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ディープ産の庭で探すちゃっかりホース

  • 2013年01月31日(木) 12時00分
安藤勝己騎手は昨日の会見でビリーヴやキングカメハメハやダイワスカーレットを思い出の馬として上げていたけれど、自分にとって、アンカツと言えば断然ダイワメジャーだった。
皐月賞をデムーロで勝って以後、正直物足りなさしかなかったダイワメジャーを再びGIホースへと導いた手腕と、「馬(メジャー)を怒らせながら乗った」(『安藤勝己の頭脳』著・亀谷敬正より)という騎乗論にもちょっとした衝撃をうけた。
結局、ダイワメジャーをGIで馬券圏内に導いた騎手はMデムーロとルメールとアンカツしかいなかった。世界基準で見ても、アンカツは日本が誇れる騎手だったのではないか? と改めて思った。

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きさらぎ賞

(今さらながら)ディープインパクト産の登場で京都1800と阪神1800はひじょうに重宝されてる気がする。

牡馬のディープ産を授かることはすなわち、春のGI出走を目指すことでもあり、そこにたどり着くためのスタートとして、角2の京都・阪神1800はちょーどいいのではないか。
1600ではちょっと忙しい。1800ならば万が一出遅れても立て直す猶予も少しはある。
まずはコーナー4つよりも2つのほうが競馬を教えるのに都合もいい。向こう正面で折り合わせて、コーナーを上手に回らせ、最後は持ち前の末脚でドカン! そして順当に1勝。理想だろう。

東京仕様にできれば春は、ダービー2400だけでなく、NHKマイルC1600、場合によっては安田記念1600まで回せる。
そういう意味でも距離1800からの始まりは魅力的なのではないか?

他の種牡馬産だって、本来は目指すところは同じはずで、「ディープ産=京都18・阪神18」だけにスポットを当てるのもどうかと思うけど、実際、ディープ産が勝ちまくってるのを目の当たりにすると、京都18・阪神18はディープインパクト・コースだと認定したくなる。

そんなディープ産にとって、今週の京都18のきさらぎ賞はGI出走の賞金を加算させるのに最高の舞台なのではないか?
東京を経験させるということでは来週の共同通信杯もコーナー2.5(もしくは3)で、この時期の馬には魅力的かもしれない。実際、去年のディープブリランテは東京にこだわって(東スポ杯1着・共同通信杯2着)、最後にダービーをもぎ取った。

ただディープ産は牡馬にしては小さい馬も多く、そうそう輸送もしたくないはず。(ディープブリランテは490以上あった)。

小さめのディープ産はきさらぎ賞、大きめのディープ産は共同通信杯。
そんな使い分けもあるかもしれない。

ちなみに過去のきさらぎ賞で馬券圏内に入ったディープ産を見てもデラックスではない馬が幅を利かせてることがわかる。

11年
1着トーセンラー、432、小ぶり!
12年
1着ワールドエース、454、小ぶり!
2着ヒストリカル、436、小ぶり!
3着ベールドインパクト、490、デラックス!

てなことを念頭に今年のきさらぎ賞の登録メンバーからディープ産を眺めてみる。
きさらぎ賞はこの時期の牡馬の3歳重賞・3歳オープンレース同様に出走頭数が少なければ少ないほど、社台系の人気馬が勝ち負けしてくる。そんなことも念頭に登録メンバーを眺めてみる。

登録数12頭。
おっと、少ない! 

社台系は4頭。お手頃だ。(少ないほどいい)
ガイヤースヴェルト:ノーザンF生産、サンデーR
マズルファイヤー:ノーザンF生産、キャロット
ラストインパクト:白老F生産、シルク(ノーザンF系)
リグヴェーダ:追分F生産、社台RH(社台F系)

ディープ産は3頭登録。これまた少ない。
インパラトール:非系、500(前走馬体重)
ラストインパクト:白老F生産、シルク(ノーザンF系)、498
リグヴェーダ:追分F生産 社台RH(社台F系)、448

ディープ産の社台系は2頭のみ。
少ない! これまたむしろ合格!
リグヴェーダとラストインパクト。

決まった! 社台が頭数を絞ってくるとは、これすなわち社台の精鋭という証だ(もしくはどうしても賞金を加算させたい馬とも言える)。他の有力馬は、きっと別レースに回す算段だ。
だとすると、勝つのはノーザン系のラストインパクトか社台系で1億円馬のリグヴェーダのどっちかだ!

