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やっぱり夏は牝馬が強い!?/アイビスサマーダッシュ

  • 2013年07月24日(水) 18時00分
■アイビスサマーダッシュ(G3・新潟芝1000m直)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】新潟芝1000m Aコース使用
・コース回収率
 [標準] 単勝79%・複勝74% 1番人気馬は連対率が低いが複勝率は高い

・馬連万馬券出現率
 [超高] 20.4%(平均値△8.4% 馬連平均配当8602円)

・枠番別連対率(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率4.1% 連対率 7.5% 複勝率14.7% 複回率61% 枠番値+0.1
 [3枠〜6枠] 勝率6.7% 連対率13.1% 複勝率17.8% 複回率78% 枠番値+0.2
 [7枠〜8枠] 勝率5.8% 連対率12.5% 複勝率18.9% 複回率75% 枠番値-0.5
 →連対率で大きく見劣る内枠はやはり不利も、そこまで外枠有利ではない

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>差し>追込 差しての1着が多いが前に行ける馬のほうが有利

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 21.7-32.5=54.2 2ハロン目が非常に速く、ラスト1ハロンで止まる

 荒れるコースという印象は前々からあったが、馬連万馬券の出現率はなんと20.4%という高確率。これは全体平均の倍近い数値であり、その波乱傾向はきわめて高いと言える。これでも近年になって、波乱傾向は少し落ち着いてきたほうなのだ。当然ながら馬連平均配当も8602円とかなり高く、ふたケタ人気馬の激走率も高水準。ある程度は荒れる前提で予想したほうがいいコースなのは、言うまでもない。

 枠番別成績を調べてみると、やはり厳しいのが内枠である1枠〜2枠。連対率で5%という大差が出ているように、内枠から連絡みするのはかなり難しい。ただ、外枠がイメージほどには強くないというのも押さえておきたいポイント。「新潟芝1000mは外枠」との格言がいまだに根強く信奉されているが、そこまで有利というワケではないのだ。

 脚質に関しては、ある程度は前に行ける馬のほうが安心して見ていられそう。最後の1ハロンでバテる馬が多く、イメージ以上に差せるコースではあるのだが、それでも短距離戦前有利が鉄則。最も信頼できるのは「中枠〜外枠から前付けできる」タイプの馬で、後方からの一気の差しを期待するのは厳しい。

 2ハロン目が10秒を切るようなペースとなり、そこからも厳しい流れが続くコース。最後は「いかにバテないか」の持久力勝負となる。だからこそ差しが決まるのだが、そうそうバタッとは止まらないのが、重賞級のスプリンター。逃げ切りでの決着も十分にあると想定して、予想を進めるべきコースである。

【レース基本情報】アイビスSD(G3) 過去10回
・レース平均配当
 単勝1712円 馬連5848円 3連複3万3152円

・1番人気馬成績
 [2-1-0-7] 勝率20.0% 連対率30.0% 複勝率30.0%

・3番人気以内馬成績
 [4-5-1-20] 勝率13.3% 連対率30.0%・複勝率33.3%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [5-4-6-45] 勝率8.3% 連対率15.0%・複勝率25.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-3-66] 連対率2.8% 複勝率7.0%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 40.0% [先行] 20.0% [差し] 30.0% [追込] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 26.7% [先行] 33.3% [差し] 26.7% [追込] 13.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 2-1-3-10 連対率18.8% 複勝率37.5%
 [4歳馬] 2-4-1-15 連対率27.3% 複勝率31.8%
 [5歳馬] 3-2-4-32 連対率12.2% 複勝率22.0%
 [6歳馬] 3-3-2-34 連対率14.3% 複勝率19.0%
 [7歳以上馬] 0-0-0-40 連対率0% 複勝率0%
 ─────────────────────────
 [4歳以下馬] 4-5-4-25 連対率23.7% 複勝率34.2%
 [5歳以上馬] 6-5-6-106 連対率 8.9% 複勝率13.8%

・性別成績
 [牡馬] 2-6-6-86 連対率 8.0% 複勝率14.0%
 [牝馬] 8-4-4-45 連対率19.7% 複勝率26.2%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 0-0-1-16 連対率 0% 複勝率 5.9% 枠番値+1.2
 [2枠] 1-0-4-13 連対率 5.6% 複勝率27.8% 枠番値+0.4
 [3枠] 0-1-0-16 連対率 5.9% 複勝率 5.9% 枠番値-0.4
 [4枠] 1-0-0-18 連対率 5.3% 複勝率 5.3% 枠番値-1.9
 [5枠] 3-1-0-16 連対率20.0% 複勝率20.0% 枠番値-0.1
 [6枠] 0-2-1-17 連対率10.0% 複勝率15.0% 枠番値-1.8
 [7枠] 2-2-3-18 連対率16.0% 複勝率28.0% 枠番値+2.0
 [8枠] 3-4-1-17 連対率28.0% 複勝率32.0% 枠番値+0.2
 ─────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 1-1-5-45 連対率 3.8% 複勝率13.5% 枠番値+0.4
 [4枠〜6枠] 4-3-1-51 連対率11.9% 複勝率13.6% 枠番値-1.3
 [7枠〜8枠] 5-6-4-35 連対率22.2% 複勝率30.0% 枠番値+1.1
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 2-1-5-63 連対率 4.2% 複勝率11.3% 枠番値-0.2
 [5枠〜8枠] 8-9-5-68 連対率18.9% 複勝率24.4% 枠番値+0.2

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-8-6-68 連対率11.9% 複勝率19.0%
 [栗東] 8-2-3-61 連対率13.5% 複勝率17.6%

・前走距離別成績
 [芝1000m] 2-2-2-11 連対率23.5% 複勝率35.3%
 [芝1200m] 6-8-5-90 連対率12.8% 複勝率17.5%
 [芝1400m] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1600m] 1-0-2-7 連対率10.0% 複勝率30.0%
 [ダート戦] 1-0-0-14 連対率 6.7% 複勝率 6.7%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 0-0-1-8 連対率 0% 複勝率11.1%
 [前走中央G2] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走中央G3] 5-3-0-35 連対率18.6% 複勝率18.6%
 [前走OP特別] 2-5-4-54 連対率10.8% 複勝率16.9%
 [前走条件戦] 3-2-3-28 連対率13.9% 複勝率22.2%

・出走間隔別成績
 [連 闘] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中1週] 2-2-1-16 連対率19.0% 複勝率23.8%
 [中2週] 2-3-2-27 連対率14.7% 複勝率20.6%
 [中3週] 0-3-3-21 連対率11.1% 複勝率22.2%
 [中4週以上] 6-2-4-65 連対率10.4% 複勝率15.6%

・注目出走パターン
 [絶好] 4歳以下の牝馬(連対率43.8%、複勝率50.0%)
 [好調] 騎手が乗り替わりとなる馬(単勝回収率146%、複勝回収率89%)
 [好調] 前走でも芝1000m戦に出走(連対率23.5%、複勝率35.3%)
 [好調] 前走で上がり最速(連対率25.0%、複勝率41.7%)
 [全滅] 継続騎乗となる8番人気以下馬(0-0-0-29)
 [全滅] 7歳以上馬(0-0-0-40)
 [不振] 中8週よりも長い間隔で出走(連対率2.9%、複勝率8.8%)

 1番人気馬が[2-1-0-7]と人気を裏切るケースが多いのもあって、平均配当は単勝1712円、3連複3万3152円など高めの数値に。3番人気以内馬のトータル勝率が13.3%、複勝率が33.3%しかないのだから当然の結果ではある。それとは対照的にガンガン来ている4番人気〜9番人気の中穴ゾーンで、トータル[5-4-6-45]で複勝率25.0%と絶好調。10番人気以下の大穴を狙うよりも、このあたりに狙いを定めたほうが効率はいいはずだ。

 何よりも目立っているのが内枠の不振で、このあたりはコースデータとまったく同じ。5枠〜8枠のトータル連対率が18.9%、複勝率が24.4%であるのに対して、1枠〜4枠は連対率4.2%、複勝率11.3%と、内枠は見るも無惨な結果に終わっている。人気馬が内枠に入った場合には、その扱いに細心の注意が必要となる。

 あとは、牝馬の圧倒的なまでの強さと、4歳以下馬の強さも大きな特徴。7歳以上馬が全滅していることから考えても、年齢に関しては「若くてイキのいい馬のほうが強い」と考えて問題なさそうだ。また、前走条件戦組の好走率が高いように、出走してきたレースの「格」がまったく問われないというのも、アイビスSDを攻略する上でのポイント。あとは「信頼度はほぼ同じだが、1着率に関しては関西馬のほうが格段に高い」というのも、覚えておいて損はない小ネタである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 昨年とは違って今年は開幕週の開催。内枠の不利が軽減される可能性も。

・天候予測
 週末まで延々と雨。日差しも弱く、含水率のかなり高い馬場となりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率5.9% 連対率16.8% 複勝率22.8%

・著者の注目血統
 なし

 ここでの大きなポイントが、今年は開幕週の開催だということ。開催が進めば進むほど外枠有利・内枠不利の傾向が加速するコースであり、ラチ沿いの馬場がまだあまりダメージを受けていない今週であれば、多少はマシになる可能性はある。また、新潟は梅雨空が続いており、日曜日まで毎日のように降雨がありそうというのも重要。降水量は少ないが、それでも重さの残る馬場になるのは確実だろう。こういった理由により、前が残る確率が例年よりも高くなるのではないか──というのが、現時点での推論だ。

 サクラバクシンオー産駒が芝の短距離戦で強いのは当たり前の話であり、血統に関しては特筆できるような項目なし。タイキシャトル産駒でも登録していたら面白かったのだが、いない以上は仕方がない。血統ファクターについてはあまり気にせず、それ以外の項目で取捨選択を行っていい年になりそうである。

★総論×各論

 枠番による影響がここまで大きいレースだと、正直なところ「せめて金曜日まで待って」と言いたい気持ちでいっぱい。データ的にはトップクラスの評価であっても、内枠を引いた瞬間に「消し」扱いとなる可能性まであるわけで……と愚痴っていても仕方がないので、そこは割り切った上で「各論」へと入ろう。

 前走スプリント重賞で勝ち負けしているパドトロワ、ハクサンムーンなどが人気の中心となりそうだが、アイビスSDは前述したように、かなり波乱傾向の強いレース。実績的にサクッと消せる馬ではないが、だからといって過信も禁物というのが、この2頭に対する評価である。

 最も高い評価となったのはビラゴーティアラ。6歳馬というのが気がかりではあるのだが、牝馬であることや「前走新潟芝1000m戦を最速上がりで1着」していること、前走条件戦組で、おそらく騎手が乗り替わりとなることなど、プラス材料の多さはかなりのものだ。人気も中穴ゾーンになりそうで、行くことも差すこともできる脚質の自在性も、大きな武器となりそう。ぜひ、好走を期待したいところだ。

 以下は、フォーエバーマークハクサンムーンビウイッチアスまでが上位評価組で、押さえでスギノエンデバー、パドトロワ、アンシェルブルー。かなり紛れの多いレースでもあり、ここは手広くいったほうが好結果を呼び込めそうだ。あとは言うまでもなく、「枠番」がどうなるか次第。騎手の乗り替わりと枠番による評価を上げ下げをキッチリした上で、レースに臨みたい。

■クイーンS(G3・函館芝2000m)フルゲート14頭/登録11頭

 登録頭数11頭と、手頃な頭数で行われそうなクイーンS。とはいえ、確固たる中心といえる馬が見当たらず、取捨選択はなかなか難しい。また、このところ2年連続で10番人気馬が2着に食い込む激走を見せており、それ以前もけっこう荒れているレースだというのも悩ましい要素。オッズ的にも、なかなか面白い一戦となりそうだ。今年は札幌ではなく函館での開催となるが、それを考え出すとまとまるモノもまとまらなくなるので「あえて」無視して話を進める。

 まずは、前走G1組が非常に強いレースであることから取りあげたい。過去10年でトータル[5-4-2-24]で連対率25.7%、複勝率31.4%と高い信頼度を誇っており、その主体となる前走オークス組と前走ヴィクトリアマイル組は、積極的に狙っていきたいところだ。また、4歳以下馬の勝率が非常に高いレースであるのも、大きな特徴だと言えるだろう。あとは「関東馬は人気で強く関西馬は穴で怖い」というのも、ぜひ覚えておきたいポイント。当日2番人気以内に推された関東馬は[4-0-0-1]と、1着に来る確率が非常に高いのである。

 となると、最も信頼できそうなのが昨年の覇者であるアイムユアーズ。春の2戦はいい結果が出せなかったが、前走G1組の4歳以下馬で、しかも「人気の関東馬」にも該当しそうな今回は、大きな変わり身を見せてくれそう。マルセリーナとの比較でも、プラス材料はこちらのほうが圧倒的に多い。

 ヒモ荒れ傾向の強いレースなので、相手には「関西の穴馬」中心でチョイス。現段階では、カチューシャ、セレブリティモデル、キャトルフィーユの3頭をオススメしておこう。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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