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不毛地帯に無理矢理ねじ込んでみた。

  • 2013年09月12日(木) 12時00分
 ローズSは1番人気をナイガシロにしにくいレース。特に距離が1800になって、よりその傾向が目立ってきた。

過去10年 4−2−1−3
過去6年(芝18) 3−1−1−1

 今年の1番人気は予想ではデニムアンドルビー。

1人気デニムアンドルビー
2人気エバーブロッサム
3人気メイショウマンボ

 上記のように1番人気は優秀だから、特に何も考えなくても3連系の馬券ならだいたい当たる。馬単1着付けでも半分は当たる。

 ただ逆にいえば半分は1着にあらず。1着じゃなければ、2着でも3着でも相手次第ではおいしい馬券になる可能性もある。

 だから検討してみる。デニムアンドルビーを検討してみる。

デニムアンドルビー 牝
父ディープインパクト 母父キングカメハメハ
馬主・金子真人HD 生産・ノーザンF
角居厩舎 騎手・内田博

 馬名・血統・馬主・生産牧場・厩舎・騎手。うむ、ゴージャスだ。

 馬名は洒脱だし、血統は父も母父も日本競馬の王者系だし、馬主はその王者系2頭の馬主で日本の個人馬主の顔だし、生産牧場は日本一だし、厩舎はトップトレーナーだし、騎手は日本の名手だし、成績など見ずとも、この馬の目指すであろう道の想像はつく。POGで人気を集めたのも当然だ!

 なんて書いて悦に入っていたら、競馬王編集部のPオタ・マツヤマから「デニムアンドルビーの当時のPOG人気はそこそこだったと思われます。なかったわけではないです。人気はありました。ただドラフト1位、2位的な人気というよりは4位、5位的な人気だった気がします」と言われてしまった。

 自分的には4位、5位なら十分人気だと思うけれど、POGオタク的にはそこはこだわりどころなんだろう。野球でもドラフト1位2位と4位5位では周囲の扱いもぜんぜん違うし。

「これは有名な話ですが、POG本が出てた頃の馬名はヒアズトゥユーですからね。」

え? ヒアズトゥユー?(てか、有名なんだ。ぜんぜん知らなかった!)

「君に乾杯という意味だそうです。」

 君に乾杯。素敵なネーミングだ。ただ日本語として口にしたときのインパクトは圧倒的にデニムアンドルビーが上の気がする。なるほど。ヒアズトゥユーの分、少し印象に残りにくかった可能性もあったというわけね。それで1位、2位ではなく、4位、5位ね。

 ならば言い換えよう。

 ヒアズトゥユーでもそれなりの人気を集めたのだから、やっぱりPOGで人気を集めたのは当然だ。(全然言い換えられてない気がするけど、今回の主旨はそこではないからこのまま進もう。)

 デニムアンドルビーの過去成績

新馬 1人気2着 福永
芝16 11−8−8
35.9(上がり2位)

未勝利 3人気2着 福永
芝18 5−6−5
35.0(1位)

未勝利 1人気1着 Cデムーロ
芝20 16−14−10−11
34.3(1位)

フローラS 1人気1着 内田博
芝20 18−18−16−5
33.8(2位)

オークス 1人気3着 内田博
芝24 18−17−14−11
34.7(2位)

 1勝するのに多少足踏みはしたけれど、勝ってからは最短で駆け上がって、オークスでは1番人気に。

 オークスは3着に敗れたけれど、それでも思う。より強く思う。

 この馬の目指すところは、やっぱりG2、G3ではなくG1での1着ではないかと。

 実際、オークス前に「凱旋門賞!」と騒がれもした。

 だとすると気になる。

 ローズSで内田博騎手がどのような騎乗をするのか気になってしょうがない。

 言うまでもなく、昨今のローズS1番人気馬(もしくは秋華賞を本気で狙ってる馬)の走り方は、秋華賞を意識したものが多い。

 ローズSの距離が2000から1800になって、1番人気馬の闘い方が以前より前のめりになった気がする。

 ローズSは阪神1800外回りで角2、秋華賞は京都2000の内回りで角4。直線の長さもぜんぜん違う(約150m秋華賞は短い)。

 去年、岩田騎手は京都内回りを考えて、ジェンティルドンナに先行競馬を課して1着させたと話題になったが、岩田騎手に限らず、1番人気に限らず、秋華賞を目指す騎手は内回りを想定して騎乗しているように見える。

07年 1人気ダイワスカーレット 1−1−1 1着
08年 1人気レジネッタ 7−7−6 3着
09年 1人気レッドディザイア 10−11−12 2着
10年 1人気アパパネ 4−4−4 4着
11年 1人気ホエールキャプチャ 2−2−3 1着
12年 1人気ジェンティルドンナ 2−2−2 1着

 うん、どうみても明らかに秋華賞を想定して、前のめって騎乗しているように思える。10番手競馬はレッドディザイアのみ。ただしこのときは立ち遅れていた。遅れなければ、どんな位置だったかはわからない。

 ゆえに、思うわけだ。

 内田博騎手はどのような騎乗をするつもりなのだろう。

 そもそもディープインパクト産が圧倒的に幅をきかせるコーナー2つの1800だ。今までどおりの競馬ならば、デニムアンドルビーのマクり系の差しが威力を発揮するはずだ。

 しかし京都内回り2000を想定するとどうであろう。この時期の京都は圧倒的に先行馬有利だ。マクったとしても届くかはわからない。

 考えられるのは当然この2つ。

1. あくまでも自分の競馬に徹する
2. 秋華賞のために先行競馬を試みる

 1ならば、今回の阪神外回り1800で勝ち負けだろう。でも2だとしたらどうであろう。デニムアンドルビーって前に行って、味のある馬なんだろうか?

 未勝利2戦目の阪神1800では先行して2着だった。上がり1位ではあったけれど、同じ上がりを使った馬が他にも2頭いた。未勝利だから1位だっただけで、けっして抜けてはいなかった。

 っていうか、オークスでは1番人気だったのにどうみても最後方まで下げていったような騎乗ぶりだった。

 大舞台の1人気で最後方騎乗をするというのは、力が飛び抜けているか、なんらかの事情を抱えているか、そのどちらかの可能性大。ふつうに考えると何らかの事情があって、後方競馬を選んだようにも思える。その事情が「先行すると味が出ない」からか、「馬ごみに入れない」からか、それはわからない。つーかどっちでもいい。事情は事情だからだ。

 で、振り出しに戻る。デニムアンドルビーはどこを目指すのだろう。

 ローズS1着か、秋華賞1着か、もしくは先の、もっと大きなレースの1着か。

 目先の1勝ならば今までどおりの後方からマクり気味に差す競馬でいいはず。でもそういう馬とは思えない。これが多くの人が関わる会員系の馬ならば目先の勝利も重要かもしれないけれど、この馬は個人馬主だ。しかもとびきり志の高そうな馬主だ。やっぱり目先にこだわるとは思えない。

 オークス前に噂された「凱旋門賞挑戦!」だって、どこかでその気持ちを、誰かが抱いていないとこぼれ落ちない。たとえそれがリップサービスだとしてもだ。

 秋華賞ならば、内回りを想定した騎乗をある程度迫られるか。打倒!同世代ならば、短期的目標を秋華賞において、そのための戦法を試すはず。

 っていうか、ふつうに考えたら、秋華賞だと思う。だから主流に乗って、先行試走すると思いたいけれど、騎手が岩田騎手ではなく内田博騎手だと少し躊躇したりもする。

 理由は、内田博騎手はマクリ系の競馬ができる馬が好きそうだからだ。

 もちろん参考文献はゴールドシップでの位置取りだ。

 宝塚記念では先行したけれど、皐月賞〜天皇賞春まで7戦マクりにこだわっていたように感じた。で、5勝5着2回(正確には共同通信杯で先行し、7戦マクって、宝塚で先行)。

ゴールドシップ
皐月賞 18−18−17−6 1着
ダービー 13−13−11−10 5着

デニムアンドルビー
フローラS 18−18−16−5 1着
オークス 18−17−14−11 3着

 競馬場は違うけれど、皐月賞とフローラSの勝ち方はなんだかクリソツにも思える。ダービーでの控えめな小マクリもなんだか似てるように思えなくもない。

 2回マクリ系で騎乗して、秋も引き続き騎乗。どうしてもゴールドシップとかぶってしまう。

 ゴールドシップの神戸新聞杯は12−11−8−6 で、1着だった。これも小さいながらもマクリで、けっして先行ではなかった。

 う〜ん…なんだか神戸新聞杯(阪神2400)みたいなレースを阪神1800でしてくるような気がしてきたぞ…。

 だとするなら内田博騎手はデニムアンドルビーを牝版ゴールドシップと見立ててるとも言える!?

やったー!

 はたして内田博騎手はどのようなポジションを取りに行くのだろう。

 ちなみにジェンティルドンナはローズSでは2−2−2で押し切ったけれど、秋華賞では8−9−9−9と中団でレースをした。それでも先行するヴィルシーナを捉えるのはやっかいだった。むしろローズSでの競馬が生きたのはジャパンカップだったかもしれない(2−2−3−6)。

 とどのつまり、自分の馬券的スタンスは、

 差すなら、1着。先行なら、何かに差される。

 そんなスタンス。

 だから困る。

 こういうのは週中のコメントも参考にしにくいし…。

 自分的には、もちろんマクって欲しいし…。

 理由はその方が秋華賞でも悩ましくなれそうだし…。ムフ。

 ではどうするか。つーかどうなるのが一番いいか?

