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三強対決の様相もすべては枠番次第/天皇賞・秋

  • 2013年10月23日(水) 18時00分
■天皇賞・秋(G1・東京芝2000m)フルゲート18頭/登録23頭

【コース基本情報】東京芝2000m Bコース使用
・コース回収率
 [やや低め] 単63%・複勝83% 1着馬の80%以上が5番人気以内

・馬連万馬券出現率
 [標準] 11.8%(平均値▼0.2% 馬連平均配当7006円)

・枠番別連対率(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
 [1枠〜2枠] 勝率6.9% 連対率17.2% 複勝率25.0% 複回率141% 枠番値+0.2
 [3枠〜6枠] 勝率7.9% 連対率13.5% 複勝率19.7% 複回率 87% 枠番値+0.3
 [7枠〜8枠] 勝率2.0% 連対率 4.7% 複勝率 8.7% 複回率 32% 枠番値-0.6
 →外枠が圧倒的に不利で、枠番は内であればあるほど良し!

・脚質別信頼度
 差し>先行>>追込>逃げ 複回率が最も高いのが差し脚質という特異なコース

・推定ラップ&タイム
 [底力] 35.5-47.9-34.6=1.58.0 中盤もラップは緩まず上がりも速い厳しい流れ

 波乱となる年が多い天皇賞・秋のイメージが強いせいか、その舞台となる東京芝2000mについても「荒れそう」という印象が持たれていそう。確かにかなりクセの強いコースではあるのだが、それでもコースの単勝回収率は63%と低めの数字。1着馬の8割以上が5番人気以内であり、10番人気以下馬の勝率はわずか0.4%と、アタマに関してはかなり堅め傾向のコースと言える。

 しかし、コースの複勝回収率が83%と高いのを見てもわかるように、人気薄が2着や3着に突っ込んでくるケースはかなり多い。つまり「ヒモ荒れ」での決着が多いコースだということだ。また、馬連万馬券の出現率は平均程度だが、馬連平均配当が7006円と非常に高いのも特徴。こういった数値が出てくるのも、ヒモ荒れ決着が多い証明に他ならない。

 よく知られている話ではあるが、徹底的に外枠が不利なコースであるというのも絶対に忘れてはいけないファクター。7枠〜8枠の複勝率や複勝回収率は、内枠や中枠と比較すると半分以下。もう、この枠に入った時点で勝ち負けは厳しいといっても過言ではない。逆に入っただけで「買い」とさえ言えるのが、複勝率、複勝回収率ともに非常に高い、1枠〜2枠の内枠。たとえふたケタ人気馬でも、内枠に入った場合は要チェックだ。

 また、差し脚質がとんでもなく強いコースであるというのも、忘れてはならない要素。差し脚質の回収率がここまで高いコースというのは、かなり珍しい。上のクラスで逃げ切るのは至難であり、「差し→差し」決着や「差し→先行」決着が最も想定しやすいパターン。ペース次第では直線一気も期待できそうである。

【レース基本情報】天皇賞・秋(G1) 過去10年
・レース平均配当
 単勝1581円 馬連5995円 3連複2万7319円

・1番人気馬成績
 [5-2-1-2] 勝率50.0% 連対率70.0% 複勝率80.0%

・3番人気以内馬成績
 [5-4-5-16] 勝率16.7% 連対率30.0% 複勝率46.7%

・4番人気〜9番人気馬成績
 [4-5-3-48] 勝率 6.7% 連対率15.0% 複勝率20.0%

・10番人気以下馬成績
 [1-1-2-80] 勝率 1.2% 連対率 2.4% 複勝率 4.8%

・1着馬脚質シェア
 [逃げ] 0% [先行] 20.0% [差し] 80.0% [追込] 0%

・3着以内馬脚質シェア
 [逃げ] 3.3% [先行] 23.3% [差し] 56.7% [追込] 16.7%

・性別成績
 [牡馬] 7-8-7-137 連対率 9.4% 複勝率13.8%
 [牝馬] 3-2-3-7 連対率33.3% 複勝率53.3%

・年齢別成績
 [3歳馬] 0-3-2-11 連対率18.8% 複勝率31.3%
 [4歳馬] 5-3-3-33 連対率18.2% 複勝率25.0%
 [5歳馬] 4-4-4-40 連対率15.4% 複勝率23.1%
 [6歳馬] 0-0-1-27 連対率 0% 複勝率 3.6%
 [7歳↑] 1-0-0-33 連対率 2.9% 複勝率 2.9%
 ────────────────────────
 [5歳以下] 9-10-9-84 連対率17.0% 複勝率25.0%
 [6歳以上] 1-0-1-60 連対率 1.6% 複勝率 3.2%

・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
 [1枠] 3-1-1-15 連対率20.0% 複勝率25.0% 枠番値±0
 [2枠] 1-2-1-16 連対率15.0% 複勝率20.0% 枠番値+0.8
 [3枠] 0-0-2-17 連対率 0% 複勝率10.5% 枠番値+1.0
 [4枠] 0-4-3-13 連対率20.0% 複勝率35.0% 枠番値+0.3
 [5枠] 0-2-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0% 枠番値+0.8
 [6枠] 2-0-2-16 連対率10.0% 複勝率20.0% 枠番値-0.1
 [7枠] 3-1-0-22 連対率15.4% 複勝率15.4% 枠番値-1.5
 [8枠] 1-0-1-27 連対率 3.4% 複勝率 6.9% 枠番値-0.5
 ──────────────────────────────
 [1枠〜4枠] 4-7-7-61 連対率13.9% 複勝率22.8% 枠番値+0.5
 [5枠〜8枠] 6-3-3-83 連対率 9.5% 複勝率12.6% 枠番値-0.4
 ──────────────────────────────
 [1枠〜3枠] 4-3-4-48 連対率11.9% 複勝率18.6% 枠番値+0.5
 [4枠〜6枠] 2-6-5-47 連対率13.3% 複勝率21.7% 枠番値+0.3
 [7枠〜8枠] 4-1-1-49 連対率 9.1% 複勝率10.9% 枠番値-0.9

・厩舎所属別成績
 [美浦] 3-6-2-54 連対率13.8% 複勝率16.9%
 [栗東] 7-4-8-87 連対率10.4% 複勝率17.9%

・前走距離別成績
 [芝1600m] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
 [芝1800m] 4-3-3-56 連対率10.6% 複勝率15.2%
 [芝2000m] 2-2-2-19 連対率16.0% 複勝率24.0%
 [芝2200m] 3-4-1-39 連対率14.9% 複勝率17.0%
 [芝2400m] 1-0-2-14 連対率 5.9% 複勝率17.6%
 [芝2500〜] 0-0-1-4 連対率 0% 複勝率20.0%
 [ダート戦] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%

・前走クラス別成績
 [前走中央G1] 3-3-2-25 連対率18.2% 複勝率24.2%
 [前走中央G2] 7-6-6-100 連対率10.9% 複勝率16.0%
 [前走中央G3] 0-0-2-11 連対率 0% 複勝率15.4%

・前走主要レース別成績
 [毎日王冠] 4-3-2-54 連対率11.1% 複勝率14.3%
 [宝塚記念] 3-2-1-16 連対率22.7% 複勝率27.3%
 [札幌記念] 2-0-2-6 連対率20.0% 複勝率40.0%
 [京都大賞] 1-0-1-14 連対率 6.3% 複勝率12.5%
 [オールカ] 0-1-0-21 連対率 4.5% 複勝率 4.5%

・出走間隔別成績
 [連 闘] 0-0-0-1 連対率 0% 複勝率 0%
 [中1週] 0-1-1-1 連対率33.3% 複勝率66.7%
 [中2週] 5-3-3-70 連対率 9.9% 複勝率13.6%
 [中3週] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
 [中4週〜8週] 0-2-1-32 連対率 5.7% 複勝率 8.6%
 [中9週以上] 5-4-5-38 連対率17.3% 複勝率26.9%

・注目出走パターン
 [絶好] 外国人ジョッキー騎乗馬(連対率38.9%、複勝率44.4%)
 [絶好] 牝馬(連対率33.3%、複勝率53.3%)
 [絶好] 前走札幌記念1着(連対率40.0%、複勝率80.0%)
 [不振] 前走3番人気以下かつ6着以下(連対率0%、複勝率2.3%)
 [不振] 外国人ジョッキー以外への乗り替わり(連対率5.9%、複勝率7.8%)
 [全滅] 前走2着以下の6歳以上馬(0-0-0-49)
 [全滅] 前走京都大賞典で3番人気以下(0-0-0-7)
 [全滅] 前走オールカマーで上がり3F順位3位以下(0-0-0-18)

 コースデータの項目でも解説したように、意外に人気馬が強い条件。天皇賞・秋のレースデータも同様の傾向にあり、1番人気馬は[5-2-1-2]で連対率70.0%という非常に高い信頼度となっている。3番人気馬だけはアテにならないが、基本的に上位人気馬は「素直に買い」というスタンスが正解だろう。

 脚質についてもコースデータ同様の傾向にあり、勝ち馬の8割が差し脚質で残り2割が先行脚質。逃げ、追い込みでの勝ち馬は過去10年で一度も出ておらず、範囲を3着以内まで広げても、かなり劣勢であるのに変わりはナシ。完全に差し優勢との前提で考えたい。また、牝馬が非常に強いのも、このレースの特徴。ここに挑んでくるような強豪牝馬に、性別による能力差などないと見るべきである。

 最も特徴的といえるのが「年齢」による成績差だ。過去10年で馬券に絡んだ30頭のうち、じつに28頭までが5歳以下。6歳以上馬はトータル[1-0-1-60]で連対率1.6%、複勝率3.2%と、惨憺たる結果に終わっている。また、外枠である7枠〜8枠の大不振も絶対に押さえておくべきポイント。やはり枠番は、内であればあるほど期待できる。

 また、主要トライアルである毎日王冠と京都大賞典からのローテがイマイチで、宝塚記念組や札幌記念組など、間隔を開けて出走する馬のほうが好成績であるというのも面白いところ。トライアルで最も好成績である毎日王冠組にしても、来ているのはそのほとんどが、前走5番人気以内馬である。あとは、外国人ジョッキーの異様なまでの強さも目立っているところ。大きなマイナスファクターを抱えた馬は、たとえ人気馬でも積極的に消していきたい。

【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
 今年は時計が意外にかかっている印象で、そこまで軽くはない。

・天候予測
 現在の雨は土曜日まで降り続く見込み。渋った馬場でのレースとなりそう。

・勝利数トップ種牡馬
 ディープインパクト 勝率26.1% 連対率35.2% 複勝率45.5%

・著者の注目血統
 ☆ディープインパクト産駒
 ☆ハーツクライ産駒
 ☆ステイゴールド産駒

 台風の影響もあり、重馬場でのレースとなる可能性もありそうな、今年の天皇賞・秋。さらに、現在の馬場は例年よりも時計がかかっている印象で、展開次第では意外なほど遅いタイムでの決着もなきにしもあらず。コースは徹底的に差し優勢だが、重馬場適性やレースの流れ次第では、前が残る場合も十分に考えられる状況である。

 血統面は、もう明らかに「末脚のキレる血統」が優勢。その代表格であるディープインパクト産駒は、当コースとの相性バツグンだ。また、ステイゴールド産駒やハーツクライ産駒も好調で、それに次ぐのがキングカメハメハなど。イメージ的にはジャングルポケット産駒も向きそうなのだが、こちらはトータル[4-4-5-53]で連対率12.1%、複勝率19.7%と、意外なほどに低調。ちょっと割り引いて考えたほうがいいかもしれない。

★総論×各論

 昨年の勝ち馬で前哨戦も快勝しているエイシンフラッシュに、国内最強牝馬ジェンティルドンナ、重賞を破竹の3連勝でここに臨むトウケイヘイローなど、今年もかなり面白いメンツが揃った天皇賞・秋。人気上位が予測される馬はどれも甲乙つけがたく、直前までオッズを眺めつつ悩まされることになりそうだ。

 当然ながら、データ分析の結果もかなりの接戦。ここで頭ひとつではなく「ハナひとつ」抜け出していると思われるのがジェンティルドンナで、同馬が現時点での筆頭評価となった。その実績については今さら言うまでもないし、臨戦過程やプロフィル面などにも、減点材料はひとつもナシ。どんな競馬でもできる馬なので、脚質についても不安はない。安定感を求めるなら、やはりこの馬だろう。

 二番手にトウケイヘイロー。逃げ脚質という不安材料はあるのだが、ここは先行タイプの馬がほとんど見当たらず、楽逃げ濃厚で展開利は相当ありそう。また、渋った馬場への適性が高いのも、既に証明済みだ。札幌記念1着からのローテは猛烈な強調材料であり、その他のプロフィル面も減点ナシ。買いか消しかでいえば間違いなく「買い」である。

 そして三番手に、ディフェンディングチャンピオンであるエイシンフラッシュ。こちらは6歳馬であるのが懸念材料だが、「前哨戦を勝っての出走」ならば、それほど問題なし。適性、脚質などは文句なしに高く評価できるし、鞍上に最強のパートナー・ミルコが戻ってくるのも心強い。

 ここまでの3頭が僅差の上位評価組で、そこから少し開いて四番手にコディーノ。以下、ジャスタウェイ、ヴェルデグリーン、ナカヤマナイトまでを押さえ評価とした。ダノンバラード、ダークシャドウ、アンコイルドあたりは扱いが難しいところだが、大きな減点材料を抱えているため、ここは思い切って「消し」での勝負がオススメ。あとは、外枠にどの馬が入るか次第だ。

■スワンS(G2・京都芝1400m)フルゲート18頭/登録19頭

 スプリンターとマイラーが一堂に会す1400m。この条件においては、人気を集めるのがマイラー組ばかりで、スプリンター組は総じて人気薄といったケースが少なくない。しかし、京都芝1400mや阪神芝1400mは、マイル指向よりもスプリント指向のほうが格段に強い条件。人気薄のスプリンターが激走して高配当──といったケースが日常的に起こる儲けやすい条件なので、ぜひ覚えておいていただきたい。「人気のマイラーを嫌って人気薄のスプリンターを買う」が、ここでの基本方針だ。

 【マイラー】エーシントップ、グランプリボス、コパノリチャード、サダムパテック、シャイニーホーク、ダイワマッジョーレ、レッドオーヴァル
 【スプリンター】アドマイヤセプター、サンカルロ、テイエムオオタカ、ハッピーカオル、ビラゴーティアラ、ブラボースキー、マジンプロスパー、ラトルスネーク、リュンヌ、レジェトウショウ

 以上が、筆者が独断と偏見で振り分けた、主要登録馬の分類。グランプリボス、エーシントップ、レッドオーヴァルなど、今年もやはりマイラーのほうが人気を集めそうな雰囲気である。これに「前走4角3番手以内馬が強い」「4歳以下馬が優勢」といったスワンSの傾向を加味して分析を進めたのだが、もう見事なまでに一長一短。荒れる予感しかしないので、馬券はかなり振り回したほうがベターと思われる。

 人気サイドでのオススメはマジンプロスパー、アドマイヤセプター、コパノリチャード、エーシントップの4頭。ラトルスネークの3頭。人気薄では、サンカルロ、ラトルスネーク、テイエムオオタカ、リュンヌの4頭が面白そうだ。グランプリボスとレッドオーヴァルの評価を下げて、ここは思い切った高配当狙いをオススメしておく。

※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。

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競馬業界よろず請負人。1974年三重県生まれ。これまで裏方的な仕事に数多く関わってきたが、さすがに限界を感じて、最近は表舞台への進出を画策中。ライターとして『サラブレ』『UMAJIN』などに寄稿するほか、須田鷹雄監修の『POGの達人』には編集デスクとして参加。2005年に前半3ハロンタイムに特化した予想メソッドを発表し、それを用いた予想をnetkeibaにて公開している。コーヒー党、無類の猫好き。

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