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地方競馬の明るい話題

  • 2013年06月22日(土) 12時00分
 いやいや、先週の当コラムの“注目数”が100を超えるなんて!!!。「JRAジョッキー選抜総選挙&選抜ジョッキーデー」に対するみなさんの関心はハンパじゃないみたいですね。ちょっと収まりがつかなくなってきました。ここまで来ると、ひょっとしたらJRAから何らかの反応があるかもしれません。その時はすぐにお伝えすることをお約束して、今回は話題を変えさせていただきます。

 今年4月以降、地方競馬の馬券発売が“好調”をキープしています。NAR(地方競馬全国協会)によると、4、5月の総売得金額は、去年の556億円強に対して、今年は596億円強、7.2%のプラスを計上しました。福山競馬が廃止されたことなどで、今年は去年より延べ12日も開催日数が減ったにもかかわらず、馬券売上げは約40億円増えたわけです。当然ながら1日平均の売得金額は前年同期比13.2%の大幅増。“長期低落傾向”が続いてきた地方競馬にとって、久々の明るい話題と言っていいでしょう。

 好調の要因は、そう、地方競馬IPAT。各競馬場の電話(インターネットを含む)投票額の伸びを見ればわかります。岩手と佐賀は、なんとその額が前年の倍以上になりました。金沢は71%、名古屋、園田が45〜46%余り、北海道と高知が31〜32%強、川崎と笠松が24〜25%余りのアップ。これまで“ご近所さん”や“インターネット上のお得意様”を相手にしてきた“個人商店”が、“大手百貨店の通信販売網”に加わったことで、大幅に売上げを伸ばしたようなもの、ですかね。

 ただし、入場人員や場内購買単価が減っていたり、直営場外の売上げが伸び悩んでいたりする競馬場が多く、電話投票の売上げ増には、素直に喜べない部分もあります。なにしろ“手数料”がかかりますから。

 そうは言っても、IPATの恩恵を受けていないばんえい競馬も含めて、地方競馬全体の売上げが増えているというのは、悪い話ではありません(ばんえいは新年度開幕からのナイター開催が功を奏しているようです)。

 ひとつ気になるのは、地方競馬でもっとも“稼ぎ”が大きい大井の売上げが低迷していること。でもこれには、ハッキリした理由があると思います。去年は4月に1回、5月に2回、各回5日間ずつの開催だったのが、今年は4月2回11日間、5月1回6日間の開催でした。覚えていますか?今年の4月はメチャメチャ寒かったり、とんでもない強風が吹いたりしていましたよね。調べてみると、大井開催日のほぼ半分がそういう“悪天候”の日に重なっていたんです。そのせいで、1日平均の入場者数は去年より8%も減ってしまいました。たぶん、場外発売所への客足も遠のいていたはず。今後は回復してくるんじゃないでしょうか。

 何はともあれ、各主催者はせっかく取り込んだ新規の顧客を離さないよう、魅力ある番組作りに励んでもらいたいですね。

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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