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老獪な競馬vs睨み系番手競馬(or開幕的クロスカウンター考)

  • 2013年02月21日(木) 12時00分
先週のフェブラリーは翻弄してやるつもりがやっぱり翻弄されてしまった。
エスポワールシチーに。
カレンブラックヒルを翻弄してやるつもりがエスポワールシチーに翻弄される始末。ベテランをバカにしてしっぺ返しを食らった気分だ。たは!とほ。

というわけで今週はサラリと当ててみたい。
自分的には、あくまでも自分的にはフェブラリーはこってり系の増し増し系だったので、今週はあっさり系のなしなし系でサラっと当ててみたい。
野菜もメンマもいらない。チャーシューなんてもってのほか。
でも海苔はほしいね。青ネギをちょっと散らして、その横に海苔を一枚。横ノリ…おっと!

中山記念・阪急杯・アーリントンC。

これらのレースを勝ち負けした馬がその後の春のGIやクラシックで大活躍しているかといえば、そうでもない。
だからといってまったく活躍してないわけでもない。ときどき大活躍することもある。

中山記念で3着したショウワモダンはその後安田記念を勝った。ヴィクトワールピサはここで1着してドバイでも勝った(カンパニーやダイワメジャーは秋に開花した)。
阪急杯なら5歳のときのローレルゲレイロはここで2着して、高松宮を勝った。
アーリントンもウインクリューガー、ディープスカイがここで馬券圏内に入り、NHKマイルC1着した。ディープスカイに至ってはさらにダービー馬にもなった。

しかしだけどそのくらいでもある。前哨戦としては王道ではなく、やっぱり覇道系。ディープスカイなんて覇道も覇道、模範的覇道だ。

覇道ってのは最終的に覇者になれるかでプロセスはなんでもいい。だから方程式などなくてもいい。我流でいい。
覇道は我流。我流は無型。ゆえに誰にも読めない。あの雲のように自由気ままに………ってやつだ。つまりその先まで考えなくてもいいわけだ。このレースで勝ち負けできそうな馬をあっさりと、サラっと考えればそれで当るはず。
(CR北斗の拳の新しいのはカイオウまで出るらしく新鮮で面白いけど、雲のジュウザの見せ場は減ってしまった。そこは残念だったりして…)

とはいえ、雲と言えば江田照だ。
曇天の江田照。

どんよりした曇天模様の空の下で、江田照は穴をあけることが多い印象があって、それでつけた符牒が、曇天の江田照だった。
実際、3年前の中山記念でも江田照は穴をあけた。

3年前 トーセンクラウン 13人気1着 天気・晴れ!(レース時は晴れだけどその日は雨が降ったり、風が吹いたりと天気は荒れていた。だから馬場は不良)
父オペラハウス、母父ダンシングブレーヴ

その後、何度かの曇天を経て、去年の日経賞をネコパンチで逃げ切ったのを見て、曇天の江田照は、曇天の江ダ照へと昇華した。
江田照騎手はダのつく種牡馬の馬で穴をあけることが多い事に気づいたからだ。で、日経賞の日の夜に大急ぎでまとめ直したのがこれ。

中山競馬場の江ダ照・激走マシーン

1998年3/29 日経賞
12人気 1着
テンジンショウグン(父ノーアテンション、母父ダンディルート)
差し、天気・晴、馬場・良

1998年9/27 セントライト記念
10人気 1着
レオリュウホウ(父ダンシングブレーブ、母父ルイスデール)
番手、天気・雨、馬場・重
 
2000年10/1 スプリンターズS
16人気 1着
ダイタクヤマト(父ダイタクヘリオス、母父テスコボーイ)
番手、天気・曇、馬場・やや重

2010年2/28 中山記念
13人気 1着
トーセンクラウン(父オペラハウス、母父ダンシングブレーブ)
差し、天気は一応・晴、馬場・不良

2012年 3/24 日経賞 12人気 1着
ネコパンチ(父ニューイングランド、母父ダンシングブレーブ)
逃げ 天気・曇、馬場・重

中山競馬場・江ダ照激走の条件
曇(雨含む。雨のち晴れでもいい)
馬場・重系(やや〜不良)
ダの字
10〜13人気

え? ダの字っていうより母父ダンシングブレーヴじゃないかって?
いえいえテンジンショウグンはダンディルートだし、ダイタクヤマトはダイタクヘリオスですから。
たしかにダンシングブレーヴ感は強いかな?とは思うけれど、やっぱりここはダの字だ。ダの字でひとまとめだ。

その江ダ照騎手が中山記念でニシノメイゲツに騎乗する。
父デュランダル(惜しい!デの字!)
母父ダイイシス(やったー!)

