■エリザベス女王杯(G1・京都芝2200m外)フルゲート18頭/登録23頭
【コース基本情報】京都芝2200m外 Bコース使用
・コース回収率
[標準] 単89%・複勝69% 1番人気強いが人気薄の激走例もソコソコ
・馬連万馬券出現率
[やや高め] 14.0%(平均値△2.0% 馬連平均配当4834円)
・枠番別連対率(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
[1枠〜2枠] 勝率7.3% 連対率17.7% 複勝率22.9% 複回率62% 枠番値+0.4
[3枠〜6枠] 勝率5.3% 連対率10.6% 複勝率17.6% 複回率78% 枠番値-0.2
[7枠〜8枠] 勝率6.3% 連対率 9.8% 複勝率15.2% 複回率85% 枠番値-0.1
→1枠〜2枠の信頼度が抜けて高いコース。外枠はやや劣勢か。
・脚質別信頼度
差し>先行>>逃げ>追込 妙味は先行勢もアタマで来るのは差し脚質
・推定ラップ&タイム
[やや前傾] 35.2-61.1-36.0=2.12.3 芝中距離G1には珍しく序盤から速い流れに
エリザベス女王杯の他にも、現在は京都新聞杯が行われている京都芝2200m。スタンド前から発走して外回りコースをぐるっと1周する設定で、最初のコーナーまでの距離も長くゆったりした形態に思えるのだが、コーナー部分が占める比率はかなり高めである。つまり、内外で走らされる距離が大きく異なる、ということだ。
縦長の馬群にでもなればそれほど影響は大きくないが、スローペースで一団にでもなると、外を走らされる馬の距離損は甚大。そういう理由もあってか、多頭数のレースにおいては1枠〜2枠の「内枠」がイメージ以上に有利なコースとなっている。データの母数がそれほど多いコースではないとはいえ、連対率で7%以上もの大差が出ているという事実は、重く受け止めるべきだろう。
1番人気馬の信頼度はかなり高いのだが、同時に馬連万馬券の出現率もけっこう高め。コースの単勝回収率が89%と高いのを見てもわかるように、人気薄の1着激走も十分に期待できる。脚質面では、爆発力なら先行脚質、信頼度なら差し脚質といった印象。とはいえ、追い込み脚質の馬はかなり苦戦しており、後方に置かれるようだと勝ち負けは厳しい。取捨選択の際には、4コーナーを10番手以内で回れるかどうかを重視すべきである。
【レース基本情報】エリザベス女王杯(G1) 過去10年
・レース平均配当
単勝1623円 馬連1万1744円 3連複2万85円
・1番人気馬成績
[2-3-2-3] 勝率20.0% 連対率50.0% 複勝率70.0%
・3番人気以内馬成績
[5-7-4-14] 勝率16.7% 連対率40.0% 複勝率53.3%
・4番人気〜9番人気馬成績
[4-2-5-49] 勝率 6.7% 連対率10.0% 複勝率18.3%
・10番人気以下馬成績
[1-1-1-73] 勝率 1.3% 連対率 2.6% 複勝率 3.9%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 20.0% [先行] 20.0% [差し] 60.0% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 10.0% [先行] 26.7% [差し] 46.7% [追込] 13.3% [マクリ] 3.3%
・年齢別成績
[3歳馬] 5-3-2-43 連対率15.1% 複勝率18.9%
[4歳馬] 3-2-5-42 連対率 9.6% 複勝率19.2%
[5歳馬] 2-4-2-36 連対率13.6% 複勝率18.2%
[6歳馬] 0-1-1-10 連対率 8.3% 複勝率16.7%
[7歳↑] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠] 0-2-0-16 連対率11.1% 複勝率11.1% 枠番値+2.1
[2枠] 0-1-2-16 連対率 5.3% 複勝率15.8% 枠番値-0.4
[3枠] 1-1-3-14 連対率10.5% 複勝率26.3% 枠番値-0.4
[4枠] 3-1-0-16 連対率20.0% 複勝率20.0% 枠番値-0.6
[5枠] 1-1-0-18 連対率10.0% 複勝率10.0% 枠番値+0.9
[6枠] 1-2-1-15 連対率15.8% 複勝率21.1% 枠番値-0.6
[7枠] 0-2-1-22 連対率 8.0% 複勝率12.0% 枠番値-0.1
[8枠] 4-0-3-19 連対率15.4% 複勝率26.9% 枠番値-0.6
─────────────────────────────
[1枠〜4枠] 4-5-5-62 連対率11.8% 複勝率18.4% 枠番値+0.2
[5枠〜8枠] 6-5-5-74 連対率12.2% 複勝率17.8% 枠番値-0.1
─────────────────────────────
[1枠〜3枠] 1-4-5-46 連対率 8.9% 複勝率17.9% 枠番値+0.3
[4枠〜6枠] 5-4-1-49 連対率15.3% 複勝率16.9% 枠番値±0
[7枠〜8枠] 4-2-4-41 連対率11.8% 複勝率19.6% 枠番値-0.4
・厩舎所属別成績
[美浦] 2-0-3-35 連対率 5.0% 複勝率12.5%
[栗東] 6-10-6-93 連対率13.9% 複勝率19.1%
・前走距離別成績
[〜芝1600] 0-0-1-5 連対率 0% 複勝率16.7%
[芝1800m] 1-3-4-70 連対率 5.1% 複勝率10.3%
[芝2000m] 7-4-3-49 連対率17.5% 複勝率22.2%
[芝2200m] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
[芝2400m] 1-2-1-5 連対率33.3% 複勝率44.4%
[芝2500〜] 0-0-0-2 連対率 0% 複勝率 0%
[ダート戦] 0-1-0-1 連対率50.0% 複勝率50.0%
・前走クラス別成績
[前走中央G1] 6-4-3-33 連対率21.7% 複勝率28.3%
[前走中央G2] 2-2-2-17 連対率17.4% 複勝率26.1%
[前走中央G3] 0-4-3-52 連対率 6.8% 複勝率11.9%
[前走OP特別] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
[前走条件戦] 0-0-1-19 連対率 0% 複勝率 5.0%
・前走主要レース別成績
[秋華賞 ] 4-3-2-33 連対率16.7% 複勝率21.4%
[府中牝馬] 1-3-4-58 連対率 6.1% 複勝率12.1%
・日本馬出走間隔別成績
[中1週] 2-1-3-2 連対率37.5% 複勝率75.0%
[中2週] 0-0-0-6 連対率 0% 複勝率 0%
[中3週] 5-6-6-99 連対率 9.5% 複勝率14.7%
[中4週〜8週] 1-3-0-8 連対率33.3% 複勝率33.3%
[中9週以上] 0-0-0-14 連対率 0% 複勝率 0%
・注目出走パターン
[絶好] 前走で牡馬混合の重賞に出走(連対率53.8%、複勝率69.2%)
[絶好] 前走秋華賞で4番人気以内かつ3着以内(連対率46.2%、複勝率61.5%)
[不振] 前走で重賞以外に出走していた日本馬(連対率0%、複勝率3.7%)
[不振] 外国人ジョッキー以外に乗り替わる日本馬(連対率1.9%、複勝率3.8%)
[不振] 前走、秋華賞4着以下馬(連対率4.2%、複勝率4.2%)
[全滅] 前走、府中牝馬Sで2番人気以下かつ6着以下(0-0-0-31)
2009年に10万馬券が飛び出したのもあって、馬連平均配当は1万1744円とかなり高め。もっとも、この年を除くと馬連平均配当は1712円まで一気に落ちるし、3連複が万馬券となった例もナシ。たまにとんでもない波乱が飛び出すが、基本的には順当決着傾向にあるレースと言えそうだ。
人気馬の信頼度はソコソコ高いが、最もアツいのは複勝率が18.3%と高い、4番人気〜9番人気の中穴ゾーン。勝率や連対率もなかなかの高さで、荒れると踏むならば、このあたりから入るのもアリだろう。続いて脚質だが、こちらはコースデータとおおむね同様。差し脚質と先行脚質の強さが目立っているので、好位〜中団のポジションを取れる馬を重視する姿勢でいきたい。
その他にも「1枠の枠番値が異様に高い」「じつは年齢による成績差が意外なほどない」といった特徴が目につくが、このレースで何よりも重視すべきはローテ。注目出走パターンで絶好と評価したふたつの条件を満たしているか否かが、すべてを決めるといっても過言ではない。
前走で牡馬混合の重賞に出走していた馬は、その着順にかかわらず大活躍。連対率53.8%、複勝率69.2%という数値を見てもわかるように、牝馬限定戦を使われてきた馬とは比較にならないほどの強さを誇っている。今年の登録馬でこの条件を満たすのは、京都大賞典組であるヴィルシーナとオールザットジャズの2頭だけだ。
そして「前走秋華賞で4番人気以内かつ3着以内」という条件を満たす登録馬は、牝馬二冠を達成したメイショウマンボただ1頭。この結果から考えると、人気のG1馬2頭による一騎打ちとなる可能性も高そうである。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
先週に引き続きBコース。特にバイアスのないフラットな状況という印象。
・天候予測
日曜日の降水確率が高めの状況。馬場悪化の可能性も十分にありうる。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率18.2% 連対率34.5% 複勝率41.8%
・著者の注目血統
ディープインパクト産駒◎、ジャングルポケット産駒○、キングカメハメハ産駒△
当コースで産駒が好成績をあげている種牡馬は、おしなべてキレ型。ディープインパクト、ハーツクライという当代きってのキレ型が複勝率のツートップを形成しているのだから、勝ち負けに必要とされるのがパワーよりもキレであるのは間違いない。また、シンボリクリスエス産駒が[0-2-2-28]と大苦戦しているのも、その証明。「ベタ良血で末脚がキレそうで値段が高そうな血統」の馬を高く評価すれば、それで問題ない。
気になるのは天候。どうやら週末から崩れそうな気配で、当日はけっこうな降雨があってもおかしくない状況だ。稍重程度であれば気にする必要はなさそうだが、重〜不良になると、昨年のように重馬場巧者の台頭がありそう。レインボーダリアの「もう一発」にも、一応は警戒しておきたい。
★総論×各論
想定を見て驚いたのが、今年はラキシスやディアデラマドレといった前走条件戦組が人気を集めそうだということ。確かに例年と比較して小粒なメンバーだとは思うが、それでもメイショウマンボを筆頭に、G1馬が5頭も登録しているレース。前走条件戦組が不振であること、前走G1&G2出走組が圧倒的に強いことは明白であり、ここは勢いよりも格を重視すべき──というのが、当データ分析の「総論」である。
では各論へと入るが、レースデータの項目でも少し触れたように、ここはメイショウマンボとヴィルシーナが「断然」と言える存在。実績、ローテともに文句なしで、買わない理由を探すほうが難しいほどだ。鞍上の乗り替わりも(おそらく)なく、距離実績やコース実績もバッチリ。甲乙つけがたいが、僅差でメイショウマンボを筆頭評価としたい。
大きく離れた三番手にホエールキャプチャで、以下オールザットジャズ、マルセリーナ、エディン、レインボーダリアといった評価順。ラキシス、ディアデラマドレなど人気を集める可能性のある前走条件戦組は、スパッと切り捨てた。また、格や実績については問題ないデニムアンドルビーは、あまりにもテンに行けないことや秋華賞4着からのローテが、やはり気がかり。当レースにおける追い込み脚質の成績からも、推奨はしかねる。
それ以外では「1枠に入った好位〜中団につけられる4番人気〜9番人気」を推しておこう。該当馬ナシとなる可能性の高い話ではあるが、コースデータやレースデータの枠番値から、1枠はマークしておいて損はないはず。この条件をクリアするような馬が出てきた場合には、2着〜3着のヒモとしてぜひ押さえておきたい。
■京王杯2歳S(G2・東京芝1400m)フルゲート18頭/登録16頭
このレースで何よりも重視したいのが、前走で走っている距離。最も多い前走1400m戦からのローテが、最も期待値の低い出走パターンとなっているのだ。論より証拠として、以下に比較データを掲載する。
[距離短縮] 5-5-4-37 連対率19.6% 複勝率27.5% 複勝回収率123%
[距離延長] 2-2-1-20 連対率16.0% 複勝率20.0% 複勝回収率121%
[同距離戦] 3-3-5-53 連対率 9.4% 複勝率17.2% 複勝回収率 79%
圧倒的に強いのが距離短縮組で、こちらは信頼度の高さ、複勝回収率の高さともにバツグン。それに次ぐのが距離延長組で、こちらも期待値はなかなかのものだ。それとは対照的に、前走でも1400m戦に出走していた馬は大きく見劣る数値。ちなみに、前走1400m組で来ている馬のほとんどが、前走2番人気以内馬である。
また、前走が新馬&未勝利だった馬が過去10年で一度も1着に来ていないというのも、このレースの大きな特徴。この時期の2歳重賞だとアッサリ勝ち負けできそうなイメージだが、前走オープン出走組が[9-4-4-40]で連対率22.8%、複勝率29.8%と非常に強いのに対して、前走条件戦組は[1-6-6-70]で連対率8.4%、複勝率15.7%と、明らかに見劣る。
……となると、前走で驚異的なパフォーマンスを見せたモーリスなど「前走1400m新馬1着組」を過信するのは危なっかしい。ここは、距離延長組で前走オープン出走組でもあるアポロスターズとラブリープラネットを上位に評価。ここから、オイダシダイコ、トーセンシルエット、ライアンセンスといった距離短縮組の人気薄に流す馬券をオススメしておこう。
■ファンタジーS(G3・京都芝1400m外)フルゲート18頭/登録20頭
そして、京王杯2歳Sに続きファンタジーSも、今回と同距離である「前走1400m戦出走組」がアホほど弱いレース。出走数が多いので来るには来るが、[5-4-5-63]で複勝率18.2%、複勝回収率39%と、その期待値はきわめて低い。要するに、人気馬しか来ないという儲からない出走パターンなのである。
というわけでこちらも、距離延長組&距離短縮組から入る馬券を推奨。しかも今年は、エイシンオルドス、エルノルテ、グランシェリーといった人気を集めそうな馬が、揃いも揃って前走1400m戦組なのだ。「オイオイ、人気馬は来るんだろ」とツッコミが入りそうだが、1番人気馬の[1-1-2-6]という惨憺たる成績を見てもわかるように、ファンタジーSは人気馬がアテにならないレース。無理は承知でブンブン振り回していきたい。
とはいえ、むやみに人気薄ばかりを狙っても三振に終わるのがオチ。ファンタジーSでは「前走6番人気以下馬」の信頼度が非常に低いので、ココはぜひ除外しておきたい。前走で相応の評価を受けていた馬で、距離短縮&距離延長組で、それでいて人気薄となりそうな馬。コレが、このレースで積極的に買うべき対象となりそうである。
条件に該当しそうなのはアドマイヤビジンと、テイエムチュラッコ&テイエムナデューラのテイエム二騎。今年も「人気の前走1400m戦出走馬」がコケると踏むならば、このあたりに注目しておきたい。
■武蔵野S(G3・東京ダ1600m)フルゲート16頭/登録34頭
今年も大挙34頭が登録してきた武蔵野S。昨年の覇者イジゲンにユニコーンSを制した若武者ベストウォーリア、東京コースをめっぽう特異とするアドマイヤロイヤルに現在2連勝中のゴールスキーなど多士済々。オッズもかなり割れそうで、本命党にも穴党にも面白いレースとなりそうだ。
傾向としてハッキリしているのが、5歳以下の若馬が強いレースであるということ。トータル[10-7-6-82]と過去10年の勝ち馬はすべて5歳以下であり、6歳以上馬は劣勢。特に強いのが5勝をあげている3歳馬で、その勢いは瞠目モノだ。また、同距離&距離延長組がイマイチで、そのぶん距離短縮組が強いというのも顕著な傾向。こういった条件を複数満たす中穴ゾーンの馬に、最も妙味がありそうだ。
現時点でのオススメは、グラッツィア、ベストウォーリア、ベルシャザールの3頭。イジゲンは扱いが難しいところだが、休養明けいきなりから人気を背負うことを考えると、あまり食指が動かないというのが正直なところである。ゴールスキー、シルクフォーチュン、ナムラタイタンといった6歳以上の人気馬も、このレースの傾向を考えるとアテにはしづらい印象。波乱決着となる可能性もかなり高そうである。
※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。