毎日王冠で3歳コディーノは出遅れて、追い込みをはかったものの7着に負けた。
2番人気で7着。
この敗戦で天皇賞秋では人気を落としそうだ。
しかし今回は鞍上にリスポリを迎える。たしか鞍上リスポリのニュースは毎日王冠直前に伝えられた。つまり毎日王冠での四位騎手の騎乗を見て、騎手変更したものではない。ここは皐月賞・横山典→ダービー・ウイリアムズとは明らかに違う点だ。
これをふつうに見立てると「勝負は天皇賞・秋で毎日王冠ではない」ということになる。でないとわざわざリスポリを迎える意味もないからだ。毎日王冠はあくまでも叩き台の調整出走であって、本番の天皇賞・秋で巻き返す! 予定! 大予定! のはず。
人気は予想で7番人気。やっぱり人気は下がりそうだ。
だけど、もし前走の毎日王冠が藤沢流だったとしたらどうだろう?
人気が落ちるのはむしろ願ったり叶ったりで馬券的にはおいしい可能性がある。
藤沢流。
マツクニ流とか藤沢流とか書くと、遠い日の思い出みたいに感じる方もいるかもしれないけれど、こと天皇賞・秋については、藤沢流はどっこい生きてるのではないか? いまだオーセンティックな存在であって欲しいと思わずにはいられない……つーか、そう思いたくてしょうがない自分もいる。
なぜなら今年のコディーノにも藤沢流の仕掛けが施されているように思えるからだ。
天皇賞・秋過去10年の藤沢和厩舎の馬券圏内馬
・03年
1着シンボリクリスエス ペリエ 1人気
・04年
1着ゼンノロブロイ ペリエ 1人気
2着ダンスインザムード ルメール 13人気
・05年
2着ゼンノロブロイ 横山典 1人気
3着ダンスインザムード 北村宏 13人気
・10年
2着ペルーサ 安藤勝 4人気
・11年
3着ペルーサ 横山典 6人気
4頭の馬で7回の馬券圏内は1位だ。2位の角居厩舎が2頭で3回だから藤沢和厩舎が抜けて1位ではある。
勢いとしては向こう10年の前半に藤沢流が猛威を奮い、中盤以後は角居厩舎他いろいろとも言えなくもない。しかし3年前、2年前にペルーサは連続好走した。こと天皇賞・秋に関しては、藤沢流はまだまだオーセンティックな存在ではないか?
そして、前記したように今年のコディーノにも藤沢流の仕掛けの痕跡が垣間見える。
コディーノの藤沢流仕掛けのモデルは05年3着の方のダンスインザムードと10年2着の方のペルーサだ。
05年3着のダンスインザムードは13人気だった。前年天皇賞・秋2着、マイルチャンピオン2着と好走した馬の人気ではない。けれどマイルチャンピオン2着以後、休養を挟んで、天皇賞・秋に出走するまでの5戦の成績がひどすぎて(9着・18着・8着・12着・8着)、人気がないのもしょうがなかった。だけど激走した。
おそらくポイントは天皇賞秋の前走・府中牝馬Sだったはず。
このレースでダンスインザムードは、それまでも先行、差しではなく最後方まで下げて、追い込み競馬にトライした。
府中牝馬S(17頭立て)
16-17-17-17 8着
上がり32.7 着差0.7秒
結果は8着だったものの、上がりは32.7秒で1位だった。もちろん上がり1位は不振の5戦ではなかったこと。っていうか上がり1位は桜花賞以来の出来事でもあった。
もともと先行して抜け出す競馬だったから、頻繁に上がり1位を繰り出すタイプではないが、桜花賞以来の上がり1位は不振のダンスインザムードを復活させるには十分な薬になったのではないか。
それが功を奏したかのような13人気での天皇賞・秋激走。
位置取りは4-3-3-3 本来の先行競馬に戻しての3着。
藤沢流“追い込み”作戦成功といったところか(このことは当時も“藤沢流”的表現で讃えられていたはず)。
10年2着のペルーサは4番人気だった。3歳で4番人気は立派だとは言えるけれど、前走の毎日王冠を1番人気で5着したことで評価を下げた。
ではなぜ2着できたのか?
ここも前走に仕掛けがあったように思えなくもない。
前走・毎日王冠(10頭立て)
10-10-10-10 5着
上がり34.3 着差0.5秒
上がり1位。34.3秒は遅いけれど、これは稍重だったため。出遅れて最後方から追走し、0.5秒差まで追い込んで5着した。
ペルーサの場合は、ダービーから出遅れるようになったので、毎日王冠で狙って、最後方追走をしたのかはわからない。
わからないけれど、結果的には天皇賞秋で(またもや出遅れたけれど)2着した。
ペルーサは3歳馬で、勝った馬がブエナビスタであったことを思うと、2着でも毎日王冠での追い込み競馬が天皇賞秋で生きたと言えなくもない。4角回るまで動かず直線だけで追い込んだ競馬は毎日王冠が初めてだったからだ。
どこまで狙ったのかはわからないけれど、結果的にはダンスインザムードのときと同じように藤沢流の前走・追い込みの仕掛けが天皇賞秋で生きたとも言える。
翻って、今年の毎日王冠。
コディーノは2番人気。
レースは11頭立て。
出遅れて、9-10-9-9 ほぼ最後方を追走して、
上がり32.7秒(1位)で、
7着。
着差は0.5秒。
上がり32.7はダンスインザムードと同じ(府中牝馬だけど芝1800だし比較してよし)。着差0.5秒はペルーサと同じ。そして上がり1位はダンスインザムード、ペルーサと同じ。
出たか、藤沢流!?????
ダービーでちょっとだらしなかったコディーノを復活させるためにあえて施した“追い込み”か!?
答えは知りませんし、自分のわかりうるところではありません。
けれど、必然、偶然どちらだとしても、結果的に“良い方向”へ流れる可能性があることは、ダンスインザムードとペルーサからは見立てられる。
おそらく天皇賞秋は追い込みではなく、先行するのではないか? ダンスインザムード・モデルのはず。でないと、リスポリを迎える意味が、やっぱりなくなってしまう。
先行して折り合いが難しくなっているコディーノを、前で上手に操るためのリスポリのはず。
7番人気は天皇賞秋ではときどき好走する悪くない人気。
メンバー的にも先行させようとすれば、けっこうな確率で3、4番手が狙えそうでもあり、フルゲートの8枠に入らなければ、位置も取りやすそう。
問題は1番人気であろうジェンティルドンナの位置取り。ジェンティルドンナが3番手くらいにつけてくるとちょっとやっかいか。
逃げるのはおそらく2、3番人気のトウケイヘイロー。で、3番手前後に1番人気のジェンティルドンナがいるとなると、さすがに前で緊張感が増す流れになりそうで、ちょっといや。できれば、ジェンティルドンナには7、8番手を追走していただきたいところ。
今回のジェンティルドンナには春解消されなかった心配事もある。休み明けでなおかつ56キロを背負うことだ。
宝塚記念のときには牡馬と2キロ差ではジェンティルドンナの切れ味を少し損なう怖れがあるとここでも書いた。実際、56キロを背負った宝塚はゴールドシップに完敗した。ダノンバラードも捕らえきれなかった。つまり56キロで切れ味を出せるか問題はまだ払拭されていないわけだ。
「ジェンティルドンナ、一段とパワーアップ!」の報も読んだけれど、レースで魅せたわけではないのでまだまだ信用できない。
牡馬と2キロ差はともかくとして、56キロだとポテンシャルが少し下がる可能性があると陣営も考えていれば、ここはあくまでも叩き台で、55キロで出られるジャパンカップに標準を定めている可能性もある。
牝馬の1番人気は2-0-1-2。
牡馬の1番人気の3-1-1-0と比べて、やや劣る。
牡牝混合の休み明けのGIで、結果の出ていない56キロの1番人気ならば、一枚割り引いてもいいのではないか?
ブエナビスタが1着したときのように8番手前後を追走して、だけどちょっと伸びきれずに負けていただき、55キロのジャパンカップで去年同様の先行策から抜け出していただく。これでどうでしょう。
ジェンティルドンナが中団あたりで競馬をしてくれると、逃げるトウケイヘイローの緊迫感は和らいで、直線を向いても頑張れる可能性が増す。
逃げる馬が頑張れると、2、3番手を追走する馬の頑張れる可能性も増す。
武豊が逃げるのだから、ヘンテコなプレッシャー(潰すだけが目的の馬のプレッシャー)は受けにくいだろうし。
自分の見立てでは、いや理想では、2番手レッドスパーダ、3番手コディーノ。
武豊が逃げて、蛯名が2番手につけたなら、ペースはどんなペースになっても、乱れた感じにはならないはず。速くても秩序の保たれたペースとでもいいましょうか。
こう考えるとレッドスパーダの役目は甚大な気がして来た。そんな大事なペースメーカーにもなりうるレッドスパーダに蛯名が騎乗するなんて…まさか、これも藤沢流か!?
そもそも蛯名騎手が藤沢厩舎の馬に騎乗するのは久しぶり。2012年の11月11日のレッドクロス(8着)以来だから約1年ぶりだ。
おそらくフェノーメノが回避して、空いていたから依頼したのかもしれないけれど、関東のトップジョッキーである蛯名騎手にな〜んの可能性もない馬を依頼するだろうか? たとえ久しぶりのお近づきの意味合いがあったとしても、コディーノを援護射撃するようなお願いをするだろうか?
否! 否と思いたい。
レッドスパーダにはレッドスパーダのウリや味があって、それを引き出すようなお願いをするはず。レッドスパーダのウリとはもちろん前で折り合って、直線しぶとく粘る競馬。
もしレッドスパーダが気分良く走れたとしたら、それはそのままその直後にいるであろうコディーノにも紡がれるかもしれないって………おっと! やっぱり、ここにも藤沢流の隠された味付けが施されている!?
で、終わってみたら藤沢和厩舎の馬券圏内ワンツー…?
レッドスパーダはぜんぜん人気がない! 2着3着のワイドでも大穴だ!
うひょ〜〜〜〜〜〜〜〜おそらく気のせいだ。間違いない!
だけど雨が降ったらどうだろう。タイキシャトル産は雨が降っても馬場を苦にしない傾向にある。
時計がかかればいい勝負をしてもおかしくない。
武豊トウケイヘイローの逃げは、ここ2戦、先行した馬を連れてきている。特殊だった前走の札幌記念でも、良馬場だった2走前の函館記念でもそうだ。
雨が降って、台風の影響でうんと降って、先週同様、もしくはそれ以上の不良馬場になったとしたらどうだろう。
先頭のトウケイヘイローがマイペースで逃げて、直線向いて一番馬場がいいであろう中〜外をついて、その後ろにいるはずのレッドスパーダもそのまましぶとく粘って、気がついたら2着か3着でゴールしちゃったみたいな。
良馬場ならないかもしれないけれど、不良馬場なら考えられる。武豊と蛯名の隊列ならば考えられる。名手は自身の馬が直線で持たないようなペースで逃げたりしない。しかもトウケイヘイローは予想2、3番人気。破滅型の逃げなど打つはずがない。それは番手にいるであろう蛯名にも言える。
ああ〜天気はどうなんだろう? 今週も馬場読みが問われそうだけど、その前に空読みだ。
台風には来て欲しくないけれど、適度な雨はレッドスパーダには歓迎に思える。
おっと、いつの間にかレッドスパーダに熱が入ってしまった!
テーマはコディーノだった。前哨戦を藤沢流で走ったコディーノの巻き返しだった。
コディーノには雨はいらないはず。重馬場がダメとは思わないけれど、経験のない重馬場より速い脚が使える良馬場でいい。空は青か水分をこぼさないネズミ色でお願いだ。
天皇賞・秋
注目キーワード・藤沢流
注目馬・コディーノ
帯同注目馬・レッドスパーダ(馬場悪化で)
3着で注目馬・ダノンバラード
ダノンバラードの川田は、オールカマーでもダノンバラードに騎乗した。
同日の神戸新聞杯に出走するラストインパクトには騎乗せずにダノンバラードだった。
ラストインパクトは菊花賞では川田に戻って、4着。惜しいけど馬券圏外。
ラストインパクトは結びつきの強い松田博厩舎の馬で、主戦的な騎乗をしていて、さらに社台系生産馬でもあった。しかし同日開催で川田は宝塚記念2着とはいえ、一度しか騎乗経験のなかったダノンバラード(非社台生産)を選択した。ここは純粋に実力でチョイスしたと決めつけたいところ。
ラストインパクトは菊花賞で4着だった。ならばダノンバラードには最低でも3着は期待してみたい。そういって宝塚記念では3着付けにして失敗した。けれど2000なら別だ。
東京2000は皐月賞で3着した舞台。芝2000は3-0-6-3。
3着で怖い初代ディープ世代でもある。
うむ、今度こそだ。
『競馬王』11月号
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特集「不変の必勝法“馬場読み”」では、棟広良隆が教える馬場読みの基礎知識、城崎哲によるJRAが作る“今の馬場”の秘密レポートに加え、漫画・グラサン師匠の鉄板競馬では亀谷敬正が教える初心者向け馬場読み講座も大公開!
さらに、秋のGI総取り企画として、今井雅宏&井内利彰による「馬の調子を読めれば大穴も獲れる!」、京大式推定3ハロン・久保和功による秋華賞、菊花賞、天皇賞・秋の展望、「新採決制度は日本人向きではない!」と提言する矢作芳人調教師インタビューなど、今回も見逃せない内容が盛りだくさんです。