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10年に1度の選択と奇襲攻撃

  • 2013年10月10日(木) 12時00分
先週の京都大賞典はすっ転んだ。ゴールドシップでお手上げムードが漂うならば、ちょっとスキありと見て、ちょっとだけ歯向かってみたけれど、ちょっとどころかデラックスなスキがあった。

京都大賞典は何だったのか? その質問を「血統ビーム黄金ガイド」(10月25日発売)の最終チェックで大忙しだった亀谷敬正クンに失礼を承知でぶつけてみた。

「高速馬場でしたからねぇ〜」

やっぱ、そこだよね〜。京都の開幕は光速だからねぇ〜。光速光速!

もうちょっと具体的に聞きたかったけれど、競馬のことを何もわかってないヤツと思われたくない一心で、ついつい「やっぱり…なるほど…」とリアクションしてしまった。たは。

亀谷クン曰く、血統ビームを誤解している人がけっこういるそうで、今書いている本はそんな方々の誤解も解けるような作りになっているそうだ。

かくゆう自分もきっと誤解派のひとり。ちゃんと理解してれば、ローズSのシャトーブランシュやスプリンターズSのマヤノリュウジンを拾えていたはず(亀ちゃんが注目馬としてあげていた)。

そういえば絶賛発売中の競馬王11月号は、例の馬券裁判男の馬券の買い方を解明したと話題だけど、もう1つの特集はこれまた今最も重視されている「馬場読み」。そこで亀谷クンは血統で見極める馬場読みを漫画家のグラサン師匠に伝授してくれているのだけれど、その漫画(鉄板競馬)がたいそう秀逸な面白さだった。

なんせ最後のオチが「師匠惜しい感じですけど血統ビームの使い方は完全に間違ってますよ」だもの! どえらいね。どえらいちゃぶ台返しだね。それを遠慮なく言ってのけた亀チャンはえらいけど、それをオチで堂々と描いたグラサン師匠もえらい! ちょっと難しい内容かもしれないけれど、血統ビームの誤解が生まれるメカニズムが疑似体験できるので、興味のある方はぜひご一読を。

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秋華賞は2番人気VS1番人気。どっちが強いか見極めるレース
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面倒ならば2番人気から買えば、2連系なら10年で8回、3連系なら10年で9回も当たる。
実は極めて短考ですむレース
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だが、しかし。しかし、だが。
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もはや定石だろうけど、秋華賞は基本的には2番人気と1番人気の対決を見極めるレースだ。
この10年で
2番人気(7−1−1−1)
1番人気(2−2−3−3)
どっちが勝つか!? ここが決まればだいたい勝利できる(儲けはともかく)。

データ的には2番人気が圧勝。おそらく脚質的に1番人気より前方で競馬ができる馬が多く、それが結果的に京都の内回りで活きているのかもしれない。エコヒイキするなら断然2番人気だから、見極めの余地はないかもしれないけど、1番人気は1番人気。毎回吟味する必要はあり。なんせ1番人気も馬券圏内にならば10年で7回も食い込んでいるからだ。

見極めがメンドーなときは3連レベルの軸選びが瞬考ですんで楽チンでいい。2番人気を軸に添えれば10年で9回も的中できるからだ(儲けはともかく)。

1番人気が頼りになりそうだと感じたならば、2番人気とセットで買えばいい。

この10年で1番人気が圏内に走ったことは前記のように7回あるけど、すべて2番人気も圏内に入った。つまりな〜んも考えずに2番人気と1番人気を2頭軸にしても3連系の馬券が10年に7回も的中したわけだ。

京都内回り。高速馬場。少しやっかいに思えて、ぜんぜんやっかいじゃない。人気馬が人気に応えているということは、買う側も京都の内回り2000の競馬を理解した上で馬券を買っているからであり、人気にへそを曲げるレースではないとも言える。

しかしなぜだろう。今年は、いや今年もざわざわとニギニギと胸騒ぎの予感でいっぱいだ。ホチョ。
もちろん胸騒ぎの放課後の正体は10年に1回訪れる(?)1、2番人気ダブル圏外だ!(って毎年唱えている!?)

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1番人気デニムアンドルビーはどんな競馬をするのだろうか?
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ローズSの週のこのコラムで自分は、デニムアンドルビーはもしかしたらゴールドシップするのではないか? と書いた。

秋華賞を狙っているのならば、ローズSではある程度前を取る競馬をさせるはずだけれど、もっと先の何かを狙っているのなら(もしくはマクリ競馬以外だと味を発揮できない何かを抱えているのなら)ここでもマクる可能性があると書いた。そもそも騎手もゴールドシップな競馬が大好きじゃないかとも書いた。

実際、出遅れて、デニムアンドルビーは後方から進んで18−18−12とマクって1着した。雨で重い馬場、しかも外回りの角2競馬。そこでマクって勝つ芸当は強さの証明でもある。そこは疑いようがない。しかし雨で重かったから間に合った可能性もある。

基本的にはマクリは内回りの方がいいと思っている。むしろ外回りで直線の長いコースの方がマクるのは難しいと思っている。だから本来ならばデニムアンドルビーは京都内回りの秋華賞は向いているかもと思わなくもない。

けれど、過去の秋華賞を見るとマクリは上手くいってない。もしかしたら京都内回りの2000がダメなのではなく、この時期に行われる良の高速馬場の京都2000がマクル競馬に合わないのかもしれない。

自分は、デニムアンドルビーはスタートして、2,3完歩目が遅いのではなく、馬群に怯むから遅くなっていると感じている。でないとオー クスでの明らかに後方へ下げていったように見える騎乗の説明がつかないからだ(立ち遅れはあったもののその後の後方待機には騎乗者の意志が感じられた)。

オークス1番人気で最後方からの競馬を選択するのは、物凄く強い馬と思っているか、馬群に入れない事情を抱えた馬としか思えない。物凄く強い馬ならば勝たねばならない。しかし結果は3着だった。
少なくともオークスではなんらかの事情を抱えていたのではないか?

それゆえに内田博騎手なのかもしれない。馬群に入れない、もしくは入れてしまうと味が消えてしまう事情を抱えているからこそ、最後方からマクる技術を持つ、時には最後方から内マクりの技術を持つ内田博騎手が選ばれたのかもしれない。

となると、今回も最後方系の競馬になる可能性あり。ローズSで「馬が前に進んでいかなかった」のが本当ならば、秋華賞でも同じではないか? そうそうカンタンに事情が解消されるとは思わない。いや1番人気でなければ、事情は解消された方に賭けてみたくもある。けれど、今回も1番人気必至。そこに賭けるにはちょっとしたパッションも必要だ。残念ながら自分にはまだない。

過去10年での1着馬の必勝ポジションは4角9番手以内。

例外は4角16番手から差し切ったスイープトウショウのみ。

マクって勝った馬は1頭もいない。

4角9番手以内の傾向は、ローズSが阪神芝1800になってからより顕著に感じられる。しかも勝ち馬のたいがいが前走で先行する競馬を試されている。スピードに乗って走る競馬を経験しているとも言える。

未勝利1着時からマクリで勝ち進んできたデニムアンドルビーは秋華賞の必勝競馬ができるのであろうか? したとしても結果を出せるのであろうか? だったら無理にポジションを取りに行かず、スイープトウショウみたいに腹をくくって、直線に向いてから爆発させる競馬の方が良さげだ。

スイープトウショウは17−17−15−16で1着した。

つまり、マクらない競馬。

でもスイープトウショウは2番人気だった。1番人気ではなかった。しかもあの頃よりも高速感の増した今の馬場で、後方にいて4角まで動かない競馬などできるのであろうか?

いずれにせよ、スイープトウショウのような競馬はこの10年で1度きり。

後方からのマクっての1着は1頭もいない。つまり、デニムアンドルビーがデニムアンドルビーの競馬をして勝つのは10年に1度ともいえなくもない。

1番人気なのに10年に1度。これはこれでアツイ! そこに賭けるパッションを持ち合わせていなくても、ホットな状態は感じられる。そもそもこの10年で1番人気は2回しか勝っていないのだから、それほど逸脱しているとも思わない。

でも前述したように1番人気と2番人気以外の馬が1着するのも10年に1度だ。

10年に1度の1番人気を選ぶか、10年に1度の3番人気以下を選ぶか、考えるまでもない。穴の10年に1度に決まっている。

もし秋華賞の必勝競馬やスイープトウショウのような競馬でデニムアンドルビーが勝つのならば、カブトを脱ぐまでだし、大マクリで勝つようならカブトにフンドシも合わせて脱ぐまでだ。ハヂカシー!

よし!とりあえず1番人気馬はなんとか捌けた。あとは10年に7回も1着している2番人気馬を捌けるかだ。

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2番人気メイショウマンボを考える
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オークスを9番人気で勝った馬が秋華賞2番人気でその実力をフルに発揮できるのであろうか?

うん、無理だ!

やったー捌けた!

オークスで穴をあけた馬(5人気以下で勝った馬)が秋華賞で勝ち負けしたことはないから、凡走のイメージが強すぎるのかもしれない。ただオークスで穴をあけた馬が秋華賞で2番人気に支持されたこともなかった。つまりメイショウマンボは夏を順調に越せたということでもある。そこは無下にできない。

それでも1着はない方向で捉えたいのは、桜花賞7番人気・オークス9番人気の馬が勝っている今年の流れも重視して。

桜花賞とオークスの両方で5番人気以下の馬が勝った年は過去10年にはなかった。11番人気のブラックエンブレムの勝った年でも、桜花賞は12番人気(レジネッタ)、オークスは4番人気(トールポピー)だった。その年は秋華賞で1、2番人気が揃って圏外に敗れた10年に1回の年だった。

オークスを9番人気で1着したメイショウマンボが秋華賞を勝つようなら、それこそ10年に1度、いや20年に1度かもしれない。

おっと、ここでも10年に1度が出てしまった。過去10年で7回も勝っている2番人気なのに10年に1度のフラグが点灯しているなんて!! ウホ!

よし成功した。1番人気、2番人気ともに勝つならば「10年に1度」に落とし込むことに成功した(気がする!)。ならば安心して、穴の「10年に1度」に進むまで。

ちなみに2番人気・1番人気の馬体重の差が10キロ以上ついている場合はデッカイ方がやっぱり有利。該当6回中5回で大が小に先着している。

メイショウマンボは前走486キロ、デニムアンドルビーは前走446キロ。その差は40キロ。素直にこのデータに従うならば(素直ではない方向に進んでいながら、ここで素直も変だけど)、メイショウマンボを上に取りたい。

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奇襲攻撃が得意そうな騎手を狙ってみる
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今回予定されているジョッキーで奇襲攻撃が得意そうなのは岩田と横山典。

この場合の奇襲攻撃とはやぶから棒の奇襲ではなく、その先にある勝ち負けを想定して奇襲を仕掛けることができる騎手のこと。

つまりG1での勝ち負けの経験も豊富にあることが前提となる。

その観点で見渡すと、どうしたって岩田と横山典に目は向く。

岩田はこの5年で3勝しており、内容も11人気、2人気、1人気と穴でも本命でも結果を出している。京都2000の騎乗法を熟知しているように思える。

ローブティサージュを5年前に岩田騎乗で勝ったブラックエンブレムに置き換えて期待する人は、自分も含めて多そうで、思ってる以上に人気を集めそうなのが気になるけれど(予想では4人気)、オークス9着、ローズS6着と岩田が2回騎乗して、結果を出せてないにも関わらず、3度連続で騎乗してくる事実は重く、4人気になったとしても、期待せずにはいられない。

阪神JFを勝った時が秋山騎手で5人気だった。それを思えば岩田騎手の4人気は悪くない。むしろおいしいとも思える。内枠を引いたらもっと期待度は上がりそう。今は3人気にならないように祈っている。

岩田騎手で期待するのはもちろん、高速の流れに上手く乗った中での最内高速スパート。言わずもがなの岩田奇襲の真骨頂だ。

■前走紫苑S組や前走条件馬は4,5着の覚悟を持って狙うべし。

というリスクは承知で、今年も横山典のリボントリコロールを狙いたくってしょうがない。リボントリコロールは前走紫苑S2着馬で、秋華賞では4、5着でドランキーになりがちな紫苑S組。

それでも狙いたくなるのは鞍上が横山典だから。2年前に狙った前走紫苑Sのアカンサスは横山典で10人気で4着だった。

2年前も高速馬場だったけれど、横山典はアカンサスを17−17−16−15と操って、最内をついて猛然と突っ込んできた。ハズレてドランキーだったけれど、ゴール前の高揚は十分体感できた。

内回りコースでの後方からの追い込みは、これまた言わずもがなの横典奇襲。岩田が前で流れに乗って、最内スパートだとするならば、横山典は後方からの最内スパート。だから当然、岩田ほどの安定感はないけれど、奇襲感ははなはだしい。

最近ではラジオNIKKEIのケイアイチョウサンがハマった口か。
ここ5年で3回岩田が1着していると書いたけれど、ここ15年で見ると横山典は4回馬券になっている。

ローズバド 18−18−16−14 2着
クロックワーク 18−18−18−12 2着
エアデジャブー 3−4−4−5 3着
ニシノナースコール 17−14−14−14 3着
アカンサス 17−17−16−15 4着

京都の芝がどんどん高速になってきて、横山典の後方奇襲が決まりにくくなっているのは事実だろう。

しかし、だとしても秋華賞でこの騎乗をして、何度も馬券になっている騎手は横山典以外にはいない。2年前の高速馬場でアカンサスを4着に持ってきたことを思うと、まだまだ見限れない。

騎手の意識が早め早めになれば、横典奇襲の余地はまだあるはず。

リボントリコロールはまだ正攻法では力が足りないかもしれないけれど、父チチカステナンゴの正体を自分はまるでわかっていないけれど、紫苑Sでは直線で前が詰まってから、馬群をこじあけて2着した。少なくとも横典の奇襲を受け止める資質は持っていると見た!

週の真ん中水曜日〜木曜日。枠順が大いに気になるところだけど、今は前方で岩田、後方で横山典で、「マイ10年に1度」を迎えようと思っている。

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秋華賞注目馬
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奇襲攻撃
ローブティサージュ 岩田
リボントリコロール 横典

凶器攻撃(3着で期待)
ウインプリメーラ 和田
プリンセスジャック ?

この2頭は除外対象で、出走できそうだったら狙いたい。

ウインプリメーラは前走の負け方がよかった。和田も内回りの先行競馬は得意で、前走より騎手ポテンシャルも上がるはず。プリンセスジャックは前走1600万条件0.4差6着。4着か5着で悶絶する可能性はあるけれど、桜花賞14人気3着の実績は人気が落ちれば再点火の余地あり。

2着か3着では敬意
メイショウマンボ・デニムアンドルビー

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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