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明暗が分かれた人気馬の評価/関屋記念

  • 2013年08月07日(水) 18時00分
■関屋記念(G3・新潟芝1600m外)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】新潟芝1600m外 Aコース使用
・コース回収率
 [標準] 単勝70%・複勝74% 人気馬から人気薄までまんべんなく走るコース

・馬連万馬券出現率
 [やや高め] 14.0%(平均値△2.0% 馬連平均配当5841円)

・枠番別連対率(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率5.5% 連対率10.9% 複勝率16.1% 複回率68% 枠番値-0.1
 [3枠〜6枠] 勝率5.2% 連対率12.0% 複勝率17.9% 複回率69% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 勝率7.1% 連対率11.8% 複勝率18.2% 複回率83% 枠番値+0.3
 →枠番による有利・不利が非常に小さいコース。軽視してもオーケー。

・脚質別信頼度
 差し>先行>逃げ≧追込 中団待機組の信頼度が最も高いという特異なコース

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 35.0-24.4-33.1=1.32.5 前半3Fよりも上がり3Fが2秒近く速い瞬発ラップに

 スタートから最初のコーナーまでが約550mと非常に長く、序盤でのポジション争いはまず激化しないコース。4コーナーを回るまではゆったりしたペースで進むが、勝負所に差しかかると一気に加速。ラストは、上がり3Fが32秒台となることもあるという、完全な瞬発力勝負となる。

 そういったコース形態&レースの流れでもあり、新潟芝1600mは枠番による有利・不利が非常に小さいのが特徴。スタートさえ決めれば大外枠からでもいいポジションが取れるため、枠番というファクターがそれほど重要とはならないのだ。また、人気馬がその能力をフルに発揮しやすい舞台でもあるため、レースの「紛れ」も少なめ。波乱が起きづらいコースであるのは間違いない。

 特徴的なのが、逃げ〜先行勢よりも中団待機組のほうが高信頼度だという点である。下級条件では前々での決着も多々見られるが、クラスが上がれば上がるほど、差し馬の信頼度がアップ。差し馬が最も強いという、いわば競馬の常識に反した結果が出ている。つまりそれだけ、瞬発力要求度の高いコースだということ。末脚のキレなしには勝ち負けできないコースなのである。

 序盤〜中盤がゆったり流れて上がり勝負となるのは、重賞の関屋記念でもまったく同じ。スローでのキレ勝負に実績のある馬をチョイスするのが、的中への近道と言えそうだ。

【レース基本情報】関屋記念(G3) 過去10回
・レース平均配当
 単勝1675円 馬連6356円 3連複1万3404円

・1番人気馬成績
 [4-2-2-2] 勝率40.0% 連対率60.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [6-5-4-15] 勝率20.0% 連対率36.7%・複勝率50.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [3-4-2-51] 勝率5.0% 連対率11.7%・複勝率15.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-5-66] 勝率1.4% 連対率2.7% 複勝率9.6%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 10.0% [先行] 40.0% [差し] 10.0% [追込] 40.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.5% [先行] 29.0% [差し] 32.3% [追込] 32.3%

・性別成績
 [牡馬] 8-9-10-113 連対率12.1% 複勝率19.3%
 [牝馬] 2-1-1-19 連対率13.0% 複勝率17.4%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-0-1-4 連対率 0% 複勝率20.0%
 [4歳馬] 4-3-3-12 連対率31.8% 複勝率45.5%
 [5歳馬] 2-6-1-41 連対率16.0% 複勝率18.0%
 [6歳馬] 2-0-2-34 連対率 5.3% 複勝率10.5%
 [7歳以上馬] 2-1-4-41 連対率 6.3% 複勝率14.6%
 ─────────────────────────
 [5歳以下馬] 6-9-5-57 連対率19.5% 複勝率26.0%
 [6歳以上馬] 4-1-6-75 連対率 5.8% 複勝率12.8%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 0-0-0-17 連対率 0% 複勝率 0% 枠番値-1.4
 [2枠] 1-1-2-14 連対率11.1% 複勝率22.2% 枠番値+0.3
 [3枠] 1-1-0-16 連対率11.1% 複勝率11.1% 枠番値-0.3
 [4枠] 0-0-0-18 連対率 0% 複勝率 0% 枠番値-0.7
 [5枠] 0-1-5-14 連対率 5.0% 複勝率30.0% 枠番値-0.2
 [6枠] 0-4-0-16 連対率20.0% 複勝率20.0% 枠番値-0.7
 [7枠] 5-1-2-18 連対率23.1% 複勝率30.8% 枠番値+1.1
 [8枠] 3-2-2-19 連対率19.2% 複勝率26.9% 枠番値+1.2
 ─────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 2-2-2-47 連対率 7.5% 複勝率11.3% 枠番値-0.4
 [4枠〜6枠] 0-5-5-48 連対率 8.6% 複勝率17.2% 枠番値-0.5
 [7枠〜8枠] 8-3-4-37 連対率21.2% 複勝率28.8% 枠番値+1.1
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 2-2-2-65 連対率 5.6% 複勝率 8.5% 枠番値-0.6
 [5枠〜8枠] 8-8-9-67 連対率17.4% 複勝率27.2% 枠番値+0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-6-5-66 連対率11.3% 複勝率17.5%
 [栗東] 7-4-6-66 連対率13.3% 複勝率20.5%

・前走距離別成績
 [〜芝1200] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%
 [芝1400m] 1-1-3-21 連対率 7.7% 複勝率19.2%
 [芝1600m] 3-5-6-54 連対率11.8% 複勝率20.6%
 [芝1800m] 2-2-1-21 連対率15.4% 複勝率19.2%
 [芝2000m] 4-2-1-18 連対率24.0% 複勝率28.0%
 [芝2200〜] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [ダート戦] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 ─────────────────────────────
 [距離延長] 1-1-3-29 連対率 5.9% 複勝率14.7%
 [同距離戦] 3-5-6-54 連対率11.8% 複勝率20.6%
 [距離短縮] 6-4-2-45 連対率17.5% 複勝率21.1%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 3-1-2-9 連対率26.7% 複勝率40.0%
 [前走中央G2] 1-0-0-9 連対率10.0% 複勝率10.0%
 [前走中央G3] 4-6-1-42 連対率18.9% 複勝率20.8%
 [前走OP特別] 1-2-7-57 連対率 4.5% 複勝率14.9%
 [前走条件戦] 1-1-1-13 連対率12.5% 複勝率18.8%

・牡馬斤量別成績
 [53kg] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 [56kg] 7-8-9-92 連対率12.9% 複勝率20.7%
 [57kg] 1-1-0-14 連対率12.5% 複勝率12.5%
 [58kg] 0-0-1-2 連対率 0% 複勝率33.3%
 [59kg] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 ──────────────────────────
 [56kg以下] 7-8-9-96 連対率12.5% 複勝率20.0%
 [57kg以上] 1-1-1-17 連対率10.0% 複勝率15.0%

・出走間隔別成績
 [連 闘] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中1週] 2-0-2-20 連対率 8.3% 複勝率16.7%
 [中2週] 0-2-0-13 連対率13.3% 複勝率13.3%
 [中3週] 0-2-1-14 連対率11.8% 複勝率17.6%
 [中4週〜8週] 2-4-3-41 連対率12.0% 複勝率18.0%
 [中9週以上] 6-2-5-42 連対率14.5% 複勝率23.6%

・注目出走パターン
 [絶好] 前走重賞出走の4歳馬(連対率50.0%、複勝率60.0%)
 [買い] 前走重賞出走の距離短縮組(連対率22.5%、単適回値155.4%)
 [買い] 7枠〜8枠に入った前走重賞組(連対率29.6%、複勝率33.3%)
 [買い] 前走G1出走馬(連対率26.7%、複勝率40.0%)
 [買い] 継続騎乗となる前走重賞組(複勝率32.0%、複回率109%)
 [不振] 距離延長組(連対率5.9%、複勝率14.7%)
 [不振] 1枠〜4枠に入った馬(連対率5.6%、複勝率8.5%)
 [不振] 騎手が乗り替わる距離延長組(連対率0%、複勝率10.0%)

 1番人気馬は[4-2-2-2]で連対率60.0%、複勝率80.0%と非常に高い信頼度を誇っているように、上位人気馬が壊滅するようなケースはほぼないレース。とはいえ、06年にはカンファーベストが14番人気で1着に激走しており、平均配当も単勝1675円、馬連6356円と意外に高め。このコースで行われるレースとしては「かなり荒れる」部類だと言える。

 コースデータでの分析結果と大きく異なるのが、枠番別成績だ。コース形態や流れから枠番の有利・不利が小さいと結論づけたが、関屋記念に関しては完全に外枠優勢。コースデータでも外枠のほうが成績は良かったのだが、それとは比較にならないレベルの差異が生じているのだ。1枠〜4枠のトータル複勝率が8.5%しかないのに対して、5枠〜8枠のそれは27.2%と、その差はじつに3倍以上。枠番値から見ても外枠優勢であるのは間違いなく、内枠不振、外枠好調という傾向は今年も継続する可能性が高い。

