スマートフォン版へ

俺が勝つよ、俺が勝つよ、俺が勝つよ。じゃあ俺が勝つよ。どうぞどうぞ。

  • 2013年05月09日(木) 12時00分
----------------
はじめに。
----------------

「前走外国で走った馬が1番人気になったら連軸で鉄板」

去年のここで仮説としてこう書いた。つまり、

「前走外国で走らなかった馬が1番人気になったら連軸は危ない」

と言いたかったわけだ。

で、去年はどうであったか?
前走が阪神牝馬Sだったアパパネは1番人気で5着に敗れた。

ヴィクトリアマイルは歴史が浅く,過去7回しか開催されていない。
1番人気成績は(2-2-0-3)。
連対した4頭はウオッカとブエナビスタ。どちらも前走ドバイで走っての1番人気だった。
馬券圏外に敗れた3頭だって決して弱い馬ではなかった。ラインクラフト・カワカミプリンセス・アパパネ。みなG1ホースだ。少なくとも牝馬重賞では1番人気に応えて1着したこともあるような馬だった。アパパネにいたっては前年の覇者だ。
そんな馬たちが馬券圏外に敗れるのだから、東京マイルを1番人気で受けてたつのは牝馬には過酷なのだろう。
外国帰りの1番人気馬だけが連対しているということがそのことを間接的に証明しているのかもしれない。
外国に比べたら、あんた! 東京マイルの、しかも牝馬限定戦での1番人気なんて、あんた! チョロイチョロイ!?
つまり今年ならば、1番人気をまっとうできる馬はドバイ帰りのジェンティルドンナだけとも言える。

とはいえ、だからといって、「前走外国で走らなかった馬が1番人気になったら連軸は危ない」とは完全には言い切れない。競馬は相手あってのものだからだ。メンバーが弱ければ、勝ち負けの基準だって変化するからだ。

だから万全を期すために(←心はすでに1番人気は圏外に飛んでけ〜!)、
過去の1番人気と2番人気のオッズを比べてみた。

06年
1人気 2.4 9着
2人気 3.9 1着
(差1.5)←支持率を全体から出すのは面倒だから、単純に引いてみた。

07年
1人気 2.1 10着
2人気 4.0 9着
(差1.9)

08年
1人気 2.1 2着
2人気 6.1 5着
(差4.0)

09年
1人気 1.7 1着
2人気 7.1 8着
(差5.4)

10年
1人気 1.5 1着
2人気 5.7 4着
(差4.2)

11年
1人気 1.5 2着
2人気 4.1 1着
(差2.6)

12年
1人気 4.0 5着
2人気 5.1 16着
(差1.1)

連対した1人気は2人気に対して、2.6以上の差をつけていたことがわかる。逆に1人気で圏外にとんだ馬は2人気に対して差をつけられてないことがわかる。
さしあたって基準は2.0くらいか。

たとえばnetkeiba.comの予想オッズで見比べてみる(水曜日15時近辺)。
1人気 サウンドオブハート 3.9
1人気 ヴィルシーナ    3.9
おっと!奇しくも並んでいる。差は0。

つまり、現段階では1人気は危ない領域にいることがわかる!
あくまでも予想オッズだ。
だけれども、直感的に言わせてもらえば、今年は1人気馬が2人気馬に2.0以上の差をつけられるとは思えない。

仮説1「前走外国で走らなかった馬が1番人気になったら危ない」
仮説2「1人気馬が2人気馬を単オッズで2.0以上離せなかったら危ない」

2つの仮説から、今年も1番人気は馬券圏外の可能性十分と言える。やったー!

―――――――――――――――――
今年のヴィクトリアマイルは、いろんなものが充満していてスパイシーだ。
―――――――――――――――――

今年は馬というより馬上から香ばしい匂いが漂っている気がしてならない。
馬上とはもちろん騎手のこと。

ゴールドシップ、エーシントップで現在2週連続で1番人気で圏外に飛んでる内田博騎手(ヴィルシーナ)。★★★(スパイシー度)

先週突然、凱旋門賞=鞍上スミヨンが報道された池添騎手(サウンドオブハート)。★★★

エーシントップをソデにしてハナズゴールを選んだ以上は結果を出さないとかっこがつきにくい浜中騎手(ハナズゴール)。★★★

NHKマイルでよもやの出遅れで忸怩たる思いでいっぱいのはずの川須騎手(エーシンメンフィス)。★★★

これまた先週、ダービーのコディーノ=鞍上ウイリアムズが報道されて、自らの手腕では藤沢和調教師をダービートレーナーにすることが難しくなりつつある横山典騎手(メーデイア)。★★

