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データ的には二強対決!?/函館2歳S

  • 2013年07月17日(水) 18時00分
■函館2歳S(G3・函館芝1200m)フルゲート16頭/登録17頭

【コース基本情報】函館芝1200m Bコース使用
・コース回収率
 [やや高め] 単勝81%・複勝81% 10番人気以下馬の好走率も意外なほど高い

・馬連万馬券出現率
 [低め] 9.3%(平均値▼2.7% 馬連平均配当4988円)

・枠番別連対率(16頭立て) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率5.6% 連対率11.2% 複勝率19.6% 複回率133% 枠番値+0.6
 [3枠〜6枠] 勝率6.7% 連対率13.5% 複勝率20.0% 複回率 89% 枠番値+0.1
 [7枠〜8枠] 勝率6.0% 連対率12.0% 複勝率15.7% 複回率 48% 枠番値-0.8
 →信頼度は大差ないが回収率は完全に内枠優勢。枠番値からも外枠は割引。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>>>追込 完全に先行有利で前に行けないと話にならない

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 34.2-36.4=1.10.6 2歳戦ながらスプリント戦らしい前傾の流れに

 函館芝の短距離戦というとあまり荒れるイメージはないのだが、コース回収率は単勝・複勝ともに81%と、かなりの高水準。1番人気馬は勝率34.8%、連対率55.9%と高い信頼度を誇っているが、4番人気〜9番人気の中穴ゾーンや10番人気以下馬の好走率も意外なほど高く、なかなか狙いを絞りにくいコースと言えそうだ。

 とはいえ、馬連万馬券の出現率は9.3%と平均以下であり、同様に馬連平均配当も4988円とやや控え目な数値。穴馬の好走率が高いとはいえ、穴馬×穴馬でブンブン振り回す買い目よりも、人気馬から適度なヒモ穴へと流すミートバッティングを心がけたほうが好結果を呼び込めそうな印象を受ける。

 枠番別成績を見ると、勝率や連対率ではほとんど差が出ていない。ということは外枠でもそれほど不利ではないのでは──と思ってしまいそうだが、複勝率ベースの比較では4%〜5%ほど見劣っているし、複勝回収率の低さは一目瞭然。枠番値も大きなマイナスとなっていることから、内枠有利・外枠不利のコースであると結論づけたい。

 脚質面は非常にわかりやすく、とにかく少しでも前に行ける馬のほうが有利なコース。2歳戦でハイペースだと昨年のように「先行勢が崩れて差し馬が台頭」といった結果が出る場合もあるが、それでも基本は前々での決着。展開次第では完全な前残りとなるケースも十分に考えられる。

【レース基本情報】函館2歳S(G3) 函館開催過去9回
・レース平均配当
 単勝942円 馬連5799円 3連複1万5912円

・1番人気馬成績
 [0-3-1-5] 勝率0% 連対率33.3% 複勝率44.4%

・3番人気以内馬成績
 [6-4-4-13] 勝率22.2% 連対率37.0%・複勝率51.9%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-4-5-42] 勝率5.6% 連対率13.0%・複勝率22.2%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-0-41] 連対率2.4% 複勝率2.4%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 66.7% [差し] 22.2% [追込] 11.1%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 55.6% [差し] 25.9% [追込] 18.5%

・性別成績
 [牡馬] 3-3-6-55 連対率 9.0% 複勝率17.9%
 [牝馬] 6-6-3-41 連対率21.4% 複勝率26.8%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 1-1-0-10 連対率16.7% 複勝率16.7% 枠番値-0.8
 [2枠] 0-0-3-10 連対率 0% 複勝率23.1% 枠番値-0.2
 [3枠] 1-1-0-12 連対率14.3% 複勝率14.2% 枠番値-0.8
 [4枠] 0-1-0-15 連対率 6.3% 複勝率 6.3% 枠番値+0.7
 [5枠] 1-0-1-13 連対率 6.7% 複勝率13.3% 枠番値-1.9
 [6枠] 2-2-1-12 連対率23.5% 複勝率29.4% 枠番値+0.1
 [7枠] 4-2-1-11 連対率33.3% 複勝率38.9% 枠番値+0.8
 [8枠] 0-2-3-13 連対率11.1% 複勝率27.8% 枠番値+1.4
 ─────────────────────────────
 [1枠〜2枠] 1-1-3-20 連対率 8.0% 複勝率20.0% 枠番値-0.5
 [3枠〜6枠] 4-4-2-52 連対率12.9% 複勝率16.1% 枠番値-0.4
 [7枠〜8枠] 4-4-7-24 連対率22.2% 複勝率33.3% 枠番値+1.2
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 2-3-3-47 連対率 9.1% 複勝率14.5% 枠番値-0.3
 [5枠〜8枠] 7-6-6-49 連対率19.1% 複勝率27.9% 枠番値+0.2

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-4-5-46 連対率10.5% 複勝率19.3%
 [栗東] 5-4-4-46 連対率15.3% 複勝率22.0%
 [地方] 2-1-0-4 連対率42.9% 複勝率42.9%

・中央馬前走距離別成績
 [芝1000m] 2-0-1-4 連対率28.6% 複勝率42.9%
 [芝1200m] 5-8-8-66 連対率14.9% 複勝率24.1%
 [芝1400m] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-21 連対率 0% 複勝率 0%

・中央馬前走クラス別成績
 [新馬戦] 7-3-7-47 連対率15.6% 複勝率26.6%
 [未勝利] 0-2-1-22 連対率 8.0% 複勝率12.0%

・中央馬出走間隔別成績
 [連 闘] 0-1-1-2 連対率25.0% 複勝率50.0%
 [中1週] 1-3-1-34 連対率10.3% 複勝率12.8%
 [中2週] 0-0-2-21 連対率 0% 複勝率 8.7%
 [中3週] 3-3-3-10 連対率31.6% 複勝率47.4%
 [中4週以上] 3-1-2-25 連対率12.9% 複勝率19.4%

・注目出走パターン
 [好調] 継続騎乗となる牝馬(連対率27.6%、複勝率34.5%)
 [好調] ひとケタ人気の地方馬(連対率60.0%、複勝率60.0%)
 [好調] 6枠〜8枠に入った馬(連対率22.6%、複勝率32.1%)
 [全滅] 前走ダート戦出走の中央馬(0-0-0-21)
 [不振] 中1週〜中2週で出走の中央馬(複勝率11.3%)
 [不振] 前走函館「以外」で出走(連対率0%、複勝率16.7%)
 [不振] 前走4コーナーを1番手で回っていた馬(連対率9.8%、複勝率14.6%)

 昨年からの開催時期変更や、それにともなうラベンダー賞の廃止などがあるため、データの信頼性にビミョーな部分はある。それを踏まえた上で分析を進めるが、まず目立っているのがイマイチな1番人気馬と、対照的に絶好調な2番人気〜3番人気馬の成績だ。未勝利に終わっている1番人気馬に対して、2番人気馬は4勝、3番人気馬は2勝。この時期の2歳馬に対する評価がいかにアテにならないかを、よく表しているデータと言えそうだ。

 3着以内の25.9%が差し馬で、追い込み馬のシェアも18.5%あるあたりは、コースデータと大きく異なる項目。また、枠番別成績で外枠である6枠〜8枠が圧倒的に好成績だというのも、コースデータとは真っ向から食い違う結果である。これについては、キャリアが浅く未完成な2歳馬であることが大きく影響している印象。距離ロスなく立ち回れる内枠のメリットがまだうまく生かせず、スムーズに気分良く走らせられる外枠のほうが好結果に結びつく──というのが、この食い違いの背景にあると推測される。

 面白いのが出走間隔別成績で、連闘で出走する馬は好成績なのだが、中1週〜中2週で出走する中央馬はかなり低調。トータル[1-3-3-55]で勝率1.6%、連対率6.5%、複勝率11.3%という数字からは、たとえ人気馬であっても手を出しづらい。また、前走ダート戦に出走の中央馬が全滅しているのも、絶対に押さえておくべきポイントである。

 それ以外では、牝馬の圧倒的な好成績や、完全に「継続騎乗>乗り替わり」であること、函館デビュー組以外が不振な成績に終わっていることなども、取捨選択を行う上での重要なファクターとなりそう。1番人気馬のアテにならなさも忘れないようにしたい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 ただでさえ前有利な印象で、さらに今週からBコース替わり。

・天候予測
 降雨の気配はなく、パンパンの良馬場での開催となる可能性が大。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率11.3% 連対率19.9% 複勝率29.1%

・著者の注目血統
 ダイワメジャー産駒 勝率16.7% 連対率30.0% 複勝率43.3%

 北海道では好天が続いており、函館も週末までは降雨がまったくなさそうな雰囲気。また、2回函館の第3週まで開催が進んだが、芝コースに大きなダメージが見られず、相変わらず良好なコンディションという印象を受ける。となると、Bコース替わりでさらに前が残る馬場になる可能性もありそうなだけに、土曜日の結果を必ず見てから予想したい。

 血統については芝の短距離戦でもあり、勝利数はサクラバクシンオー産駒の独壇場。フレンチデピュティやクロフネといったVice Regent系種牡馬も好調なのだが、こちらは登録馬に該当なし。では素直にサクラバクシンオー産駒を推奨しようか……と思ったところで気付いたのが、ダイワメジャー産駒のとんでもない好成績だ。

 期間内トータル[5-4-4-17]と絶好調で、回収率も単複ともに100%の大台を突破。重賞での好走例こそないが、この適性の高さは見逃せない。しかも、登録馬で唯一のダイワメジャー産駒であるオールパーパスは、母父フレンチデピュティという血統構成。サクラバクシンオー産駒のビービーブレインより、適性はこちらのほうがさらに高いと見る。

★総論×各論

 まだキャリアの浅い2歳重賞とあって判断材料が少ないのだが、割引材料ゼロ、プラス材料てんこ盛りで圧倒的に高い評価となったのが、血統ファクターで名前をあげたオールパーパスである。

 血統以外のプラス材料を具体的に述べると、想定段階では騎手が乗り替わらず引き続き岩田ジョッキー騎乗の予定であること、中4週と余裕のあるローテで出走すること、前走が函館の新馬戦で1戦1勝馬であること、前走4角通過が2番手であることなど、じつに豊富。また「上位人気にはなりそうだが1番人気にはならないであろう」というのも、函館2歳S制覇へ向けては大きなプラス。これで牝馬であればパーフェクトといっても過言ではないのだが、さすがに性別ばかりはどうしようもない。

 二番手評価はファイトバックで、こちらも割引材料が見当たらない、レースとの相性がすこぶる良さそうなプロフィルの持ち主。三番手評価がファソン、四番手評価がトーセンシルエットで、ここまでを上位評価組としたい。あとは押さえが、地方馬ニシケンムード、マイネルフォルス、クリスマス、ビービーブレインといった序列となった。

 人気の一角となるであろうクリスマスとビービーブレインだが、こちらの評価は可もなく不可もなしといった印象。同様にキタサンラブコールもそれほど信頼はできないパターンと思われ、積極的に買いたくはない。あとは枠番とオッズが出てから考えるとするが、基本的にはオールパーパス、ファソンの二強というのが、当データ分析の判断だ。

■中京記念(G3・中京芝1600m)フルゲート16頭/登録27頭

 昨年から距離がマイルになり、開催時期が初夏へと変更された中京記念。事実上の新設重賞だが、いきなりから5番人気フラガラッハが制して、2着と3着にも穴馬が激走する波乱決着となった。今年はドナウブルー、リルダヴァル、フレールジャックなどが人気となりそうだが、それ以外の登録馬も一癖ある悩ましい面々ばかり。一筋縄ではいかないレースとなりそうだ。

 まだまだデータ不足だが、コースデータから言えそうなのが、徹底的に「キレ」優先だということ。ディープインパクト産駒が[8-4-6-25]で複勝率41.9%という超・好成績をおさめており、対照的にキングカメハメハ産駒が[1-5-3-25]と勝ちきれていないあたりに、このコースが持つ性質が見え隠れしている。

 そういったコースでもあり、ぜひチェックしておきたいのが、前走での上がり3F順位。中京芝1600mにおいて、前走での上がり3F順位が1位〜3位だった馬は、トータル連対率24.5%、複勝率34.5%と高信頼度なのだ。しかし、これが4位以下になると、連対率は10.0%、複勝率は15.7%にまで下落。前者が「買い」であるのは言うまでもないだろう。

 しかし、今年の中京記念の登録メンバーを見渡すと、「前走上がり3F順位が3位以内」の馬が非常に少ないのに気付く。現時点で出走が可能な16頭を対象に調べると、なんとこの条件を満たすのは、ザラストロ、ワイズリー、ファリダット(※前走ダート)の3頭だけ。しかも全馬が人気薄である。こんな単純なファクターだけで予想するのはナンセンスだが、それを承知の上で、ここはザラストロ、ワイズリーの2頭を注目馬にあげておきたい。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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