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軸は鉄板級もヒモ紛れの可能性は十分/菊花賞

  • 2013年10月16日(水) 18時00分
■菊花賞(G1・京都芝3000m外)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】京都芝3000m外 Aコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単65%・複勝68% 1番人気が強いがヒモは意外に紛れる

・馬連万馬券出現率
 [やや高め] 14.3%(平均値△2.3% 馬連平均配当2603円)

・推定ラップ&タイム
 [瞬発] 36.2-113.1-35.5=3.04.8 勝負所からの瞬発力&持久力勝負

 京都芝3000mは、万葉Sと菊花賞でしか使われていないコース。当然、コースデータを分析する上で必要となるデータ数が不足してしまう上に、菊花賞のレースデータ分析とさほど変わらない結果になってしまう。よって今週は、コースデータに関してはサラッと流すだけにとどめておく。

 枠番についてはレースデータでも述べるが、長距離戦であるにもかかわらず、意外なほど内枠有利であるのがこのコース。それは過去の菊花賞の成績からも明らかで、1986年以降に行われたフルゲートの菊花賞において、1枠〜4枠がトータル連対率が13.5%、複勝率18.2%であるのに対して、5枠〜8枠は連対率9.0%、複勝率15.6%と、けっこう大きな差が出ている。回収率も同様の傾向にあり、外よりも内のほうが有利であるのは明白。特に、1枠の強さには目を見はるものがある。

 また、直線の長い外回りコースでの開催ながら「4角10番手以下」から1着に来るのがほぼ不可能というのも、絶対に押さえておくべきポイント。フルゲートで開催された過去21回の菊花賞において、4角10番手以下から勝った馬は1頭たりとも存在しない。昨年3着のユウキソルジャーや一昨年2着のウインバリアシオンのように、馬券には絡むがアタマまでは突きぬけられないのである。

 よって、単勝を買ったりや1着軸に選んだりすべきは、4角を最低でも好位で回れる馬。昨年のゴールドシップのようにマクリが打てるならいいが、直線に入るまで後方待機では勝てない。それをしっかり頭に入れてから、馬券を組み立てたい。

【レース基本情報】菊花賞(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1678円 馬連5821円 3連複2万3640円

・1番人気馬成績
 [4-1-2-3] 勝率40.0% 連対率50.0% 複勝率70.0%

・3番人気以内馬成績
 [4-3-5-18] 勝率13.3% 連対率23.3% 複勝率40.0%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [6-6-4-44] 勝率10.0% 連対率20.0% 複勝率26.7%

・10番人気以下馬成績
 [0-1-1-86] 勝率 0% 連対率 1.1% 複勝率 2.3%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 70.0% [差し] 20.0% [追込] 0% [マクリ] 10.0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 46.7% [差し] 36.7% [追込] 10.0% [マクリ] 3.3%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 2-2-2-14 連対率20.0% 複勝率30.0% 枠番値+0.4
 [2枠] 0-1-2-17 連対率 5.0% 複勝率15.0% 枠番値+1.1
 [3枠] 1-2-2-15 連対率15.0% 複勝率25.0% 枠番値+0.9
 [4枠] 2-0-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0% 枠番値-0.2
 [5枠] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0% 枠番値-2.4
 [6枠] 0-1-2-17 連対率 5.0% 複勝率15.0% 枠番値+1.6
 [7枠] 2-2-1-24 連対率13.8% 複勝率17.2% 枠番値±0
 [8枠] 2-1-1-25 連対率10.3% 複勝率13.8% 枠番値-0.9
 ──────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 3-5-6-46 連対率13.3% 複勝率23.3% 枠番値+0.8
 [4枠〜6枠] 3-2-2-53 連対率 8.3% 複勝率11.7% 枠番値-0.4
 [7枠〜8枠] 4-3-2-49 連対率12.1% 複勝率15.5% 枠番値-0.5

