■皐月賞(GI・中山芝2000m)フルゲート18頭/登録21頭
【コース基本情報】中山芝2000m Bコース使用
・コース回収率
[低め] 単勝57%・複勝69% イメージよりもはるかに順当決着多し
・馬連万馬券出現率
[標準] 13.8%(平均値△1.8% 馬連平均配当5727円)
・枠番別複勝率(16頭立て以上)
[1枠〜2枠] 勝率4.9% 連対率12.0% 複勝率18.0% 複回率43%
[3枠〜6枠] 勝率6.4% 連対率12.6% 複勝率20.2% 複回率68%
[7枠〜8枠] 勝率6.2% 連対率10.9% 複勝率14.2% 複回率57%
・脚質別信頼度
先行≧差し>>追込>>逃げ 上級戦での逃げ切りは至難の業
・推定ラップ&タイム
[持続]35.8-50.3-35.4=2.01.5 一貫して「それなり」に早い持久戦
皐月賞が波乱となることが多いせいか、中山芝2000mはかなり荒れるイメージがあるコース。しかし近年のコースデータを調べてみると、回収率は単複ともにかなり低めで、意外なほど順当決着傾向が強いことがわかる。
面白いのが、当コースにおける上位人気馬の成績だ。せっかくなので、データを以下に書き出してみよう。
[1番人気] 勝率27.6% 連対率46.2% 複勝率59.3% 複回率78%
[2番人気] 勝率26.9% 連対率42.8% 複勝率59.3% 複回率97%
[3番人気] 勝率12.4% 連対率29.7% 複勝率43.4% 複回率86%
そう、1番人気馬と2番人気馬の信頼度が、ほぼ同じなのである。単純に平均着順だけで比較すると、1番人気馬が4.0着で2番人気が3.9着と逆転。1番人気馬の成績がそこまで悪いワケではないので、これは「2番人気馬が頑張っている」と考えるべきだろう。当然、期待値は2番人気のほうが格段に上。こういうデータが出てくるコースは、かなり珍しい。
また、中山芝といえば「内枠有利」が合言葉だが、当コースでは思ったほど差が出ていないな……というのが正直な印象。複勝率ベースで比較すると内枠〜中枠のほうがいいし、間違っても「外枠有利」という結論にはならないが、外枠に入った馬を毛嫌いするほどでもなさそう。少し割引、といった程度でいいと思われる。
意外だったのが、逃げ馬の不振。新馬や未勝利といった下級条件では逃げ切りがバンバン発生するのだが、16頭立て以上&1000万下以上のクラスに限定すると、なんと1頭も馬券に絡めていない。対象データ数が少ないのも理由と思われるが、それにしても粘れていない。「差し→先行」での決着を想定しての予想がオススメだ。
【レース基本情報】皐月賞(GI) 中山過去9回
・レース平均配当
単勝1128円 馬連1万6067円 3連複4万970円
・1番人気馬成績
[3-1-1-4] 勝率33.3% 連対率44.4% 複勝率55.6%
・3番人気以内馬成績
[4-3-6-14] 勝率14.8% 連対率25.9% 複勝率48.1%
・10番人気以下馬成績
[1-3-1-76] 勝率1.2% 連対率4.9% 複勝率6.2%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 22.2% [先行] 22.2% [差し] 55.6% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 11.1% [先行] 22.2% [差し] 51.9% [追込] 14.8%
・枠番別成績
[1枠] 0-2-1-15 連対率11.1% 複勝率16.7%
[2枠] 1-1-0-16 連対率11.1% 複勝率11.1%
[3枠] 2-1-2-13 連対率16.7% 複勝率27.8%
[4枠] 0-0-1-17 連対率 0% 複勝率 5.6%
[5枠] 0-3-1-14 連対率16.7% 複勝率22.2%
[6枠] 0-0-1-17 連対率 0% 複勝率 5.6%
