スマートフォン版へ

将来性に太鼓判! ヴィンテージローズほか期待の2歳馬を語ります

  • 2013年10月08日(火) 18時00分
重賞戦線で活躍中のピークトラムのほか、母ロゼカラーのヴィンテージローズ、2戦目で勝ち上がったアーブルなど、楽しみな2歳馬が目白押し。今回は、そんな2歳馬たちの将来性に言及するとともに、「あきらめたらアカンね」と反省する、9月のワーストレースを振り返ります。(取材・文/不破由妃子)

■ヴィンテージローズの勝負強さは“血統”やね

──ここにきて楽しみな2歳馬が出てきましたね。

小牧 ああ、そうやね。阪神のマイルを勝ったヴィンテージローズ(9月22日・阪神5R・2歳新馬1着)はいいよ。

──バラ一族の牝馬ですね。デビュー前から手応えは感じていらっしゃった?

小牧 いや、調教ではもうひとつだったので、正直“走るのかな…”と思ってたんやけど、本番に行ってよかったね。3番人気やったっけ? レース前は、“こんなに人気になっちゃって大丈夫かな”と思ってたけど。

──どうしても注目されてしまう血統ですからね(ローズバド、ローゼンクロイツの下)。では、改めてレースを振り返っていただきたいんですが、スローペースのなか、内々で折り合っているように見えました。

小牧 うん。それほど乗り難しい馬じゃないんでね。道中はいい感じで運べました。最後は余裕はなかったけど、あれで勝つあたりが強さなんやろうね。直線は、これで勝つようなら“血統”やな、と思いながら追ってましたわ。手応えでいえば、普通は負けパターンやったからね。いやぁ、走ったわ。あの勝負強さは、やっぱり血統やね。改めて思った。なんせ返し馬での芝の走りが良かった。まさか勝つとは思わんかったけど(笑)。

──調教は坂路が中心でしたね。調教での走りとレースにいっての走りが、それほど違う馬もいるんですね。

これが血統なんやな

これが血統なんやな

小牧 違ったね。あ、これが血統なんやなと思ったわ。

──現時点で感じる将来性は?

小牧 今の状態であれだけ走るんやから、もっともっと良くなるよ。動きも実際、まだまだやからね。血統的にも、もちろん期待は大きいです。一度使って、もう放牧に出たよ。

──次走はファンタジーSを予定しているそうですね。

小牧 そうみたいやね。1勝馬やから、入れるかどうか。それに、今年の牝馬は強いのがおるねぇ。

──新潟のアノ馬ですね(ハープスター)。

小牧 そう、あれは強いわ…。なんせ脚が違ったからね。アッという間やった。あのレース(新潟2歳S)は、完全に2着やと思って上がってきたんやけど(ピークトラム3着)。あの2着と3着の差は大きいね。賞金が加算されないから(次走デイリー杯2歳Sも3着)。

──ピークトラムは堅実だけど、特徴がない馬だとおっしゃっていましたね。

小牧 うん、乗りやすいのがあの馬の特徴やね。でも、だいぶ変わってきた感じはあるよ。実は、レース(新潟2歳S)の前々日にピークトラムに乗っていて、僕、坂路で落馬してね。で、放馬したんですわ。ひっくり返ったりはしなかったからホッとしたんやけど、カラ馬のまま、かなりの距離をひとりで下まで帰っていったわ(笑)。だから、ちょっとピリッとしてきたんやろうね。それまでは、調教でもおとなしかったからね。

──レースでも変わってきたところはありますか?

小牧 ん〜、良くも悪くも大きく変わったところはないけど、とにかく手堅いレースをする馬やね。ある程度、いい位置につけられて、ロスのない競馬ができる。後ろからポツンと行って一気にに差すとか、逆にガーッと逃げたりとか、そういうタイプではないんでね。どんな競馬でもできるよ。

──相手が強くなっても、大崩れがなさそうな馬ですよね。

小牧 うん、そうですね。乗りやすいから、こっちの精神的負担も少ないし。このまま順調にいってほしいね。ただ、どこかで勝って賞金を加算せんとなぁ。

──続いては、小倉の芝1800mを勝ち上がったアーブル(牡・宮本厩舎・父ディープスカイ)。新馬戦も小牧さんが騎乗されて9着でしたが、2戦目でガラッと変わってきましたね。

アーブルは走ると思っていた

アーブルは走ると思っていた

小牧 いや、ガラッと変わったというか、新馬戦のときから走ると思っていた馬でね。でも、レースでは全然ハミを取ってくれなくて、サッパリやった。だから、2戦目は期待した通り、普通に走ってくれたなっていう感じやね。

──追い切りでも騎乗されてましたよね。

小牧 うん、良かったです。これは走ってきそうやなと思った。でも、まだズブいんでね、その点がもう少し良くなれば。距離延びていい馬やね。

──「これは走ってきそうだな」という感触は、なかなか言葉で説明するのは難しいものですか?

小牧 そうやねぇ、あくまでも乗った感じやからね。背中の感触だったり、動きだったり…。まぁなんとなくやけどね(笑)。走ると思ったのに、走ってくれん馬もたくさんいるよ。

──では、続いてワーストレースを。

小牧 なんやろなぁ。けっこう僕、いいレースしてるやろ?

──はい。無理に挙げなくてもいいですよ。

小牧 あ、あれや! エニフS(9月14日・阪神11R)のアドバンスウェイ。あれは馬に騙されたわ。

──騙された!?

小牧 騙されたっていうか、あんまり調子が良くなさそうで。汗のかき方も、いかにも夏負けっていう感じでね。馬もクタクタしてて、これは無事に乗ってこられればいいなっていう気持ちで乗ってた。そういう僕の気持ちが伝わってしまったのかもしれないけど、ゲートを斜めに出てしまってね。それで二の脚がつかなくて、外のトラバントに行かれてしまってね。あのレース、ハナに行けてたらいい勝負してたわ。

──いざスタートしてみたら、印象が違ったわけですね。ちなみに、夏負け独特の汗のかき方とは、どういうものですか?

小牧 ポタポタじゃなくて、ジトーッと首だけ汗をかいてるような。しかも、14キロ減ってたし、返し馬でもクタクタやったし…。そういうマイナスイメージが、僕のなかにインプットされてしまって。あとから、逃げてたら勝ってたかもしれんなぁと思いましたわ。やっぱり、馬はスタートしてみなわからんわ。あきらめたらアカンね。

【次回の太論は!?】
次週はいよいよ菊花賞。神戸新聞杯6着のナリタパイレーツで挑む小牧騎手ですが、はたしてその手応えは!? このほか、「赤ら顔の小牧さんをお見かけしました」というファンの目撃談や、度々話題に上るアクションの大きい騎乗法をテーマに、次回も太論が炸裂します!
質問募集
太論 / 小牧太
このコラムでは、ユーザーからの質問を募集しております。あなたから
コラムニストへの「ぜひ聞きたい!」という質問をお待ちしております。
質問フォームへ

このコラムをお気に入り登録する

このコラムをお気に入り登録する

お気に入り登録済み

1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。その後もローズキングダムとのコンビで朝日杯FSを制するなど、今や大舞台には欠かせないジョッキーとして活躍中。

バックナンバー

新着コラム

アクセスランキング

注目数ランキング