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上山競馬場“跡地”に行ってきました

  • 2013年08月03日(土) 12時00分
 今週、盛岡と秋田で楽天対西武戦の中継をした帰り、山形のかみのやま(上山)温泉に行ってきました。

 上山にはかつて競馬場があり、2003年11月まで競馬を開催していました。今年2月のNARグランプリで、同市の元市議会議員Sさん(競馬廃止反対派の方でした)から、「競馬場の跡地に新しい場外発売所(ニュートラックかみのやま)ができました。私はそこの相談役を務めています。ぜひ一度見に来てください」とのお誘いを受けたんです。それにお応えして行ってみました。競馬が廃止されて以来“跡地”に行くのはこれが初めて。ちょうど10年ぶりの訪問です。

 駅でSさんの出迎えを受け、さっそく車で向かうと、そこにはかつてのスタンドと事務所棟が往時のままに残っていました。新しい「ニュートラックかみのやま」ができるまでは、この旧スタンドを使って場外発売が行われていましたので、使われなくなってからまだ半年足らず。そこだけを見ると、きょうは競馬は休みでまたすぐに開催日がやって来そうな、そんな気分になっちゃいます。

 でも、その旧スタンドを背にしてあたりを眺めると、景色は一変。かつて馬場だったところには製薬会社の工場が建てられ、競馬場の名残はほとんどなくなっていました。上山市は、その製薬会社に競馬場跡地を無償で譲渡。その代わりに、残されたスタンド等の建物を製薬会社が費用を負担して解体するという契約になっているそうです。工事は近々始まるはず。懐かしい思いに浸りたい方は、旧スタンドが残っているうちに訪れておいたほうがいいでしょう。

 さてさて、「ニュートラックかみのやま」は、昔の競馬場のきゅう舎エリア跡に建てられました。1階が一般席で2階が特観席。特観席の入場料は南関東場外発売日が1日1000円、土日に岩手競馬を発売するときは1日500円です。約80席が用意されていて、テーブルには1台ずつモニターテレビを完備。さらには、カップラーメンや飲み物(ビールや日本酒もあり!)、おつまみ、だんごなどのワゴン販売が回ってきます。これはユニークなサービス。オープン当初は「1000円は高いんじゃないの」と思われていたものの、平均すると60ほどの席が埋まって、予想以上の盛況だそうです。

 上山市の周辺にはここ以外に公営競技の場外発売所がありません。隣の山形市中心部からは車で30分ほどの距離。県内最大都市を商圏に取り込んでいます。「ニュートラックかみのやま」が好調なのは、そんな立地条件があるからかもしれません。

 そうそう、かみのやま競馬場の名物実況アナウンサーだった與那覇豊和(よなは・とよかず)さんは、今、市内の温泉旅館で働いています。お仕事は多忙を極めているそうですが、昔と変わらず元気一杯でした。Sさん、與那覇さん、ありがとうございました!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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