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オーストラリアの競馬場巡り

  • 2013年03月09日(土) 12時00分
 海外200競馬場踏破へのカウントダウン。2日から8日まで、オーストラリアの競馬場巡りをしてきました。

 今回訪ねたのは、ヴィクトリア州ウォルナンブールの平地競馬と、ニューサウスウェルズ州ニューカッスルの平地、ハーネス(繋駕)競馬の計3場。これで200場踏破まではあと4場となりました。

 オーストラリアには、平地競馬を開催してるところだけでも350を超える競馬場があります。これにハーネス専門の競馬場を加えると、その数およそ500。平均すると毎日10カ所以上の競馬場でレースが行われている競馬大国です。日本とは時差もほとんどなく、鉄道やバスなどの公共交通機関もそこそこ使い勝手がいいので、私にとってはたいへんありがたい存在。踏破済みの196場のうち69場はオーストラリアの競馬場ですから、3分の1あまりをこの国1カ国で稼がせてもらっています。

 私が初めてオーストラリアの競馬を見に行ったのは1990年の2月。テレビ東京・土曜競馬中継で実況デビューする2カ月前のことです。前年のジャパンCでニュージーランドからの遠征馬ホーリックスが驚異のレコードタイムをマークして優勝、同馬が活躍していたオーストラリアの競馬がどんなものかを見ておきたくなったのと、その頃テレビ東京がジャパンCオセアニア代表馬の現地取材を担当していたこともあって、「行くっきゃない」と思ったのがきっかけでした。

 もう四半世紀近くも前のことですから、当時を思い出すと隔世の感があります。現地で最初に訪れたのがシドニー郊外のウォリックファーム競馬場。そこへは、市の中心部から競馬場駅(その1つ手前の駅で本線と枝分かれする支線の終点。つまり京王線の府中競馬正門前のような駅。今は廃止されました)への直通臨時電車で行きました。この電車がかなりの年代物で、塗装は日本の昔の国電のようなぶどう色(茶色)一色、冷房はおろか、ドアもないという旧型車両だったんです。

 当時のガイドブックに必ず載っていたシドニーで一番の名物グルメと言えば、自分で肉を選んで自分で焼いて食べるスタイルの某ステーキハウス(この店はいまだに健在です)。とにかく食に関しては、旧宗主国のイギリス同様、ウマいものはない、と言われていました。それも今は昔。2000年のシドニーオリンピックの前後から、欧風料理にアジアンテーストを織り込んだモダンオーストラリア料理というジャンルが確立され、食べ歩きが楽しい国に大変身を遂げました。ここ20数年の間にオーストラリアで激変したのが食文化と言ってもいいくらいです。

 2000年頃には1豪ドル=約55円をつけた為替レートは、今や約97円とかなりの豪ドル高。現地での“割安感”はまるでなくなってしまいましたが、競馬もグルメも楽しめるオーストラリアは相変わらず魅力的です。海外200場目はやっぱりこの国で達成しようかな。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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