・厩舎所属別成績
 [美浦] 0-1-1-43 連対率 2.2% 複勝率 4.4%
 [栗東] 10-9-9-104 連対率14.4% 複勝率21.2%

・前走距離別成績
 [〜芝1800] 1-0-0-15 連対率 6.3% 複勝率 6.3%
 [芝2000m] 3-3-4-36 連対率13.0% 複勝率21.7%
 [芝2200m] 0-3-2-40 連対率 6.7% 複勝率11.1%
 [芝2400m] 5-4-4-43 連対率16.1% 複勝率23.2%
 [芝2500〜] 1-0-0-6 連対率14.3% 複勝率14.3%
 [ダート戦] 0-0-0-8 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走中央G2] 8-10-8-84 連対率16.4% 複勝率23.6%
 [前走中央G3] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
 [前走OP特別] 0-0-0-3 連対率 0% 複勝率 0%
 [前走条件戦] 2-0-1-53 連対率 3.6% 複勝率 5.4%
 [前走地方戦] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%

・前走主要レース別成績
 [神戸新聞杯] 8-6-6-42 連対率22.6% 複勝率32.3%
 [セント記念] 0-3-2-38 連対率 7.0% 複勝率11.6%

・出走間隔別成績
 [連 闘] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [中1週] 0-1-0-14 連対率 6.7% 複勝率 6.7%
 [中2週] 1-0-1-16 連対率 5.6% 複勝率11.1%
 [中3週] 9-6-6-54 連対率20.0% 複勝率28.0%
 [中4週〜8週] 0-3-3-57 連対率 4.8% 複勝率 9.5%
 [中9週以上] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%

・注目出走パターン
 [特注] 前走神戸新聞杯[人気≦着順]で3着以内(連対率47.4%、複勝率57.9%)
 [不振] 騎手が乗り替わる馬(連対率6.5%、複勝率9.7%)
 [全滅] 前走セントライト記念4着以下馬(0-0-0-18)
 [全滅] 前走3番人気以下の関東馬(0-0-0-29)

 来る馬、来ない馬の傾向が意外にハッキリしているな──というのが、レースデータを見ての印象。人気馬の信頼度は高いが、それ以上に注目したいのが4番人気〜9番人気馬の好成績。トータル[6-6-4-44]で複勝率26.7%と信頼度もかなり高く、このレースの妙味がここに集中しているといっても過言ではない。10番人気以下馬の低調な成績から考えても、高配当を的中できるかどうかは、4番人気〜9番人気馬を「いかに買うか」にかかっている。

 先行タイプと差しタイプの成績はトータルでは互角だが、こと1着馬に関しては完全に先行タイプ優勢。とはいえ、逃げ切った馬は過去10年で1頭も出ていないことから、ひたすら先行馬を狙うスタンスでの勝負をオススメしたい。また、追い込み脚質も成績はイマイチで、馬券に絡んでいるのは先行馬&差し馬ばかり。つまり菊花賞は「好位〜中団やや後ろ」の位置が取れる馬だけが勝負になるレースなのである。

 それ以外では、神戸新聞杯組の圧倒的な強さと、関東馬&セントライト記念組の弱さ、騎手が乗り替わりとなった馬の低調な成績なども目立っているファクター。関東馬に関しては、前哨戦でかなりのパフォーマンスを見せていた馬しか通用しないと考えたほうがいい。関東馬やセントライト記念組を狙うなら、条件戦を勝ち上がってきた人気薄の関西馬を狙ったほうが、効率は格段にいいはずだ。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 先週になってけっこう差し、追い込みも決まるフラットな馬場に。

・天候予測
 土曜日〜日曜日にかけて降水確率が高い。雨でのレースも想定して予想を。

・勝利数トップ種牡馬
 ステイゴールド 勝率50.0% 連対率50.0% 複勝率50.0%

・著者の注目血統
 該当なし

 菊花賞といえば「血統」という印象が強いが、リアルシャダイ、ダンスインザダークと続く菊花賞血統の後継は、まだ登場してきていない印象。イメージだけならシンボリクリスエス産駒やハーツクライ産駒あたりに向きそうなのだが、こんなものは著者の主観でしかないので却下。血統については豊富なデータ量に基づいた分析が不可能である以上、深く考えないというスタンスで問題ない。

 そして馬場も、先週になって一気に差せるようになってきた様子。かといって先行勢が不利ということもなく、かなりフラットな状態にある。気になるのが天候で、今週末の降水確率はかなり高め。かなり渋った馬場で、重い馬場への適性が問われるレースとなる可能性もありそうだ。

★総論×各論

 現在の菊花賞で、最も重視すべきが「神戸新聞杯の結果」であるのは間違いナシ。昨年も「神戸新聞杯で着順≧人気」だったゴールドシップが勝ち、同じく「着順≧人気」だったユウキソルジャーが7番人気で3着に好走している。そして2着のスカイディグニティも、ここで好走可能な条件である「セントライト記念好走」をクリアしていた馬。今年も、こういった条件をしっかりクリアしている馬が、キッチリ好走してくれそうだ。

 最上位評価となったのは、断然の人気に推されるであろうエピファネイア。神戸新聞杯を圧倒的1番人気で大楽勝してきた以上、これにケンカを売るのは厳しい。脚質的なものや折り合い面に少し不安を残すが、それでも4着以下に敗れるケースは正直なところ考えづらい。神戸新聞杯組が非常に強いレースで、その神戸新聞杯組を軽くひねっているのだから、当然といえば当然の話。今年の菊花賞は、完全に「相手探し」のレースになるというのが、当データ分析での判断である。

 相手も、マジェスティハーツ、サトノノブレスなど順当なところが上位評価となったが、配当的な妙味を追求するなら、アクションスターとタマモベストプレイ、ナリタパイレーツの3頭が狙い目。エピファネイアの1着で、相手にも1頭は人気サイドが絡み、そして2着か3着にこの3頭のうち1頭が食い込む──というのが、現時点でイメージできる多少なりとも荒れた場合のパターンだ。

 あとは、直前の陣営コメントや過去の戦績から「先行できる可能性が高い人気薄」をしっかりチェック。それ以外では「1枠」も積極的に買いたいところ。基本的には順当決着と見るが、ヒモ荒れならば十分にありうるレースだけに、人気馬よりも人気薄の精査に時間をかけたい。

■富士S(G3・東京芝1600m)フルゲート18頭/登録24頭

 昨年は1番人気、2番人気が共に飛び、3着に14番人気ヒットジャポットが突っ込むという大波乱となった富士S。2009年と2010年も大波乱決着であり、近年は波乱傾向が強まってきている印象だ。今年もフルゲート18頭での戦いとなりそうだが、順当に決まりそうにはないメンツ。ある程度以上の波乱を前提に考えたいところだ。

 まずは脚質面から。逃げ馬が過去10年で1頭も馬券に絡めていないように、かなり差し優勢のレース。馬券に絡んだ回数の内訳も、先行脚質が8回(2勝5連対)、差し脚質が16回(8勝12連対)、追込脚質が6回(0勝3連対)と、差し馬が圧倒的に強い。また、レースだけでなくコースも、かなり差し優勢。今年も1着馬は、差し脚質から出る可能性が高いと思われる。

 年齢別では、5歳以下馬が[8-7-8-78]と好調なのに対して、6歳以上馬は[2-3-2-64]とイマイチ。なかでも不振なのが「前走5番人気以内の6歳以上馬」で、こちらは[0-0-0-25]と全滅している。対照的に、6歳馬でも「前走6番人気以下かつ5着以内」という条件を満たす場合は、複勝率41.7%、複勝回収率353%という高期待値。6歳以上馬は、コレに該当する馬だけを狙いたい。ちなみに今年の登録馬では、オセアニアボス、セイルラージ、ブリッツェン、レッドスパーダの4頭が該当する。

 5歳以下馬については、「前走ひとケタ着順」「前走1番人気」といった条件を満たしているようだと、信頼度さらにアップ。また、このレースで好走している馬のほとんどが、前走で東京・中山・京都・阪神の中央4場にて出走していたというのも要点となりそう。前走ローカル競馬場からの出走で馬券に絡んでいるのは3歳馬ばかりで、これを除くと[1-0-1-32]と、かなり低調な成績である。

 以上のようなファクターからふるいにかけて残るのが、エーシンミズーリ、カシノピカチュウ、サトノギャラント、シャイニープリンス、セイルラージ、ダノンシャーク、ブリッツェン、ブレイズアトレイル、レッドスパーダの9頭。ここからどのような買い目を最終的に構築するかは、オッズ次第。高配当を狙って、かなり手広く狙いたいレースだ。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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