スマートフォン版へ

ゴールドシップでお手上げムードが漂うならば…………付け入るスキ………ちょっとあり!

  • 2013年10月03日(木) 12時00分
京都大賞典
個人的にはここ4年はオウケンブルースリの奮闘とオウケンに食らいつこうと必死に頑張るフォゲッタブルを観戦するレースだった。

おそらくオウケンブルースリをボス的存在として、フォゲッタブルを弟分的存在と見立て、観戦していたように思う。

09年 1着 オウケンブルースリ(4歳にして第44代京都24番長に君臨)
   2着 スマートギア
   3着 トーセンキャプテン
10年 1着 メイショウベルーガ 牝馬
   2着 オウケンブルースリ 5歳(おっと!牝馬に不覚!まいっか3着も牝馬だし。ウハ!スケバン最高!)
   3着 プロヴィナージュ 牝馬
   6着 フォゲッタブル 4歳 (あにきぃ〜!・オウケンとの着差1秒)
11年 1着 ローズキングダム 4歳
   2着 ビートブラック 4歳
   3着 オウケンブルースリ 6歳(俺を超えてゆけ〜い!わけーのよ!)
   5着 フォゲッタブル 5歳 (あにきぃ〜!・オウケンとの着差0.4秒)
12年 1着 メイショウカンパク 5歳
   2着 オウケンブルースリ 7歳(まだまだわけーのには負けんぞ!)
   3着 ギュスターヴクライ 4歳
   5着 フォゲッタブル 6歳 (あにきぃ〜〜!・オウケンとの着差0.2秒)

オウケンブルースリは1着・2着・3着・2着。番長としての威厳が憎めない感じでギリギリ保てていた(ふつうは1回くらい連覇します)。

とりわけ12年の2着は、京都24で番を張ることの重さをわけーのに見せつけたようで頼もしかった。わけーのに立ちはだかる先代って感じだった。

舎弟分のフォゲッタブルも兄貴分の背中(着差)にどんどん近づいていった。けれど結局先着できず、また馬券圏内にも入れなかった。

だから今年もオウケン&フォゲッタのコンビプレイを見るのを楽しみにしていた。ところが2頭ともに引退。せめてフォゲッタブルにはもう一回走ってほしいと思っていた。今年は7歳で、一番馬券圏内に入れそうだったからだ。

----------------------------------------------
京都大賞典は、何度も何度もトライする馬にやさしいレースだ。
----------------------------------------------

それは、何度も馬券圏内に入る、いわゆるリピーターというものとはちょっと印象が違う。もうちょっとねぎらい度が高いといえばよろしいか。

たしかにオウケンブルースリは4年連続で馬券圏内に入った。リピーター的成績ではある。6歳、7歳と年齢を重ねるにつれ、他のレースでは見せ場も作れなかったオウケンブルースリが京都大賞典では菊花賞1着、ジャパンカップ2着の格の重み、栄光のかけら、維持などを見せるかのように走り、しかも6歳より7歳で着順をあげた。その様はリピーターとは別の何かを感じさせてくれているようにも思えた。単なる錯覚か? いや、それがただの錯覚でないことは別の馬でも垣間見えることからもわかる。

ファストタテヤマで見てみる。
04年 5歳 9着 1着馬との着差1.2
05年 6歳 3着 着差0.6
06年 7歳 2着 着差0.1
07年 8歳 6着 着差0.4

5歳9着、6歳3着、7歳2着。オウケンほどではないにしても、5歳より6歳、6歳より7歳と着順をあげた。ファストタテヤマだって菊花賞2着馬だ。5歳で走れない理屈はない。けれど違った。ここでは違った。7歳で自身最高の2着。6歳、7歳の流れはオウケンと同じだ。

やっぱり単なるリピートレースとは違う気がする。若さよりベテランの経験がものをいうレースにも思えてくる。他にもそういう例はあった。

タップダンスシチー
02年 5歳 3着 着差0.4
03年 6歳 1着 
5歳より6歳の方が成績よし。7歳、8歳は出走しなかったけれど、出走していたらどうであったろう。

アイポッパー
06年 6歳 6着 着差0.4
07年 7歳 出走なし
08年 8歳 3着 着差0.1
ワオ! 6歳時より8歳時の方が成績がいいなんて!

もちろん2度以上出走の馬すべてが経験を積んで、着順を上げてくるとは思わない。3歳で3着したアルナスラインは翌年も出走し、1番人気で5着に敗れた。
07年 3歳 3着 着差0.3
08年 4歳 5着 着差0.2
それでも1着馬との着差はつめていた。アルナスラインは以後出走しなかったけれど(6歳で引退)、引退せずに出走していたら、7歳くらいで再び2着していたはずだ!(もはや決めつけ)。

かようにやさしい。何度も出走する馬にかようにやさしく、その努力を7歳くらいで着順でねぎらってくれるレース。それが昨今の京都大賞典だ!(と思う)

それゆえに4歳・5歳・6歳と毎年出走し、オウケンブルースリに必死に食らいついたフォゲッタブルが今回出走していたら、馬券圏内でねぎらわれる! と思っていたわけだ。

しかし今年フォゲッタブルはいない。っていうか今年はフォゲッタブルどころか、今までに京都大賞典に出走したことがある馬が1頭もいない。全頭初出走。ワオ!

リセット・イヤー。それが今年の大賞典。

ではどうすればいいか?

もちろん探せばいい。オウケンブルースリみたいに4歳で番長に君臨できそうな馬や、タップダンスシチーみたいに5歳で3着しそうな馬や、オウケンブルースリやファストタテヤマみたいに7歳になったら2着しそうな馬を探せばいい(←最後のは来年のための先物買い。もちろん7歳で2着しそうな馬はオウケンブルースリ的な馬なら今年も馬券になるけれど、ファストタテヤマみたいな馬なら今年は馬券にならない。それをわかった上での先物買い。馬券的意味のない屈折系買い方。でも来年馬券になったら威張れる。うひ。)

----------------------------------------------
5番人気までの4・5歳馬、6番人気からの高齢馬
----------------------------------------------

ちなみに京都大賞典にはざっくり上記のような傾向がある。

以下は過去10年の1着〜3着した30頭の年齢と人気。

4・5歳馬
1〜5人気  9-5-4
6人気以下 0-0-1

6歳以上
1〜5人気  1-1-1
6人気以下 0-4-3

※3歳3着1回6人気

人気の4・5歳馬、人気弱めの6歳以上。6番人気以下で来た4・5歳馬は09年に7番人気で3着した5歳トーセンキャプテンだけだ。4・5歳馬は基本的には5人気までなことがわかる。

予想オッズでチェックしてみる。

4・5歳馬
1人気 ゴールドシップ 4歳
2人気 トーセンラー 5歳
3人気 アドマイヤラクティ 5歳
4人気 ヴィルシーナ 4歳
7人気 ニューダイナスティ 4歳
8人気 デスペラード 5歳
9人気 アンコイルド 4歳
11人気 ヒットザターゲット 5歳
13人気 オールザットジャズ 5歳

6歳以上
5人気 トゥザグローリー 6歳
6人気 トレイルブレイザー 6歳
10人気 エクスペディション 6歳
12人気 メイショウウズシオ 6歳
14人気 ヒビケジンダイコ 7歳

今日の流れで行けば、6番人気以下にいっぱいいる6歳以上で穴を狙うのが正解かもしれないけれど、
今年はリセット・イヤーであることを考慮すると、4・5歳馬から、3着くらいできて、来年、いや再来年か再々来年の7歳時に2着できそうな馬を抽出してみたくなる。

アドマイヤラクティ 5歳 
ニューダイナスティ 4歳

アドマイヤラクティは京都(1-2-2-2)で、京都24(1-0-0-0)と、3着くらいに突っ込んできそうな安定感を感じる。小牧騎手の最近の流れは悪くないと思っているので、ここでも期待したくなる。感覚的には来年も京都大賞典にいそうなオーラも感じる。

ニューダイナスティは京都(3-1-1-2)で、京都24(2-0-1-0)と、これまた3着くらいに粘り込みそうな雰囲気を感じる。最近は逃げなくても勝ち負けできるようになって来たとはいえ、逃げる脚を持っていることは悪いことではない(っていうか今年は重要。後述)。10年前1着したタップダンシチー以来、逃げた馬は馬券圏内にいないけれど、先行して上手い和田騎手を乗せてくるいうことは、今回も逃げ・先行に決まっている! 同厩舎のエクスペディション(松山鞍上)とのなんらかの決め事もありそうで、和田騎乗ならば逃げ・先行のニューダイナスティにちょっと期待してみたくなる。

アドマイヤラクティは差し系、つまり後ろから。
ニューダイナスティは先行系、つまり前から。

問題はゴールドシップがどんなポジショニングをするか。

ゴールドシップはジャパンカップ→有馬記念のローテのようだから、おそらく騎乗法に最後方からの大マクリはないはず。どこをどう見ても大マクリ競馬で東京2400は勝てないからだ。
(ジャパンカップに1番勝ちたいと想定してみた)

今回の理想は真ん中より前につけて、4角回るまで動かず直線に向いて追い出すふつうのまっとうな競馬のはず。昨今のジャパンカップは4角5、6番手にいないと勝てませんからね。今年の京都大賞典は最大14頭立てだから、真ん中くらいにいれば、自動的に7番手追走になり、そのちょっと前ならちょーどいいはず。

ただし、直線に向くまで動かない競馬をゴールドシップはできるのか?

阪神や東京ならばできたとしても京都は3角に坂があって、上って下る。3角〜4角までの下りは本来ならばゴールドシップの得意技が生きるコースとも言える。真ん中より前につけて、最終コーナーで勢いがついてしまったら、直線に向いたところで先頭に立ってしまう可能性あり。そうなったら先行した馬たちは苦しいはず。ニューダイナスティも丸呑みされるだろう。

逆に上手に下って、直線に向いて4、5番手にいるようなら、先行馬の残り目も期待できなくはない。ゴールドシップが先行したときは意外に逃げた馬が残っているからだ。

まだある。13戦して7戦で出遅れ、立ち遅れしているゴールドシップが休み明けのここで、後手を踏まないとは言いきれない。約3ヶ月以上の休み明け4戦中3回立ち遅れているわけで、むしろ今回は後手を踏む確率の方が高い。

そうなると“いつも通り”後方からすべてを呑み込む競馬になる可能性もある。出遅れちゃったらしょうがないからだ。そうなっちゃうと勝つためには必殺の大マクリを炸裂させるしかない。過去歴からは先行〜中団あたりまで一掃されてしまい、後方にいた馬が2着に突っ込んでくることになる。

まあどんな競馬になっても、今回のゴールドシップは間違わない。間違わずに勝つ!
という前提での話。

正直、ここを絶対に勝つ!と思っているなら、間違いようがないと思う。

ただし今回はジャパンカップ制覇という大目標がある。なるべく間違わずに勝ちたい…ほんのちょっとだけ軽めの臨戦にも思える。

だとしても、それでもふつうに強い。それがゴールドシップだろう。

----------------------------------------------
だからこそ……和田騎手に言いたい………
----------------------------------------------
今回は逃げ頃じゃない? 
それもちょいと大きめに離しての……………
逃げ頃じゃない?
----------------------------------------------
(失礼ながらまともには勝負にならなさそうなヒビケジンダイコの酒井学騎手も大逃げをするかもしれない。けれど自分は和田騎手に期待している)

状況はけっこう揃っている。ジャパンカップの試走をしたい大一番人気馬(ゴールドシップ)がいる。その周辺になんとか一矢報いたいと考えてるであろう強い馬が1頭いる(トーセンラー)。基本的には2強。その周辺に伏兵陣。そんな構図。

サンデーRの馬は他に出走してないし、人気もぜんぜん背負ってないから比較的自由行動が取れるようにも思える。

さらに同厩舎のエクスペディションがいる。新潟記念ではエクスペディションが逃げて2着し、ニューダイナスティは番手で5着だった。今回ポジションチェンジをし、エクスペディションが大きく離れて、番手で壁になったら…………うひょ!

場内も盛り上がりそうだ!

ニューダイナスティは京都2400を3回走って、2-0-1-0。2勝はともに逃げ切りだった。仮にゴールドシップが大マクリする展開になったとしても、大きく離れていれば呑み込まれを回避できるかもしれない。

だから願っている。

和田騎手が何もかもわかっていると願っている。何もかも隅々まで、全部大きくわかっていると願っている。

仮にそれで負けても、だ〜〜れも責めないし、むしろその果敢さに喝采が起こるはず。そこまでわかっていると願っている。

----------------------------------------------
京都大賞典
しょうがない!ゴールドシップ
(でもしょうがない度はエピファネイア、ロードカナロアより少し落ちる)
逃げちまえ! ニューダイナスティ
できるだけ大きく逃げちまえ! ニューダイナスティ
3着でいいです!小牧太!

凱旋門賞馬券なら、自分はオルフェを降ろされた池添騎乗のトゥザグローリーより、池江厩舎&ノースヒルズのトレイルブレイザーを買ってみたい。こっちの方が一体感が出ていいんじゃないの?

----------------------------------------------
凱旋門賞注目どころ。
2頭の牝馬
トレヴ 牝3 
ザフーガ 牝4

オルフェーヴルは接戦では牝馬に弱い説がある(競馬王3月号にて・オルフェにボス気質が備わっているからではないか? そんな仮説)。
ホエールキャプチャ(芙蓉S・クビ差2着)
ソレミア(凱旋門賞・クビ差2着)
ジェンティルドンナ(JC・ハナ差2着)

ボスだからこそオルフェは強いのだけれど、今年はぜひとも牝馬に遠慮しないで欲しい。

まあ牝馬と接戦にならなければいいだけだけど、トレヴもザフーガも強いらしい。だからちょっと心配。トレヴの鞍上はデットーリだしね。

今年は精神的にも成長してそうだからガマンできそうだけど、一応レースではトレヴとザフーガを警戒してみようと思う。

もちろんオルフェにもキズナにも勝って欲しいけれど、オルフェーヴル印象派としては、去年のように記憶に残るレースを魅せてほしいと願っている。

『競馬王』11月号

『競馬王』11月号

『競馬王』11月号が発売!! 『競馬王』11月号が、10/8(火)にガイドワークスから発売されます。

コンテンツ(一部)
特別付録 馬券裁判男の使用データ&買い目照合シート/馬券裁判男の予想法を解明/開成調教師の仕事/不変の必勝法「馬場読み」/GI総取り特集! 久保和功、今井雅宏、井内利彰による必殺レース限定解説

「開成調教師の仕事」では、今年から採用された新裁決制度について、矢作芳人調教師が現場の視点で語ってくれています。その他にも馬券に役立つ記事が満載の競馬王11月号を、是非、お買い求めください。

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング