スマートフォン版へ

荒れると決め打ってここは振り回す!/北九州記念

  • 2013年08月14日(水) 18時00分
■北九州記念(G3・小倉芝1200m)フルゲート18頭/登録20頭

【コース基本情報】小倉芝1200m Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単勝69%・複勝74% 1番人気馬の信頼度はかなり高い

・馬連万馬券出現率
 [やや高め] 14.5%(平均値△2.5% 馬連平均配当6253円)

・枠番別連対率(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率6.4% 連対率12.8% 複勝率19.4% 複回率80% 枠番値+0.2
 [3枠〜6枠] 勝率6.0% 連対率11.4% 複勝率17.4% 複回率80% 枠番値±0
 [7枠〜8枠] 勝率5.0% 連対率10.8% 複勝率15.6% 複回率59% 枠番値-0.2
 →いずれの指標からも内枠有利・外枠不利と結論づけられるコース。

・脚質別信頼度
 逃げ≧先行>>差し>>>追込 前に行ける馬であるほど有利であるのは確実

・推定ラップ&タイム
 [前傾] 32.8-34.5=1.07.3 レース序盤が非常に速く完全な前傾ラップに

 速い時計の出やすい小倉芝で、しかも多頭数でのスプリント戦。バックストレッチの引き込み線からスタートして、そこから最初のコーナーまで約480mと長く直線が続くコースではあるのだが、ポジション争いは序盤から激化する。前半3Fが33秒を切るケースも多いという、完全なスプリント戦である。

 1番人気馬の信頼度が高いこともあって、コース回収率はそれほど高くはない。しかし、これが飛ぶと当然ながら高配当が飛び出すため、馬連万馬券の出現率は14.5%と高めの数値に。馬連平均配当6253円というのも高めの水準であり、堅く決着するケースと荒れるケースで、両極端の結果となりやすいコースだと言えそうだ。

 枠番と脚質については、明白に内有利&前有利。これは小倉の芝コース全体についていえる傾向であり、「内枠からスッと前に付けられる馬」は人気薄でも要注意。さすがに開催8日目ともなると馬場の内が荒れてはくるが、それでもコースデータ的には、昨年のような「差し→差し」決着や「差し→追込」決着は想定しづらい。先行勢に対する警戒を怠らないようにすべきコースである。

【レース基本情報】北九州記念(G3) 過去7回
・レース平均配当
 単勝2307円 馬連1万4306円 3連複5万2083円

・1番人気馬成績
 [1-0-2-4] 勝率14.3% 連対率14.3% 複勝率42.9%

・3番人気以内馬成績
 [1-4-3-13] 勝率4.8% 連対率23.8%・複勝率38.1%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [4-2-3-33] 勝率9.5% 連対率14.3%・複勝率21.4%

・10番人気以下馬成績
 [2-1-1-49] 勝率3.8% 連対率5.7% 複勝率7.5%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 42.9% [差し] 57.1% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 42.9% [差し] 47.6% [追込] 9.5%

・性別成績
 [牡馬] 3-3-3-55 連対率 9.4% 複勝率14.1%
 [牝馬] 4-4-4-40 連対率15.4% 複勝率23.1%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-2-1-13 連対率12.5% 複勝率18.8%
 [4歳馬] 3-4-4-13 連対率29.2% 複勝率45.8%
 [5歳馬] 1-0-1-34 連対率 2.8% 複勝率 5.6%
 [6歳馬] 3-1-0-17 連対率19.0% 複勝率19.0%
 [7歳以上馬] 0-0-1-18 連対率 0% 複勝率5.3%
 ─────────────────────────
 [4歳以下馬] 3-6-5-26 連対率22.5% 複勝率35.0%
 [5歳以上馬] 4-1-2-69 連対率 6.6% 複勝率 9.2%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 0-0-0-13 連対率 0% 複勝率 0% 枠番値-2.1
 [2枠] 3-1-1-8 連対率30.8% 複勝率38.5% 枠番値+1.4
 [3枠] 0-1-2-11 連対率 7.1% 複勝率21.4% 枠番値-0.3
 [4枠] 0-2-0-12 連対率14.3% 複勝率14.3% 枠番値-0.5
 [5枠] 1-1-0-12 連対率14.3% 複勝率14.3% 枠番値-1.4
 [6枠] 0-0-2-12 連対率 0% 複勝率14.3% 枠番値+0.9
 [7枠] 0-1-1-15 連対率 5.9% 複勝率11.8% 枠番値+1.1
 [8枠] 3-1-1-12 連対率23.5% 複勝率29.4% 枠番値+0.8
 ─────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 3-2-3-32 連対率12.5% 複勝率20.0% 枠番値-0.4
 [4枠〜6枠] 1-3-2-36 連対率 9.5% 複勝率14.3% 枠番値-0.4
 [7枠〜8枠] 3-2-2-27 連対率14.7% 複勝率20.6% 枠番値+0.9
 ─────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 3-4-3-44 連対率13.0% 複勝率18.5% 枠番値-0.4
 [5枠〜8枠] 4-3-4-51 連対率11.3% 複勝率17.7% 枠番値+0.3

