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5歳0頭、6歳うじゃうじゃ!? 今年の函館記念の例外レベル

  • 2013年07月11日(木) 12時00分
今年の函館記念のメンバーを見て、一番気になるのは6歳馬の出走頭数の多さだ。
うじゃうじゃいる。
しめて11頭。登録段階だけど11頭もいる。

11頭も同一世代が占めるのはもちろんこの10年で初。出走頭数は確定してないけど、19頭登録で、16頭立てだから、現状で9頭が出走権を確保していることになる。それでも最多。

17位カリバーン 6歳
18位ネオブラックダイヤ 5歳
19位サクラボールド 6歳

逆に主要世代でもっとも登録が少ないのは5歳馬で1頭。ネオブラックダイヤ。現状で除外候補だから場合によっては、今年は5歳馬が1頭もいない可能性もある。

つまり今年は6歳がうじゃうじゃいて、5歳が0頭の函館記念になるやもしれないのだ。

どうなんだ? 今年は見た事もない何かがおこるのか? なぜそう思うのかといえば、函館記念はずっと、馬券的にも出走頭数的にも5歳を中心にメンバーが構成されているからだ。

以下はこの10年の年齢別出走頭数の割合。
左から4歳ー5歳ー6歳ー7歳ー8歳以上で示してみた。

03年
3−7−2−0−3(1着5歳 2着5歳)
04年
1−4−4−3−1(1着4歳 2着5歳)
05年
2−4−5−0−1(1着5歳 2着4歳)
06年
2−5−3−4−2(1着6歳 2着5歳)
07年
(3歳1頭)ー1−5−0−1−2(1着7歳 2着5歳)
08年
5−3−4−1−1(1着4歳 2着5歳)
09年
2−3−4−6−1(1着7歳 2着8歳)
10年
1−3−4−3−5(1着5歳 2着4歳)
11年
1−3−7−1−4(1着8歳 2着10歳)
12年
0−5−2−4−5(1着7歳 2着8歳)

これを整理するとこうなる。
3歳1頭
4歳18頭
5歳42頭
6歳35頭
7歳23頭
8歳以上25頭

5歳が一番出走頭数が多い。
馬券圏内の内訳で見ても、5歳が一番多い。頭数が多いのだから好走馬が多いのは当たり前だけど、2番目に多い6歳は苦戦しているから函館記念は5歳で回っているといっても過言ではないわけだ。

馬券圏内の内訳
3歳(0−0−0−1)連対率.000
4歳(2−2−2−12).222
5歳(3−5−5−29).190
6歳(1−0−2−32).028
7歳(3−0−0−20).130
8歳以上(1−3−1−20).160

今年の内訳は19頭で、
4歳ー5歳ー6歳ー7歳ー8歳以上=4−1−11−0−3

現状の当確16頭で、
4−0−9−0−3
4歳4ー6歳9ー8歳2−10歳1

頭数と馬券圏内率を総合的に見て、主役を張るはずの5歳馬が0頭で、頭数は多いけれど、頼りない6歳がうじゃうじゃいることになる。

この10年で例のない世代構成の函館記念といえるわけだ。
これをどう取るか?

#1 いくら過去実績のない6歳だとしても、9頭もいるのならば今年は別だ! 
#2 6歳は要なしと見立て、連対率の一番優秀な4歳4頭で十分だ!
#3 直近数年では8歳以上が頑張ってるから今年も8歳以上の3頭で猛暑馬券だ!

