スマートフォン版へ

1・2人気に名手系騎乗だなんて………不穏だ!

  • 2013年07月04日(木) 12時00分
荒れるイメージの七夕賞だけど、実際、2006年からサマー2000シリーズ(以後サマー2000)が始まってからは毎年ほぼフルゲートになって、なかなかに魅力的な配当がつづいている。

06年こそ3人気・1人気・2人気で決まったけれど、07年以後は1・2・3人気の組み合わせで1着2着したことはない。

だから当然、今年も荒れに期待したいけれど、今年はちょっとした不穏な空気も流れている。なんだか1・2人気が頑張っちゃいそうなのだ。1・2人気が頑張っちゃう七夕賞なんて不穏すぎる!

以下はサマー2000が始まった2006年以後の1人気・2人気馬の活躍と不穏を表したもの。つまり過去7年。

ハンデ戦で距離も替わってないので過去10年でもいいいけれど、前述したように06年からほぼフルゲートになったのは、あきらかにサマー2000でモチベーションがアップしたからだろう。それゆえに06年からにしてみた。

06年
1人気 コンゴウリキシオー 岩田 2着
2人気 グラスボンバー 勝浦 3着

07年
1人気 ヴィータローザ 上村 4着
2人気 アドマイヤモナーク 安藤勝 2着

08年
1人気 カネトシツヨシオー 石橋脩 6着
2人気 キャプテンベガ 吉田隼 4着

09年
1人気 ミヤビランベリ 北村友 1着
2人気 ホッコーパドゥシャ 内田博 3着

10年
1人気 サンライズベガ 松岡 3着同着
2人気 バトルバニヤン 中館 3着同着

11年
1人気 キャプテントゥーレ 小牧太 12着
2人気 タッチミーノット 三浦 2着

12年
1人気 トーセンラー 岩田 2着
2人気 タッチミーノット 横山典 12着

ここから見えてくること。

■1・2人気でワンツーしたことは一度もない。
■しかし意外に1・2人気馬は頑張れている。どちらも馬券圏外に敗れたことは08年だけ。
基本的には2連レベルで買える。頭というより軸系。3着だった10年なんて1・2人気で同着だ。足して合わせてきたか!

■騎手が名手系だとより馬券圏内率が高まる(意外に名手系が1・2人気に騎乗してないともいえる)。
名手系1・2人気 0-3-1-1
中堅系1・2人気 1-1-3-4

ちなみに関西馬に関西名手系が騎乗してくる場合は0-3-0-0。わかりやすい!!
しかも理屈も立つ。ピンコだつ!

サマー2000優勝を本気で狙っていることが見えるからだ。
(とはいえ、そういう馬がシリーズで優勝したことはまだない。そこが面白い。軸としてはヘビーにアツイけれど、1着取れないとなかなか優勝できない。)

こうしてみると、特に不穏感はないように思える。むしろ1・2人気が連に絡むのに配当も適度に荒れるのだから、本当はカンタンな七夕賞かもしれない。
けれど、どちらか一方しか連に絡まない1・2人気が揃ってやって来るとなると話は別だ。

今年1・2人気が予想される馬は、
エクスペディション57 内田博 石坂厩舎
ダコール56 蛯名 中竹厩舎

どちらも名手系騎乗、どちらも関西馬。
あちゃちゃちゃ〜〜〜〜!!
(去年も岩田、横山典で1・2人気だったけれど、横山典騎乗馬は関東馬だった。)

関西から名手系が騎乗しに来てないから、超不穏とまでは言えないけれど、トップハンデでもなく、ひと叩きしての参戦で、関東名手系の騎乗ならば、どちらかが勝ち負け、場合によっては1着2着しても不思議ではない。
っていうかわかりやすい。本気度がベタにわかりやすくてアツい! ちょっと暑苦しいくらいだ。そこが怖い。ひぃ〜〜!!

ところで、七夕賞を勝った馬でサマー2000を優勝した馬は過去2頭いる。
1頭は08年のミヤビランベリ、もう1頭は11年のイタリアンレッド。

七夕賞は勝てなかったけれど、サマー2000を優勝した馬も2頭。
07年の3着馬ユメノシルシ、09年の3着馬ホッコーパドゥシャ。

ミヤビランベリ 53 1着
イタリアンレッド 52 1着

ユメノシルシ 56 3着
ホッコーパドゥシャ 56 3着

どこかで1着しないと優勝できないけれど、七夕賞で1着しないと優勝できないわけではない。

優勝するのには、最終決戦の新潟記念を1着することの方が大事だったりする。新潟記念までに1つ勝っておくとベターだけれど、ポイントを稼いでおくことでも、場合によってはチャンスも残るのだ。

そんな観点で七夕からの優勝組を見ると、
1着した馬が53、52で、3着した馬が56であることは興味深い。
結局、勝利すると次戦以後ハンデが当然重くなる。そこを覆して、もう1つ勝つのはそれなりに大変だからだ。

過去6年の1着2着馬の推移。

06年
1着メイショウカイドウ59→小倉記念59.5・6着
2着コンゴウリキシオー57.5→小倉記念57.5・5着

07年
1着サンバレンティン57→札幌記念57・14着
2着アドマイヤモナーク55→新潟記念55・6着

08年
1着ミヤビランベリ53→小倉記念55・5着→新潟記念55・9着
2着ミストラルクルーズ53→函館記念54・8着→新潟記念54・4着

09年
1着ミヤビランベリ57→札幌記念57・14着
2着アルコセニョーラ53→新潟記念54・5着

10年
1着ドモナラズ52→小倉記念55・11着→新潟記念55・11着
2着アルコセニョーラ54→小倉記念55・9着

11年
1着イタリアンレッド52→小倉記念55・1着
2着タッチミーノット55→新潟記念56・4着

12年
1着アスカクリチャン55→小倉記念57・6着→新潟記念57・3着
2着トーセンラー57→小倉記念57・2着→新潟記念57・7着

59で1着したメイショウカイドウは小倉記念で59.5にアップした。で、6着に敗れた。

57で1着した馬は58以上を背負わされることを嫌ってか、シリーズ唯一の定量戦の札幌記念に回っている。けれどこのレースはレベル的には最上位だからハンデキャップホースで太刀打ちできる場所でもない。

概ね1着すると重い馬は0.5〜1キロ、それ以外の馬は2〜3キロ、2着すると重めの馬は据え置き、それ以外の馬は0.5〜1キロ増えるニュアンスか。

ちなみに七夕賞を3着でシリーズ優勝した
ユメノシルシは、
七夕賞56・3着→新潟記念56・1着
ホッコーパドゥシャは、
七夕賞56・3着→小倉記念56・2着→新潟記念56.5・1着

そういうことを片隅に置いて、改めて今年1・2人気になりそうな馬を見てみる。

エクスペディション57 内田博 石坂厩舎
ダコール56 蛯名 中竹厩舎

エクスペディションは57。ここを勝ったら、据え置き狙いで札幌記念に行くパターンがあるけれど、2年前に七夕賞→小倉記念をイタリアンレッドで連勝して、シリーズ優勝した石坂厩舎であることと、そもそも小倉が得意な馬であることを考えると、勝って58になっても小倉記念で勝負するのではないか?

去年は、馬場の荒れた中、浜中騎手で3人気で8着だった。今年はコースを熟知している内田博騎手で馬場もいい。自在につけられる脚質も有利で、ここは勝つ気満々のはず。

そもそも勝ち負けを希望しない馬を内田博騎手に依頼するとも思えない。むしろ小倉記念は浜中騎手に戻るかもしれず、そうであるならば、内田博騎手も遠慮なくぶっ放せるだろう。

ダコールは56。ここを勝つと次はおそらく57。エクスペディション以上に次の勝負もしやすいのではないか?(57で通用するかは相手関係次第だけど、少なくとも陣営のモチベーションは上がるはず)

福島0-0-1-0
小倉2-2-0-0
新潟0-0-1-0

直近でも福島記念55キロ・3着、小倉大賞典55キロ・2着、新潟大賞典56キロ・3着と、サマー2000該当競馬場のハンデ戦で安定した成績を残している。斤量(56or57)が克服できれるならば一番チャンピオンに近い馬とも言える。

ただし気になるのは今の福島の馬場と鞍上の脚質。ダコールはローカルの小回りでは3角まで後方にいて、そこから上がっていき、直線でさらに差しを伸ばすタイプ。福島記念でも小倉大賞典でもその戦法で3着・2着した(新潟は角2の2000だからか4角回るまで後方だった)。上がっていけるのならば、中からでも外からでも上がっていけて、新潟では直線内もつけた。

しかし、もし先週と同様の内が活きた馬場だとしたら、外からのマクリでは届かない。はたして後方からの内、もしくは中マクリができるのか? そこはちょっと心配。

蛯名騎手に先週の横山典騎手のような後方待機で、内をスルスルと伸びて来るイメージは浮かばない。人気があればあるほど、中〜外に出して伸ばしてくるタイプの騎手だからだ(技術ではなく哲学の話)。

ダコールのこの夏の予定はわからないけれど、もし夏のチャンピオンを目指すのならば、おそらくここは勝ちにいく競馬をするはずで、となると、必然的に戦法は決まってくる。

中団につけて、3〜4角で徐々に上がっていき、中〜外に持ち出して伸びてくる競馬だ。

この馬が中団に陣取って伸びてくるタイプならば心配ない。ただ重賞レベルではまだ試されたことはない。後方待機にはそれなりの理由もあったわけで、勝ちに行く競馬でいつもと同じ力が発揮できるかはまだ未知。

というわけで、どちらもちょっとずつマジ系の不穏どころあり。
だからといって、名手系の1・2人気馬が揃って凡走するとも思えない。

なんせ先週のラジオNIKKEIでブービー15着(内田博・1人気)、ドンケツ16着(蛯名・11人気)した二人だ。
馬場についても学習しているはず。

だから来るならどちらか1頭が1着か2着! ワンツーはない!

週の真ん中、水曜日〜木曜日。今年は1・2人気がワンツーするんじゃないか? そんな不穏なムードを感じたけれど、なんとか気のせいの方向で蓋をすることができた。

できれば1着ではなく、2着してもらって、通年どおりの馬券的喜びを味あわせてもらいたいところ。ここで2着して、ハンデ据え置きかちょいアゲを保ち、次で勝負! も悪くないはず。狙ってそれをするとは思えないけれど、57キロ、56キロの2頭ならば、ふつうに2着はありそう。

ではどっちが軸に最適なのか? ポジショニングを思えば、前に行けるエクスペディションだろうけど、枠や馬場で変わるはず。ならば、どちらかと決めつけずに別の馬を選んで、1・2人気に流すのも手。

そういえば今朝(水曜日)、特ダネで気象予報士のあまたつぅ〜が、

「猛暑と洪水(大雨)は表裏一体」って言っていた。

今年は世界的に異常気象で、日本も週末は猛暑かもしれないし、局地的に大雨が降るかもしれないらしい。

猛烈な暑さならば、牝馬に目を向けてみたいけれど、残念ながら牝馬はトシザマキ1頭のみ。50キロだけど、戦歴的にはちょっと足りない感は否めない。
だとするとセン馬か? 猛暑のセン馬はどうであったか? 思い出せないけれど、猛暑に強い存在であって欲しい。

セン馬は2頭。
ファタモルガーナ55
マックスドリーム54

ファタモルガーナはクルクル回るレースが得意そう。角を4回以上回る小倉2600を1着、中山3600を2着しており、福島は初参戦だけど、4回しか回らないけれど、ステイヤーズSくらいの積極競馬ができれば、食い込めてもいい。

マックスドリームの便利なところは、セン馬で重馬場が上手なところ。つまり、猛暑でも雨でも対応できるかもしれず、そこが魅力。猛暑でもなく、重馬場でもなかったら、足りない気もしないでもないけれど、そこは54キロでカバーしていただこう。

七夕賞注目馬
エクスペディション、ダコール…どっちか1頭
ファタモルガーナ&マックスドリーム…セン馬
マイネルラクリマ…この馬も57キロ。内もつけるし、中団にもつけられる。

相手にあげた馬もみんなそこそこ人気だ。人気薄は枠を見て内が活きていたら、内枠から拾えばいい。

----------------------------------------------------------

「1番人気 取捨の極意」

「1番人気 取捨の極意」

 6月21日、競馬王新書「1番人気 取捨の極意」が発売されました。1番人気をいつ買い、いつ消すか…。馬券を買う上でもっとも重要且つ大事なテーマである「1番人気」に正面から向き合い続ける男・奥野憲一氏の「1番人気」シリーズの最新刊。

 1作目の「1番人気 鉄板の条件・消しの条件」から約4年半が経ち、シリーズ4作目となる今回は、通常データ(買える1番人気条件)の刷新はもちろん、今話題となっている「育成牧場」についても着目し、休み明けの1番人気を狙う際のデータが充実。また、一昨年より発売が開始されたWIN5ファンのために、1番人気を上手く活用して的中へと誘う「WIN5的中シミュレーション」を掲載。さらに、大好評を呼んでいる袋とじ企画「鉄板強度」は、各計算を抜きに一発で強度が判別できるように改善。より分かり易く、より使い易く、より的中率を高めて収録されています!

〜本書の主な内容〜
●1番人気の信憑性はより高いものへ
●ナゼ1番人気を知るべきなのか
●変わりつつある厩舎の役割
●レースにおける騎手の仕事
●知られていない各クラスの傾向
●実戦データ(WIN5的中シミュレーション)
●巻末袋とじ 鉄板強度Ex一覧

「1番人気 取捨の極意」
著者:奥野憲一
定価:945円
発売:6月21日(金)
発行:白夜書房

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング