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混合戦からのローテを狙うべし!/ヴィクトリアマイル

  • 2013年05月08日(水) 18時00分
■ヴィクトリアマイル(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録24頭

【コース基本情報】東京芝1600m Bコース使用

※今回は2008年以降に行われた「牝馬限定戦」だけを集計対象としています

・コース回収率
 [やや高め] 単勝78%・複勝81% 中穴〜大穴がコンスタントに馬券絡み

・馬連万馬券出現率
 [高い] 18.4%(平均値△6.4% 馬連平均配当8363円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率5.5% 連対率11.4% 複勝率20.0% 複回率98%
 [3枠〜6枠] 勝率6.8% 連対率13.9% 複勝率20.5% 複回率109%
 [7枠〜8枠] 勝率4.5% 連対率 8.3% 複勝率10.8% 複回36%
 →外枠の信頼度が極端なまでに低いので要注意

・脚質別信頼度
 先行≧差し>>追込>>逃げ 混合戦以上に逃げ粘れない印象

・推定ラップ&タイム
 [底力] 34.0-23.8-34.6=1.32.4 序盤〜中盤からけっこう速く厳しいラップ

 東京芝1600mのコースデータについては先週、NHKマイルCの分析原稿で取りあげたばかり。2週連続で同じことをやっても意味がないので、今週はちょっとひねって、当コースにおける牝馬限定戦だけを対象に分析してみたい。

 まず驚いたのが、牝馬限定戦になると荒れる確率が一気に跳ね上がること。全体でも、馬連万馬券の出現率は18.4%と非常に高く、16頭立て以上で行われたレースではなんと23.6%と、全体の4分の1近くで馬連万券が飛び出している。牝馬限定戦が荒れるというのはよく言われることだが、それにしてもこの数値は高い。

 また、外枠となる7枠〜8枠の信頼度が非常に低いのも、牝馬限定戦で目立っているポイント。牡馬混合でも外枠の期待値が低めではあったが、16頭立て以上のレースでは、内枠〜中枠に対して複勝率ベースで10%前後も見劣るという、かなり極端なデータが出ている。牡馬よりも繊細な牝馬だけあって、外枠の不利がより響く結果となっているようだ。

 また、ヴィクトリアマイルは牝馬限定戦としては、かなり厳しいラップが刻まれやすいレース。推定ラップのように序盤〜中盤が速い前傾の流れになると、先行して残すにはかなりの底力が要求される。差しが決まって当たり前の話であり、追い込み馬が大外一気を決めてもおかしくないのは、頭にしっかり入れておくべきだろう。

【レース基本情報】ヴィクトリアマイル(G1) 過去7年
・レース平均配当
 単勝1316円 馬連6707円 3連複4万3130円

・1番人気馬成績
 [2-2-0-3] 勝率28.6% 連対率57.1%・複勝率57.1%

・3番人気以内馬成績
 [4-3-2-12] 勝率19.0% 連対率33.3%・複勝率42.9%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-1-59] 連対率3.2% 複勝率4.8%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 28.6% [差し] 71.4% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 9.5% [先行] 33.3% [差し] 42.9% [追込] 14.3%

・枠番別成績
 [1枠] 1-2-3-8 連対率21.4% 複勝率42.9%
 [2枠] 1-1-1-11 連対率14.3% 複勝率21.4%
 [3枠] 2-0-0-12 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [4枠] 0-0-0-14 連対率 0% 複勝率 0%
 [5枠] 0-1-1-12 連対率 7.1% 複勝率14.3%
 [6枠] 2-0-0-12 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [7枠] 0-1-1-18 連対率 5.0% 複勝率10.0%
 [8枠] 1-2-1-17 連対率14.3% 複勝率19.0%
 ──────────────────────
 [1枠〜3枠] 4-3-4-31 連対率16.7% 複勝率26.2%
 [4枠〜6枠] 2-1-1-38 連対率 7.1% 複勝率 9.5%
 [7枠〜8枠] 1-3-2-35 連対率 9.8% 複勝率14.6%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 4-1-1-39 連対率11.1% 複勝率13.3%
 [栗東] 3-6-6-65 連対率11.3% 複勝率18.8%

・年齢別成績
 [4歳馬] 5-6-3-53 連対率16.4% 複勝率20.9%
 [5歳馬] 2-1-2-27 連対率 9.4% 複勝率15.6%
 [6歳馬] 0-0-2-17 連対率 0% 複勝率10.5%
 [7歳上] 0-0-0-7 連対率 0% 複勝率 0%

・主要ステップ別成績
 [マイラーC] 2-0-1-6 連対率22.2% 複勝率33.3%
 [阪神牝馬S] 1-3-2-36 連対率 9.5% 複勝率14.3%
 [中山牝馬S] 1-1-2-7 連対率18.2% 複勝率36.4%
 [福島牝馬S] 0-1-0-31 連対率 3.1% 複勝率 3.1%
 [上記以外R] 3-2-2-24 連対率16.1% 複勝率22.6%
 ─────────────────────────
 [前走牝馬限定] 2-5-4-79 連対率 7.8% 複勝率12.2%
 [前走牡馬混合] 5-2-3-25 連対率20.0% 複勝率28.6%

・前走距離別成績
 [1200m] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [1400m] 1-3-2-41 連対率 8.5% 複勝率12.8%
 [1600m] 3-0-3-11 連対率17.6% 複勝率35.3%
 [1800m] 1-2-2-41 連対率 6.5% 複勝率10.9%
 [2000m] 0-1-0-4 連対率20.0% 複勝率20.0%
 [上記外] 2-1-0-4 連対率42.9% 複勝率42.9%
 ──────────────────────
 [1400m以下] 1-3-2-44 連対率 8.0% 複勝率12.0%
 [1600m以上] 6-4-5-60 連対率13.3% 複勝率20.0%

・注目出走パターン
 [特注] 前走芝マイル戦で4着以内(連対率30.0%、複勝率50.0%)
 [買い] 前走で牡馬混合の重賞に出走(複勝率29.4%)
 [買い] 前走3着以内の4歳馬(複勝率38.1%)
 [全滅] 前走牝馬限定戦で5番人気以下かつ3着以下(0-0-0-32)
 [全滅] 前走で阪神牝馬Sに6番人気以下で出走(0-0-0-18)
 [全滅] 前走が国内G1である馬(0-0-0-5)
 [不振] 連闘〜中2週での出走(複勝率2.4%)
 [不振] 福島牝馬Sからのローテ(複勝率3.1%)
 [不振] 馬体重459キロ以下馬(連対率5.6%、複勝率11.1%)
 [不振] 前走中央のレースで上がり順位2位以内(連対率0%)


 まずは脚質面から。かなり厳しいラップが刻まれるレースなのは前述したとおりだが、それもあってか、勝ち馬の71.4%が「差し」脚質という、かなり極端なデータが出ている。馬券絡みの確率も最も高いことから、かなり差し優勢なレースだと考えていい。1着候補を差し・追い込み脚質に限定する手が有効に機能するはずだ。

 続いて枠番だが、これはもう明らかに内枠優勢。コースデータでも「外枠不利」という傾向が出ていたが、レースデータでは中枠もイマイチな成績であり、狙うなら断然、内枠がオススメ。1枠〜3枠に入った馬は、人気薄でもしっかりチェックしておきたい。

 そして年齢。基本的には若くて勢いのある馬が強い傾向にあり、6歳以上馬はトータル[0-0-2-24]と期待薄。また、前走で1400m以下戦に出走していた馬も、連対率8.0%、複勝率12.0%と、信頼度が低めとなっている。狙うなら、前走がマイル〜中距離戦だった馬のほうがオススメだ。

 その他にもアレコレと傾向は出ているが、何よりも重要なのは、牡馬と戦ってきた馬か否かという点。いささか極端な例になるが、「牝馬相手の圧勝」よりも「牡馬相手の惜敗」を高く評価すべきレースと言えるかもしれない。前走、牝馬限定戦で完敗しているような馬に巻き返しはほぼ期待できないが、それが牡馬相手であれば話はまったく別。前走で混合戦に出走していたというだけで「買い」と言えてしまうほどである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 Bコース替わりで予測が難しいが、やや前有利となる可能性アリ。

・天候予測
 土日いずれも降水確率が高そう。かなり渋った馬場となるケースも。

・勝利数トップ種牡馬(対象は牝馬のみ)
 キングカメハメハ  勝率13.7% 連対率23.3% 複勝率37.0%

・著者の注目血統
 キングカメハメハ産駒、ディープインパクト産駒

 こちらも当コースで走った牝馬だけを対象に分析してみたが、もうフツーにキンカメ産駒とディープ産駒が強いという、当たり前の結論に。意外なところでは、ファルブラヴ産駒も[4-5-1-18]で連対率32.1%と、当コースを大の得意としている。ファルブラヴ×エルコンドルパサーという配合のアイムユアーズは、血統の字面だけなら超抜。とんでもなく高いコース適性を秘めている可能性もありそうだ。

 逆にイマイチなのが[2-2-0-37]のアグネスタキオン産駒で、阪神牝馬Sを快勝して臨むサウンドオブハートについては、やや割り引いて考えたいところ。キンカメ×サンデーのアドマイヤセプターやアロマティコ、ディープインパクト産駒のヴィルシーナ、ジョワドヴィーヴル、ドナウブルーなどは、当然ながらプラス評価したい。

 問題はハナズゴールだが、こちらは血統背景については考えないほうがいい「鬼っ子」的な馬である様子。プラスでもマイナスでもない……といった灰色の評価にならざるをえないが、血統的に向くとは思えないのも事実。高く評価しすぎないように注意したい。

★総論×各論

 混戦というべきか混沌というべきか──面白くもあり難しくもあるメンバーがそろった今年のヴィクトリアマイル。何頭もG1馬がいるのに、それらがいずれも伏兵となりそうという時点で、一筋縄では当たらない気配がプンプン漂っている。

 ただ「牡馬と戦ってきた組」を重視すべきであるのは間違いなく、阪神牝馬Sで見せ場のなかった馬や福島牝馬S出走馬は、その時点で徹底的に嫌いたいほど。また、差し馬が優勢なレースであることは間違いないが、前走で最速〜2位の上がりをマークしていた馬だとイマイチという「適度な末脚のキレ」を要求するレースであるのも、重視したいポイント。あとは、雨による馬場悪化も念頭に置いて考えるべきだろう。

 ……というわけで、足したり引いたりを繰り返した結果、上位に浮上したのがレインボーダリアイチオクノホシヴィルシーナドナウブルーの4頭。イチオクノホシをのぞく3頭は、いずれも前走で牡馬を相手に走っている。最も高く評価したのはレインボーダリアで、休養明けの前走ではグランプリボス相手に0秒3差の7着と上々の走りを見せたのは大きい。それに、馬場の悪化も大歓迎のクチ。久々のマイル戦でこれだけの走りができるなら、昨年とはまったく違う結果が出せておかしくない。

 以下は、ハナズゴール、サウンドオブハート、マイネイサベル、アロマティコ、アイムユアーズといった評価順。あとはオッズ次第、枠番次第といったところか。内枠に入った馬のプラス評価、外枠に入った馬のマイナス評価をお忘れなく。

■京王杯スプリングC(G2・東京芝1400m)フルゲート18頭/登録44頭

 安田記念の最重要ステップレースながら、1番人気が[0-0-1-9]とコケにコケまくっている京王杯スプリングC。オッズが割れて押し出された1番人気が発生することが多かったとはいえ、さすがにこの成績はいただけない。今年のサダムパテック、ダイワマッジョーレについても、そうやすやすと信用はできなさそうだ。

 このレース攻略の要所は、逃げ・先行馬の扱い。結論から言ってしまうと、前走で前に行っていた馬が、よくもまあここまで……と思わずボヤいてしまうほど弱いのである。差し優勢な東京コースとはいえ、前走で4角を「4番手以内」で通過していた馬はトータル[0-3-3-42]で連対率6.3%と大不振。勝ち馬はすべて、前走でも差し、もしくは追い込むレースをしていた。つまり、ガルボ、シルポート、テイエムオオタカ、トウケイヘイロー、トライアンフマーチなどが1着に来るケースは、きわめて考えづらいのだ。

 あとは「前走OP特別組が弱い」「前走マイル組が強い」というのも顕著な傾向。その他のファクターも加味して考えていくと、人気サイドではサダムパテックとダイワマッジョーレが、人気薄ではオセアニアボスとフィフスペトルが狙い目という結果が導き出される。もっとも、1番人気馬がアテにならないのは冒頭で述べたとおりなので、ここはオセアニアボスフィフスペトルの穴馬2頭を、注目馬としてあげておきたい。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010以降が集計対象

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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