。ブエナビスタが前にいたから凝縮も早まったのかもしれない。

オルフェーヴルは12-10-8-5で1着した。こう書くと中団からのプチ・マクリに思えるけど、13頭立てだったことを考えると後方からマクったともいえる。
レースはアーネストリーがスローで逃げて、馬群は終始つまっていた。これまたマクる環境が整っていたともいえる。

ペースが速かろうが遅かろうがマクりを上手く決めるには馬群が詰まる必要はないか?
少なくとも3角〜4角でギュギュっと詰まったほうがマクりやすくないか? と言いたいわけだ。
(デムーロ・アプローチの応用)

ゴールドシップは
菊花賞を17-17-4-2で1着した。
メチャクチャぶん回してるように見える。

でもレースそのものは意外に凝縮していた。
ビービージャパンはぜんぜん離して逃げていなかった。
つまり菊花賞もマクる環境は整っていたとも言えるわけだ。

では今年の有馬記念はどうなんだろう?
もはや書くまでもない。みなさんご承知のとおりだ!!

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今年はマクるには良い環境が生まれない可能性もある。
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今年の有馬記念が面白いのは1番人気が非社台系なだけでなく、
レースを引っ張る馬も非社台系の可能性が高いこと(ここはあくまで可能性。枠によっては捨て身の攻撃を仕掛ける馬がいないとはいえない)。

今年はノースヒルズ勢が3頭で有馬記念に挑む。
アーネストリー・ビートブラック・トレイルブレイザー。
しかも3頭みな先行が得意な馬ばかり。
巷では去年、ゆっくり飛ばして失敗したアーネストリーが今年も逃げる可能性を示唆している。
もしそうなら、今年はもっと飛ばして逃げるのではないか?
で、番手をビートブラック、3番手にトレイルブレイザーがつけると………

アーネストリー====ビートブラック==トレイルブレイザー=その他いっぱい

こんな隊列になって、

途中で
アーネストリー=ビートブラック=====トレイルブレイザー=その他いっぱい

こんなふうになって、
3角手前くらいで
ビートブラック==アーネストリー=========トレイルブレイザー=その他いっぱい

こんな感じになったらどうなんだろう。
それは、中山2500で天皇賞3200を再現する競馬だったりもする。

正直、バレバレだ。
させねーぞ! とばかりに社台Fのダイワファルコン、ルルーシュあたりが2番手、3番手を取りにくる可能性も十分ある。
十分にあるけど、一方で、後方にいそうなゴールドシップ、と同時に出遅れるかもしれないルーラーシップの末脚をも封じ込めれる可能性もあるわけで、バレバレだけど、そのまま進む可能性もある。

3角回ってもまだ縦長。
そうなったらマクるのはけっこう至難だ。

今年の天皇賞春もそれを証明している。
クィーンスプマンテ=テイエムプリキュアで決まったエリザベス女王杯でもそれを証明している。

とはいえ、上記の展開だとやっぱりバレバレ。
っていうか、おそらく成功しないはず。

ただちょっとした魔法のようなものもある。実はそこをお楽しみにしている。

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GIで逃げが決まるマジック
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まずは今年の天皇賞春を思い出してみる。

ビートブラックは逃げてない。位置は2-2-1-1だ。
逃げたのはゴールデンハインド。位置は1-1-2-2。

で、レースは
ゴールデン=ビート===========その他いっぱい。
最初は2頭でやりあってるようにも思えた。
でも気がつくと2頭で引き離していた。

エリザベス女王杯を思い出してみる。
逃げたのはクィーンスプマンテ 1-1-1-1。
番手はテイエムプリキュア 2-2-2-2。

で、レースは
クィーン=テイエム===========その他いっぱい。
これまた最初は2頭でやりあってるようにも思えた。
でも気がつくと2頭で引き離していた。

メジロパーマーのだいたい逃げた有馬記念を思い出してみる。
そうメジロパーマーは完全に逃げたわけではなかった。
メジロパーマー 1-1-2-1
ダイタクヘリオス 2-2-1-2

で、レースは
メジロ=ダイタク============その他いっぱい。
これまた最初は2頭でやりあってるようにも思えた。
でも気がつくと2頭で引き離していた。

時に、GIでは単騎逃げよりも、2頭逃げの方が展開の魔法がかかりやすいのかもしれない!!?

