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リスペクトされなさすぎの牡馬と佐世保のダイオウイカ

  • 2013年07月25日(木) 12時00分
#1 こと1番人気馬に関しては牝馬も牡馬も互角なり

 今年のアイビスサマーダッシュは新潟開幕週開催。去年は2週目開催だったから今年は2年前〜7年前に戻った形だ。つまり06年〜11年のサマーダッシュであり、その6年間はすべて牝馬が1着だったから、当然牝馬へのリスペクトはさらに高まるかもしれない。(ちなみに去年は1着牡馬・2着牡馬・3着牝馬だった)

 それゆえにここ2年この場所で「牝馬と外枠をリスペクトしすぎない」とあえて自分に言い聞かせてきた。これは牝馬と外枠をないがしろにしようというわけではなく、大切にはするけれど大切にしすぎないということ。たとえば、この時期の開催だった06〜11年は牝馬は全勝と書いたけれど、この10年で見ても、牝馬は8勝と牡馬を圧倒している。けれど、こと1番人気馬だけで見ると、牡馬と牝馬の成績はほとんど変わらない。

1番人気
牡馬1-1-0-4
牝馬1-0-0-3

 つまり牝馬はこの10年で8勝もしているけれど、1番人気では1勝しかしてないとも言える。リスペクトはしなければいけないけれど、しすぎてはいけないというわけだ。ちなみに3歳の1番人気はこの10年で(0-0-0-3)。牡馬1・牝馬2ともに馬券圏外。

 しかし。今年はどうであろう。リスペクトしすぎる場所(人気)に牝馬がいないように見える。

予想人気
1人気 ハクサンムーン 牡馬
2人気 パドトロワ 牡馬
3人気 フォーエバーマーク 牝馬
4人気 スギノエンデバー 牡馬
5人気 アフォード 牡馬

 あくまでも週中の予想人気だ。けれど印象としては週末もあまり変わらない気がする。少なくとも1〜3人気は、これでだいたいではないか。フォーエバーマークの人気が上がったとしても最大で2番人気で、ハクサンムーンを抑えて1番人気になるようには思えない。

 こうなると話はカンタンだ!ただただ牝馬をふつうにリスペクトすればいいということになる。

#2 アイビスサマーダッシュ・リスペクトしすぎないニュー6か条

 以下は去年のここで書いたアイビスで的中に近づくための“ニュー箇条”。06年から11年の開幕6年間を参考に書いたものだから今年も有効かもしれない。だからややマッシュアップして、今年も注入しておく。

前文 牝馬と外枠をリスペクトしつつも、リスペクトしすぎない。

1■12番と13番を馬券圏内でリスペクトする。
2■1番人気〜3番人気の馬を2連レべルでリスペクトする。
3■1着は牝馬と決めつけるよりも、軸に決めた馬から牝馬に流すことも有効と心得る。
4■仮に◎にした馬が、1〜3人気でも、12番13番でもなかったら、相手は1〜3人気&12番13番でいい。馬連…いやワイドなら最大5点ですむ。
5■仮に◎にした馬が牡馬(セン馬含む)で、その馬が1〜3人気でなかったら、相手は1〜3人気の牝馬でいい。ワイド…いや馬連なら最大でも3点ですむ。
6■つまり牡馬を探せ。1〜3人気でなくて、12番13番でもない牡馬を探せれば、馬券はひじょうに軽やかになる。カンタン指数大幅アップ!(牝馬が馬券圏内独占したことは06年に1度だけあり。けれど基本的には1頭は牡馬が絡むことを重視)

 問題は、牡馬を探せれるかだけど、去年はカンタンだった。

1 牡馬は前走オープン以上(牝馬は条件戦でも頑張れる)。
2 7歳以上は牡馬も牝馬も頑張れていない。

 週中で、この2条件だけで、エーシンダックマン・パドトロワ・レオンビスティーの3頭に絞れた。レースは1着パドトロワ、2着エーシンダックマンで、こちらの想定以上に頑張られてしまった!(この2頭を大リスペしたのに馬券を取り逃した!ひぃ〜!)

 けれど、今年は難しい。現時点で該当牡馬は5〜7頭はいるからだ(前走ダートを含めるともっと増えてしまう)。今年は牡馬・牝馬ともにバランシーにアプローチした方がいいのではないか? 幸いなことに前述したように今年は牝馬もリスペクトしすぎる場所にはいなさそうだからだ。

#3 穴を狙うならリスペクトされなさすぎの牡馬

 今年は牡馬と牝馬を同列で扱ってみることにした。以下は、牝馬・牡馬(セン馬)別の上位人気4頭とその成績。(馬券圏内に入った馬には★を、4着の馬には☆をつけた)牝馬は牝馬内4番人気以内の馬しか馬券になってない。牝馬の穴は牝馬内4番人気の馬があけている。牡・牝上位4頭以外からの馬券は牡馬しかいない。

12年
牝馬
1 ビウイッチアス1人気 10着
2 エーシンヴァーゴウ4人気 3着★
3 ジュエルオブナイル6人気 5着
4 オウケンサクラ8人気 14着
牡馬
1 アフォード2人気 9着
2 ハクサンムーン3人気 4着☆
3 エーシンダッグマン5人気 2着★
4 パドトロワ7人気 1着★

11年
牝馬
1 エーシンヴァーゴウ1人気 1着★
2 サアドウゾ4人気 6着
3 セブンシークィーン6人気 6着
4 アイアムマリリン9人気 12着
牡馬
1 ヘッドライナー2人気 11着
2 ジェイケイセラヴィ3人気 5着
3 エーブダッチマン5人気 2着★
4 シャウトライン7人気 4着☆
(牡馬6人気・実際11人気のアポロフェニックスが3着)

10年
牝馬
1 メリッサ1人気 18着
2 カノヤザクラ2人気 10着
3 ウエスタンビーナス5人気 8着
4 ケイティラブ8人気 1着★
牡馬
1 ジェイケイセラヴィ3人気 2着★
2 ショウナンカザン4人気 14着
3 アポロドルチェ6人気 4着☆
4 テイエムカゲムシャ7人気 15着
(牡馬9人気・実際16人気のマルブツイースターが3着)

09年
牝馬
1 アルティマトゥーレ2人気 3着★
2 カノヤザクラ3人気 1着★
3 コスモベル5人気 8着
4 ウエスタンビーナス7人気 4着☆
牡馬
1 エイシンタイガー1人気 5着
2 シャウトライン4人気 9着
3 アポロドルチェ6人気 2着★
4 ゴスホークケン10人気 15着

08年
牝馬
1 エイムアットビップ1人気 16着
2 カノヤザクラ2人気 1着★
3 クーヴェルチュール3人気 5着
4 レヴリ12人気 12着
牡馬
1 マルブツイースター4人気 9着
2 サープラスシンガー5人気 4着☆
3 アポロドルチェ6人気 3着★
4 ナカヤマパラダイス7人気 11着
(牡馬7人気・実際10人気のシンボリグランが2着)

07年
牝馬
1 サチノスイーティー4人気 5着
2 クーヴェルチュール5人気 3着★
3 テイエムチュラサン12人気 11着
4 サンアディユ13人気 1着★
牡馬
1 ナカヤマパラダイス1人気 2着★
2 ジョイフルハート2人気 14着
3 アイルラヴァゲイン3人気 4着☆
4 スピニングノアール6人気 6着

06年
牝馬
1 マリンフェスタ3人気 2着★
2 テイエムチュラサン4人気 14着
3 レイズアンドコール6人気 3着★
4 サチノスイーティー7人気 1着★
牡馬
1 ダイワメンフィス1人気 5着
2 ステキシンスケクン2人気 12着
3 ホーマンテキーラ5人気 4着 ☆
4 スピニングノアール8人気 15着

 こうやって眺めてみると、ほとんど牝・牡上位4頭ずつで4着まで決まっていることがわかる。つまり、牝馬で穴を狙うならば牝馬内人気で4番目の馬がいいし、牡馬でちょっとした穴を狙うならば、牡馬内人気で3番目の馬がいいことがわかる。で、大穴を狙うならば上位4頭からはみ出たリスペクトされなさすぎの牡馬を狙うのがいいと仮定できる。

 これを今年出走が予想される馬(回避情報を有効にして)で書き出してみる。参考文献はもちろんnetkeiba.comだ。

牝馬(予想)
1 フォーエバーマーク(3人気)
2 プリンセスメモリー(6人気)
3 リトルゲルダ(7人気)
4 ビラゴーティアラ(8人気)
牡馬
1 ハクサンムーン(1人気)
2 パドトロワ(2人気)
3 スギノエンデバー(4人気)
4 アフォード(5人気)

 牝馬は「4番目」ならばビラゴーティアラ、もしくはリトルゲルダか。
 牡馬は「3番目」ならばスギノエンデバーかアフォード。

 新潟1000に初出走のスギノエンデバー以外の3頭は新潟1000の勝利経験と54秒台の持ち時計がある。今年は開幕だから53秒台も十分考えられ、持ち時計はあるにこしたことはない(今年の登録馬で53秒台の時計のある馬はいない)。

 牝馬も牡馬も3、4番目の馬で、リスペクトしすぎない項目に合致もする。ずぃぶんの夏競馬の基本「押し出し・引き出し」で言うところの「引き出し」にも該当しやすい。

 はみ出し候補(牡馬・7歳以上・前走条件戦の馬は省く)
・デュアルスウォード
・インプレスウィナー

 デュアルスウォードは未知の魅力あり。ダートの京葉Sからの出走は07年に13人気で1着したサンアディユと同じ。サンアディユはアイビスが初芝で1着だったのに対し、デュアルスウォードはデビュー4戦目に芝を1戦経験(東京1400・7着)。それ以来の芝だから、初芝と言ってもいいくらいで、これまたサンアディユと似たような感じだ。騎手・横山典はこの馬で2-0-0-2。