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-0-0-7 連対率 0% 複勝率 0%
 [栗東] 7-7-7-88 連対率12.8% 複勝率19.3%

・前走距離別成績
 [芝1000m] 3-0-4-36 連対率 7.0% 複勝率16.3%
 [芝1200m] 3-5-1-43 連対率15.4% 複勝率17.3%
 [芝1400m] 0-1-1-9 連対率 9.1% 複勝率18.2%
 [芝1600m] 1-0-0-5 連対率16.7% 複勝率16.7%
 [芝1800〜] 0-1-1-0 連対率50.0% 複勝率100%
 [ダート戦] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
 [前走中央G3] 2-1-4-50 連対率 5.3% 複勝率12.3%
 [前走OP特別] 2-2-0-17 連対率19.0% 複勝率19.0%
 [前走条件戦] 3-4-2-23 連対率21.9% 複勝率28.1%

・牡馬斤量別成績
 [〜51] 0-0-1-3 連対率 0% 複勝率25.0%
 [52kg] 1-1-0-7 連対率22.2% 複勝率22.2%
 [53kg] 0-0-0-11 連対率 0% 複勝率 0%
 [54kg] 1-1-0-5 連対率28.6% 複勝率28.6%
 [55kg] 1-0-0-7 連対率12.5% 複勝率12.5%
 [56kg] 0-0-2-11 連対率 0% 複勝率15.4%
 [56.5] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [57kg] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
 [57.5] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [58kg] 0-1-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%
 ──────────────────────────
 [55kg以下] 3-2-1-33 連対率12.8% 複勝率15.4%
 [56kg以上] 0-1-2-22 連対率 4.0% 複勝率12.0%

・出走間隔別成績
 [連 闘] 0-0-0-4 連対率 0% 複勝率 0%
 [中1週] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中2週] 2-4-1-17 連対率25.0% 複勝率29.2%
 [中3週] 2-0-3-39 連対率 4.5% 複勝率11.4%
 [中4週〜8週] 2-3-2-18 連対率20.0% 複勝率28.0%
 [中9週以上] 1-0-1-15 連対率 5.9% 複勝率11.8%

・注目出走パターン
 [絶好] 3歳〜4歳の牝馬(連対率28.6%、複勝率42.9%)
 [買い] 3歳〜4歳馬(連対率22.5%、複勝率35.0%)
 [買い] 前走条件戦でひとケタ着順(連対率33.3%、複回率160%)
 [買い] ハンデ54キロ以下の牡馬(単適回値132.6%、複回率111%)
 [買い] 6枠〜8枠に入った馬(枠番値+0.9、単適回値114.0%)
 [不振] 7歳以上馬(連対率0%、複勝率5.3%)
 [不振] 前走重賞組(連対率4.8%、複勝率12.7%)
 [不振] ハンデ56キロ以上の牡馬(連対率4.0%、複勝率12.0%)

 堅く決着したケースもあるにはあるが、平均配当は単勝2307円、馬連1万4306円、3連複5万2083円と、かなりの荒れ模様。というのも、人気馬がまったくアテにならないからだ。1番人気は[1-0-2-4]と連対率わずか14.3%と大不振であり、同様に3番人気以内馬もトータル勝率4.8%というていたらく。3番人気以内馬よりも、[4-2-3-33]で勝率9.5%の4番人気〜9番人気馬のほうが勝率が高いというのは、とんでもない結果である。

 その要因となっているのが、人気を集める前走重賞組のコケっぷり。前走重賞組が連対率4.8%、複勝率12.7%であるのに対して、前走条件戦組がトータル[3-4-2-23]で連対率21.9%、複勝率28.1%と走りまくると、ここでも逆転現象が起きている。人気馬がアテになるコースではあるのだが、この傾向はこと北九州記念に関しては、まったく当てはまらないと言える。

 また、コースデータで推した「内枠」がイマイチなのも、北九州記念の大きな特徴。最も好成績なのは7枠〜8枠の「外枠」であり、枠番値も+0.9とかなりの高さ。また、脚質についても、先行勢より差し馬のほうが信頼度が高いなどなど、またしてもコースデータとは対照的な結果が出ている。道中の流れが厳しいことが影響しているのだとは思うが、それにしても極端な結果。つまり北九州記念は、コースデータとは大きく異なる結果が出やすい、特異なレースなのである。

 目立っているのがハンデを背負った馬の不振で、斤量56キロ以上を背負う牡馬は[0-1-2-22]で連対率4.0%と超低空飛行。また、逃げた馬が1頭も馬券に絡めていないことや、夏競馬らしい牝馬の強さ、4歳以下馬の強さなども特徴的だと言える。いずれにせよ、実績馬がアテにならないレースであるのは確実。格よりも勢い重視で、穴馬を積極的に買うスタンスを推奨したい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 開催終盤だが相変わらず前が強い状況。短距離戦でも前はそうそう止まらない。

・天候予測
 週末までの降水確率は低く気温も高い。含水量の低い堅い馬場となりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 サクラバクシンオー 勝率8.7% 連対率19.2% 複勝率25.0%

・著者の注目血統
 キングカメハメハ産駒、フジキセキ産駒、サクラバクシンオー産駒

 馬場については「いつもの小倉」といった印象で、前がそう簡単に止まる状況ではなさそう。このあたりはペース次第ではあるのだが、今年の北九州記念は徹底先行型の馬があまり登録しておらず、意外にペースが落ち着く可能性もある。となれば、人気薄の先行馬が最後まで粘りきるケースもありそうで、何とも判断が難しいところ。「先行→差し」または「差し→先行」での決着あたりを想定しておきたい。

 スプリント戦らしい流れになることもあり、勝利数トップはサクラバクシンオー産駒。とはいえ、内容的には連対率23.5%のキングカメハメハ産駒や、複勝率30.3%で回収率も高いフジキセキ産駒のほうが上。あとは「人気薄の母父サンデー」も高期待値なのだが、こちらは残念ながら登録がなかった。

 逆に危なっかしいのが、いわゆる「キレ型サンデー系」種牡馬の産駒。ステイゴールド産駒が[0-0-0-29]と全滅していることを考えると、ハーツクライ産駒やマンハッタンカフェ産駒、そしてディープインパクト産駒も怪しい。ダイワメジャー産駒もイマイチで、このあたりは割り引いて考えたい。

★総論×各論

 前走重賞組やハンデの重い馬などが信頼できないレースであるのは、前述したとおり。北九州記念は「若くて軽くて勢いがある馬」を重視したほうがいいし、しかもかなり穴方向に振った予想のほうが好結果を呼び込めそうだ。

 また、実際に当データ分析で上位評価となった馬も、そのほとんどが人気薄。人気を集めそうなサドンストーム、スギノエンデバーなどは「ギリギリ押さえるか押さえないか」といった程度の評価であり、今年も荒れる可能性がきわめて高いと見ている。

 トップ評価は、前走で1000万条件を勝ち上がったニンジャ。ハンデ53キロの4歳馬で、コース実績も[2-0-0-0]と文句なしだ。以下も、テイエムタイホーバーバラマイネルエテルネルミヤジエムジェイなど、前走で重賞「以外」に出走していた馬が上位にランクイン。ここまでに名前を挙げた5頭が上位評価組で、あとは押さえでハノハノ、ローガンサファイア。サドンストームはオッズ次第で押さえるが、昨年の覇者であるスギノエンデバーは「消し」というのが、現時点での見解だ。

 馬券も、3連複1頭軸流しや3連単のフォーメーションなどで、かなり攻めたフォーカスを組み立てるのが面白そう。順当に決着されたら素直に白旗をあげるが、そうはならない可能性のほうがはるかに高いレースであり、登録メンバーである。

■札幌記念(G2・函館芝2000m)フルゲート14頭/登録23頭

 本来ならばこちらをメインで取りあげるべきなのだが、今年の札幌記念は函館競馬場での開催。洋芝コースである点こそ共通するが、基本的にコースが違えば「別のレース」というのが、当データ分析の考え。注目度の高さは断然こちらなのは承知の上で、あえてサブで扱うことにした。

 皐月賞馬ロゴタイプに天皇賞(秋)の覇者トーセンジョーダンなど豪華メンバーが登録してきた今年の札幌記念。まずはトーセンジョーダンだが、こちらはやはり仕上がりが気がかり。実績、適性ともに文句なしなのだが、半年以上の休養明けで出走した馬は過去10年で一度も連対しておらず、どちらかといえば「消し」が正解。地力が地力だけに来られても何の文句も言えないが、それでも「買い」とは言えない。

 ならば、ここはロゴタイプを素直に信頼すべきだろう。おそらく1番人気になると思われるが、札幌記念の1番人気馬は過去10年[4-4-0-2]と信頼度バツグン。気になる騎手の乗り替わりについても「過去のデータ的には」それほど気にする必要はなさそうだ。洋芝適性に関しても既に証明済みであり、大きな割引材料はナシ。順当に、勝ち負けが期待できると見ている。

 以下も素直に、トウケイヘイロー、アンコイルドなど、同コースである函館記念の上位馬を評価。大荒れとなるレースでも、コースでも、メンバー構成でもないと思われるので、ロゴタイプから買い目を絞った、シュアな馬券での勝負をオススメしたい。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

No.1予想にて関西全レース予想提供中!

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング