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堅いレースだが今年は波乱の目も!?/秋華賞

  • 2013年10月09日(水) 18時00分
■秋華賞(G1・京都芝2000m内)フルゲート18頭/登録26頭

【コース基本情報】京都芝2000m内 Aコース使用
・コース回収率
 [低め] 単55%・複勝68% 勝ち馬の6割以上が2番人気以内と堅調

・馬連万馬券出現率
 [低め] 5.3%(平均値▼6.7% 馬連平均配当2698円)

・枠番別連対率(18頭立て) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜3枠] 勝率9.0% 連対率14.1% 複勝率19.2% 複回率64% 枠番値+0.4
 [4枠〜6枠] 勝率2.6% 連対率 9.0% 複勝率14.1% 複回率44% 枠番値-0.3
 [7枠〜8枠] 勝率5.1% 連対率10.3% 複勝率16.7% 複回率33% 枠番値±0
 →内枠である1枠〜3枠が完全に優勢。外は8枠の不振が目立つ結果に。

・脚質別信頼度
 逃げ>先行>>差し>>>追込 前有利。上のクラスでも先行勢の好走が目立つ

・推定ラップ&タイム

 [底力] 34.6-48.7-34.8=1.58.1 一貫してそれなりに速い総合力勝負の流れ

 一昔前は荒れるG1の代名詞的存在だった秋華賞。その開催コースである京都芝2000m内には、いまだに荒れそうなイメージが残っているかもしれない。しかし実際には、コース回収率は単勝55%、複勝68%と非常に低く、馬連万馬券の出現率や平均配当も驚くほどの低さ。上位人気馬の1着率がここまで高いコースも珍しく、荒れるか荒れないかでいえば間違いなく「荒れない」部類なのである。

 枠番別データについてはデータの母数が少なく信頼性に欠ける部分もあるが、「内枠が有利で大外枠が超不利」であるのは間違いなし。不安だったので集計期間外まで遡って調べたのだが、この傾向についてはまったく変化がない。つまり、この結果はコース形態によるものである可能性がきわめて高いことになる。1枠〜3枠に入った馬に関しては、素直にプラス評価してよさそうだ。

 また、かなり先行有利の傾向が目立つコースであるのも特徴。4角10番手以下から追い込むのは至難の業で、かなり速いペースで流れたとしても、来るのは差し脚質。ある程度のポジションに付けられる器用さを持つ馬でないと、勝ち負けするのは厳しい。対照的に面白いのが人気薄の先行勢で、内枠を引き当てた馬であればなおさら魅力的。人気薄の前残りには、しっかり警戒しておきたい。

【レース基本情報】秋華賞(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝569円 馬連4014円 3連複19万4773円

・1番人気馬成績
 [2-2-3-3] 勝率20.0% 連対率40.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [9-4-4-13] 勝率30.0% 連対率43.3% 複勝率56.7%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [0-6-4-50] 勝率 0% 連対率10.0% 複勝率16.7%

・10番人気以下馬成績
 [1-0-2-87] 勝率 1.1% 連対率 1.1% 複勝率 3.3%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 20.0% [差し] 70.0% [追込] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 6.7% [先行] 26.7% [差し] 56.7% [追込] 10.0%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 0-3-1-16 連対率15.0% 複勝率20.0% 枠番値+0.9
 [2枠] 2-0-2-16 連対率10.0% 複勝率20.0% 枠番値+0.8
 [3枠] 1-1-2-16 連対率10.0% 複勝率20.0% 枠番値+0.4
 [4枠] 0-0-0-20 連対率 0% 複勝率 0% 枠番値-1.4
 [5枠] 1-2-0-17 連対率15.0% 複勝率15.0% 枠番値+0.1
 [6枠] 2-1-2-15 連対率15.0% 複勝率25.0% 枠番値+0.8
 [7枠] 3-0-2-25 連対率10.0% 複勝率16.7% 枠番値±0
 [8枠] 1-3-1-25 連対率13.3% 複勝率16.7% 枠番値-0.9
 ──────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 3-4-5-48 連対率11.7% 複勝率20.0% 枠番値+0.7
 [4枠〜6枠] 3-3-2-52 連対率10.0% 複勝率13.3% 枠番値-0.2
 [7枠〜8枠] 4-3-3-50 連対率11.7% 複勝率16.7% 枠番値-0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 2-2-5-63 連対率 5.6% 複勝率12.5%
 [栗東] 8-8-5-87 連対率14.8% 複勝率19.4%

