■スプリングS(G2・中山芝1800m)フルゲート16頭/登録20頭
【コース基本情報】中山芝1800m Aコース使用
・コース回収率
[低め] 単勝62%・複勝70% 1番人気馬の信頼度が飛び抜けて高い
・馬連万馬券出現率
[やや高め] 15.5%(平均値△3.5% 馬連平均配当5334円)
・枠番別複勝率(16頭立て)
[外枠不利] 内枠23.9%・中枠21.2%・外枠8.7%
・脚質別信頼度
先行>逃げ>>差し>>追込 中山はやはり先行勢優勢
・推定ラップ&タイム
[中緩み]36.4-37.5-35.6=1.49.5 中盤で緩み勝負どころで急加速の流れ
当コースで目立っているのが外枠の不利。芝1600mほどではないにせよ、内枠や中枠との比較で複勝率に12%以上もの差が出ているのだから、大幅割引が必要なのは間違いない。また、逃げ・先行脚質の信頼度が差し脚質より格段に高いのも注目すべきポイント。内枠〜中枠からスッと前の位置を取れるような馬を、軸馬に選ぶべきコースといえる。
また、1番人気馬の信頼度(特に勝率)が非常に高いのも、当コースの大きな特徴。コース全体での勝率40.0%は驚異的な数値で、16頭立ての多頭数に限定したデータでも[11-2-4-6]で勝率47.8%、単勝回収率112%という高期待値。同じ上位人気でも、2番人気〜3番人気とは別モノだと考えたほうがいい。
それもあってか、コース回収率は低めの数値で、馬連平均配当も5334と控えめ。ただし、馬連万馬券の出現率が平均値を上回っているように、ヒモ荒れでの高配当決着が多いのを忘れてはいけない。ハナ〜好位のインで立ち回れる馬であれば、人気薄であっても要注意。
【レース基本情報】スプリングS(G2) 過去10年
・レース平均配当
単勝682円 馬連6631円 3連複1万7551円
・1番人気馬成績
[2-3-2-2] 勝率22.2% 連対率55.6%・複勝率77.8%
・3番人気以内馬成績
[6-4-4-13] 勝率22.2% 連対率37.0%・複勝率51.9%
・10番人気以下馬成績
[0-2-2-51] 連対率3.6%・複勝率7.3%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 22.2% [先行] 33.3% [差し] 33.3% [追込] 11.1%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 11.1% [先行] 44.4% [差し] 33.3% [追込] 11.1%
・枠番別成績
[1枠] 1-2-1-11 連対率20.0% 複勝率26.7%
[2枠] 1-2-2-11 連対率18.8% 複勝率31.3%
[3枠] 2-1-1-13 連対率17.6% 複勝率23.5%
[4枠] 0-1-1-15 連対率 5.9% 複勝率11.8%
[5枠] 0-0-2-15 連対率 0% 複勝率11.8%
[6枠] 2-2-1-13 連対率11.1% 複勝率22.2%
[7枠] 0-0-0-18 連対率 0% 複勝率 0%
[8枠] 3-1-1-13 連対率22.2% 複勝率27.8%
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[1枠〜3枠] 4-5-4-35 連対率18.8% 複勝率27.1%
[4枠〜8枠] 5-4-5-74 連対率10.2% 複勝率15.9%
・厩舎所属別成績
[美浦] 4-4-7-63 連対率10.3% 複勝率19.2%
[栗東] 5-5-2-44 連対率17.9% 複勝率21.4%
・前走クラス別成績
[中央G1] 0-2-2-5 連対率22.2% 複勝率44.4%
[中央G2] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
[中央G3] 7-3-2-31 連対率23.3% 複勝率27.9%
[OP特別] 1-2-0-22 連対率12.0% 複勝率12.0%
[500万下] 1-2-5-35 連対率7.0% 複勝率18.6%
[新馬未勝利] 0-0-0-8 連対率0% 複勝率0%
