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ゴールドシップの鉄板度と仕返し競馬

  • 2013年04月25日(木) 12時00分
天皇賞

前走馬体重502(ごーまるに)の馬を追い続けること今年で4年目。
ついに!
ついに「時は来た!」。

ゴールドシップ 前走馬体重502

うほ!
頼もしい!
これで当日+2キロまでなら、
鉄板じゃないか!!

やったー!

とはいえ、

とはいえですよ!

去年は前走502の7人気のクレスコグランドが増減0で出走してきた。
でも結果は18着大惨敗!
世間は1人気のオルフェーヴルで撃沈した人が多かったかもしれないけど、自分はクレスコグランドで沈没した。ブクブクブク。おら、あまちゃんだ!

そして沈みながら耽った。
そもそも502にこだわることが無意味ではないのか…。

早く気づけよ!って話ですかぁー?
話ですよねぇー!

でも自分は気づかなかった。気づけなかった。気づかないふりをしていた。
どれでもいい。
とにかくゴールドシップの前走馬体重502を見てしまっては、もはや今年も気づいてなんていられない。
今年こそ奪い取る! おら、ウニが獲りてぇ!

で、ここでおさらい。

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天皇賞春の馬体重と502について。
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■天皇賞・春は馬体重プラス2キロまでの馬が超圧倒的に走る。

馬券圏内で見ると、過去10年で30頭中29頭が前走からプラス2キロ以内。

マイナス馬 19頭
プラマイ0馬 4頭
プラス馬 7頭

プラス馬は7頭中6頭が+2キロ、1頭がプラス6キロ(リンカーン2着)。

つまりマイナス・0・プラス2キロまでの馬で馬券圏内率.966を占めることになる。これは長距離戦特有の仕上げにも思えるけど、菊花賞はプラスの馬が健闘しており(過去10年で+4キロ以上の圏内ホースは天皇賞1頭、菊花賞12頭)、これが古馬3200のG1特有の厳しさや伝統なのかもしれない。

ちなみに今回は過去20年も検証してみた。
全60頭中、
マイナス馬 40頭
プラマイ0馬 8頭
プラス馬  12頭

プラス2キロ以上で圏内に入った馬はわずかに2頭。10頭は+2キロだった。
(プラス2キロ以上馬は前述した+6で2着したリンカーンと408から+10で2着したステイゴールドのみ。)

つまり、+2キロまでに占める割合は.966。
過去10年でも、過去20年でも.966。
もはやこれは伝統と明言してもいいのではないか。

■502ホース

04年 2着ゼンノロブロイ 前走502(当日ー8)
07年 2着エリモエクスパイア 前走502(当日プラマイ0)
08年 1着アドマイヤジュピタ 前走502(当日ー8)
09年 1着マイネルキッツ 前走502(当日−8)
10年 8着フィールドベアー 前走502(当日+4)
11年 8着ペルーサ 前走502(当日+4)
12年 9着ナムラクレセント 前走502(当日+6)
   10着トウカイパラダイス 前走502(当日+6)
   18着クレスコグランド 前走502(当日プラマイ0)

502に着目し始めたのが10年からで、プラス2キロまでに収まったのが去年のクレスコグランド1頭。そういう意味では真の敗戦は去年1回のみ。とはいえ、それがシンガリ負けだと……とほほんにもほどがある。でも、該当馬のみ抽出すると印象はガラリと変わる。

04年 2着ゼンノロブロイ ー8
07年 2着エリモエクスパイア プラマイ0
08年 1着アドマイヤジュピタ ー8
09年 1着マイネルキッツ −8
12年18着クレスコグランド プラマイ0

真の該当馬成績(2−2−0−1)。
うむ、去年の敗戦だけで手放すには惜しい気がして来た。

というわけで、今年もう1回502ホースに注目してみる。
っていうかゴールドシップだからインパクトも何もない。当たり前っちゃー当たり前。
だから言える。ゴールドシップはプラス2キロまでなら鉄板だ!

では位置取りはどうか?
位置取りは、「プラス2キロまで」と同等かそれ以上に大事な項目で、チェックする必要は大。

なぜなら天皇賞春は菊花賞以上に最終コーナー(4角)の位置が大事なレースだからだ。

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菊花賞が4角10番手以内が1着するための絶対的条件だとすれば(過去20年で19頭1着)、
天皇賞春は4角8番手以内が1着するための鉄板的条件となる(過去20年で20頭1着)。
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去年、オルフェーヴルにはそれが出来なかった。

オルフェーヴル 16−16−17−14 11着

オルフェーヴルは菊花賞では勝つための位置が取れていた。
菊花賞 8−10−6−3 1着

だから天皇賞春でも同じような作戦を取ると思っていたし、取るつもりだったはず。
けれど出来なかった。あの頃のオルフェーヴルを取り巻いていた事情を加味すると致し方なしとはいえ、圧倒的1番人気であることも加味すれば、やっぱりガックリきたものだった。

今年のゴールドシップはどうであろう。
ある意味でオルフェーヴル以上にぶん回す競馬をしているように思える。

菊花賞 17−17−4−2 1着 
有馬記念 15−15−14−10 1着
阪神大賞典 8−7−4−3 1着

ここ3戦の競馬を見る限りでは、4角8番手以内は楽勝でできそう。っていうかどんなレースでもそういう競馬になりそう。

今年はビートブラックな競馬をしそうな馬もパッと見ではいない。
となると、安心してぶん回せる。

うむ!大丈夫だ。
今年こそ鉄板だ!
この10年で1番人気は1−0−2−7で、勝ったのはディープインパクトの1勝のみ。
そこは心配だ。
しかし過去10年でG1を含めて1番人気で4連勝して、天皇賞春に出走してきた馬は1頭もいない。ディープでも有馬記念では2着だった。
直近の臨戦はある意味で、あくまでもある意味でだけどディープ以上でもあり、この1番人気は過去10年でもっとも信頼できる1番人気とも言える。

やっぱり今年は万全だ。
間違いない。

今年の502は鉄板だ!

しか〜〜〜〜〜し。
ふだん1番人気馬に対して、鉄板だ!と考えた事のない自分にとっては、
これでもまだ不安だ。
鉄板じゃダメ。ド鉄板でないと!

というわけでゴールドシップのド鉄板な材料をもうちょっと集めてみる。

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最後方系からの大マクリ
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ゴールドシップはほぼこの形で菊花賞・有馬記念・阪神大賞典と3連勝した。

こういう言い方をしてはなんだけど、手の内を完全に見せ切っての3連勝とも言える。

1回2回ならばまだわかるけれど、3回連続でそうなったということは、次もそういう競馬をしてくるはず。今さら変えられないようにも思える。

そこまで戦法が見えていて、他の騎手は何も策を練らないのだろうか?

練るだろう。
さすがに練るだろう。

すべての陣営が策を練るとは思わないけれど(漁夫の利作戦の陣営もあるだろうし)、2〜3陣営くらいは勝つための策を練るのではないか? そう思っている。
っていうか、そのくらいしてもらいたい。

で、考えるわけです。
おそらくゴールドシップ陣営にとって、一番嫌な競馬は去年のビートブラックみたな競馬だろうと。
でも、今年は馬場的にも馬的にもそういう馬は見当たらない。
そもそもビートブラックだって菊花賞3着という裏付けがあった。今回逃げ先行しそうな馬にそういう裏付けのある馬は見当たらな……ん? 

あれ? フォゲッタブルは前走先行しているな…(2番手を進んで3着)。
先行馬のイメージはぜんぜんないけど、前走で先行したとあっては、しかも約3年ぶりの馬券圏内とあっては、今回も先行策を取ってくるような気がするぞ…。菊花賞2着の裏付けもあるし…。

鞍上は先行させて穴をあける名人の和田竜二!
この乗り替りからも、厩舎の意志みたいなのが見えるような見えないような…!
っていうか、厩舎は池江厩舎!
もしや去年のオルフェーヴルでしてやられた戦法を今年、フォゲッタブルでやり返してやる! そんな思惑が隠されてないか!?

ムムム…! だとしたら面白すぎる! 馬券はともかく闘いとして面白すぎる!

「おそらく今年は去年のようなことはない! だって馬場が違うもん!」

そんな空気が充満するならば、それはむしろ池江&和田コンビにとっては吉祥の可能性もある。

思えば、和田騎手はこの10年で2回馬券に絡んでいる(しかもそれ以前にテイエムオペラオーで2連覇もしている)。

05年 2着ビッグゴールド 14人気 1−2−2−1 
11年 3着ナムラクレセント 5人気 10−10−1−1

どちらも3角で先頭、もしくは番手競馬からの粘り込み。
どちらも1番人気がぶっ飛んで、05年は大荒れ、11年も中波乱を生んだ。
特に11年は先頭が入れ替わる出入りの激しい競馬で、和田騎手の2段階スパートもレースの混乱に拍車をかけた。
先行して、火を起こせそうな騎手、それが和田騎手ともいえる。

だとすると、池江師がフォゲッタブルの鞍上に初騎乗の和田騎手を配置させた意味は底知れない!! かもよ!!

ちなみに今年の展開は去年とは違って、スローになる可能性もある。
この10年で前半の入りがもっとも遅い2年は37.7秒の05年と37.8秒の11年。
そうどちらも和田マジックが炸裂した年。
スローにさえなれば、3角、いや向こう正面から和田マジックが炸裂しないとも限らない。

向こう正面といえば、ゴールドシップが仕掛け始めるホットスポット。
それを見越して、和田騎手も前方から仕掛け始めたら…

う〜〜む…どう考えても面白い。面白すぎる。まさかの2年連続! いや一昨年も変なレースだったから、よもやの3年連続! もないとは言えない。

和田騎手に釣られて、他の騎手たちも動き始めたら、それはそれで面白い。
そうそうゴールドシップのいいようにマクらせないぞー!
スローで流れて、みんなが3角あたりからスパートをし始めたら、ゴールドシップだっていつものようにはマクれまい。

とはいえ、どう上手く騎乗しても頭はないように思う。
和田騎手が火を起こした上記のレースも2着、3着だった。
勝ったのは安藤勝騎手のスズカマンボであり、藤田騎手のヒルノダムールだった。

混乱競馬の中でも勝つ騎手は名手系だった。

名手系といえば今回は、
岩田アドマイヤラクティ 5歳
戸崎ジャガーメイル 9歳
武豊トーセンラー 5歳
蛯名フェノーメノ 4歳
モッセ・レッドカドー 7歳

このあたりか。

天皇賞春はギリで7歳までが圏内と仮定すると、
岩田アドマイヤラクティ
武豊トーセンラー
蛯名フェノーメノ
モッセ・レッドカドー

この4人、この4頭。

岩田・武豊・蛯名の馬の作戦やら可能性については、いろいろなところで書かれている文献通りで、自分もその意見に賛成だからここでは割愛。

面白いのはモッセのレッドカドーではないか。

おそらくジャガーメイルが最も得意とする競馬場&コースは日本では京都3200のはず。
天皇賞春 5着・1着・4着の成績からそれは伺える。
そのジャガーメイルよりちょっと強いのがレッドカドー。

ジャパンカップ レッド 8着 ジャガー10着
香港ヴァーズ  レッド 1着 ジャガー2着

この関係が成立するならば、ジャガーが得意な京都3200でレッドカドーは同じように躍動する可能性もある。
ジャパンカップで審議時間が長くなったのはレース中不利を受けたモッセ騎手の猛抗議があったからとも言われており、もしかしたら、それは日本の芝の手応えを掴んでいたからかもしれない。

ドバイワールドカップでも内から猛追しての2着。
ダンロップ厩舎はスノーフェアリーの厩舎だから、内から縫える馬が多いかもしれない。だとしたら、ここでもまだわからない。少し馬場がシブったら、まだわからない度は増しそうだし、馬群を縫ってくるかもしれない。

というわけで、今年の天皇賞春は、
「池江厩舎&和田騎手の去年の仕返し競馬」と「モッセ&レッドカドーのもしかしたら日本では3200Mが適性っすか?」をお楽しみの材料としてみる。 

ゴールドシップのド鉄板の材料を探すつもりだったけれど、自分にはそういうのは無理なので諦めた。鉄板で十分。もちろん+4キロ以上だったら、他の馬の単を買うつもりだ。

天皇賞春
+2キロまでで鉄板、っていうか絶対勝って!・ゴールドシップ
お楽しみ・フォゲッタブル&レッドカドー

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5月2日に競馬王のPOG本が発売されます。
今年の目玉は特別付録の「種牡馬別・馬体メジャー」。このシートを馬体写真にあてると、POG期間内で活躍してくれそうな理想の馬体が判定できるそうです。種牡馬はディープやキンカメといった主要種牡馬6頭分。戦力となりそうな種牡馬はだいたい賄えそうです。今年もディープはやや控えめという噂もあり、そういう意味でもこの馬体メジャーは幅広く活躍しそうです。
先の皐月賞でもロゴタイプ・エピファネイア・コディーノを順番どおりに推奨した実績もあり、最後の決断に一役買ってくれそうです。

競馬王のPOG本2013-2014

競馬王のPOG本2013-2014

『競馬王のPOG本2013-2014』5月2日発売!!
 ブエナビスタ・ローズキングダム・レーヴディソールと3年連続で2歳チャンピオンの座を射止めた『競馬王の表紙の“毛”』。今年も熟考を重ねて決定しました。あの“大器”の妹です。ノーザンF・中尾事務局長が「なんじゃ、こりゃ」と、その成長ぶりに舌を巻く同馬の正体は!? また、「馬体の見方が分からない」という声に応え、綴じ込み付録「馬体メジャー」を導入。シートを馬体写真に重ねるだけで、その種牡馬の“走る形”“POGで稼ぐ形”かが一目瞭然となるスグレモノです。

 大好評の「栗山ノート」では、栗山求氏が新種牡馬2頭を含む、15種牡馬125頭の“最強配合”を大公開。恒例の馬主インタビューでは、ウイニングチケット、エイジアンウインズ、ローマンレジェンドの太田美實オーナーに、グリーンチャンネルパドックキャスター・矢作麗さんがお話を聞きました。グラサン師匠の鉄板競馬POG特別編は、昨年に引き続き追分ファームリリーバレー。第二のリグヴェーダ師匠を見つけるべく、現地に赴き、圧巻の施設と充実の2歳馬について直撃取材を敢行しました。

 山野浩一の新種牡馬診断・横手礼一の「産地馬体検査メモ」、昨年ロゴタイプの推奨に成功した美野真一による「穴馬一本釣り」、吉田竜作、井内利彰らによる調教師インタビュー、棟広良隆の矢作師&マイケルオーナーインタビューなどなど今年も盛りだくさんの内容で、どのPOG本よりも多い圧巻の288ページでお送りします。競馬王POG2013-2014の応募ハガキも付いています!

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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