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未知の魅力に賭けるべきなのか!?/安田記念

  • 2013年05月29日(水) 18時00分
■安田記念(G1・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録27頭

【コース基本情報】東京芝1600m Cコース使用

・コース回収率
 [やや高め] 単勝81%・複勝79% 中穴ゾーンの好走率が高く狙い目

・馬連万馬券出現率
 [標準] 12.7%(平均値△0.7% 馬連平均配当7420円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率5.1% 連対率12.1% 複勝率20.6% 複回率88%
 [3枠〜6枠] 勝率6.9% 連対率12.4% 複勝率18.3% 複回率90%
 [7枠〜8枠] 勝率4.8% 連対率10.2% 複勝率14.3% 複回率68%
 →内枠〜中枠は問題ナシも、外枠は期待値が低く割引が必要

・脚質別信頼度
 先行≧差し>逃げ>追込 勝率は差し馬、複勝率は先行馬が優勢

・推定ラップ&タイム
 [底力] 33.9-23.1-35.0=1.32.0 序盤〜中盤から一貫して速い底力ラップ

 東京芝1600mはイメージよりもかなり荒れやすいコース。今年の春G1だけを見ても、NHKマイルCが馬連2万馬券、ヴィクトリアマイルが8030円と、いずれも波乱決着となっている。また「上級条件の多頭数」のほうが荒れるのは、NHKマイルCの時に解説したとおり。全体での馬連万馬券出現率は12.7%だが、16頭立て以上のレースに限定すると、数値は一気に16.9%まで上昇。馬連平均配当も1万351円と格段に高くなる。

 また、外枠の期待値が低めなのも、このコースの要所だと言える。NHKマイルCでのインパルスヒーローのように、外枠からでも来ることは来る。とはいえ、内枠との比較で複勝率で6%以上、複勝回収率で20%もの大差が出ているのだから、マイナス材料であるのは間違いない。「外枠の先行勢」については、その扱いをとくに注意すべきだ。

 脚質については、複勝率が高いのが先行馬、1着率が高いのが差し馬という認識でオーケー。上級条件では差し馬が1着に来る確率がグッと高くなるので、脚質から着順を決め打ったフォーメーション勝負もアリだろう。とはいえ、ここまで流れが厳しくなると追走するだけでスタミナを奪われるため、そうそう差せないもの。過去にこういった厳しい流れで差した実績、先行して残した実績のある馬を、高く評価しておきたい。

【レース基本情報】安田記念(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝996円 馬連8019円 3連複4万923円

・1番人気馬成績
 [1-0-1-8] 勝率10.0% 連対率10.0%・複勝率20.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-2-2-21] 勝率16.7% 連対率23.3%・複勝率30.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [5-5-6-44] 勝率8.3% 連対率16.7%・複勝率26.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-3-2-85] 連対率3.3% 複勝率5.6%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 30.0% [差し] 60.0% [追込] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 26.7% [差し] 46.7% [追込] 23.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 1-0-0-1 連対率50.0% 複勝率50.0%
 [4歳馬] 1-4-2-36 連対率11.6% 複勝率16.3%
 [5歳馬] 1-3-3-53 連対率 6.7% 複勝率11.7%
 [6歳馬] 6-0-5-32 連対率14.0% 複勝率25.6%
 [7歳以上馬] 1-3-0-28 連対率12.5% 複勝率12.5%
 ────────────────────────
 [5歳以下馬] 3-7-5-90 連対率 9.5% 複勝率14.3%
 [6歳以上馬] 7-3-5-60 連対率13.3% 複勝率20.0%

・性別成績
 [牡馬] 8-9-9-131 連対率10.8% 複勝率16.6%
 [牝馬] 2-1-1-19 連対率13.0% 複勝率17.4%

・枠番別成績
 [1枠] 1-1-1-17 連対率10.0% 複勝率15.0%
 [2枠] 4-1-3-12 連対率25.0% 複勝率40.0%
 [3枠] 1-2-0-17 連対率15.0% 複勝率15.0%
 [4枠] 1-0-2-17 連対率 5.0% 複勝率15.0%
 [5枠] 0-2-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [6枠] 0-1-1-18 連対率 5.0% 複勝率10.0%
 [7枠] 2-1-0-27 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [8枠] 1-2-3-24 連対率10.0% 複勝率20.0%
 ───────────────────────
 [1枠〜3枠] 6-4-4-46 連対率16.7% 複勝率23.3%
 [4枠〜6枠] 1-3-3-53 連対率 6.7% 複勝率11.7%
 [7枠〜8枠] 3-3-3-51 連対率10.0% 複勝率15.0%
 ───────────────────────
 [1枠〜4枠] 7-4-6-63 連対率13.8% 複勝率21.3%
 [5枠〜8枠] 3-6-4-87 連対率 9.0% 複勝率13.0%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 5-3-5-53 連対率12.1% 複勝率19.7%
 [栗東] 4-6-3-77 連対率11.1% 複勝率14.4%
 [海外] 1-1-2-20 連対率 8.3% 複勝率16.7%

・主要ステップ別成績
 [京王杯SC] 2-3-1-44 連対率10.0% 複勝率12.0%
 [マイラーズC] 0-2-5-28 連対率 5.7% 複勝率20.0%
 ─────────────────────────
 [前走中央G1] 3-0-1-17 連対率14.3% 複勝率19.0%
 [前走中央G2] 3-6-7-79 連対率 9.5% 複勝率16.8%
 [前走中央G3] 0-1-0-12 連対率 7.7% 複勝率 7.7%
 [前走海外R] 2-2-2-22 連対率14.3% 複勝率21.4%

・注目出走パターン
 [買い] 前走での上がり3F順位が2位以内(複勝率28.3%、複回率127%)
 [買い] 前走1800m以上戦で3着以内(連対率25.0%)
 [全滅] 前走海外組をのぞく前走10着以下(0-0-0-20)
 [全滅] 前走6番人気以下かつ6着以下の日本馬(0-0-0-15)
 [全滅] 前走1200m以下戦出走(0-0-0-6)
 [不振] 前走京王杯SCで5着以下(複勝率5.0%)
 [不振] 前走での上がり3F順位が6位以下(連対率3.4%、複勝率8.6%)
 [不振] 馬体重459キロ以下馬(複勝率5.0%)
 [不振] 前走4角3番手以内で2着以下(連対率0%、複勝率8.7%)

 またしても1番人気馬が制したダービーとはうって変わって、安田記念は1番人気馬が[1-0-1-8]と、まったくアテにならないレース。単勝平均が3ケタに踏みとどまっているのは、2番人気〜4番人気が頑張っているからにほかならない。また、馬連8019円、3連複4万923円という平均配当を見てもわかるように、ヒモ紛れが多いのもこのレースの特徴。過去10年で3連複が万馬券とならなかったのは、1番人気のウオッカが制した09年の1回だけだ。

 脚質面はコースデータ同様に、かなり差し優勢。3着以内馬における逃げ・先行勢のシェアが3割を切っているのだから、前で粘るのはかなり難しいと考えるべきだろう。逆に差し・追い込み勢は、4角10番手以下からでも間に合うので、かなり乗りやすいはず。追い込み一辺倒という馬でも、2着〜3着であれば十分に期待できそうである。

 枠番は、[6-4-4-46]で複勝率23.3%をマークした1枠〜3枠を高評価したいところ。対照的に期待値が低いのが4枠〜6枠で、1枠〜3枠との比較では連対率、複勝率ともに半分以下。コースデータから外枠不利、レースデータから中枠不利という結論が出ているとなると、内枠は想像以上に有利だと考えられる。

 厩舎の東西や海外馬といった「籍」については、とくに気にする必要ナシ。関東馬や海外馬が好成績を残している数少ないG1であり、関西馬よりも上に考えたほうがいいほど。あとは、距離延長組よりも距離短縮組のほうが圧倒的に期待できること、ある程度の馬格がある馬のほうが期待できること、前走での上がり3F順位が取捨選択のファクターとして有効に機能することなども、ぜひ押さえておきたいポイントである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 差しがバンバン決まっていた先週の日曜日。今週も外差し優勢となりそう。

・天候予測
 週末にかけて降水確率かなり高め。重〜不良となる可能性もアリ

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率13.9% 連対率24.3% 複勝率36.5%
 シンボリクリスエス 勝率13.4% 連対率23.5% 複勝率32.8%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒、母父サンデーの配合馬

 先週からCコースとなったが、なぜか一気に差し馬場へとシフトした印象。日曜日に至っては、芝で行われた6レースのうち5レースを差し馬が、1レースを追い込み馬が制するという、かなり偏った結果となった。とくに好調だったのが「内枠に入った差し馬」で、これには今週も引き続き注目しておきたい。

 種牡馬別ではディープインパクト、シンボリクリスエスが双璧といえる存在。それに次ぐのがキングカメハメハで、その産駒は複勝率30.8%という非常に高い信頼度を誇っている。また、母父サンデーの配合馬も複勝率30.1%、複勝回収率101%と、期待値の高さはかなりのもの。ディープ産駒、キンカメ産駒と同様に高い評価を与えたい。

★総論×各論

 最強スプリンター・ロードカナロアがマイル路線に殴り込みをかける、今年の安田記念。香港からグロリアスデイズ、ヘレンスピリットが参戦し、グランプリボス、ショウナンマイティ、ダークシャドウなど迎え撃つ日本馬も強力な布陣。この春のG1でも屈指の名カードとなりそうな気配が、今からプンプンしている。

 まずは、ロードカナロアについての「各論」から。やはり気がかりなのが、近年まったく好走例のない「前走1200m戦からの出走」であることだ。過去にはアドマイヤコジーンが高松宮記念からのローテで1着に来ているが、1986年までさかのぼっても、それが唯一の連対例。しかもアドマイヤコジーンは「マイル>スプリント」の馬であり、マイル適性が不明なロードカナロアと同列に考えるべきではなさそうだ。

 となれば「消し」が妥当とも思えるのだが、過去に「前傾ではないスプリント戦」でも好走しており、距離延長に対する融通性を感じさせるのも事実。また、前走での上がり3F順位が1位であることや、差す競馬もできるセンスの良さ、血統といったプラス材料の豊富さも無視できない。よってここは、上位評価組として扱いたい。

 同様にショウナンマイティも、上位評価となった1頭。距離経験のなさや、下手したら最後方からの競馬になるという懸念材料もあるのだが、「前走最速上がりの距離短縮組」であるのは、高く評価してしかるべきポイント。あとはダイワマッジョーレグランプリボスの2頭も、上位評価組とした。

 以下も大混戦だが、グロリアスデイズ、カレンブラックヒル、ヴィルシーナ、ダークシャドウというのが評価順。あとは、どの馬が内枠を引くかと、どのような人気となるか次第だ。コースデータ、レースデータともに波乱傾向が強いという結論が出ているので、もっと穴方向に振ってもいいかも。その場合は、意外に配当がつきそうなダイワマッジョーレから流す馬券での勝負をオススメしたい。

■鳴尾記念(G3・阪神芝2000m内)フルゲート16頭/登録21頭

 昨年からまた条件が変わり、内回りの2000mで開催されるようになった鳴尾記念。昨年のレースデータだけではお話にならないので、コースデータ主体で攻めてみるとしよう。

 まず目立っているのが、妙に人気馬が強いコースだということ。5番人気以内馬のトータル連対率が30.9%、複勝率が46.3%というのはかなり高い数値であり、当然ながらコース回収率は単勝64%、複勝75%という低水準の数値。10番人気以下馬が[1-5-5-421]で勝率0.2%、連対率1.4という惨憺たる成績であるのも、堅く決着する傾向が強いことの裏付けだと言える。

 直線が短い内回りコースでもあり、少しでも前に行ける脚質のほうが有利。トータル[10-9-16-332]で連対率5.2%、複勝率9.5%という成績を見てもわかるように、4角10番手以下からでは間に合わない。最低でも4角を9番手以内で回れるようでないと厳しいと考えるべきだろう。

 種牡馬別で目立っているのが、ディープインパクトとシンボリクリスエス、ステイゴールドの産駒。いずれも連対率30%前後という高水準であり、適性の高さはかなりのもの。あとは距離短縮組の期待値が高いことなども加味して考えると、人気サイドではパッションダンスダノンバラードが、人気薄ではコスモファントムロードオブザリングが面白そうだ。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データはダービーが2010年以降が集計対象

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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