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[前走中央重賞] 7-5-4-42 連対率20.7% 複勝率27.6%
[前走それ以外] 2-4-5-67 連対率 7.7% 複勝率14.1%
・注目出走パターン
[買い] 前走3番人気以内馬(連対率20.0%、複勝率28.0%)
[買い] 前走朝日杯FSで2着以内(複勝率60.0%))
[不振] 前走でダート戦に出走(複勝率3.8%)
[不振] 前走4番人気以下で500万下戦に出走(複勝率5.9%)
[割引] 前走4番人気以下の関西馬(0-2-0-20)
[割引] 前走で朝日杯FS以外の1600m以下戦に出走(1-3-2-42)
[割引] 前走朝日杯FS組をのぞく馬体重479キロ以下馬(2-1-2-45)
単勝平均配当は682円と低めだが、1番人気馬が飛ぶ年はかなり荒れる、スプリングS。1番人気馬は「複勝率は高いが勝率は低め」と、コースデータとは異なる傾向が出ている。人気馬はアテになるが、過信は禁物なレースと言えるだろう。
馬券に絡んだ馬の脚質を見ると、先行勢が6割に差し・追い込み勢が4割といった比率。このあたりはペースにもよるが、コースデータよりも差せる方向にシフトするのは間違いない。枠番については、コースデータ分析の結果とおおむね同じ。1枠〜3枠のトータル連対率が18.8%であるのに対して、4枠〜8枠のそれは10.2%と、完全に内枠優勢となっている。外枠を割り引いて内枠を高評価する、というのが基本スタンスだ。
また、前走重賞組とそれ以外での成績差も顕著。連対率にして約3倍、複勝率でも約2倍という大差が出ているのだから、どちらを優先すべきかは明白。信頼度の低い前走条件戦組やオープン特別組は、素質が買われて人気となった馬でも、かなり慎重に扱う必要がありそうである。
注目出走パターンでキーワードとなるのが前走人気。前走で3番人気以内馬と前走4番人気以下馬との間に大きな境界線があり、前走で出走していた条件を問わず、前者のほうが格段に「買い」なのだ。あとは小型馬よりも、当日の馬体重が480キロ以上の馬格がある馬が強いレースであることも、頭の隅っこに置いておきたいデータだ。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
前も残るし差しも決まるフラットな状況といった印象。やや内有利か。
・天候予測
週のなかばに降雨があるも週末は曇り〜晴れで迎えそう。良馬場前提で。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率19.2% 連対率34.6% 複勝率40.4%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒、ハーツクライ産駒、ホワイトマズル産駒
かなりフラットな状況という印象を受ける現在の馬場状態。中山なのでコース自体の特色として前有利、内有利ではあるのだが、中団からでも十分に差しが届く状況だ。おおむねどの馬も、能力をキッチリ発揮できる状態だと考えていいだろう。
種牡馬別では、連対率34.6%をマークしているディープインパクト産駒が勝利数トップ。それと互角に張り合っているのがハーツクライ産駒で、こちらも勝率20.0%、連対率33.3%と非常に高い適性を見せている。意外なところではホワイトマズル産駒もオススメ。出走数こそ少ないが、複勝率35.0%、複勝回収率128%と、期待値の高さはバツグンだ。ザラストロの巻き返しや、マズルファイヤーの連続好走があっても、まったく驚けない。
★総論×各論
コースの特性を考えれば、前々で流れに乗れるタイプを買うべきなのは間違いナシ。また、朝日杯FSからの直行組がそれなりに結果を残していること、騎手の乗り替わりが特に割引材料とはならないレースであることなどから考えても、朝日杯FSの覇者ロゴタイプは積極的に買うべき馬だと言える。馬体が減っての出走でさえなければ、好勝負が期待できそうだ。
以下は混戦だが、マズルファイヤー、ザラストロ、ヘルデンテノールの3頭も高評価組。以下、タマモベストプレイ、フェイムゲーム、マンボネフューまでを押さえ評価とした。ロゴタイプから入るとなると買える点数が限られるので、直前の気配や枠番から、さらに相手を絞り込みたいところだ。
というわけで、今年のスプリングSは「おおむね順当に決着する」というのが、データ分析からの判断。ザラストロが馬券に絡んでくれると高配当もありうるが、基本的には本命党向きのレースとなりそうである。
■阪神大賞典(G2・阪神芝3000m内)フルゲート16頭/登録10頭
ゴールドシップがここから始動というのもあって、大きな注目を集めそうな阪神大賞典。とはいえ、登録馬からして10頭と非常に少なく、相手関係もかなり軽め。単勝オッズが元返しになる可能性すらあるという、かなり馬券を買いづらいレースとなりそうだ。
有馬記念からの直行馬が[2-3-1-6]で連対率41.7%、前走有馬記念連対馬が[2-1-0-0]とパーフェクト連対の時点で、ゴールドシップにケンカを売るのはとんでもなく厳しい。しかも阪神大賞典は「若い馬が圧倒的に強いレース」であり、4歳馬は連対率30.3%と図抜けた信頼度を誇っているのである。となると、長いものには素直に巻かれるのが得策。ひねるなら軸ではなく「相手」のほうだ。
ゴールドシップ以外ではデスペラード、ベールドインパクトあたりが人気に推されそうだが、デスペラードは[0-2-1-31]と信頼度が非常に低い「前走中央重賞以外に出走していた馬」なのが大幅マイナス。菊花賞4着の実績がある4歳馬で京都記念からのローテとなるベールドインパクトのほうが、はるかに信頼できるのである。
人気馬以外ではマイネルメダリストが面白そう。前走準オープン2着と完全に格下だが、そういう馬でも順調に来ていればけっこう馬券絡みするのが、阪神大賞典。もし出走してくるようであれば、ヒモで薄〜く押さえておきたい。
■フラワーC(G3・中山芝1800m)フルゲート16頭/登録18頭
スプリングSと同コースでの開催なので、コースデータについては前述のものを参考にしていただきたい。スプリングSよりもさらに中盤が緩む傾向にあるためか、楽をできる逃げ馬が連対率50.0%という圧倒的な強さを見せているのが、大きな特徴だ。
今年の登録馬は、タプローム以外はすべて1勝馬という、例年にも増して重賞っぽくないメンバー。出走していたレースの格はまったく問えないため、1800m以上での距離実績や血統面、前走人気と着順といったファクターからの分析となった。
マイナス材料がとくに見当たらず、その他の必要条件をしっかり満たしているのが、人気の一角となるであろうカラフルブラッサム。阪神ジュベナイルFで5着という実績はここに入ると完全に格上で、距離実績や前走内容、さらに血統面に至るまで、好走条件をクリアしている。出遅れるケースが多いのが気がかりだが、スタートさえキッチリ決めれば、勝ち負けして当然と言えるだろう。
あとはアルファアリア、エバーブロッサム、ダイワポライト、トーセンレディの4頭までが評価対象。カラフルブラッサム以外は正直なところ「どんぐりの背比べ」といった印象だが、この4頭がマイナス材料よりもプラス材料を多く持っている数少ない馬であるのは事実。人気薄となりそうなアルファアリアあたりの出走&激走を期待したいところだ。
■ファルコンS(G3・中京芝1400m)フルゲート18頭/登録29頭
中京競馬場の改修にともない、距離も1200mから1400mへと延長されたファルコンS。レースデータが過去1年分しかないのでコースデータ中心の分析とならざるをえないが、当コースでもう露骨なまでに目立っているのが「外枠優勢」である。
1枠〜2枠のトータル連対率が7.7%、複勝率が13.6%と低調なのに対して、3枠〜6枠が連対率9.6%、複勝率15.0%、7枠〜8枠が連対率18.6%、複勝率25.7%と、外に行けば行くほど好走率がグングン上昇。ここまで外枠が有利なコースなど前例がないほどで、能力で見劣る馬でも外枠に入ればアッサリ挽回できてしまう。もう「枠番がすべて」といっても過言ではないコースなのだ。
レースデータが不足していること、さらに登録馬が29頭と非常に多いこともあり、ここは具体的に馬名はあげずに「内枠徹底軽視&外枠徹底重視」という基本方針を述べるにとどめたい。
※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010以降が集計対象