うむ。あるね。確実にある。

2頭逃げには確実にファンタジーが潜んでいる!

1頭の逃げだと危険を察知しやすくても、
2頭での逃げだと「やりあってる=潰し合い」みたいに映って、少し安心してしまうのかも!!?

で、思うわけですよ。
アーネストリーとビートブラックが2頭でやり合うように逃げたらどうだろうって。

っていうか、やって! 見たい! 飛び切り果敢なのを見たい!

可能性はアーネストリーの逃げ宣言にある。
これがビートブラックだったらちょっと違う。単騎逃げになってしまうかもしれないからだ(ビートは逃げて連対したこともない。あくまでも途中まで先行で好走するタイプ)。
アーネストリーでなくてもいい。
とにかくビートブラック以外の馬が「果敢に」逃げれば、成立する可能性はある。
そこを「させねーぞ!」とばかりにビートブラックが突っつく展開。
で、気がつけば2頭で他馬を大きく引き離す。

メジロパーマーは宝塚記念を9人気で逃げ切って、暮れに有馬記念を15人気でほぼ逃げ切った。
バレバレでも逃げ切れたのは、おそらく2頭逃げが迷彩になったはず。
ビートブラックはパーマーほどは消えてないけど(水曜予想で10番人気)、パーマーだって1年で2回逃げ切れた。バレバレでも逃げ切れた。ビートブラックにもう1回があっても驚けない。

そのためのアーネストリー。ノースヒルズ軍団。

もし、こんな具合に2頭逃げが成立すれば、同時に縦長にもなって、マクりにくい環境も生まれることになる。
一石二鳥。やったー!!

とはいえ、神戸新聞杯を1番人気で1着する馬は強い。
シンボリクリスエスは、その年の天皇賞秋1着→JC3着→有馬1着
ディープインパクトは菊花賞1着→有馬2着
ディープスカイは天皇賞秋3着→JC2着
オルフェーヴルは菊花賞1着→有馬1着
ゴールドシップは菊花賞1着→有馬?
該当馬はみんな、その年、大活躍。

ゴールドシップ内田博がアーネストリーもしくはビートブラックの大逃げを想定しないはずなし(2頭逃げはなくても、大逃げは想定するはず)。
そうなりそうだったら、なんらかの手は打ってきそう。少なくとも中団にはつけてくるか。
だとしても、早く動くのにも限界はある。ルーラーシップの位置も気になるだろうし。

そのギリギリのところはどこか。
最高に強くて2着! それがゴールドシップへの自分なりの敬意。

週の真ん中水曜日〜木曜日。
なんだか恥ずかしいくらいに良い入口にいる気がする。羞恥心いっぱいの有馬の入口。うは。
でもしょうがない。そういうせめぎ合いが見たいと思ちゃったんだから致し方ない。

今年の有馬記念のファンタジーは「ビートブラックをめぐる2頭逃げ」VS「1番人気(理想はゴールドシップ)」としてみた。正直、ビートブラックの超先行に触れるのには、まだ勇気がいる。ダメだったときに恥ずかしいからだ。でもそれゆえに期待しがいもある。

今週末の「netkeiba.com×競馬王コラボの二点勝負」は自分が担当することになってるけど、はたして週末自分はどこにいるのだろう。

有馬記念をコントロールするためのその他の事項
1.赤の層(単10倍未満)の馬は1頭は3着以内に入る
2.外国人騎手が4人以上騎乗していたら、1人は3着以内に入る
3.荒れるときは単オッズ30倍以上の奥の層からやって来る。ときには奥秩父の層からもやって来る。今のところ5年連続で奥〜奥秩父から1頭食い込み中。
4.穴は先行する外国人、追い込むジャパニーズ
5.トゥザグローリーは現在2年連続で3着だけど、ルーラーシップは現在2戦つづけて3着。どっちかが3着するという見立てもありっちゃーあり。
6.ダンスインザダーク産は最高で4着。ツルマルボーイもダイタクバートラムもフォゲッタブルも4着。ダークシャドウも4着したら、いよいよ4着指定席だ。
7.前を捕え切れずの負けはあっても、差されての負けのないゴールドシップとルーラーシップ。そういう2頭が闘ったら、前にいるほうが先着するに決まってる。ゴールドシップ、ルーラーシップはどこに位置取れそうか?

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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