[7枠] 4-0-2-21 連対率14.8% 複勝率22.2%
[8枠] 2-2-1-22 連対率14.8% 複勝率18.5%
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[1枠〜3枠] 3-4-3-44 連対率13.0% 複勝率18.5%
[4枠〜6枠] 0-3-3-48 連対率 5.6% 複勝率11.1%
[7枠〜8枠] 6-2-3-43 連対率14.8% 複勝率20.4%
・厩舎所属別成績
[美浦] 1-3-1-53 連対率 6.9% 複勝率 8.6%
[栗東] 8-5-8-82 連対率12.6% 複勝率20.4%
・前走レース別成績
[スプリングS] 4-3-1-46 連対率13.0% 複勝率14.8%
[弥生賞] 3-2-5-31 連対率12.2% 複勝率24.4%
[若葉S] 1-4-1-14 連対率25.0% 複勝率30.0%
[共同通信杯] 1-0-1-5 連対率14.3% 複勝率28.6%
[京成杯] 0-0-1-2 連対率0% 複勝率33.3%
[上記以外] 0-0-0-34 連対率0% 複勝率0%
・注目出走パターン
[全滅] 前走3番人気以下かつ4角位置が10番手以下(0-0-0-19)
[全滅] 前走6番人気以下馬への継続騎乗(0-0-0-23)
[不振] 前走スプリングSで4着以下(複勝率3.3%)
[不振] 前走弥生賞で5着以下(連対率0%、複勝率9.1%)
[不振] 前走3角を1番手で通過(連対率0%、複勝率6.7%)
[割引] 前走上がり順位が6位以下(連対率4.1%、複勝率8.2%)
[割引] 前走5着以下馬(連対率2.1%、複勝率4.2%)
10番人気以下の超人気薄が[1-3-1-76]と5回も馬券に絡んでいる、かなり波乱傾向が強いレース。この要因となっているのが、来る馬のパターンが特定しづらいという点だ。「まず来ない」というパターンは特定できるのだが、それ以外の馬なら人気薄でも平気で突っ込んでくるという、狙いどころの絞りづらさがある。
そういった性質のレースでもあり、3番人気以内馬は[4-3-6-14]で連対率25.9%、複勝率48.1%と、アテにできるようなできないような、微妙なところ。ある程度は割り切って人気馬を切り捨て、中穴〜大穴狙いで行ったほうが好結果を呼び込めそうだ。
枠番別で目立っているのが外枠の強さ。中山で開催された過去9回のうち、7枠〜8枠から6頭もの勝ち馬が出ているのだから、高く評価してしかるべきだ。対照的に不振なのが4枠〜6枠で、こちらは[0-3-3-48]で複勝率11.1%と、かなりの低空飛行。馬券の主軸に据える馬は、外枠または内枠からチョイスしたい。
厩舎別では、西高東低がモロに出ている印象。連対率、複勝率ともに関西馬のほうが2倍以上高いのだから、関西馬を高評価すべきなのは言うまでもない。あとは、前走トライアル組が圧倒的に強く、毎日杯やアーリントンCなどからのローテでは厳しいのも、このレースの特徴だと言える。
来る馬のパターンが特定しづらいので、注目出走パターンでは割引材料を7項目あげておいた。これらの条件に「いかに該当しないか」が重要で、すべてクリアするような馬であれば、人気薄であろうとも好走が期待できそうだ。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
内有利&前有利の印象も上級戦では差せる。おおむねフラットか。
・天候予測
週末まで降雨はなさそう。パンパンの良馬場で開催されると見ていい。
・勝利数トップ種牡馬
キングカメハメハ 勝率13.0% 連対率25.0% 複勝率35.2%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒、母父トニービンの配合馬
キングカメハメハ産駒、ディープインパクト産駒が勝利数・内容ともにトップを争い、それにジャングルポケット産駒やハーツクライ産駒、ネオユニヴァース産駒などが続く。「清く正しい芝の中距離戦」といった印象で、当然ながら瞬発力要求度は高いのだが、適度に持久力も要求されるコースと言えるだろう。
血統の字面から注目馬をあげておくと「ディープ×Storm Cat」のインパラトール、「キンカメ×サンデー」のコディーノ、「ダイワメジャー×トニービン」のコパノリチャードか。
★総論×各論
2歳王者ロゴタイプがスプリングSを制して、コディーノ、エピファネイアといった上位馬もトライアルでソコソコの結果を残した現3歳世代。とはいえ、カミノタサハラやタマモベストプレイの台頭もあり、ここは混戦ムード。あっと驚く伏兵の激走があっても驚けないと見る。
その最右翼候補となりそうなのが、データ分析で最上位評価となったインパラトール。重賞未出走で若葉Sでも4着と実績は完全に格下なのだが、プラス材料の多さは圧倒的といっても過言ではないほど。実績面以外に割り引く材料はとくに見当たらず、人気薄ながら激走の期待は十分に持てそうだ。
二番手評価はコディーノ。気性的な難しさが残る現状だが、実績やローテなどは文句なしに「買い」と言える1頭だ。そして、三番手評価はロゴタイプ。2歳王者がトライアルを快勝して本番へと臨むのだから、こちらも高く評価してしかるべき。中山2戦2勝という適性の高さも、当然プラス評価の対象。この2頭にはダイワメジャー以来となる、関東馬による皐月賞制覇が期待される。
逆に、意外なほどプラス評価の項目がないのがエピファネイア。弥生賞4着、しかも上がり順位が6位以下というのはもの足りない内容で、騎手が乗り替わるのもマイナス材料。ここは、かなり割り引いて考えたい。また、ソコソコ人気を集めそうなフェイムゲーム、レッドルーラーの2頭も、マイナス材料が目立つため手を出しづらい。
というわけで以下は、カミノタサハラ、タマモベストプレイ、クラウンレガーロ、コパノリチャード、ミヤジタイガという評価順。個人的には、インパラトールが絡むの馬券だけで勝負しようと考えている。
■アンタレスS(G3・阪神ダ1800m)フルゲート16頭/登録21頭
昨年から、開催場が京都から阪神へと変更されたアンタレスS。レースデータが1年分しかない以上、レースデータからの分析は不可能。よって、阪神ダ1800mのコースデータを使って、レースの傾向と対策を考えていきたい。
分析対象としたのは、阪神ダ1800mで行われた「1000万下〜重賞」のレース。まず言えるのが、徹底的に先行優勢であること。そして、猛烈に逃げ切りが多いコースであるということだ。昨年も、逃げた11番人気のアイファーソングが2着に残る激走を見せ、馬単万馬券の立役者となっている。ハナに行けそうな馬は、もうそれだけで「買い」なのである。
それ以外の馬でも、最低でも4角を7番手以内で回れるポジションが欲しいし、4角を10番手以下で回っているようでは話にならない。ちなみに、4角10番手以下馬のトータル成績は[1-5-12-313]という、強烈なまでの悪さ。しかもここまでメンバーがそろうと、差し脚質のハートビートソングやナイスミーチューはもちろんのこと、距離短縮で出脚が鈍りそうなソリタリーキングや、出遅れグセのあるフレイムオブピースも買いづらい。
逆に、ものすごく買いやすいのが、前走でハナに行っているバーディバーディ。先行馬は多いがハナに行きたい馬はまったく登録しておらず、逃げる気になれば簡単に逃げられそう。あとは、逃げる気になれば逃げられる可能性があるジョヴァンニも、マークしておく必要がありそうだ。
あとは順当に「好位から競馬できる実績馬」であるニホンピロアワーズ、ホッコータルマエ。逃げ馬と先行馬だけを徹底的に狙うスタンスが、ここでは功を奏するはずである。
※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010以降が集計対象