小さい方が幅を利かせるのだから、勝つのは前走448と小さいリグヴェーダ!
そうに決まってる!

やったー! カンタンだ!

とはいえ少しだけ、本当に少しだけ気になることもある。

きさらぎ賞は過去10年で前走が新馬だった馬は1頭しか馬券圏内に来てない。
前走未勝利は来るけど、前走新馬は来ない。
来たのは04年のハーツクライ1頭。それも3着。

ハーツクライはその後頑張って、ダービー2着にまで上り詰めた。
逆にいえば「前走新馬」できさらぎ賞の馬券になる馬の未来は明るいとも言える。
だからリグヴェーダへの興味は尽きない。尽きないけれど、1人気になるなら馬券的興味はサゲたくなる。

(強い馬は強い!同世代対決のこの時期ならなおさらだ! 人気など関係ない!!)

まったくその通りでございます。

まったくその通りと認識しつつ、
ならばノーザン系のディープ・ラストインパクト。

いつものようにそちらの方へ足を向ける私であった。うは!「私」とか書いてしまった!

とにかく、ならばラストインパクト。
決まった!
やったー! 今度こそカンタンだ!

とはいえ少しだけ,本当に少しだけ気になることもある。
騎手が川田じゃないのだ。
新馬・川田1着
エリカ賞・野元2着
今走・池添

エリカ賞の野元騎乗は、引退して松田博厩舎で調教助手になる野元騎手へのはなむけ騎乗だったはず。
ならば、今回は川田騎手に戻ってもおかしくなはい。
しかし川田騎手はもう1頭のディープ産、非系のディープ産インパラトールに騎乗する。

ムムム……!!
ここをなんととる!?

ここをただ強いからととる!!
さすれば答えもカンタンだ!!

強いという理由なくして、非系のディープ産に騎乗する理由はない!
社台という括りではなく、ディープ産という括りで考えればいいのだ!
決まった!
今年のきさらぎ賞はインパラトールが勝つ。勝つに決まってる!

それはさておき、幸騎手が好調だ!

今年の成績は5-4-14-70

3着リーディング!

今年も独自の路線を突き進んでいる!
幸騎手といえば、最近では騎乗数の多さで脚光を浴びることが多いけれど、
3着も多い騎手だ。

通産成績も(977-1094-1146-10518)と3着が多い。
直近の3年を見てもそうだ。去年は2着回数が3着回数より1つ多かったけど、直近3年で見れば、3着が1番多い。

2012年:75-82-81-843
2011年:55-69-80-728
2010年:60-77-89-782

重賞もそうだ。3着が多い。

2012年:1-2-5-33
2011年:2-1-3-36
2010年:3-2-5-35

で、今年は前記したように3着が抜けて多い。
2013年:5-4-14-70
重賞:0-0-1-5

ちなみに重賞3着の中身もなかなかに濃い。

2012年の3着時の人気
11人気3着(プレミアムブルー・通過2-2)
7人気3着(コスモセンサー・通過4-3)
5人気3着(ホッコータルマエ・通過2-3-3-2)
9人気3着(ホッコータルマエ・通過2-2-2-2)
13人気3着(タカノエルシコ・通過14-11)

去年3着した重賞は、すべて人気以上で、位置取りも先行してのものが多い。

その幸騎手がきさらぎ賞ではクラウンレガーロに騎乗する。

クラウンレガーロ年・成績1-2-0-1
父グラスワンダー、母父エンドスウィープ
小倉2歳、芝1200、2着
デイリー杯2歳、芝16、2着
幸騎手が騎乗して[1-1-0-1]
まだ3着はない。

幸騎手が騎乗して、上手く先行できた2回は1着(新馬)、2着(デイリー杯)した。
着外に敗れた朝日杯FSの位置は2-4-8-7だったけど、VTRを見れば、まずは逃げていたことがわかる。
1コーナーを回るくらいまでは逃げていたけど、外から何頭かに塊で来られて、サゲたように見える。
だから正確には、通過順は1-2-4-8-7だと思う。
最後の直線も内で思うように追えなかったように映る。
着順は9着とよろしくないけど、着差は0.7。しかも3着〜9着はわりとダンゴで、着順ほど惨敗の印象はない。

むしろ朝日杯FSでは一番割りを食った馬とも言える。

ゆえに、そんな幸騎手騎乗のクラウンレガーロが“それはさておき”気になっている。

今回は前走の朝日杯FSのような先行激化も考えにくく、上手く先手が奪えれば、いい線狙えるのではないか?
(先行勢はそれなりに揃っているとは思う。けれど朝日杯のような激しさにある先手の奪い合いはないように思える。たとえペースが速くなったとしてもスムージーな速さではないか?)

ディープインパクト産が折り合い重視で走ってきたら、ペースはスローでなくても、レースは落ち着くのではないか。

2年前8人気でちゃっかり2着したリキサンマックスのような、
4年前10人気でちゃっかり3着したエンブリオのような、
7年前7人気でちゃっかり3着したマイネルスケルツィのような、
そんなちゃっかりに期待できないか?

そういえばエンブリオもマイネルスケルツィもクラウンレガーロと同じグラスワンダー産だ。
騎手だけでなく、馬もきさらぎ賞で3着にゆかりがある。
これは頼もしい!
ちゃっかり指数アップ!

ディープインパクト産についていえば、現在来日している外国人騎手が騎乗しないのも気になる。
ビュイックやマクドノーは東京新聞杯のディープ産に騎乗する。
騎乗停止中のベリーは本来ならばこれまたディープ産のフレールジャックに騎乗していたはず。
(今週から騎乗のブノワは別)

マウントシャスタ(ビュイック)もリアルインパクト(マクドノー)もフレールジャック(ベリー予定?)もみなノーザンF生産のディープ産。つまりノーザンFはきさらぎ賞のディープ産よりも、東京新聞杯のディープ産を重視してるかのようにも見える。

(3歳戦は外国人騎手の力など借りずともなんとかなるという見立てもあるけれど…)、前記したように社台系のディープ産2頭(ラストインパクト&リグヴェーダ)の乗り替りも気になるところで、今年は前2年とは違って、大いにつけ入るスキもあるのではないか? 

社台系で言うならばノーザンFの騎手未定のマズルファイヤーやガイヤースヴェルトも気になっている。この2頭はもしかしたら回避の可能性も大きいけど、もし出走してきたら、それなりのデキの可能性もある。

というわけで、きさらぎ賞はディープ産にそれなりの敬意を払いつつも、特に新馬1戦1勝のみで出走してきそうなリグヴェーダと社台系ではなく非系のディープ産に騎乗してくる川田騎手の動向に注目しつつも、ちょっとした伏兵のちゃっかりにも期待している。

とりわけ3着名人騎乗のきさらぎ賞3着系ホース(グラスワンダー産)クラウンレガーロからは目が離せない。

3着といえば東京新聞杯にも東京3着名人(名馬)と思しきヒットジャポットが登録している。
この馬は去年の東京新聞杯3着で、去年の富士Sも3着した、東京マイル[1-0-2-0]の馬。
だから出走できるならば当然注目したいけれど、出走順位は22位。
ちょっと足りないか?

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きさらぎ賞・ちゃっかり系期待馬
クラウンレガーロ
マズルファイヤー(出走すれば)
敬意・ディープインパクト産(特に川田騎乗馬)

東京新聞杯注目馬
4歳マウントシャスタ(新設レースのリゲルS最先着馬だから)
4歳クラレント(阪神C5着がちょーどよさげだから)

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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