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凱旋門賞目前!武豊騎手独占インタビュー『本命に推されてもいい』

  • 2013年10月01日(火) 18時00分
 秋初戦のGIスプリンターズS、ロードカナロアが豪快に突き抜けてきました。さすが世界最速王の貫禄に感服です。厩舎陣営も岩田騎手もカナロアの全てを知り尽くした仕上げになっていたと思います。翔助手にお話をお聞きしたんですが、「馬体重を前走の500kgからマイナス6kgで494kgに仕上げる。昨年と同じかそれ以上の仕上げです。カナロアの走りを見てください」と

 この馬体重は、昨年のセントウルS2着からスプリンターズS1着の時とまったく同じなんですね。だからカナロアの仕上げが熟知されているのが安田厩舎の強さの秘訣なんでしょう。負ければ引退かも? と言われていたようですが、まだまだ強くなり伝説を作って欲しいですね。楽しみにしています。

 そして今週10月6日は、凱旋門賞。今年は、強豪馬が多いといわれる凱旋門賞ですが、日本馬にとってロンシャン競馬場2400mのコースも難コース。10mの高低差や3コーナーから4コーナーにかけてのフォルスストレートと呼ばれている直線のように見えるコースなど難技とスタミナがいるようですね

 武豊騎手にいろいろお聞きしました!
常石:ニエル賞おめでとうございます。いよいよですね。今のお気持ちは?

武豊:ありがとうございます。3歳馬で初めての欧州重賞初制覇できたことは嬉しいです。まずは、キズナの存在をアピールできましたね。

ニエル賞ゴール前

ニエル賞ゴール前


常石:TVで見ていると1着か2着かどっちかな? と思ったんですが。

武豊:僕は、最初の追い比べの時の手応えが良かったので、勝ったと確信していたんですが、ルーラーオブザワールドの騎手が凄いアピールで1着を強調していたので「まあいいか」と控えていました。それだけに勝ったと判定された時は、嬉しかったですよ。走り終わった後のキズナもケロッとしていましたね。

常石:乗っていたら、ゴール板を切った時に分かりますよね。

武豊:そうそう、分かる分かる。もし2着だったとしても、レースの内容が良かったので前哨戦としてはOKと思うけど、やっぱり1着でキズナの名を残したかったからね。

 日本のダービー馬なんですから、土をつけるわけにはいかないでしょう。本命に推されてもいいと思うよ。それだけ自信持って挑戦します。楽しみにしていてください。

常石:ニエル賞のとき70%くらいの仕上げだったそうですね。レース後、佐々木先生がびっくりし「強いな」といったそうですね。

武豊:陣営も改めてキズナの強さを確認したんでしょうね。レース後の回復も早く、運動の後飼い葉もしっかり食べていたそうです。本番はこれからなので この後のケアもしっかりしてくれています。週明けにキズナに会いに行きます。調教に跨ってから本番に向かいます。
 キズナのリズムがとっても良くなり、リラックスしています。ダービーの時よりパワーアップしているのを感じますね。ダービーの時、ゲート内で大分待たされてイライラしていたんですが、フランスではゲートの中でも落ち着いていて上手くスタートが切れました。これで心配事が無くなり、ダービーやニエル賞の時より上積みがあると思います。動きも軽くなって、良い走りをしていますよ。

常石:ロンシャン競馬場は、日本の馬場とはかなり違うんですか? 当日は仮柵が外され、グリーンベルトになるそうですね。

武豊:ロンシャン競馬場は、京都の外回りコースをちょっと大きくした感じかな。アップダウンはきついけど、折り合いが大事になってくるので、乗りやすい馬が戦いやすいと思う。芝も昔より短くなって日本馬向きになってきているように感じた。

常石:56kgの斤量で騎乗できるのは有利ですね。

武豊:跨ってしまえばみんな同じ条件かな。周りがバタバタしてもじっと落ち着いてきた。以前はこんな感じではなかった。僕が落ち着いてバタバタしないように心がける。調教の様子も入ってきて、ラップ15秒台で入りラスト13秒台をマークし、かなり順調に仕上がっていると聞いているので跨るのが楽しみです。

「跨るのが楽しみ」

「跨るのが楽しみ」


 凱旋門賞に騎乗するのはもう6回目の挑戦になります。ダービー馬で挑戦できるのは最高に幸せですね。今年は特にハイレベルな戦いなります。その中で日本馬も人気があって、前哨戦の時もジャパンデーといった感じでした。ディープインパクトの時も多かったけど、今年はオルフェーヴルが2年連続だし2頭の日本馬が出走。

 フォワ賞の時ステラウインドに騎乗していたんだけど、僕の横を凄い風が吹きグワッーて凄い走りで抜けていったよ。僕の馬も5着によく頑張ってくれました。オルフェーヴルと共にチャレンジできるのも楽しみですね。あの強い走りがキズナにどう迫ってくるか楽しみです。

常石:豊さんの体内時計は、ほぼ完璧でしょう。12秒で200mを走るペース配分があるんですね。僕も競馬学校時代に勉強しました。決められた距離を決められた時間で走る。ジャストが優秀で1秒オーバーでも少なくても減点でしたね。

武豊:やってみようか? んー、1・2・・・・・・ストップ! (時計を見ると11.90秒でした)ちょっと惜しかったな。

常石:いや〜、やっぱり豊さんの体内時計は衰えてませんね。

武豊:つねちゃん、僕はまだ騎手をやってるんだから衰えたら困るよ(笑)。

常石:失礼しました(ぺこリ)。キズナもオルフェーヴルも応援がいっぱいなんでしょうね。

武豊:応援幕にたくさんの方が書いてくださり、長いのができていますね。それに佐々木先生の応援も凄いですよ。2004年の時はタップダンスシチーは輸送トラブルで残念な競馬になってしまった。その時「絶対にもう1回来るぞ」と言っていたそうですが、その時が来たんですね。佐々木先生の同期の西園調教師、池添調教師をはじめ、5人の方も「晶ちゃん、がんばれ!」とエールを送ってくれているので、僕までもエネルギーをもらいますね。行って来ます。生ライブで応援してください。

キズナの必勝祈願お守り

キズナの必勝祈願お守り


常石:貴重なお時間、ありがとうございました。僕も必勝祈願のお守りとキズナのTシャツを着て応援しています。
 競馬の歴史が塗り替えられるレースを見られるなんて、日本に競馬というスポーツがあって本当にいいなー。6日は、深夜になりますが生ライブで応援しましょう。気持ちはフランス・ロンシャン競馬場ですね。

 ついでに僕の個人情報でごめんなさい。落馬し半身麻痺で高次脳機能障害が残りましたが、乗馬を続けています。今週末に「全国障がい者馬場馬術大会」があり、参加します。気持ちはロンシャン競馬場で戦ってるつもりで頑張ってきます。ちょっとおこがましかったですね(ぺこリ)。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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