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アルゼンチン共和国杯の例外指数

  • 2013年10月31日(木) 12時00分
アンコイルドが天皇賞秋であわや3着しそうになった(クビ差4着)。

ちょっとドキドキした。理由はもちろんアンコイルドの馬券を買っていなかったからだけど、それだけじゃない。

アンコイルドの取り扱いがけっこう難しく、買えば来ない、買わなければ来る、そんなあるある系のツボ、いやドツボに迷い込みそうになっていたからだ。

このツボ、いやドツボはやっかいで、仕留められればしてやったりだけど、買って凡走されるととてつもなくかっこ悪い。

函館記念7人気2着→札幌記念14人気3着

これはこの夏、独特だった函館の芝ゆえの成績であって、軽い芝の京都大賞典ではさすがに足りないだろうと思った。思ってしまった。

したらば、7人気で2着。

洋芝でも2着、激重の洋芝でも3着、そして軽芝でも2着。で、迎えた東京・天皇賞秋。

前日まで雨は降っていたけれど、日曜は朝から快晴でおそらくレースまでにはグングン乾いて、良馬場に回復するであろうことも容易に察っすることができた。

アンコイルドは8人気。

さあどうしよう。買うべきか、買わざるべきか。正確には拾うべきか、拾わざるべきか。

結局、拾わなかった。

枠が外の7枠13番だったこともあるが(先行するには不利な枠だけど、アンコイルド自身が内系で好走する馬とも思っていた)、

前走が京都大賞典だったことが最大の回避理由だった。

なんせこの5年で前走・京都大賞典の馬は1頭も馬券圏内に入ったことがなく、この10年でも馬券圏内に入ったのは9年前の1着ゼンノロブロイ・3着アドマイヤグルーヴの1回(2頭)きりだったからだ。この11年〜20年前は“京都大賞典から天皇賞秋“は一つのローテとして確立していたかもしれないけれど、この10年、しかも直近の5年では完全に“消しローテ”の1つという認識だった。ん? だった…は変だな。結局4着だから、進行中ともいえる。今なお“消しローテ“でいいはずだ。

そんなアンコイルドが3着にクビ差4着した。京都大賞典から天皇賞秋で馬券圏内に入った馬は9年前の1回(2頭)のみと記したけれど、4着の馬は2頭いた。

ポップロックはペリエで4番人気で4着、オウケンブルースリは内田博で3番人気で4着だった。どちらも叩き2戦目の人気馬だったけれど、人気を超えることはできなかった。だから今回の8人気で4着、しかも休みなく使われての4着にビックリしたのだった。

今思えば、アンコイルドは東京[2-1-0-0]、京都[2-1-0-0]と軽めの馬場は得意ではあった。

今思えば、芝2000は[5-2-1-1](東京2000は[2-1-0-0])と最も得意ではあった。

今思えば、函館で走ったのは力をつけている証拠だったかもしれない。

頑張ったけれど馬券圏内には入れなかったアンコイルドについて、なぜ今思えば、今思えばとリフレインしているのかというと、それはもちろん今週のアルゼンチン共和国杯のためだ。

#1 アルゼンチン共和国杯に函館記念3着(8人気)、札幌記念2着(8人気)したアスカクリチャン(以後、クリチャンで表記)が登録している。

#2 アルゼンチン共和国杯も前走・京都大賞典組にはツライ傾向あり。

#1
クリチャンは北海道ではアンコイルドと抜きつ抜かれつの攻防で凌ぎ合っていた。同じ釜の飯を食った仲みたいな成績だ。中央に戻って、オールカマー5着(7人気)、アイルランドT4着(2人気)と使われ、馬券圏外に敗れているけれど、ハンデ戦の56キロ、そして先週アンコイルドが頑張れたBコース2週目ならば、同じように頑張れるのではないか?

■前走・非重賞馬は、「前走連対」+「重賞複数経験」で1着まで、「前走連対」のみなら3着くらいで狙える。

この傾向に従うならば、クリチャンは前走・非重賞のアイルランドT4着だから今回はいらないことになる。

むしろ今回は前走・非重賞の1着馬がいっぱいいて、そちらを3着で狙いたくなる。

エックスマーク4歳 前走・レインボーS(1600万)1人気1着
サイモントルナーレ7歳 前走・丹頂S11人気1着
シゲルササグリ4歳 前走・ムーンライトH(1600万)1人気1着
ホッコーブレーヴ5歳 前走・オクトーバーS(1600万)3人気1着

特に4歳エックスマーク・シゲルササグリ、5歳ホッコーブレーヴの3頭は年齢的にも魅力的で、3着にちょーどいい気がする。ただし3頭ともに重賞経験が足りず、過去からは1着は難しそう(逆にそれでも勝ったら、トーセンジョーダンのように劇的に視界が開けて行く可能性もある)。

クリチャンの前走アイルランドTは59キロを背負ってのものだった。ここを情状ポイントと捉えれば、重賞経験豊富のクリチャンの3着だって狙える気もするのだ。

アイルランドTは59キロで上がり2位。前々走のオールカマーも0.1秒差の5着(7人気)で、函館記念、札幌記念よりむしろ着差を詰めている。

おまけに父スターリングローズで母父ダイナレターに芝2500のイメージは一般的にはない。事実、自身最長距離だ。

おそらく今回も函館記念8人気、札幌記念8人気、オールカマー7人気同様に人気もないはず。いや今回はもっと人気が下がるはず。

そう思って、netkeiba.comの予想オッズを拝見したら、ワオ!!! まさかの予想6番人気!!!

なぜだ! アンコイルドだって8人気どまりだったのに!(あっちはG1で当たり前かもしれないけれど、そういうことでもないはず)

もしかしたらゴールドシップ・ジャスタウェイで乗りに乗ってる須貝厩舎だからか?

戸崎が騎乗するからか?

そういえば某競馬週刊誌に「距離はむしろ合う」という須貝調教師のコメントがあった。それか?

東京大回り競馬では、ときに距離持たないイメージの血統馬でも持ってしまうこともある。自分の中ではアフリート系はその最たるケースだ(主にダートでだけど)。

いや、もしかしたら母父ダイナレターの成長力を期待している人がいっぱいいるのかも?(あ〜成長力以外のノーザンテーストの褒め言葉を知りたい…)

自分の見立てとは2つ違う。8人気、あわよくば9人気と思っていた。

でもまだ週の真ん中だ。クリチャンの人気を下げる努力をするのではなく、他の馬にもっとスポットライトが当たるように努力しないと。実際、予想6番人気より下に魅力的な馬はいっぱいいる。

すぐ下にいる予想7人気のホッコーブレーヴは最高だ。臨戦がいい。54キロのハンデもだいたいいい。血統もきっといいに違いない(ネヴァブションとは違うはずだ)。

予想8番人気のデスペラードも怖い。何しろ鞍上・横山典が怖い。こういう直線一気型の馬をハメさせたら天下一品だ!2回騎乗したら1回はハメてくれそうだけど、テン乗り時がやっぱり魅力的だ。

#2
去年も書いたけれど、アルゼンチン共和国杯は6年前の07年から劇的に変わった。
それまでは前走・京都大賞典組が圧倒的に幅をきかせていたのに(4連勝他)、07年から急にしぼみ出して、0勝、2着1回、3着1回のみ。

この6年間で1番人気になった前走・京都大賞典組は4頭いて、成績は0-1-1-2。馬券になったのは1番人気になった馬のみ。しかも圏内率は50%という危うさ。

つまり前走・京都大賞典組は1番人気にならなかった時点でアウト!

遅ればせながら天皇賞秋同様に“消しのローテ”になってしまったとも言えるわけだ。

しかも面白いことに京都大賞典組が幅をきかせていた頃の勝ち馬はすべて5歳以上で、4歳は馬券圏内にも入りにくかったのに、07年からは突然4歳が頑張り出して、6年間で5勝もしている(馬券圏内独占2回!圏内2頭入り2回!)。

勝ち馬だけでなく馬券圏内に頑張る4歳馬の特徴は人気になった馬が多いこと。前記したように前走・京都大賞典組は、ほぼ消しだから、1〜3人気に前走・京都大賞典組ではない4歳馬がいたら、相当信頼度は高いとも言える。

それゆえに今年はややこしい。

たとえば1番人気でないと消せる傾向の強い前走・京都大賞典組は3頭。

アドマイヤラクティ 予想4人気
デスペラード 予想8人気
ニューダイナスティ 予想9人気
1人気にならない時点でアウトなら3頭まとめてアウツ! 消せる。

では1〜3人気が望ましい4歳馬の人気はどうか?

エックスマーク 予想5人気
ニューダイナスティ 予想9人気
シゲルササグリ 予想13人気

今年は3頭しかいない。しかも最高人気は5人気のエックスマーク。おっと!微妙だ!

では予想1〜3人気はどの馬か?

予想1人気 メイショウナルト 5歳
予想2人気 ムスカテール 5歳
予想3人気 ルルーシュ 5歳

オール5歳。去年、アルゼンチンでワンツーを決め、今年目黒記念でもワンツーを決めたムスカテールとルルーシュがいる。

強烈だ。メイショウナルトも直近の成績から1番人気はともかく3番人気以内にいることに納得だ。

特にムスカテールとルルーシュは東京2500で、2回もワンツーを決めている。もはや超適性と決めつけられそうな勢いだ。

今回は揃って57.5キロ。三たびワンツーを決められてもまったく驚けない。この2頭を軸に4歳馬3頭に流せば一件落着ではないか?

いや、ニューダイナスティは前走・京都大賞典だから消せるし、シゲルササグリも予想13人気だからサゲられる。残るは1頭エックスマークのみ。

ムスカテールとルルーシュとエックスマーク、絞り込めばこの3頭でいい!

しか〜〜〜〜〜し。

前記したように自分はクリチャンを圏内でいじりたくてしょうがない病をこじらせている。

もちろん8人気以下になったらだけど、7人気ならばおまけしてもいいとも思っている。

でも前走オープン4着のクリチャンを抽出するためには、ちょっとした例外力が欲しい。

今年は例外指数の高い年というお墨付きが欲しい。

で、ユーターン。アンコイルドにユーターン。

天皇賞秋では、消しローテでいらないと思われた京都大賞典出走のアンコイルドがあわや3着の4着に頑張れた。しかも8人気で4着。これは過去10年の天皇賞では見られなかった出来事。

ならば同じように直近6年でほぼ用なしの前走・京都大賞典組だけど、今年は例外的に1人気以外の馬でも馬券に絡める可能性があると見立ててもいいのではないか?

だから「クリチャンがやって来る!」とするのは乱暴なことはわかっている。

ただ「今年は例外のアルゼンチン共和国杯である」とするのはそんなに乱暴ではないと思っている。

それゆえに5歳の1・2・3人気で決まってしまう可能性もある。人気に振れる例外もある。

それゆえに人気薄ばかりでも4歳が奮闘する可能性もある。

セン馬は過去20年1頭も馬券圏内に入ってないけれど(アル・ゼン・チン!)、セン馬のメイショウナルトが1着する例外も飛び出すかもしれない(過去3人気以内に入ったセン馬もいなかった。ちなみにセン馬は最高で4着)。

最も怖い例外は、リピート系ではないレースなのにムスカテールとルルーシュで再びワンツーしてしまう例外だ。

つまりどこの例外を選択するかだ。

もちろん自分は京都大賞典の例外を選択したい。そこを信じることで、アンコイルドと同じ釜の飯を食ったはずのクリちゃんを引っ張ってこようという算段だ。

京都大賞典組
アドマイヤラクティ 5歳 57.5 予想4人気
デスペラード    5歳 56  予想8人気
ニューダイナスティ 4歳 55  予想9人気

アドマイヤラクティは父ハーツクライ。ハーツクライ産は先週も勝った。某血統系の若手業界人の筆頭もハーツクライ産は1、2番人気でないときの単勝がおいしいという光線を発射していた。そういえばジャスタウェイも5人気だった。

デスペラードも前記したとおりだ。横山典でハメ待ちできる馬だ。

ニューダイナスティは京都大賞典では4番人気で、アドマイヤラクティより評価されてた馬だ。

この2頭はステイヤーズS他の次走狙いかもしれないけれど、まだわからない。拾う分にはありだ。

ムスカテールとルルーシュの東京2500、3回目のワンツーが怖いけれど、それゆえに来ないならいっしょに来ない期待も持てる。

2着3着、3着4着、4着5着もないとは言えない。それもハンデ戦だ。

アルゼンチン共和国杯注目馬
アドマイヤラクティ(4番人気で)
アスカクリチャン(7番人気以下で)
4歳馬(3着で拾いたい)

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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