・前走距離別成績
 [〜芝1600] 0-0-1-9 連対率 0% 複勝率10.0%
 [芝1800m] 6-7-3-69 連対率15.3% 複勝率18.8%
 [芝2000m] 3-3-4-51 連対率 9.8% 複勝率16.4%
 [芝2200m] 0-0-1-1 連対率 0% 複勝率50.0%
 [芝2400m] 1-0-0-10 連対率 9.1% 複勝率 9.1%
 [ダート戦] 0-0-1-10 連対率 0% 複勝率 9.1%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 1-0-1-12 連対率 7.1% 複勝率14.3%
 [前走中央G2] 8-8-4-54 連対率21.6% 複勝率27.0%
 [前走中央G3] 1-1-2-11 連対率13.3% 複勝率26.7%
 [前走OP特別] 0-0-0-38 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走条件戦] 0-0-2-23 連対率 0% 複勝率 8.0%
 [前走地方戦] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走海外戦] 0-1-0-2 連対率33.3% 複勝率33.3%

・前走主要レース別成績
 [ローズS] 8-8-3-52 連対率22.5% 複勝率26.8%
 [クイーンS] 1-1-2-8 連対率16.7% 複勝率33.3%
 [優駿牝馬] 1-0-0-10 連対率 9.1% 複勝率 9.1%
 [紫苑S] 0-0-0-38 連対率 0% 複勝率 0%

・出走間隔別成績
 [中1週] 0-0-1-8 連対率 0% 複勝率11.1%
 [中2週] 0-0-1-6 連対率 0% 複勝率14.3%
 [中3週] 8-8-3-56 連対率21.3% 複勝率25.3%
 [中4週〜8週] 1-1-3-53 連対率 3.4% 複勝率 8.6%
 [中9週以上] 1-1-2-24 連対率 7.1% 複勝率14.3%

・注目出走パターン
 [特注] 前走ローズSで1番人気だった馬(連対率66.7%、複勝率77.8%)
 [複穴] 前走中央重賞で上がり3F順位が6位以下(複勝率14.6%、複回率196%)
 [不振] 前走で4角を13番手以下で通過(連対率3.7%、複勝率5.6%)
 [不振] 前走で中央重賞以外に出走(連対率1.3%、複勝率4.0%)
 [不振] 前走重賞6着以下馬(連対率2.2%・複勝率8.7%)
 [不振] 騎手が乗り替わる馬(連対率3.8%、複勝率7.6%)

 08年に3連単1000万馬券が出てはいるが、それ以外の年はすべて2番人気以内馬が勝利。5番人気以内馬の[9-6-6-29]という成績を見てもわかるように、近年の秋華賞はやはり、堅め決着傾向が強いレースとなっている。人気馬はヒモに中穴人気を連れてはくるが、10番人気以下の超人気薄となると[1-0-2-87]と、かなり期待薄。人気馬が飛ぶ確信でもあれば話は別だが、大穴から入る馬券はかなり分が悪い。

 続いて脚質面についてだが、コースデータよりも格段に「差せる」というのが、秋華賞の特徴。1着馬における差し脚質のシェアが70.0%もあるのだから、この点についてはコースデータよりも、レースデータに重きを置くべきだろう。とはいえ、やはり追い込み脚質については評価を割り引きたいところ。「差し→差し」決着、または「差し→先行」での決着を前提に予想を進めたい。

 そして、コースデータにて結論づけた「内枠有利」だが、これはレースデータでも同様の傾向にある。パッと見たカンジではそこまで内枠が有利という印象を受けないが、枠番値で比較すると一目瞭然。人気よりも上の着順に来た馬は、1枠〜3枠に密集している。そして、大外の成績がきわめて悪いのも、コースデータと同様。18番を引いた馬に関しては、かなりの人気馬であっても「消し」がオススメだ。

 前走重賞組の圧倒的な強さについては、よく知られているところ。今年も連対馬2頭は、素直にローズS組から出る可能性が非常に高い。それ以外では、騎手の乗り替わりが大幅なマイナス材料となることも、取捨選択の際に重視しておきたいファクター。穴馬を狙うなら「前走中央重賞で上がり3F順位が6位以下」で、なおかつ「前走ひとケタ人気」という条件を満たす馬がオススメ。出走できそうな馬でこの条件を満たすのは、エバーブロッサム、サクラプレジール、トーセンソレイユ、ノボリディアーナ、ローブティサージュの5頭である。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 時計が非常に速かった先週の京都。今週も引き続き高速馬場が濃厚か。

・天候予測
 金曜日に降雨があるも土曜日以降は天候回復。良馬場でのレースとなりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 キングカメハメハ 勝率16.9% 連対率25.8% 複勝率33.7%

・著者の注目血統
 ディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒、フレンチデピュティ産駒

 京都大賞典でが2分22秒台の決着で、芝1400mの新馬戦でもレコードタイムが出ていた先週の京都芝コース。かなりの高速馬場で、今週も引き続きAコースでの開催であるため、この傾向は大きく変わってこないはずだ。差し決着も多かったが、逃げ馬がけっこう残っていることからも、馬場的には先行脚質のほうが有利。追い込んで1着に来るのは、かなり厳しい状況である。

 血統面では、素直にディープインパクト産駒、キングカメハメハ産駒を高評価。それ以外では、フレンチデピュティ産駒や母父サンデーの配合馬、母父Danzig系の配合馬なども好成績を残している。血統の字面だけでいえば、「キンカメ×サンデー」配合や、「ディープ×Danzig系」などの適性が高そうなコース。具体的には、ウリウリ、エバーブロッサム、セレブリティモデル、ティアーモ、ノボリディアーナあたりが血統的に向くと言えそうだ。

★総論×各論

 すべては「馬場」が決めそうな今年の秋華賞。というのも、断然人気に推されるであろうデニムアンドルビーを買うも消すも、コレ次第だからである。

 ローズSを1番人気で快勝してきたデニムアンドルビーは、プロフィル的に基本的には「買い」と判断できる馬。しかし、常に最後方からの競馬となるという脚質的なマイナスは、そういったプラスをすべて帳消しにするほどの材料。人気馬の勝率が非常に高いレースであっても、そして強いのはわかっていても、やはりアタマでは買いづらい。

 そういう理由もあって、ここはローブティサージュノボリディアーナエバーブロッサムメイショウマンボの4頭を上に取りたい。いずれも前哨戦であるローズSでは馬券に絡めなかったが、「秋華賞で馬券に絡む馬」の条件は、かなり満たしている馬。特にローブティサージュ、ノボリディアーナの2頭は配当妙味があり面白い。この2頭が実際にどの程度の人気になるかは読みづらいが、ギリギリひとケタ人気あたりに落ち着くようであれば、なおさら期待大。好走期待度の高い穴馬として、積極的に狙っていきたい。

 デニムアンドルビーは五番手評価とし、以下はウリウリ、トーセンソレイユまでを押さえるというのが、当データ分析での序列。意外に人気を集めそうなスマートレイアーについては、前走が条件戦であるという理由で「消し」としたい。

■府中牝馬S(G2・東京芝1800m)フルゲート18頭/登録16頭

 昨年は10番人気のマイネイサベルが1着に激走。人気サイドの1着率が低いレースではあるが、それにしても荒れた。その昨年にしても、結局は1着〜3着までは、すべて前走で重賞を使われていた馬。前走中央重賞組がトータル[9-9-8-90]であるのに対して、それ以外は[1-1-2-45]と、前者が強いのは明白。最低でも「前走重賞組」というハードルをクリアする馬でないと、勝ち負けは厳しい。

 ところが、その前走重賞組でも「前走最速上がり」の馬は[0-1-1-8]とイマイチ。馬券に絡んでいる2頭はいずれも3番人気以内であり、4番人気以下馬は全滅している。前走で新潟記念を制したコスモネモシン、クイーンSで2着に好走しているスピードリッパーよりも、好成績な「前走での上がり3F順位二番手〜三番手」という条件を満たすハナズゴールのほうが、期待度は高いと言えそうだ。

 ちなみにこの「前走最速上がりの馬が弱い」という条件は、前走重賞出走組以外についても言えること。全体でも[0-2-1-21]で連対率8.3%、複勝率12.5%という低調な成績に終わっており、複勝回収率も26%という低さ。今回人気を集めそうなアロマティコや、前走で素晴らしい末脚を見せたゴールデンナンバーについても、過剰な期待は禁物である。

 あとは牝馬限定重賞らしく、前走で牡馬を相手に戦っている馬が強いのも、押さえておきたいポイント。「牡馬相手の重賞で3着以内」だと理想的なのだが、今年の登録馬でこの条件を満たすのは、コスモネモシンだけ。それ以外で混合重賞に出走していたのは、マイネイサベル(安田記念4着)、ドナウブルー(関屋記念4着)、ハナズゴール(オールカマー6着)などの6頭だ。

 また、馬券に絡んでいる馬がほぼ4歳馬と5歳馬であること(それ以外は0-1-1-33)や、前走G1組が不思議なほど弱いこと(1-0-0-15)、前走10着以下からの巻き返しの厳しさなども加味して考えると、ドナウブルーハナズゴールマイネイサベルマルセリーナの4頭が「買い」と言えそう。逆にアロマティコは、人気でも「消し」で臨むべきというのが、データ分析からの見解である。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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