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桜花賞は阪神JFとチューリップ賞の結果をアテにしていいのか?

  • 2013年04月06日(土) 12時00分
 さぁ今週は桜花賞。やっぱりこのレース名を聞くと、いよいよ春の競馬シーズンが始まるんだな、という気がします。今年はいくつ馬券を当てられるでしょうか?

 ところで、今回の桜花賞は近年にない様相を呈しています。どういうことか、もうお気づきかもしれませんが、一応ご説明させていただきます。

 まず、06年秋に新・阪神コースがオープンしてから去年まで、阪神ジュベナイルフィリーズ優勝馬はすべてチューリップ賞に出走、着順は1-2-1-2-1-3でした。ちなみに、このうちの5頭が桜花賞に駒を進め、2頭が優勝、1頭が2着。つまり、阪神JFに勝ち、チューリップ賞で1〜3着して桜花賞へ、というのが“王道”で、桜花賞は阪神JF優勝馬を巡る争いと考えればよかったんです。

 ところが今年は、阪神JFの勝ち馬ローブティサージュがチューリップ賞で9着に大敗してしまいました。こういう事態は、新・阪神コースになってからは初めて。阪神JF優勝馬の信頼度は著しく低下しています。

 そもそも、去年の阪神JFの結果をアテにしていいのでしょうか?同レースで負けた馬のうち、コレクターアイテムやサンブルエミューズなどは、その後も“今イチ”のまま。今年になって好成績を残しているのはクロフネサプライズ、メイショウマンボ、アユサンくらいです。本来は桜花賞に直結するはずのレースなんですけどねぇ。

 もう1つ。今回の桜花賞で人気の中心になりそうなクロフネサプライズは、チューリップ賞で逃げ切り勝ちを収めました。同レースを逃げ切って勝ったのは、08年のエアパスカル以来5年ぶり。同馬は桜花賞では7番人気(9着)でした。チューリップ賞の逃げ切り勝ちが珍しいわけですから、これを逃げ切って勝った馬が桜花賞で人気になるというのも、近年にはないことなのです。

 さらに、エアパスカルが勝ったチューリップ賞でハナ差2着に負けたのが阪神JF優勝馬トールポピー。こちらは桜花賞で1番人気に推されながら8着に敗れています。この結果と、去年の阪神JFのメンバーがなんだかよくわからない(?)ということを考え合わせると、いくらクロフネサプライズがチューリップ賞で2着馬に3馬身半もの差をつけて勝ったと言っても、絶対視はできないと思うんですけど。

 ここ数年とはかなり異なる様相となった今年の桜花賞。阪神JFとチューリップ賞の結果を信用していいものかどうか、考えれば考えるほど疑わしくなってきました。馬券のコストパフォーマンス(人気と払戻の関係)から見ると、“別路線組”を買ったほうがおもしろそうな気がします。

 これでクロフネサプライズやメイショウマンボが勝ったら「疑ってスミマセン」ってことになりますね。終わってみればそうなっちゃうのかもしれませんが…。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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