 心配事は父サンデーサイレンス系がとてつもなく苦戦していること。過去10年でみても、父フジキセキのアルティマトゥーレの3着1回だけ。(母父で見ても、去年1着したパドトロワの母父フジキセキの1回きり)

 とはいえ、所詮はみ出しホースだ。つまり人気薄だ。横山典が騎乗する意味も含めれば、すくいあげる魅力は十分ある。

 リスペクトされなさすぎだったらヒモで買いたい馬であって、ほんの少しでもリスペされているように感じたらもちろん買いたくない。そういう意味でもデュアルスウォードとインプレスウィナーの人気は気になる。

 今年の夏の重賞は4歳にも注目していると先週のここで書いた。

この夏は9頭出走して、1-2-1-5
4頭/9頭が馬券圏内

3着以内率.444
連対率.333

1〜3人気だと1-1-1-2
3人気以下だと0-1-0-3

 先週は結局出走できなかったけれど、アイビスサマーダッシュにはハクサンムーンとリトルゲルダの2頭が出走できそう。リトルゲルダは前述したように別角度から注目しているけれど、ハクサンムーンも1番人気必至で、今年の流れで読めば、ないがしろにはしにくい。

#結 アイビスサマーダッシュ注目馬

 このレースのイマジネーションどころ、その出発点はあくまでも「枠順発表」されてからだ。それを踏まえた上での週中注目馬は……………

・12番13番に入ってきたら、盛り上がってしまいそうな馬
・牝馬順位4番の馬(ビラゴーティアラ・リトルゲルダ)
・牡馬順位3番の馬(スギノエンデバー・アフォード)

 リスペクトされなさすぎなら3着ですくいあげておきたい馬
・デュアルスウォード・インプレスウィナー

 むしろ人気ゆえに抑えざるをえない馬
・ハクサンムーン

 3番人気ならば抑えざるをえない馬
・フォーエバーマーク

#+1 クイーンSよりも佐世保Sのダイオウイカ

 マイファーストラヴがクイーンステークスに登録している。マーメイドSで(オッズの)トワイライゾーンにいそうなダイオウイカ・ホースとして期待した馬だ。

 マーメイドSで注目した理由は、1にも2にも武幸騎手の脅威の減量騎乗があってのものだった。なんせデビュー以来初の49キロを敢行してのマイファーストラヴ騎乗。どんだけこの馬に期待しているんだって話だった!

 そのマーメイドSは結果6着。9人気で6着ならば悪くはないんでしょうけど、ダイオウイカ的な衝撃の映像を期待していた身としては、いささか拍子抜けしたものだった。

 そのマイファーストラヴが現在・騎手未定でいる。
前走騎乗した秋山騎手は今回はカチューシャに騎乗予定。カチューシャは初芝。にも関わらずカチューシャに騎乗する。う〜〜む…そういうことか! きっとそういうことなんだろう。

 っていうか、武幸騎手は騎乗しないようだ。前走は1000万特別だから騎乗しなかっただけで、重賞ともなれば話は別! てっきり函館に乗り込むと思っていた。なんせ身を削って騎乗するほどの馬とも思っていたからだ。では、武幸騎手はどこでどの馬に騎乗するのか? ふつうに考えるならば、函館以外の日曜メインレースに騎乗するはず(超期待の新馬がいる可能性もあるけれど、ここでは想定しきれないので、そこは省く)。つまり、小倉か新潟にいるはず……。

 いた。小倉にいた。

日曜・小倉・11R佐世保S 1600万
メイショウイザヨイ 武幸

 と週刊競馬ブックの想定にある。武幸騎手が直近3走に騎乗して、3着・1着・1着している馬。そもそもデビューから武幸騎手が騎乗していた馬でお手馬度の強い馬であることはわかる。

メイショウイザヨイ 4歳牝馬
父オレハマッテルゼ 母父ジェイドロバリー
芝4-0-1-1
砂0-1-0-5

 今回は昇級初戦とはいえ、1:07.4で勝った小倉芝1200だけに力が入っているようにも思える。どんないきさつでメイショウイザヨイに騎乗するのか、本当のところはわからない。けれど、だからこそ、ここは素直にマイファーストラヴを干物にするほどの逸材と見て、メイショウイザヨイに期待してみようと思っている。もちろん勝ったら、この夏のダイオウイカ・ホースとして、干物になるまで追っかけてやるつもりだ。

 ダイオウイカ・ホースの定義はトワイライトゾーン(単20倍台〜30倍台)にいることだけど、もはやそこは問わない。とにかく2着までに来てくれればいい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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