中央所属後勝ちまくってはいるものの重賞は16連敗で、そろそろ勝って質量のバランスを取りたい戸崎騎手(アイムユアーズ)。★★

結婚以上に、サンデーRの馬でこそ結果を出したいはずの福永騎手(アロマティコ)。★★

去年、よもやの池添騎手への乗り替りで、実はこのレースへの思いが相当深いかもしれない太宰騎手(フミノイマージン)。★

これだけで8騎手。
う〜んスパイシーだ。っていうか混ぜたらすごいガラムマサラができそうだ。
(「外国人騎手には負けたくない」項目を追加すれば日本人騎手全員スパイシーといっても過言ではない。外国人騎手だって同じだ。勝てなきゃ誰からも依頼されなくなるし、日本にも呼ばれなくなる。でもそこまで入れたら毎回全員になってしまうのでここでは含めない。)

とはいえ香りは長持ちしない。ふたを開けたらあっという間にとんでしまう。だから急がないと。気持ちが張りつめてるときに嗅ぎ取らないと。

ガラムマサラだから上記した8種類を全部混ぜ込んで買えばそれでいいような気もするけれど、それも嫌いではないけれど、そういうのは最後の最後にワケがわからなくなったときまで取っておけばいい。
今はまだ週中だ。香ばしさの中から核となりそうなスパイスをできれば探したい。

たとえばサウンドオブハートは全成績(6-0-1-2)、ハナズゴールは(5-0-0-8)、フミノイマージンは(8-1-3-17)で、来るならば1着タイプのスパイシーさを持った馬たちだ。この3頭の1着付けから馬単を買う方法もある。

でも今年は飛び抜けた馬がいないからすべての関係者に少なからず色気が生まれる可能性もある。しかも絶対的に逃げそうな馬もいない。
エーシンメンフィスの川須騎手が先手を取りに来るかもしれない。けれどここ2戦あえて逃げない競馬をしてたようにも思える。先週出遅れたからといって、今度はロケットスタートで逃げるとも思えない。
横山典騎手がいわゆる注文をつけてくるかもしれない。ただ芝の1600で砂同様に簡単に先手を奪えるかはわからない。
もしかしたら思わぬ馬が逃げるかもしれない。

今回は展開が読みにくい。
勝ちたい気はあっても、それを内包して我慢に我慢を重ねあい、結果マイルにしては超スローになる場合もある。
その逆に前へ前への姿勢で仕掛けが前倒しになる可能性もある。
スパイシーゆえの牽制やぶつかり合い。

誰が逃げるんだよ?
俺が逃げるよ、俺が逃げるよ、俺が逃げるよ、じゃあ俺が逃げるよ。
どうぞどうぞ。
これがダチョウ逃げ。ヴィクトリアマイルのときにこれを持ち出す機会が多い。
つまり逃げ馬不在になりがちなのがヴィクトリアマイルか?
だけど、今年はなんか違う気がする。

むしろ、
誰が勝つんだよ!
俺が勝つよ、俺が勝つよ、俺が勝つよ、じゃあ俺が勝つよ。
どうぞどうぞ…しないっての! 俺が勝つっての!
そんな感じ。つまり収まりをつけにくい。

こういう場合はどう収まりをつければいいか?

こういう場合はむしろギラギラしてなくて、飄々と競馬をしそうな騎手から買うのも手かもしれない
スパイシーなものを最後の最後にラッシー(ヨーグルト)で全部洗い流してしまうような、さっぱりとした騎手の飄々とした操縦。

飄々……。

飄々といえば自分にはあの騎手しか思い浮かばない。

思えば5月の2週〜3週の週末、特に京王杯SC&ヴィクトリアマイルのある週を自分は善さんの交通安全週間と名付けて、善さんの交通整理を味わう週と決めている。

実際、過去のヴィクトリアマイルは善さんの交通整理が上手いこと発揮されている。

06年
コスモマーベラス 16人気 4着 柴田善 2-2-2

07年
アサヒライジング 9人気 2着 柴田善 1-1-1

08年
ヤマニンメルベイユ 13人気 4着 柴山 1-2-2
(柴田善騎手出走なし)

09年
ショウナンラノビア 7人気 3着 柴田善 1-1-1

10年
該当騎手なし

11年
該当騎手なし

12年
キョウワジャンヌ 11人気 4着 柴田善 7-5-5

柴田の善さんのいないときは柴山の雄さんが頑張っていた。柴だ。山に柴刈りだ。
善さん出走は4回で(0-1-1-2-0)。
人気を考えると驚異的だ。去年なんてスルーしてしまったらあわや3着とハナ差の4着だ!基本は交通整理だけに前方競馬だけど(柴山の雄さんも前方だった)、去年のことを思うと真ん中より前くらいからの整理もできそうだ。

善さん騎乗のレインボーダリアはエリザベス女王杯1着馬。実力の裏付けはある馬。

ただレインボーダリアにとってはマイルはやや忙しいかもしれない。
16成績(1-0-1-2)。
けれどそれを見越して前走、牡馬相手のマイラーズカップに出走したはず。
そこで差して0.3秒差の7着ならば練習台としては上々に思える。
過去のヴィクトリアマイルでも前走・牡馬相手だった馬は健闘している。外国馬帰りの1番人気馬に次ぐ、健闘具合でもある。

善さんを推せる要素はまだある。
週末の空模様だ。どうやら当日は雨模様。
これは心強い。馬にも騎手にも心強い。

以下は去年のエリザベス女王杯でレインボーダリアが勝利した晩に仕上がった善さんをG1で買うときの後押し材料。

雨 アゲ材料
重 アゲ材料
外枠 アゲ材料

ピュアブリーゼ オークス2着 直前に雨 8枠18番
ナカヤマフェスタ 宝塚記念1着 やや重 8枠17番
レインボーダリア エリ女1着 雨・重馬場 8枠15番

雨が降って、馬場が重くなって、8枠に入ってたら、もうやばいね。雨が上がってなくとも虹が見えそうだ。

しかも今年はもうひとり柴田騎手がいる。柴田の大騎手だ。
柴山騎手が代行したことがあるのだから、柴田の大さんが同じように代行してきてもおかしくない。

マイネイサベルは松岡騎手からの乗り替り。
この馬は今までは角4競馬より角2競馬が得意で、右回りよりも左回りが得意の馬だった。しかしこの春は角4競馬で1着、2着。しかも5番人気以下でないと馬券圏内に入ったことのなかった馬が前走は3番人気で2着した。馬自身の成長、もしくは今期の充実ぶりを感じさせる。

今回は得意のはずの左回りの角2競馬。柴田の大さんに乗り替るけれど、この馬は過去テン乗りの小牧騎手でも、津村騎手でも馬券圏内に入った馬。それほど心配指数は高まらないはず。
むしろ柴田の大さんは先週平地G1を勝って、今回は飄々さも期待できそう。

雨で善さん、晴れで善さんと大さん。そんな期待も持てる。

俺が勝つよ、俺が勝つよ、俺が勝つよ、じゃあ俺が勝つよ。
どうぞどうぞ………で、善さんが本当に勝ってしまう。

そんな飄々としたやりとりのメタファーが見られないかと期待している。

ヴィクトリアマイル注目馬
レインボーダリア(おそらくちょーどいい人気のはず)
マイネイサベル(理想は5人気以下)
アロマティコ(人気薄なら福永はいつの間にかいる系)


----------------------


5月2日に競馬王のPOG本が発売されました。
今年の目玉は特別付録の「種牡馬別・馬体メジャー」。このシートを馬体写真にあてると、POG期間内で活躍してくれそうな理想の馬体が判定できるそうです。種牡馬はディープやキンカメといった主要種牡馬6頭分。戦力となりそうな種牡馬はだいたい賄えそうです。今年もディープはやや控えめという噂もあり、そういう意味でもこの馬体メジャーは幅広く活躍しそうです。
先の皐月賞でもロゴタイプ・エピファネイア・コディーノを順番どおりに推奨した実績もあり、最後の決断に一役買ってくれそうです。

競馬王のPOG本2013-2014

競馬王のPOG本2013-2014

『競馬王のPOG本2013-2014』5月2日発売!!
 ブエナビスタ・ローズキングダム・レーヴディソールと3年連続で2歳チャンピオンの座を射止めた『競馬王の表紙の“毛”』。今年も熟考を重ねて決定しました。あの“大器”の妹です。ノーザンF・中尾事務局長が「なんじゃ、こりゃ」と、その成長ぶりに舌を巻く同馬の正体は!? また、「馬体の見方が分からない」という声に応え、綴じ込み付録「馬体メジャー」を導入。シートを馬体写真に重ねるだけで、その種牡馬の“走る形”“POGで稼ぐ形”かが一目瞭然となるスグレモノです。

 大好評の「栗山ノート」では、栗山求氏が新種牡馬2頭を含む、15種牡馬125頭の“最強配合”を大公開。恒例の馬主インタビューでは、ウイニングチケット、エイジアンウインズ、ローマンレジェンドの太田美實オーナーに、グリーンチャンネルパドックキャスター・矢作麗さんがお話を聞きました。グラサン師匠の鉄板競馬POG特別編は、昨年に引き続き追分ファームリリーバレー。第二のリグヴェーダ師匠を見つけるべく、現地に赴き、圧巻の施設と充実の2歳馬について直撃取材を敢行しました。

 山野浩一の新種牡馬診断・横手礼一の「産地馬体検査メモ」、昨年ロゴタイプの推奨に成功した美野真一による「穴馬一本釣り」、吉田竜作、井内利彰らによる調教師インタビュー、棟広良隆の矢作師&マイケルオーナーインタビューなどなど今年も盛りだくさんの内容で、どのPOG本よりも多い圧巻の288ページでお送りします。競馬王POG2013-2014の応募ハガキも付いています!

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング