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三強はいずれも一長一短!?/宝塚記念

  • 2013年06月19日(水) 18時00分
■宝塚記念(G1・阪神芝2200m内)フルゲート18頭/登録12頭

【特注必見データ!】 〜レースデータから〜
・宝塚記念 前走上がり3F順位別成績(過去6年)
 [上がり1位] 0-1-1-13 連対率 6.7% 複勝率13.3%
 [上がり2位] 0-2-4-7 連対率15.4% 複勝率46.2%
 [上がり3位] 1-0-0-5 連対率16.7% 複勝率16.7%
 [同4〜5位] 4-2-0-12 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [6位以下馬] 0-0-1-35 連対率 0% 複勝率 2.8%

 詳しくは後述するが、宝塚記念は序盤〜中盤が一貫して速い流れになるため、瞬発力の高さ「だけ」では勝ち負けできない。近走で「上がり最速」を連発しているような瞬発力型の馬が苦手とするフィールドなのである。

 それをよく表しているのが、上記の前走上がり3F順位別データ。前走での上がり順位が1位だった馬はトータル[0-1-1-13]と、馬券に絡むのがやっとという結果なのだ。前走上がり2位馬は複勝率46.2%という高いアベレージを残しているが、それでも勝った例は過去6年で1回もナシ。瞬発力特化型がいかに苦戦しているかが、ひと目でわかる。

 とはいえ、ある程度の末脚が使えることは勝ち負けする上での必要条件。前走での上がり3F順位が6位以下だった馬は、トータル[0-0-1-35]と超低空飛行。つまり「前走でソコソコ速い末脚を使っていた馬」が、最も期待できることになる。前走である程度は前のポジションから競馬をしていた馬であれば、なおさら「買い」だ。

 この条件にピッタリ当てはまるのが、前走での4角通過順位が5番手で、かつ上がり3F順位が5位だったダノンバラード。また、単純に「前走上がり4位〜5位」という条件であれば、ゴールドシップとナカヤマナイトもクリアしている。逆に、前走で最速上がりをマークしていたのがフェノーメノ、タニノエポレット、ローゼンケーニッヒの3頭で、こちらは扱いは難しいところである。

【コース基本情報】阪神芝2200m内 Bコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単勝73%・複勝72% 10番人気以下の好走率はかなり低め

・馬連万馬券出現率
 [高め] 16.3%(平均値△4.3% 馬連平均配当5264円)

・枠番別連対率(16頭立て以上)
 [1枠〜2枠] 勝率10.9% 連対率15.6% 複勝率25.0% 複回率73%
 [3枠〜6枠] 勝率 4.7% 連対率10.9% 複勝率17.2% 複回率45%
 [7枠〜8枠] 勝率 3.6% 連対率 9.5% 複勝率11.9% 複回率48%
 →データ母数不足も内枠が圧倒的に好成績。内重視の姿勢で。

・脚質別信頼度
 先行>逃げ>>差し>>追込 厳しい流れの内回りだとそうそう差せない

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 34.8-61.2-35.2=2.11.2 芝の中距離戦ながら前傾で底力勝負の流れに

 今年の宝塚記念は最高でも11頭立て。とはいえ、集計期間内43レースとデータの母数が不足している上に、11頭立てのレースに限定して分析を行うと、データ母数の不足によりかなり偏った分析結果が出てしまう。よって、枠番別成績などはあえて、16頭立て以上のレースを対象としている。

 まず目立っているのが「超人気薄の不振」で、10番人気以下馬はトータル[2-3-5-190]で勝率1.0%、連対率2.5%と低迷。しかし、馬連万馬券の出現率は16.3%と、平均値を大きく上回っている。つまり、超人気薄が来ての波乱ではなく、上位人気が飛んで、中穴どうしで決まるケースが多いということだ。1番人気馬はかなり強いが、それ以外の上位人気は、それほどアテにはならないのである。

 また、内枠優勢であるのも顕著な傾向。コース全体を対象としたデータでも、1枠〜2枠のトータル複勝率が25.8%であるのに対し、3枠〜6枠が24.1%、7枠〜8枠が17.0%と、やはり外枠が不振。たとえ少頭数のレースであっても、内枠を引いた馬のほうが立ち回りやすいのは確実だと言える。

 脚質については、ハッキリと「前優勢」だ。序盤が速い上に中盤でもラップが緩まない底力勝負の流れになるため、スローでの瞬発力勝負を得意とする馬には向かないコース。厳しい流れのなかを前々で最後まで踏ん張りきれるようなタイプを信頼すべきで、内枠であればモアベター。「内枠の先行馬」は、人気薄でも警戒が必要だろう。

【レース基本情報】宝塚記念(G1) 過去6年
・レース平均配当
 単勝1328円 馬連2165円 3連複4545円

・1番人気馬成績
 [1-3-1-1] 勝率16.7% 連対率66.7%・複勝率83.3%

・3番人気以内馬成績
 [3-6-3-6] 勝率16.7% 連対率50.0%・複勝率66.7%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-0-2-31] 勝率8.3% 連対率8.3%・複勝率13.9%

・10番人気以下馬成績
 [0-0-1-40] 連対率0% 複勝率2.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 16.7% [先行] 16.7% [差し] 50.0% [追込] 16.7%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 5.6% [先行] 44.4% [差し] 33.3% [追込] 16.7%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [4歳馬] 3-2-3-23 連対率16.1% 複勝率25.8%
 [5歳馬] 1-3-1-20 連対率16.0% 複勝率20.0%
 [6歳馬] 2-1-2-12 連対率17.6% 複勝率29.4%
 [7歳以上馬] 0-0-0-19 連対率0% 複勝率0%

・性別成績
 [牡馬] 6-4-6-73 連対率11.2% 複勝率18.0%
 [牝馬] 0-2-0-4 連対率33.3% 複勝率33.3%

・枠番別成績
 [1枠] 1-0-3-6 連対率10.0% 複勝率40.0% 平均人気 6.2
 [2枠] 0-1-1-8 連対率10.0% 複勝率20.0% 平均人気10.3
 [3枠] 1-0-1-10 連対率 8.3% 複勝率16.7% 平均人気 8.8
 [4枠] 0-3-0-9 連対率25.0% 複勝率25.0% 平均人気 8.1
 [5枠] 0-1-0-11 連対率 8.3% 複勝率 8.3% 平均人気 7.0
 [6枠] 3-0-0-9 連対率25.0% 複勝率25.0% 平均人気 8.4
 [7枠] 0-0-1-12 連対率 0% 複勝率 7.7% 平均人気 9.2
 [8枠] 1-1-0-12 連対率14.3% 複勝率14.3% 平均人気 9.6
 ───────────────────────
 [1枠〜3枠] 2-1-5-24 連対率 9.4% 複勝率25.0%
 [4枠〜6枠] 3-4-0-29 連対率19.4% 複勝率19.4%
 [7枠〜8枠] 1-1-1-24 連対率 7.4% 複勝率11.1%
 ───────────────────────
 [1枠〜4枠] 2-4-5-33 連対率13.6% 複勝率25.0%
 [5枠〜8枠] 4-2-1-44 連対率11.8% 複勝率13.7%

・厩舎所属別成績
 [美浦] 1-0-0-18 連対率 5.3% 複勝率 5.3%
 [栗東] 5-6-6-57 連対率14.9% 複勝率23.0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 2-4-2-29 連対率16.2% 複勝率21.6%
 [前走中央G2] 2-1-3-33 連対率 7.7% 複勝率15.4%
 [前走中央G3] 0-0-1-7 連対率 0% 複勝率12.5%
 [前走OP特別] 1-0-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%
 [前走条件戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走海外戦] 1-1-0-4 連対率33.3% 複勝率33.3%

・注目出走パターン
 [買い] 前走中央で3番人気以内かつ3着以内(連対率27.6%、複勝率44.8%)
 [不振] 前走海外組と1番人気馬をのぞく前走4着以下馬(複勝率2.6%)
 [不振] 連闘〜中2週での出走(連対率0%、複勝率14.3%)
 [全滅] 中8週よりも長い間隔での出走(0-0-0-12)
 [全滅] 前走6番人気以下馬(0-0-0-23)
 [全滅] 7歳以上馬(0-0-0-19)
 [全滅] 前走1着馬をのぞく関東馬(0-0-0-12)

 8番人気馬や6番人気馬が勝っているのもあって、単勝平均配当は1328円とソコソコ高めの水準。それでいて馬連が平均2165円、3連複が平均4545円と低めなのは、2着〜3着に人気馬がしっかり食い込んでいるからだ。トータル[3-6-3-6]で複勝率66.7%と3番人気以内馬の信頼度は高く、1番人気馬が馬券圏内を外したのは過去6年で1回だけ。基本的には、堅め決着傾向の強いレースだと言える。

 面白いのが脚質シェアだ。1着馬に関しては圧倒的に差し馬が優勢で、その他は横並び。しかしこれが3着以内馬となると、先行馬がシェア44.4%と、その勢いを一気に拡大させてくる。つまり「差し→先行」での決着パターンが非常に多いのである。今年も、人気の先行馬が前で粘るところを、中穴人気の差し馬がスパッと差し切る──といったシーンが十分に考えられそうだ。

 枠番については、コースデータと同様に「内のほうがベター」といった印象。4枠〜6枠の「中枠」が妙に好成績なのだが、データ母数が少ないこともあって、これについては何とも言えないところだ。ただし、外枠がイマイチなのは間違いなし。少頭数になりそうな今年であっても、7枠〜8枠に入った馬については、少し割り引いて考えたい。

 注目出走パターンは「消し」を中心にまとめたが、買い候補として注目したいのが「前走中央で3番人気以内かつ3着以内」の馬。オルフェーヴルをのぞく登録馬では、ダノンバラード、トーセンラー、フェノーメノ、ローゼンケーニッヒの4頭が条件を満たしている。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開幕週なので絶好の馬場状態であるのは確定。土曜日に傾向を確認したい。

・天候予測
 金曜日の降水確率がやや高めだが、降っても少量。良馬場前提でよさそう。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率12.9% 連対率25.8% 複勝率25.8%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、ステイゴールド産駒

 開催の終盤というかラストだが、そのわりには大きな荒れは目立っていない印象。芝コースでの結果を見ても、そこまで外差し優勢の馬場といったイメージは受けない。内回りコースでの開催でもあり、おおむねフラットと考えてよさそうだ。

 血統に関しては、登録馬のほとんどが阪神芝2200mで好成績を残している種牡馬の産駒であり、気にするだけ無駄な気がしてならない。Roberto系やSadler's Wells系の母父を持つ馬でもいたら面白いのだが、それも今回は参戦ナシ。もうフツーに、ディープ産駒とステイゴールド産駒を重視する姿勢でいいと思われる。

★総論×各論

 オルフェーヴルの回避で「四強対決」から「三強対決」になってしまったのは残念だが、おそらく1番人気に推されたであろう馬がいなくなったワケで、馬券的にはさらに難しく、かつ面白くなった印象もある。オルフェーヴルも含めた四強対決だと変な馬が上位に入り込む余地などなかったが、これで多少は紛れる可能性も出てきた。

 ではまず、三強の評価から。まずは紅一点のジェンティルドンナだが、ドバイからの遠征帰りで、中11週での出走というのが気がかり。12日の坂路タイムなどを見るかぎり悪くないデキにはあると思うが、このローテ自体はやはりマイナスだ。またゴールドシップについては、三強のなかで唯一、冒頭の特注データ条件を満たしているのが強み。しかし、天皇賞(春)からのローテ自体が近年はイマイチであり、そこで5着に取りこぼしているのは、大きなマイナスである。また、阪神の内回りで、あのマクリ脚質がどうなのかも気になるところ。トータルで考えると、信頼度はジェンティルドンナよりも下となる。

 そして最後にフェノーメノだが、こちらも意外に不安材料が目立つ。前走上がり3F順位が1位であり、阪神での出走は今回が初めて。また、天皇賞(春)からのローテや、関東馬であることなども、大きくはないが割引材料ではある。好位〜中団から競馬できるセンスの良さや中距離適性の高さなどは買えるが、昨年のJCではジェンティルドンナに完敗しているという事実も、忘れてはならない。

 よって三強の序列は、ジェンティルドンナ、フェノーメノ、ゴールドシップの順。いずれも一長一短あるが、対戦成績や阪神でのコース実績などから考えても妥当と思われる。ここから軸馬を選ぶならジェンティルドンナで、三強から1頭を外して勝負するなら、ゴールドシップを外すべきというのが、当データ分析からの推奨結果だ。

 しかし、ここまで三強にアラが目立つならば、いっそのことダノンバラードから入るという手もありそう。「そんな無茶な」という声が聞こえてきそうだが、前走上がり順位や前走内容などから考えると、過去の好走パターンに最も合うのはこの馬なのだ。中2週での出走や鞍上の乗り替わりといったマイナス材料もあるが、何よりも魅力なのがオッズ。2着付けや3着付けで買っても、当たった場合の見返りはとんでもなく大きい。

 あとは、トーセンラーだけが「押さえ」評価で、以下はさすがに通用しないというのが、現在の見立て。春の総決算らしく、人気馬ではジェンティルドンナ、人気薄ではダノンバラードから買う二本立ての馬券で、気持ちよく夏を迎えたい。

※レースデータは2007年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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