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今年こそは順当決着なのか!?/天皇賞・春

  • 2013年04月24日(水) 18時00分
■天皇賞・春(G1・京都芝3200m)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】京都芝3200m Cコース使用

※以下は京都芝2400m以上の「外回り」を集計対象としています

・全体回収率
 [高め] 単勝105%・複勝80% 人気薄の激走例が多く波乱傾向アリ

・馬連万馬券出現率
 [低め] 9.1%(平均値▼2.9% 馬連平均配当4645円)

・枠番別複勝率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率10.7% 連対率16.1% 複勝率26.8% 複回率286%
 [3枠〜6枠] 勝率 4.5% 連対率 8.9% 複勝率13.4% 複回率60%
 [7枠〜8枠] 勝率 3.9% 連対率11.7% 複勝率15.6% 複回率46%

・脚質別信頼度
 先行>差し>>逃げ>>>追込 直線一気はまず決まらない

・推定ラップ&タイム
[瞬発]36.7-122.6-35.2=3.14.5 今年は中盤でかなり緩む可能性が高そう

 京都芝3200mは天皇賞・春の専用コース。つまりコースデータ=レースデータであるため、この両者を別個に考える必要がない。とはいえ、レースデータだけで分析を行うというのは、あまりに内容が薄い。そこで今回は特別に、京都芝中長距離の「外回り」にスポットライトを当ててみた。

 1番人気馬は勝率27.3%、連対率54.5%と悪くない成績。これは16頭立て以上の多頭数でも変化はなく、その信頼度はなかなかのものだ。しかし、昨年の覇者ビートブラックのように、時として超人気薄の激走が見られるのが当コース。16番人気1着や17番人気2着など、激走例は枚挙にいとまがないほどで、超高配当を狙うのに適しているコースとも言えそうである。

 この条件で最も特徴的なのは「脚質」だ。直線の長い外回りコースだが、これがちょっと驚いてしまうほど差せないのだ。いかに前有利かを物語っているのが「4角を7番手以下で回った馬」を対象としたデータ。2010年以降に16頭立て以上で行われたレースで、この条件に該当したのが156頭。しかし、ここから1着に来た馬は1頭たりとも存在しない。差し&追い込み脚質を1着で狙うのは、きわめてリスキーと言えよう。

 あとは、内枠の期待値が異様に高いのも注目したいポイント。複勝率ベースで比較しても数値は確実に高く、人気薄での激走例も多い。コース形態としてそこまで内有利だとは思わないが、コーナーを回る回数が増えれば増えるほど、外を回らされる馬の距離損が大きくなるのは自明の理。内枠に入った逃げ・先行馬は、必ずチェックしておきたい。

【レース基本情報】天皇賞・春(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝3625円 馬連2万4222円 3連複8万6262円

・1番人気馬成績
 [1-0-2-7] 勝率10.0% 連対率10.0%・複勝率30.0%

・3番人気以内馬成績
 [4-4-3-19] 勝率13.3% 連対率26.7%・複勝率36.7%

・10番人気以下馬成績
 [4-3-2-76] 連対率7.2% 複勝率8.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 20.0% [先行] 20.0% [差し] 50.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 43.3% [差し] 46.7% [追込] 0% [マクリ] 3.3%

・年齢別成績
 [4歳馬] 5-3-3-44 連対率14.5% 複勝率20.0%
 [5歳馬] 3-3-6-31 連対率14.0% 複勝率27.9%
 [6歳馬] 2-2-1-28 連対率12.1% 複勝率15.2%
 [7歳以上馬] 0-2-0-40 連対率4.8% 複勝率4.8%
 ──────────────────────────
 [5歳以下馬] 8-6-9-75 連対率14.3% 複勝率23.5%
 [6歳以上馬] 2-4-1-68 連対率 8.0% 複勝率 9.3%

・枠番別成績
 [1枠] 3-0-1-15 連対率15.8% 複勝率21.1%
 [2枠] 0-1-2-16 連対率 5.3% 複勝率15.8%
 [3枠] 2-0-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [4枠] 1-0-1-18 連対率 5.0% 複勝率10.0%
 [5枠] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [6枠] 2-1-4-13 連対率15.0% 複勝率35.0%
 [7枠] 0-2-1-24 連対率 7.4% 複勝率11.1%
 [8枠] 1-5-1-21 連対率21.4% 複勝率25.0%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-2-0-35 連対率12.5% 複勝率12.5%
 [栗東] 7-8-10-105 連対率11.5% 複勝率19.2%

・主要ステップ
 [大阪杯] 3-3-2-18 連対率23.1% 複勝率30.8%
 [阪神大賞典] 3-1-4-46 連対率7.4% 複勝率14.8%
 [日経賞] 1-5-2-34 連対率14.3% 複勝率19.0%
 [大阪ハンブルグC] 1-1-1-21 連対率8.3% 複勝率12.5%
 [それ以外] 2-0-1-24 連対率7.4% 複勝率11.1%

・注目出走パターン
 [買い] 前走中央G2で1番人気1着(勝率30.0%、複勝率60.0%)
 [買い] 外国人ジョッキー騎乗馬(複勝率42.9%)
 [不振] 日経賞3着以下からのローテ(複勝率3.8%)
 [全滅] 前走4番人気以下かつ3着以下の6歳以上馬(0-0-0-41)
 [全滅] 馬番18番(0-0-0-7)

 1番人気馬の[1-0-2-7]という徹底的な弱さはよく知られているところで、過去10年で人気に応えたのはディープインパクトのみ。対照的に絶好調なのが4勝をあげている10番人気以下馬で、トータル[4-3-2-76]と9回もの馬券絡みがある。ゴールドシップという確固たる中心馬がいる今年でさえも、何が起こるかわからないレースである。

 まずは脚質面だが、後方に置かれると厳しいのはコースデータの項で述べたとおり。4角を10番手以下で通過した馬は[0-1-2-71]と超期待薄であり、昨年のウインバリアシオンのように届くパターンは非常に珍しい。4角を7番手以内で回れるポジションでなければ、勝ち負けは難しいと考えるべきだ。

 続いて年齢だが、これは5歳以下馬が圧倒的優勢。注目出走パターンにもあげたが、前走で馬券に絡めていない6歳以上馬は、ほぼノーチャンスといっても過言ではない。中心に据えるべきは、イキのいい5歳以下馬だと断言しよう。ステップは阪神大賞典組よりも大阪杯組のほうが信頼できる傾向も、今年は大阪杯から出走する馬が少なく、扱いが難しいところか。

 今回取りあげた注目出走パターンは5つ。アテになるパターンが少ないレースだが「前走中央G2で1番人気1着」という条件を満たす馬なら、ソコソコ信頼できそうだ。また、この春もG1戦線を荒らし回っている外国人ジョッキーにも注目。ここは意外にマークが薄くなりそうだが、後で嘆かないためにも、押さえておいて損はない。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 レッドカドー陣営が「硬い」を連呼。想像以上の高速馬場化もありうる。

・天候予測
 週末まで好天のまま推移しそう。パンパンの良馬場となる可能性が大。

・勝利数トップ種牡馬(京都芝外回り2400m以上)
 ディープインパクト 勝率20.0% 連対率35.6% 複勝率48.9%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、トニービンを内包する配合馬

 まずは小ネタから。昨年はトニービンを内包する馬が掲示板を独占して話題を集めたが、さすがにあの結果はデキすぎ。とはいえ、平坦の芝長距離という条件に向く血統なのも事実であり、「もう一発」に賭けてみるのも一興。多少なりとも人気になるのはアドマイヤラクティ(父ハーツクライの母父がトニービン)くらいのもので、あとはかなり人気薄となりそう。爆穴狙いのスタンスなら「アリ」か。

 気になるステイゴールド産駒の成績だが、当コースでの成績は正直なところイマイチ。京都芝の外回り2400m以上でも「人気馬しか来ない」といった印象で、コース適性が高いという印象はまったくない。同条件下での複勝率が48.9%もあるディープインパクト産駒と比較すると、それこそ月とスッポン。そういう意味でも、地力や実績で勝るゴールドシップやフェノーメノがどういう結果を出すか、非常に興味深い。

 あとは「馬場」について。先週も芝をかなり短く刈り込んでいた印象で、G1開催日らしい超高速馬場を作ってくる可能性アリ。また、東京の馬場をこなした実績のあるレッドカドー陣営が、しきりと「馬場が硬い」とこぼしているのも気になる。週末まで好天が続くとなると含水率も低く、いつも以上に前が止まらない馬場となるかも。人気薄の前残りを、徹底的に警戒すべきだろう。

★総論×各論

 ……と、ここまでさんざん荒れそうなことを言ってきておいてアレだが、このメンバーでゴールドシップが4着以下になるケースはさすがに考えにくい。ヒシミラクルを彷彿させるほどズブい馬だが、エンジンさえかかれば最後までタレないのだから、鞍上も自信を持って早めに仕掛けてくるはず。4角で前を射程圏に入れられさえすれば、アッサリ勝ち負けだろう。

 ただ、高速馬場で前が止まらない状況になれば、フェノーメノのほうが信頼度は上。前々でレースを運べるというのは、当コースでは非常に大きなプラス材料だ。超高速馬場だったダービーでゴールドシップに先着した実績もあり、昨年の天皇賞・秋では素晴らしいパフォーマンスを披露したこともある馬。逆転の期待を込めて、ここはこちらを最上位評価としたい。

 三番手には外国馬レッドカドー。今年の天皇賞・春は。完全な二強対決の図式となっているが、香港ヴァーズ1着、ドバイワールドCでも2着という実績は、そこに割って入るだけの資格を十分に有するもの。昨年のジャパンCで33秒4の上がりを使えており、日本の芝適性をそれなりに証明済みというのも大きい。オッズ次第では、ここから入って振り回す手もありそうだ。

 以下は、トーセンラーカポーティスターデスペラードという評価順。今年は久々に「強い馬が強いレースを見せる」春の天皇賞になるというのが、現時点での見立てである。いたって順当で面白味に欠ける評価になってしまったが、今年は徹底先行型の馬が見当たらず、かなりタルい流れになりそうというのも大きな理由。カポーティスターあたりが思い切った手に出てくれると面白いのだが、そのあたりは当日の馬場や気配をを見てから考えてみたい。

■青葉賞(G3・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録23頭

 今年はレッドレイヴン、ダービーフィズ、サトノノブレスなどが人気を集めそうな青葉賞。データを見ていてまず気付くのが、好走馬が「中4週〜中8週」での出走に集中しているという点である。

 連闘〜中3週での出走馬はトータル[1-2-4-76]で連対率3.6%、複勝率8.4%と、かなりの低信頼度。また、中8週よりも長いローテで出走する馬も[0-1-0-9]とイマイチな成績に終わっている。それに対して、中4週〜中8週での出走馬は[9-7-6-56]で複勝率28.2%と、けっこうな高信頼度。勝ち馬は、9年連続でこのパターンに該当している。

 さらに有望なのが「前走でOP特別&重賞に出走していた」中4週〜中8週の馬で、こちらは[9-5-4-32]で連対率28.0%、複勝率36.0%という高い数値をマーク。しかも、今年の登録馬でこの条件を満たすのは、たったの3頭しかいない。「前走10着以下」というマイナス材料があるアルヴェロンは少し割り引くが、サトノノブレスダービーフィズの2頭は文句なしに「買い」だ。

 逆に、長期休養明けのレッドレイヴンは疑ってかかりたいところ。ここを嫌いつつ、アドマイヤスピカ、ヒラボクディープ、ラストインパクト、マイネルマエストロ、メイショウブシンまでの5頭に流す馬券で勝負したい。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010以降が集計対象

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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