現在の予想人気・16番人気(あと3つ上がれ!)
予想天気 晴れ時々曇り(一雨ほしい!)

人気、天気ともに今はまだ遠いけれど、なんかの拍子でグっと近づく可能性だってないとは言えない。だからまだわからない。

肝心のニシノメイゲツのポテンシャルはどうなんだ!?
気になるところだけれど、そういう問題ではない。

うむ、そういう問題ではない。

ただこの馬は稍重以上のときはすべて人気より走っている。
ディセンバーS・稍重 11人気6着
七夕賞・稍重 6人気5着
常総S・稍重 8人気7着
スピカS・重 6人気4着
鹿野山特別・稍重 5人気1着
紅葉S・稍重 9人気8着
芙蓉S・稍重 2人気1着

そういう問題ではないけれど、馬場に関してはそういう問題だ。ここは少し気にしておきたい。なぜならそこも江ダ照好走条件の1つだからダ。

江ダ照騎手は今回初騎乗。
つまり初騎乗ゆえに江ダ照のダの字力と曇天力の上乗せの余地はあるということでもある。
少なくとも7着か8着の期待は持てるのではないか!!
あとは奇跡の上乗せが巻き起こるか!?
ゆえにまだわからない。

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中山記念・求められる適性は老獪!?
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シルポートは、8歳でも逃げ切ったローエングリンを再現できるのか?
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中山記念は「逃げ」の活躍が目立つ。
開幕ともなれば逃げが怖いことは騎乗してる騎手だって重々承知してるはず。
それでも目立つ。

03年
逃げ、ローエングリン、4歳、1着1人気
04年
逃げ、ローエングリン、5歳、3着2人気
05年
逃げ、ダイワバンディッド、4歳、5着11人気
06年
逃げ、バランスオブゲーム、7歳、1着6人気
07年
逃げ、ローエングリン、8歳、1着6人気
08年
逃げ、コンゴウリキシオー、6歳、13着3人気
09年
逃げ、キングストレイル、7歳、4着5人気
10年
逃げ、モエレビクトリー、4歳、15着7人気
11年
逃げ、キャプテントゥーレ、6歳、2着4人気
12年
逃げ、シルポート、7歳、2着7人気

逃げた馬[3-2-1-4]

ローエングリンは4歳時に逃げ切ってるけど、8歳でも逃げ切った。
バランスオブゲームは6歳時に先行して勝ったけど、7歳では逃げ切った。
キングストレイルは7歳で逃げて4着した。
シルポートは7歳で逃げて2着した。

ここには上げなかったけれど、カンパニーは7歳、8歳と連続して2番手から勝った。

AJCCでの逃げは高齢馬しか決まらないとその週のコラムに書いた。
中山記念もまた同じ匂いがする。
若い逃げが決まってないわけではないけれど、高齢馬の方が逃げの成功率は高いように思える。
どちらも中山・角4競馬。外回り(AJCC)、内回り(中山記念)の違いはあれど、角4は角4。

ある程度年齢を重ね、競馬のなんたるか、中山のなんたるか、逃げのなんたるかを熟知したベテランがその老獪さで凌げてしまうレースなのかもしれない。
求められるものってやつは「老獪」か!?

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見え見えのシルポートVS横山典の睨み
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となるとレースのポイントは、
松岡で行くに決まってるシルポートにどこまで睨みを利かせられるかではないか?
なんせ去年も7歳でアグレッシブに逃げて、あわや1着になりかけた馬。
この馬がローエングリンを狙うならば、ここでも逃げるはずだし、むしろ8歳にして、より老獪に逃げられる可能性もある。

この10年で逃げた馬は6馬券圏内してるけれど、
横山典が2番手で勝った2回(カンパニー)は逃げ馬が残れていない。
横山典、究極の番手睨みが逃げ馬に緊迫感を与えて、逃げ脚をナチュラルに消耗させてしまうのかもしれない。

させねーぞ。雲のように自由気ままに逃げさせねーぞ。
そんな睨み。

今回のメンバーを見渡すと、横山典タッチミーノット以外にシルポートの番手につけられそうな馬は見当たらない。
差し競馬専門だったカンパニーを7歳から本格騎乗し、先行させたり、差したりしながら、8歳で完成させた横山典にとって、そこそこ先行できる脚のあるタッチミーノットで番手競馬をすることなど容易いはず。

雲のように自由気ままに番手睨み。ありえる。
雲のように自由気ままに逃げさせねーぞ、とひと睨み。すんごいありえる。
もはや何が自由で何が気ままかよくわからなくってきたけど、今の日本ジョッキー界で無型騎乗ができるのも、またそれを許されているのも横山典しかいないはず。
だから、きっとこれでいい。これでいいのだ。

逃げに優しい中山開幕1800である。
松岡は見え見えでも逃げをやりきる器量がある。
だけど番手につけたら前を弛緩させない横山典がいる。

1番手の馬か2番手の馬か。
どう考えても今年のカギは松岡と横山典だ。

この2頭のどちらを選択するか?
松岡の粘り込みか。
横山典のちょこっと差し、ちょこっとカウンターか。
もしくはもうちょっと後ろの馬のクロスカウンターか。

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1番人気は58キロ以上で安定成績
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重量が重いほうが1番人気に関しては安定した成績を残すレースってけっこう多い。それは中山記念でもだいたい同じ。
58キロ以上1番人気[2-1-1-0]
58キロ以下1番人気[2-0-0-4]
今回の中山記念で58キロ以上の馬はいない。
つまりどの馬が1番人気になっても、軸としてはやや不安を残すことになる。
今年の1番人気はナカヤマナイトか。

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1番人気は心配だけど、1800は頼もしいナカヤマナイト
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AJCCのときにも書いた。
ナカヤマナイトは良馬場では1800ホースではないか? と。
思えばナカヤマナイトが良馬場で勝ったレースは4つ。

未勝利・中山1800m
ベゴニア賞・東京1600m
共同通信杯・東京1800m
ディセンバーS・中山1800m

中山競馬場ならなんでもいいような気もするけど、2着したAJCCも1着したオールカマーも不良&重馬場だった。
だから今回の1800はナカヤマナイトにとっては絶好の舞台のはず。

だから状態が整っていれば、最高じゃなくても勝ち負けできる可能性はある。
けれど、前述したように57キロ馬の1番人気はやや不安定でもある。
おまけにナカヤマナイト自身もまだ1番人気は未経験(新馬・未勝利除く)。
1着した500万のベゴニア賞も、1番楽勝に見えたオープンのディセンバーSも2番人気だった。

■ナカヤマナイトの人気分布図(新馬・未勝利以外)
1番人気成績[0](0)
2番人気成績[3-2-0-1]
3番人気成績[1-1-0-1]
4番人気以下の成績[0-0-0-5]

2番人気大好物ホースだ。3番人気も好き。けれど4番人気以外ではまったく走ってない!
これを見ると去年,自分はナカヤマナイトにだいぶ翻弄されてた気がする。
なんせ4番人気以下の重賞で一発決めてやろうと意気込んでましたから。

つまりこうなる。
ナカヤマナイトは1800良馬場ホースと決めつけた上で、
ナカヤマナイトは2番人気だったら、ブラボー!!
ナカヤマナイトは3番人気だったら、ナイス!!
ナカヤマナイトは4番人気以下だったら、スルー!!
ナカヤマナイトは1番人気だったら、50:50(フィフティ:フィフティ)!!

1番人気は未経験。最高の舞台であるならば、まだわからない。
シルポートが強気に逃げて、横山典が睨みを利かせる展開はナカヤマナイトにも理想の可能性もある。
2着3着ならば4角10番手以後でもカウンターは割合届く。
しかし1着のクロスカウンターの届く距離は4角6番手以内。
ここは間違いなく1着狙いのはず。この距離感でどこまで攻められるか? 

ちなみに
1番人気でないとやる気を出さないトーセンレーヴはその後もその調子を持続させている。
■トーセンレーヴ人気分布図
外国人騎手成績(つまり全成績)[6-0-3-5]
1番人気成績[6-0-3-0]
1番人気以外成績[0-0-0-5]

今回は間違いなく1番人気じゃないから、やる気を見せない可能性大!

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■中山記念・前傾クロスカウンター構図
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松岡シルポート←横山典タッチミーノット←←←←←善さんナカヤマナイト……………………

シルポートの粘り込みか。
タッチミーノットのちょこっとカウンターか。←!!
ナカヤマナイトの豪快なクロスカウンターか。←←←←←!!

もしくは
タッチーミーノットとナカヤマナイトの間にいそうな馬から行くか?
間にいそうな馬は
北村宏のダイワファルコン
内枠に入ったときのダノンバラード
去年のフェデラリストっぽい蛯名のアンコイルド

もちろん馬場が重くなって、空が曇っていたら、江ダ照ニシノメイゲツの7着+奇跡の3着大上乗せ!?もクソマジメに検討してみたい。

週の真ん中水曜日〜木曜日。
今はどの馬から行くかよりも、ナカヤマナイトが好物の2番人気にならないか、そればかり気にしている。
netkeiba.comでは現在予想は1番人気。
横山典タッチミーノットにもっと人気が集まらないかな?

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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