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2012表彰式&祝賀会のレポート

  • 2013年02月09日(土) 12時00分
 今回は、7日(木)に行われたNARグランプリ2012表彰式&祝賀会のレポートです。

 今年の中身はかなり濃かったですね。私がこのイベントの司会を仰せつかったのは、たしか1994年(NARグランプリ93)から。その記憶が正しければ今回がちょうど20回目だったわけですが、その中でも特に印象深いものになりました。

 理由は3つ。1つめは、年度代表馬がラブミーチャンだったこと。ステージ上で馬主のDr.コパさんにインタビューすると、「今年は高知の黒船賞、金沢のJBCで走らせたい」という答えが返ってきました。どちらも、まだラブミーチャンが走っていない競馬場です。コパさんは「カワイくてガンバリ屋サンの彼女を全国のファンに見てもらいたい」とのこと。グランプリの表彰式でこんなプランを披露したのはコパさんが初めてです。

 これには「そんなに無理をさせないで」という意見もあるとは思いますが、“ファンあっての競馬”と考えれば、そういう形でサービスするのもいいんじゃないでしょうか。思わず「無事で走り通してくれるよう、お祈りしています」と言わせていただきました。

 2つめは、フリオーソが7年連続で表彰を受け(今回は4歳以上最優秀牡馬)、その引退を記念して祝賀会で同馬の関係者の方々にお話をうかがったこと。主戦だった戸崎圭太騎手は、「フリオーソとコンビを組んでいなかったら、今の自分はなかったと思います」と語ってくれました。名馬にまたがった名手ならではの一言です。

 馬主のダーレー・ジャパン・ファーム三嶋健一郎代表取締役によれば、種牡馬デビューするフリオーソには多くの繁殖牝馬から種付けの申し込みが来ているとのこと。当然ながらその産駒を川島正行厩舎に預ける予定もあるそうです。近い将来、フリオーソの仔が地方競馬を盛り上げてくれることを楽しみにしましょう。

 そして3つめは、そう、戸崎圭太騎手がJRAの騎手試験に合格したというニュースを受けてのセレモニーだったこと。ハッキリ言って、この日の“主役”は同騎手でした。今回は最優秀勝利回数騎手賞と最優秀賞金収得騎手賞を4年連続でダブル受賞。表彰式で「それよりもまず、合格おめでとうございます」とマイクを向けると、「いろいろな方々にお世話になったからこそ」と感謝の言葉が。その瞳が少し潤んで見えたのは私の気のせいでしょうか。

 それはともかく、私のどんな“無茶ぶり”にも、常に凛としたたたずまいで真摯に答えてくれた戸崎騎手には、この表彰式でずいぶんお世話になりました。あこがれの新天地での活躍を期待せずにはいられません。

 フリオーソも戸崎騎手もいなくなる今年の地方競馬。中身が濃かっただけに、終わってみるとちょっと寂しい思いもする今回のNARグランプリでした。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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