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マンボネフューとタツノリネフュー

  • 2013年02月07日(木) 12時00分
馬名ってちょっとした自己紹介だと思うのですよ。
そこには血統のヒントがまぶされていたり、強さや華麗さやユニークさといった願いが込められていたりする。そしてその馬名を通して、周囲はその馬の情報とオーナーの願望、ときにはオーナーのキャラクターをも享受していく。

たとえば、

共同通信杯に登録の、
マイネルマエストロ(父ブライアンズタイム、母ウエスタンシャープ、母父サンデーサイレンス)
マイネルの世代No.1募集価格の馬。

マイネル(冠)+マエストロ(指揮者)

世代最高価格の風格が感じられる馬名。
ここ2戦先頭に立つ競馬をしてるのも指揮者というネーミングを意識してのことか?
(単なる偶然でしょう。けど、マイネルの馬は逃げ・先行で頭角を現す馬が多いから、偶然でも確率の高い偶然とは言える?)

ではマンボネフューはどうか?

実はこっちのほうが気になってしょうがない。新聞等でもチラホラ書かれてるから、マンボネヒューの馬名由来が「キングマンボの甥(ネヒュー)」ということはすっかりお馴染みかもしれない。

だからすごい! だから世界的名血!
となるわけだけど、
だから凄いのは
父バゴ、母セカンドハピネス、母父ストームキャットという血統から、
キングマンボの甥と名付けたセンスではないか?
(キングマンボはセカンドハピネスの母ミエスクの子供。つまり母の異父・兄がキングマンボ)

おそらく馬名がマンボネフューだから、
キングマンボの甥! 良血! なんだか凄そう! と食いつきやすいのではないか? 
これがバゴズサン(バゴの息子)やバゴボーイやバゴチャンとかだったら、ちょっといじりにくい気がする。たとえキングマンボの甥であってもだ。

同時に厩舎スタッフのやる気をうながす効能もありそう。
社台系白老F生産とはいえ、
天下の金子オーナーの馬とはいえ、
「父バゴです」とだけ言われるより、「キングマンボの甥です」と言われたほうがテンションは上がりそう。
しかもそれを馬名にされたら、日々キングマンボを感じるわけで、やる気の持続力も増しそう。

(金子オーナーは父アグネスタキオンの1歳上の兄も所有していて、その馬にはキングマンボを連想させる馬名を付けずタフディシジョンと名付けた。タキオン産だし、馬名でテンションを上げる必要もなかったか? タフディシジョン=難しい決断という馬名もなかなかになかなかだけど…。成績は現状0-0-1-3)

(とはいえ、ここがバゴの少し不遇的なところか。現役成績はキングマンボ13戦5勝に対して、バゴは16戦8勝。GIはキングマンボ3勝に対して、バゴは5勝で凱旋門賞勝ちもある。わかりやすさで言えば凱旋門を勝ってるだけに圧倒的にバゴに分があるはず。しかし日本ではおそらくキングマンボの方がイメージはいい。あくまでも種牡馬としてのイメージだけど、ぜんぜん違う)

そしてそれを堂々と名乗る。
キングマンボの甥ですと堂々と名乗らせる。
おそらく世界的良血の甥っ子は探せばけっこういると思う。
けれど、馬名にヒントがないとなかなか探せない。
そのものズバリの甥っ子(ネフュー系)の馬名ってそんなに記憶がない。

そういう意味でもマンボネフューはわかりやすい。忘れにくい。父バゴを忘れてもキングマンボの甥っ子であることはもはや忘れない。

甥っ子ですよ、甥っ子。

今年は甥っ子が活躍する年なのか?
と、
マンボネフューと読売巨人軍のドラフト1位菅野投手を並べて思う。

菅野投手は読売巨人軍・原辰徳監督の甥っ子。
つまりタツノリネフュー。

マンボネフューとタツノリネフュー。

どちらが活躍するかな?
どちらも活躍するかな?

(プロ野球といえば8日・金曜日発売の競馬王の巻頭に中日ドラゴンズの200勝投手・山本昌さんが登場してます。このインタビューの何が凄いって、山本昌さんから出てくる馬名がすごい!
シルバイオー・サイキョウクラウド・サカンヤオクサン…この馬名にピンと来た方は相当な競馬通! っていうかある意味で相当な変態系競馬通でしょう。この号の表紙のキャッチに「球界一競馬に誠実な男」とありますが、それがインタビューで実感できます。もちろん山本流馬券作戦も紹介されてます。)

マンボネフューはすでに成績[2-1-0-1]で、兄タフディシジョンは成績[0-0-1-3]。「キングマンボの甥っ子」は兄「難しい決断」をすでに超えている。
キングカメハメハ、ディープインパクトと名付けた金子オーナーの馬名格付けセンスと照らし合わせても、マンボネフューはそれなりに期待されているのではないか?
正直、GI級のキングなインパクトを感じることはないけど、GIIIで勝ち負けするくらいの格はお持ちではないのか?

という前提のもとで共同通信杯。

共同通信杯は2年前から3週目開催になった。
それが影響したのかはわからないけど、ここ2年は、どちらも同じような結末。

ディープインパクト産が逃げて、ステイゴールド産が勝つ。

11年
1着:ステイ産のナカヤマナイト、9-9-9-9 
2着:ネオユニ産のユニバーサルバンク、3-2-2-2
3着:ディープ産のディープサウンド、1-1-1-1

12年
1着:ステイ産のゴールドシップ、4-3-3-4
2着:ディープ産のディープブリランテ、1-1-1-1
3着:ディープ産のスピルバーグ、6-6-6-6

今年はどうか?

ステイ産(ケイアイチョウサン)も、
ディープ産(ヘルデンテノール・マイネルストラーノ・ラウンドワールド)も登録している。

だけどディープ産3頭に逃げ実績はない。
出走する中で逃げ実績のある馬はブライアンズタイムのマイネルマエストロだけど、はたして今回も逃げるだろうか?
京成杯で逃げて5着に負けたことと、未勝利を東京で差して勝った実績をあわせると、
今回は逃げない匂いもする。

むしろ番手実績のあるマイネルストラーノが逃げるかもしれない。本賞金400万の馬だし思い切った手を打ってくるかもしれない。
もしマイネルストラーノが逃げたら、今年もケイアイチョウサンの目がある?
正直、今年は違うような気がする。でももしケイアイチョウサンが勝ったら「共同通信杯はステイゴールドのもんだ!」と決定していいのではないのか?

それはさて置き、1番人気はどうか?

おそらくゴットフリートかラウンドワールドのはず。

社台系1番人気[3-1-1-0]
非社台系1番人気[0-1-0-3]

ゴットフリートはノーザンF生産、ラウンドワールドは白老F生産。どちらも社台系だから、どちらが1番人気になっても信頼性アップ。

前走が朝日杯だった1番人気馬は[2-2-0-1]
前走がラジオNIKKEI2歳だった1番人気馬は[1-0-0-2]
この10年の1番人気成績は[3-3-1-3]

朝日杯FSの着外の1回は中山1800で開催された10年前のものだから、単純に前走朝日杯FSだった馬が1番人気ならば、軸としての信頼性は相当高そう。

ゴットフリートは前走が朝日杯FS。

ゴットフリートが1番人気になったら、なかなかにやっかいだ。
となるとここもさて置くしかない。

この2年のステイ&ディープの関係をさて置き、ここ10年の前走朝日杯FSの1番人気馬をさて置いてしまった。
なかなかキングマンボの甥っ子で安心できる材料が見つからない。

で、過去2年、過去10年と見たので、試しに5年で見てみた。
おっと!
ここ5年の共同通信杯で一番馬券圏内に顔を出している騎手は蛯名騎手じゃないか!

08年:1着ショウナンアルバ・蛯名、6人気、前走・若竹賞(500万)1着
09年:3着トップカミング・蛯名、9人気、前走・シンザン記念3着
10年:1着ハンソデバンド・蛯名、3人気、前走・ジュニアC1着
11年:3着ディープサウンド・蛯名、5人気、前走・ホープフルS10着
12年:6着エアネド・蛯名・5人気、前走・若竹賞(500万)2着

ここ5年で[2-0-2-1]。

甥っ子の予想人気は3番人気。
甥っ子の前走は寒竹賞(500万)1着。
蛯名騎手は3番人気でも1着させてるし、前走500万特別の馬でも1着させている。
これは頼もしい。

マンボネフューは2走前のベゴニア賞でロゴタイプの0.2秒差2着。
このときのロゴタイプは先行して、レコードで駆け抜けた強い競馬だった。
そのロゴと0.2差ならそれなりの価値はあるか。

ゴットフリートは朝日杯でロゴタイプに0.4差で負けた。
ゴットフリートはきんもくせい特別でマイネルホウオウにハナ差をつけて1着した。
ラウンドワールドはコスモス賞でマイネルホウオウに0.1秒差つけて1着した。
ラウンドワールドは札幌2歳でコディーノに0.3差で負けた。
ゴットフリートは朝日杯で2着コディーノに0.4差つけられた。

ゴットフリートもラウンドワールドもマイネルホウオウよりちょっと強く、
ゴットフリートもラウンドワールドもロゴタイプとコディーノよりもちょっと弱い?
ロゴタイプ、コディーノだけでなく、マイネルホウオウの存在がよりリアリティを感じさせてくれる。

ならば同じようにロゴタイプにちょっと負けた甥っ子も、ゴットフリート、ラウンドワールドとそれほど差はないのではないか?

この2頭よりも人気になるのならば、(重賞経験もないし)ちょっと控えたいけれど、人気がないのならば、踏み込んでみる価値ありではないか。

蛯名騎手は6・9・3・5人気で馬券圏内に持ってきている。
父もウォーエンブレム・ゴールドアリュール・マンハッタンカフェ・ディープインパクトとぜんぶ違う。
厩舎も二ノ宮・境直・尾形・勢司とぜんぶ違う(甥っ子は国枝厩舎)。
うむ、やっぱり頼もしい。

いろいろとさて置いてしまったけど、この時期の重賞ならば、いくつかさて置いてもなんとかなるはず。

とにかく野球が開幕し、クラシックが始まる4月に「ダブル・ネフュー」「今年は甥っ子!」と一席打ちたい。そのためにもここらでクラシック出走の賞金を確保していただけると大変助かるんであります。

共同通信杯注目馬
マンボネフュー
クロスボウ

クロスボウは京成杯で4着だった。出負けして後方競馬だったけど、出負けしなくても後方競馬だったはず。いわゆる吉田豊騎手得意のいい線狙う競馬で4着だった。
幸いにも今回も人気はそれほどでもなさそうで、吉田豊騎手のいい線狙う競馬ラウンド2を期待してみたい。

クイーンカップ注目馬
スイートサルサ おいしそう
イリュミナンス 
コレクターアイテム 

コレクターアイテムは1着→4着→1着→4着→今走
イリュミナンスは1着→4着→今走

「1着→4着」

こういう仕掛けを見ると無条件に食いつきたくなる。特にいいマンカフェ産はデビュー当初ピヨる(1着4着する)傾向が多いのでイリュミナンスの着順は気になってしょうがない。
陣営はフェアリーSでは除外覚悟でルメールを確保した。しかし残念ながら結果は4着。ここは負けられない一戦か。

クイーンCは1番人気対2番人気の対決が基本だから、1番人気コレクターアイテム、2番人気イリュミナンスにはそもそも大敬意が必要。
そこにそそられる仕掛け付きなら食いつかざるをえない。

とはいえ、1番人気・2番人気のワンツーも10年に1回しかないから、別の馬から1、2番人気に買ってみたいところ。
スイートサルサはフェアリーSで大外16番。しかも出負けして、外を回って5着。着差0.1秒。田辺騎手は納得してないのではないか?
「3着→1着→5着」の仕掛けもなかなかに美味しそうで、4、5番人気ならば食いついてみたい。

競馬王3月号

競馬王3月号

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また特集では、過去に本誌で紹介して、今でも使える馬券必勝法を200コ分ドドドーンと紹介しています。特別企画コーナーでは、2007年度の馬事文化賞作家である城崎哲氏と木村李花子氏の夢の対談が実現。「オルフェーヴルはなぜ牝馬に競り負けるのか?」という壮大なテーマについて検証してくれています。今号も競馬収支ノートDX 春・夏バージョンが付いてお得な内容となっています。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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