 エバーブロッサムが1番人気になるのが一番いい。

 エバーブロッサム1番人気ならば、自分はふつうになれる気がする。

 ふつうになれれば、ふつうにエバーブロッサムから、ふつうに馬券を……

 ん? エバーブロッサムは関西で成績今1つの堀厩舎か……。

 堀厩舎の関西遠征ってだけで消せたら言うことないんだけど……(東京・中山の成績が良すぎるだけで、阪神・京都が悪いわけではないという話もあり)。

 でもエバーブロッサムはふつうに中団あたりで競馬ができそうだから、馬券的にはけっこう安心して買えそうだ……。はたしてこの堀厩舎馬は遠征に強いのだろうか…。

 ああ〜こっちはこっちで悩ましい。

 かくなる上は予想3番人気のメイショウマンボに1番人気になっていただくしかない。さすれば、今度こそ、自分はふつうになれる気がする。

 netkeiba.comの予想オッズだと、

1番人気 デニムアンドルビー 2.6
2番人気 エバーブロッサム 3.3
3番人気 メイショウマンボ 5.5

 う〜ん1番人気となると牙城は高そうだ。けれど、なせばなるだ!

 差せ!メイショウマンボ!

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ローズS注目どころ
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 ローブディサージュは今年になって一度も馬券圏内に入れなくなった。

 どうしたのだろう?

 この馬の力を買っていた前主戦の秋山騎手は新馬戦後のコメントで、

「テンションが上がることなく、このまま無事にいってくれれば、かなりの活躍が見込めそうですよ」と語っていた。

 阪神JFまでは抑え込まれていたテンションが年が明けて、成長とともに抑え込めなくなってきてしまったのか?

 しかしオークスだけのスポット騎乗と思われた岩田騎手がこの秋も騎乗するとなると、話は別だ。

 まだわからない。

 ここか、この次か。

 岩田騎手は引っかかる馬でも独特なあたりで上手く操縦すると聞いたことがある。

 内に馬を封じ込めて、スルスルスルスルスルスルスルしてくれないかな?

 ウインプリメーラはときどき穴をあけるマイネル・コスモ(&ウイン)軍団の1頭。

 仮に人気馬3頭が春同様に差しを選択するならば、前方からの粘り込みは想定できる。

 和田騎手はドサクサにまぎれて先行馬を圏内に持ってくるのが上手だ。

 チューリップ賞みたいなドサクサ的2着を期待したいところ。

  前走1000万で馬券圏内の馬はローズSで十分好走資格が生まれるのに、この馬は前走が1600万だった。そこでの11着ならまったく気にならない。

 デニムアンドルビー・エバーブロッサム

 どっちが一番人気になろうが、馬券圏内でのリスペクトは必要だと思わざるをえない。

 冷静に考えて、阪神18でこの2頭が揃って凡走するシーンはどうしても描けない。

 この2頭はフローラSで1着、2着、オークスで3着、2着してる仲だし、来るならニアでいっしょに来る可能性もある。

 ただできれば、1着・3着的な、2着・3着的なところで落ち着いてくれるとうれしい。

 かくて陽はまた昇り、デニムでまた振り出しにもどる。

 デニムアンドルビーはどこを目指しているのだろう。

 内田博騎手はどう騎乗するのだろう。

 え? 不毛? まったくそのとおりでございましょう。

 でも今年は久しぶりにフルゲート(18頭)になりそうだし、1頭くらいはねじ込めないかな。

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今年のセントライトはトーセンシャナオー探しに没頭していいか?
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 ダービー8人気 3着馬(アポロソニック)
 青葉賞7人気 1着馬(ヒラボクディープ)
 ラジオNIKKEI賞 8人気 1着馬(ケイアイチョウサン)

 こういうタイプの馬たちで人気が構成されるレースの1人気馬を買うのは苦手だ。来る来ないではなく個人的に苦手だ。

 だからトーセンシャナオー探し。

 無意識にそこへ向かってしまう。本当は毎年向かいたいけれど、それも大人げない気がして自粛している。

 トーセンシャオーは7年前に12人気(単6780円)で1着した馬。

 このレースは3人気マツリダゴッホが落馬し、そのあおりを食って1人気フサイチジャンクも6着に敗れたレース。しかし、トーセンシャナオーは落馬に関係ない2番手を追走しての1着で、マツリダゴッホ、フサイチジャンクに迫られたとしても馬券圏内にはいたはず。

 トーセンシャナオーの前走は平場の500万を2番人気で2着していた。特別レースでもなく、1人気でもなく、1着でもなく、それでもセントライトで1着した。

 勇気づけられるなぁ〜。

・セントライト記念注目馬
ユールシンギング(前走平場の500万を1人気で1着してるのがえらい)
ヒロノプリンス(父ファンタスティックライトが父チチカステナンゴみたいでかっこいい)
サイモンラムセス(14と16しか走ったことのないのにトライしてきたのがかっこいい)
ドラゴンレジェンド(去年14人気で2着したスカイディグニティみたいだけど、さあどうだろう)

この4頭から2頭くらいに絞れたらいいなぁ。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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