他にも考え方の組み合わせはあるけれど、とりあえず極端に考えればこうなる。

たとえば、
03年は5歳が7頭もいた。で、結果は1着5歳・2着5歳・3着5歳と5歳が独占した。
しかし、
11年は6歳が7頭もいて、結果は1着8歳・2着10歳・3着8歳で、6歳は全滅した(ちなみにこの年の1番人気は6歳のマイネルスターリーで8着だった)。

中心に座りがちな5歳が7頭いた年は上位を独占し、結果のともなわない6歳が7頭いたときは全滅した。
今年はその6歳が現状9頭出走しそう。

6歳が切れれば馬券的にはひじょうに楽になる。
3連レべルで切るのが虫がいいというのであれば、1着2着の2連レベルでいい。
それでも十分だ。

なんせ4歳は4頭、8歳以上は3頭しかいないのだから。

4歳
アンコイルド 55
エアソミュール 56.5
サトノギャラント 56
トウケイヘイロー 57.5

8歳&10歳
イケドラゴン 48
ネヴァブション 55
ホッカイカンティ 54

函館記念はここ4年中3年で7〜10歳の高齢馬が1着2着している。面白いのは高齢馬は高齢馬同士で来やすいところ。前記したように基本的には軸は5歳で、その相手が4歳だったり、5歳だったり、6歳だったりしてきた。そして軸の5歳が崩れると一気に高齢馬が台頭する。

その流れを踏襲するなら、今年は5歳がいない時点で、(7歳もいないし)自動的に8歳以上のワンツーということになる。

しかし、今年の高齢メンツはなんだか物足りない。
過去馬券になった高齢馬の前走成績と比較してみても、少しずつ足りないように思える。
「函館記念好走歴・マヤノライジン」「巴賞6着以内・サクラオリオン・イケトップガン」「前走重賞1着・キングトップガン」
イケドラゴンもホッカイカンティも巴賞での成績が物足りない。ネヴァブションは7ヶ月の休み明けが物足りない。函館記念好走歴があればいいけれど、3頭ともにない。

6歳をすっ飛ばし、8歳以上を足りないとみたら、もちろん残すは4歳のみ。
アンコイルド 55
エアソミュール 56.5
サトノギャラント 56
トウケイヘイロー 57.5

ハンデもけっこう評価され、なんだか人気も集めそうだ。
それだけで心配だけれど、過去の4歳好走馬を見ると、むしろ人気があった方がよさそうでもある。
クラフトワーク55 1着 2人気
ブルートルネード54 2着 2人気
サクラメガワンダー57 3着 2人気
トーセンキャプテン56 1着 4人気
マンハッタンスカイ56 3着 2人気
ジャミール56 2着 1人気

マイネルチャールズ57 12着 1人気 の例もあるけれど、この馬は菊花賞以来9ヶ月ぶりの休み明けでもあった。
4歳はそこそこのハンデ評価でそれなりの人気があったほうが好走してることがわかる。

水曜日の予想人気では、
1人気 エアソミュール4歳 和田
2人気 トウケイヘイロー4歳 武豊
3人気 サトノギャラント4歳 北村宏
4人気 トウカイパラダイス 6歳 柴山
5人気 レインボーダリア 6歳 柴田善

4歳4頭中3頭で人気も独占する勢いだ。ちょっと怯むくらいの好評価だ。
だが今回は頼もしい! 3頭の馬単ボックスでいいんじゃないか!

とはいえ、一応もうちょっと照らし合わせてみる。

去年のここでこんなことを書いた。
「函館記念の1番人気は騎手の年齢で頼りがい度が計れる」
「ベテランほど頼れて、若いほどスベル傾向がある」

02年 福永 25歳(以後すべて当時の年齢) 6着
03年 蛯名 34歳 1着(トップハンデ)
04年 武豊 35歳(別格) 2着
05年 藤田 33歳 5着(トップハンデ)
06年 安藤勝 46歳(別格) 1着
07年 福永 30歳 4着(トップハンデ)
08年 秋山 29歳 2着
09年 松岡 24歳 12着
10年 安藤勝 50歳(別格) 2着
11年 丹内 25歳 8着(トップハンデ)

ベテランと若手の境界線は33歳〜34歳と見立てた。
で、去年は1番人気にトウカイパラダイスがなりそうで、悩んだ。
柴山騎手が34歳だったからだ。33歳で藤田騎手は5着に敗れ、34歳で蛯名騎手は1着していた。34歳の柴山騎手は若いのか若くないのか? どっちなんだ!
実際、トウカイパラダイスは1番人気になり4着に負けた。ギリで負けた。つまり34歳は函館記念の1番人気ジョッキーとしてはギリの年齢、境界線エイジだったわけだ。

今年の1番人気候補は
エアソミュール 和田36歳
トウケイヘイロー 武豊45歳

どちらも騎手年齢的には合格だ。
エアソミュールは巴賞勝ち馬で実績的にも合格だ。巴賞は上位組、中位組が来るときは来る、来ないときは来ない。けっこうはっきりしている。巴賞上位組が来れる馬場、来れる流れならば、エアソミュールでふつうに勝ち負けできるはず。
今年の函館は長期開催だから、それを見越して馬場作りをしているはずで、先週もまだまだ前で競馬をしていた馬が残っていた。つまり開幕の巴賞で上位に来た組がまだ走れる下地が残っている可能性もある。

トウケイヘイローは北海道競馬が初。だから洋芝適性についてはわからないが。逃げ先行できる脚質は悪くない。エアソミュール同様に今年の函館馬場がまだ開幕に近い状態で保たれているのなら、十分狙える。

3、4番人気が予想される4歳サトノギャラントも同様だ。巴賞は1番人気で2着だった。
その巴賞は56キロで2着で、エアソミュールは55キロで1着だった。
今回は56キロ。人気も、ハンデもエアソミュール56.5より軽くなる。
過去の4歳の好走実績からも4番人気まではありで、実は一番妙味があるのがサトノギャラントにも思える。なんせ北村宏はラジオNIKKEIのフラムドグロワール(4着)ではなく、巴賞のサトノギャラント(2着)を選んで、北海道入りした男だ。おそらく函館記念まで見据えて騎乗したはず。

競馬王7月号によると、函館改修時の札幌長期開催のときも馬場造園課は馬場維持に全力を尽くしたためか、なかなか外差しの馬場にはならなかったのだとか。おそらく今年も馬場造園課は頑張っているはず。だとすると、巴賞好走組の再度の好走も十分たつ。このようなケースは05年、08年で実際あった。

ということで、5歳0頭、6歳うじゃうじゃという例外的メンバー構成の今年の函館記念は、4歳で1着2着していただこう。前述したように今年の4歳勢は過去の4歳好走パターンにも合致して頼もしいからだ。

と言ってみたものの、自分で書いてて、若干の矛盾にも気づいている。今年は例外な函館記念と書きつつ、4歳の根拠を過去から導いているからだ。例外としつつ、例外的エネルギーに満ちていない。ダメだダメだ! あ〜どこかでバランスを取りたい。こころのバランスを保ちたい。

巴賞3着 メイショウウズシオ55 予想6番人気
巴賞7着 サンディエゴシチー56 予想9番人気
五稜郭S2着 サクラボールド52 予想除外対象(11人気)

巴賞でちょっと足りなかった伏兵系と連闘で臨むプチ勢い系。どちらも6歳馬。この馬たちの3着系でなんとかバランスを取ってみよう。

週の真ん中水曜日〜木曜日。
今週土曜日の競馬なんぞを見ながら、まだ開幕系の名残があると思えたら、積極的に4歳馬に期待してみようと思う。
もし雨でも降って、よくわかんなくなったら積極的にバランス要員の6歳3頭に期待してみよう。

っていうか、
今年は例外の函館記念と書いたわりには落ち着いてしまった気がする。ただし「例外=荒れる」わけでもなく、例外だからこそカタく収まるケースもあるはず。
暑いからついついクールビズしがちだけど、暑いのに乗っかってギラギラするのもありっちゃーあり。
よーし! 週末までに目が眩むようなとっておきの例外を探すぞ!

函館記念
2連レベル注目馬・4歳3頭
筆頭 サトノギャラント
2番手・3番手 エアソミュール&トウケイヘイロー
3連レベル注目馬
6歳 メイショウウズシオ・サンディエゴシチー・サクラボールド
4歳 アンコイルド

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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