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前哨戦にスポットを当てて皐月賞のヒントを探ってみます

  • 2013年04月13日(土) 12時00分
 いやぁ、桜花賞は難しかったですね。

 アユサンは東京デビューの1勝馬。東京でデビューした馬の桜花賞制覇は87年のメジロラモーヌ以来27年ぶり、1勝馬の優勝は95年のワンダーパフューム以来18年ぶりだそうです。最近の傾向からすれば、まず頭には狙いにくい馬が勝っちゃいました。

 さて今週は皐月賞。これまた難解な一戦です。先週同様、前哨戦の結果にスポットを当ててヒントを探ってみましょう。

 皐月賞の前哨戦と言えば、弥生賞とスプリングS。若葉Sや毎日杯なども“ルート上”にあるとは言え、(一部の年を除いて)本番と同じコースで行われるこの2レースはたいへん重要です。

 今年の弥生賞は6番人気のカミノタサハラが勝ちました。1989年以降、同レースを5番人気以下の馬が勝ったのは、92年のアサカリジェント(6番人気)、去年のコスモオオゾラ(9番人気)に次いでこれがわずか3回目。弥生賞は上位人気馬が勝つことが多く、ここ25年で1番人気馬が10勝、2番人気馬が9勝しています。

 問題はその結果と本番との関係。89年以降に弥生賞と皐月賞を連勝した馬は3頭(01年アグネスタキオン、05年ディープインパクト、10年ヴィクトワールピサ)しかいません。そして、この3頭はいずれも弥生賞を1番人気で勝っていました。堅い結果になることが多い弥生賞ですが、これを勝って皐月賞も制覇となるとなかなか難しく、1番人気で勝った馬でも(皐月賞に出なかった馬も含め)勝率3割。2番人気以下で勝った馬では本番を勝てない、ましてや6番人気では、ということになるのですが・・・。

 もう1つ、弥生賞で1番人気に推されながら敗れた馬が皐月賞を制したのは、なんと1966年のニホンピローエース(弥生賞2着)と96年のイシノサンデー(同3着)だけ。前例がないわけではないと言っても、30年に1回あるかないかのことなのです。

 次にスプリングS。こちらの勝ち馬は、89年以降で5回、皐月賞を制しています。そのうち3回がスプリングS1番人気1着→皐月賞制覇というもの(94年ナリタブライアン、09年アンライバルド、10年オルフェーヴル=この年は東日本大震災の影響によりスプリングSは阪神、皐月賞は東京で開催)。今年のスプリングSは1番人気のロゴタイプが勝ちました。最近の傾向だけで考えれば、この馬のほうが弥生賞の勝ち馬より“優勢”と言えそうです。

 実は、92年に今年と同じ6番人気のアサカリジェントが弥生賞を制したとき、皐月賞では朝日杯、スプリングSを連勝してきたミホノブルボンが優勝、アサカリジェントは弥生賞2着のスタントマンと同着の3着でした。ますますロゴタイプ、と思っちゃいませんか?(それでもカミノタサハラから馬連を買う予定の私は、何を考えているんでしょう)

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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