 脚質については、コースデータ分析の結果と同様に「差し優勢」で問題なさそう。1着馬における先行脚質のシェアが高い点はしっかり踏まえておくべきだが、馬券に絡んだ馬のじつに65%近くが、差し・追込脚質。「差し→先行→差し」や「差し→追込→先行」といった、中団〜後方待機組が馬券に2頭絡むパターンが最も想像しやすい。

 前走クラス別で成績を比較すると、当然ながら「前走重賞出走組」のほうが信頼度は格段に高い。ただし「前走OP特別出走馬の3着率が非常に高い」というのも、関屋記念の大きな特徴。1着〜2着は前走重賞組に、3着を前走OP特別組に決め打つ馬券という奇手も、過去の傾向的にはアリだ。

 あとは、5歳以下馬のほうが優勢であること、距離延長組が非常に弱いこと、騎手の乗り替わりがマイナスファクターであること、中4週〜中8週が理想的なローテであることなども、注目しておきたいポイント。また、超のつく瞬発力コースではあるが、前走で速い上がりをマークしていることが必ずしもプラスとはならない(意外に信頼度が低い)のも、面白いところである。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 外回りに関しては「いつもの新潟」といった印象で、やはり高速馬場。

・天候予測
 週末までの降水確率は低く気温の高い日が続きそう。良馬場前提でオーケー。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率13.6% 連対率27.3% 複勝率31.8%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、ハーツクライ産駒、キングカメハメハ産駒、母父サンデーの配合馬

 注目血統は、奇しくも先週の小倉記念とまったく同じラインナップとなった。実際に小倉記念も1着メイショウナルト(父ハーツクライ)、2着ラブリーデイ(父キングカメハメハ)と注目血統でのワンツー決着。小倉芝2000mとはコース形態も流れも大きく異なるが、サンデー系的な「キレ」が前面に出ている馬が高い適性を持つコースだという点はまったく同じ。瞬発力があって末脚がキレそうな馬を上位に評価すれば、それでいい。

 となると、血統の字面だけなら「キンカメ×サンデー」のミッキードリーム、ハーツクライ産駒のジャスタウェイ、ディープインパクト産駒のドナウブルー、母父サンデーのシルクアーネストが四強。小倉記念と同様に、この4頭で上位独占という結果も十分に考えられそうだ。

★総論×各論

 なかなか面白いメンバーが登録してきた、今年の関屋記念。登録頭数から、おそらくフルゲート18頭にて開催されそうだ。人気を集めそうなのは、エプソムCで2着に好走したジャスタウェイに、中京記念を制してここに臨むフラガラッハ、昨年の勝ち馬であるドナウブルーの3頭。まずは、この3頭について「各論」を述べていこう。

 この3頭で、過去の傾向に最も合致「しない」のはフラガラッハ。騎手が(おそらく)乗り替わりとならないのはプラス材料だが、速い上がりは使えるが出遅れるケースが多く信頼性に欠けることや、6歳以上馬であることなど、不安材料のほうが目立っている。また、距離に変化がない中京記念からのローテも、けっしてプラスとは言えない要素。昨年2着のエーシンリターンズが出ているとはいえ、距離短縮組のほうがやはりアテになる。

 逆に、プラス評価となった項目がズバ抜けて多かったのがジャスタウェイだ。エプソムCからのローテは「中8週」であり、さらに「距離短縮」でもある好走パターン。継続騎乗となりそうなことや、4歳馬であることも当然プラス評価の対象であり、割り引くとしたら「前走最速上がり」である点くらいのもの。ハーツクライ産駒であるのも心強く、新潟芝実績も文句なし。データ的には、不動の本命と言える。

 そしてドナウブルーだが、ジャスタウェイほどではないとはいえ、こちらも高評価組。大きく割り引く要素は見当たらないし、好走してなんらおかしくないプロフィルの持ち主である。ただし、評価順は二番手ではなく三番手。人気薄となりそうなナンシーシャインのほうが評価は上だ。そして四番手に、前走でG1に出走しているゴールデングローブ。ここまでの4頭を、当データ分析からの上位評価組としたい。

 以下、ワイズリー、ミッキードリーム、シルクアーネスト、レオアクティブ、ムクドクといった評価順。あとは、ここまでに名前をあげた馬がどの枠に入るかが問題だ。圧倒的に外枠優勢であるのは前述したとおりで、1枠〜4枠に入った馬は、それだけで大幅割引の対象。このファクターで評価を上げ下げした上で、本番に臨むとしよう。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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