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伝統のタスキリレーに委ねるか。それでもラーをぶっ込むか。

  • 2013年11月14日(木) 12時00分
京都大賞典のおかわり三杯目をエリ女で狙ってみたけど大惨敗に終わった。

「居候三杯目にはそっと出し」

きっとそういうことなんだろう。

三杯目ってのは静かに思慮深く狙わないといけないってことだ。ちょっとガツガツしすぎていた。先週ガツガツしてしまったのは、すべて今週の4杯目のため。

過去10年で5着以内に入った馬の前走最長距離は2000M。それ以上の距離から出走した馬はほとんどいない。いても立ち向かえていないのは明らかで、そんなことは百も承知の上で参戦を決めたはずの藤原英厩舎のトーセンラーでごはん4杯目のおかわりを頂戴してやろうとガツガツしていたわけだ。

で、思う。居候なら4杯目はどう出すんだろうと。

3杯目でそっと出すのだから、4杯目はじっと待つのではないか? 声をかけられるまでじっと待つ。

というわけで今週はじっと待つことにした。今年の京都大賞典はまだまだおかずに使えると思うものの今週はあまりそこに走らず静かにじっと待とう。待てば海路の日和ありだ。おっと、今週はことわざおじさんになってしまったな。でももうボキャはない。すっからかんだ。

それはそうと今年のマイルチャンピオンは自分的には少し難解だ。いや、難解は言い得てないかもしれない。例年とは違う傾向が見え隠れしているといった方がいいか。

たとえばマイルチャンピオンシップはタスキリレーだ。そのバトンタッチに今年は不穏なムードも感じる。

このレースの美しいタスキリレーについては、一昨年も去年もここで書いた。そして実際、その通りになった。こういう伝承ものは書いた時点で途切れる。けれど書いても途切れないということは持続力があるか、自分に馬券浸透力がないかのどちらかだ。もちろん自分で言うのもなんだけど自分には馬券浸透力はない!ワハハー! ただこのタスキリレーにも持続力はあるはず。最近の適性主義の浸透がリピートホースを増やしているのは間違いないし、それがマイルチャンピオンではもっともっと研ぎすまされて、美しいリピート&バトンタッチが繰り返されていると解釈できるからだ。

-----------補足------------
よく使われる表現に「このレースはリピーターが多い」というのがある。同じ馬が何度か同じレースで来るときに使われる表現だけど、マイルチャンピオンの場合はリピートだけでは言い足りない側面がある。

リピート&スイッチ。リピート&チェンジ。

つまりリレー。駅伝。

前年3着以内に走った馬が前年渡されたバトンを他の馬に渡すために翌年も走る。

そして3着以内に入って、新しく3着以内に入った馬にバトンを渡す。

基本的にはこの繰り返し。

たとえば、03年に1着したデュランダルはバトンを渡すために04年にも走り1着し、2着のダンスインザムードにバトンを渡した。

バトンを受け取ったダンスインザムードはそのバトンを渡すために05年も走り4着し(4着に取りこぼすことあり。けれど基本は馬券圏内)、2着のダイワメジャーにバトンを渡した。

バトンを受け取ったダイワメジャーはバトンを渡すために06年も走り1着し、9着の3歳スーパーホーネットにバトンを渡した(バトン渡し相手は5着以内の馬が基本だけど、3歳は5着以下でもかまわない)。

スーパーホーネットは07年に2着し、4着のカンパニーにバトンを渡し、カンパニーは08年に1着し、3着のサプレザにバトンを渡し………その繰り返し。
(詳しくは一昨年の当コラムで書いたので、今年も割愛。ちなみに去年のバトンホースはグランプリボスだった。3歳時に出走し、13着したもののそこでバトンを受け取って、2着したわけだ。そのあたりのプロセスは去年のコラム参照で。)

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つまり馬券的には去年のマイルチャンピオンに出走し、今年バトンを渡すために出走する馬を狙えばいいことになる。

では、去年バトンを受け取って、もしくは隠し持って、今年バトンを渡しにくる馬はなにか?

去年出走し、今年も出走する馬の去年の成績
1着 4歳サダムパテック 4人気 
2着 4歳グランプリボス 1人気
3着 4歳ドナウブルー  5人気
5着 4歳リアルインパクト 9人気
6着 4歳ダノンシャーク 6人気
16着 5歳ガルボ 12人気

今年は去年の上位陣がいっぱい残っている。けれど大前提は1〜3着馬。

この中に去年2着したグランプリボスからバトンを受け取った馬がいるはず。もちろんグランプリボスがもう1回バトンを渡す役目を担う場合もある。

見極めの基準は人気。今回1,2番人気に支持されれば鉄板級だ。しかしなんだかその人気が付いて来ないムードが漂っている。

強チャンス(前年1着〜3着馬)の予想人気(水曜15時・以下略)
サダムパテック 6人気
グランプリボス 5人気
ドナウブルー 13人気

弱チャンス(前走4着〜5着馬)の予想人気
リアルインパクト 11人気

レア・チャンス(前年6着以下馬)の予想人気
ダノンシャーク 1人気
ガルボ 16人気

ちょっと微妙だ。もしこの人気のままで行くならば5人気のグランプリボスということになる。ルメールに乗り替るグランプリボスに敬意は必要だが、これならば今年1人気になりそうなレア・チャンスホースのダノンシャークが一番いいようにも思える。

ダノンシャークは前走の富士Sを1人気で1着しており、こういうのはマイルチャンピオンに限らず大切にしたいところ。

しかし前年1、2、3着馬が揃って出走し、この3頭から1頭も1、2人気になる馬がいなさそうというのはやっぱり少し引っかかる。ダノンシャークには敬意を払いたい。けれどまだ週の真ん中の段階で去年の上位陣をナイガシロにもしにくい。

ここにちょっと例年とは違う傾向を感じずにはいられない。

例年とは違う傾向……。

ならばこの10年で一度たりとも5着以内にも入ったことのない前走・京都大賞典のトーセンラーでもいいじゃないか…………。

おっと、じっと待つはずなのに我慢しきれずそっと出してしまった。ならぬ堪忍するが堪忍だ。人間辛抱だ。3分間じっと待つのだぞ。ちゃん!

では別の切り口で。っていうかとっておきを御披露。

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外国人騎手が4人以上揃った年は必ず1人は馬券圏内にやってくる。
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切り口ってほどでもないな。でもこれがとっておきなんだからお察しください。うは。

これは有馬記念とだいたい同じ傾向。

外国人騎手はG1では勝負手の1つだから、全員とは言わずとも何人かはチャンスホースに騎乗し、1人は馬券圏内に連れて来る。うむ、十分理解できる。

今年は5人騎乗。これはマイルチャンピオンでは4年前(09年)以来2回目。そのときはペリエがサプレザで2人気で3着した。

今年のラインナップ
グランプリボス ルメール 予想5人気
ダークシャドウ ムーア  予想9人気
ドナウブルー  ビュイック 予想12人気
レッドオーヴァル Mデムーロ 予想14人気
リルダヴァル  バルザローナ 予想15人気

う〜〜む…。今年は外国人騎乗馬の人気も上がってきていない。

外国人騎手は過去歴からはほとんど穴を開けていない。

馬券圏内にやって来た外国人騎手はすべて5人気以内。このままの人気だとルメールしか該当しないことになる。おっと、タスキ括りでも顔を出したグランプリボスがここでも顔を出した。やはりグランプリボスは重要な馬ということか…?

外国人騎手は穴をあけないという根拠はどこにもない。そもそも今年はすべての傾向が違うかもしれない。けれどここの括りではそこまでは踏み込めない。

(ちなみにトーセンラーの予想は現在3人気だ。特に穴でもない。)

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過去10年で8回牝馬が馬券に絡んだ。絡むときは常に1頭。
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今年の牝馬は3頭登録。
ドナウブルー ビュイック 予想12人気
マイネイサベル 松岡 予想10人気
レッドオーヴァル Mデムーロ 予想14人気

10年に8回をどう捉えるか。自分はMLBのワールドシリーズで打率.688、出塁率.760でMVPを獲得したレッドソックスの主砲オルティスより凄いと捉えてみた。そう考えると今年もあり得る気がして来る。牝馬は3頭しかいないからチョイスも楽チンだ。ちなみに牝馬は毎年ほぼ3頭の出走。10年中8回が3頭で、2回が4頭。つまり出走割合は例年通り。だからアリでよかんべぇ。

おっと去年3着でタスキ括りのドナウブルーがいる。しかも外国人騎手。しかも人気薄。牝馬という括りなら人気薄の外国人騎手が二人も入る。っていうか牝馬はみんな人気薄だからどれでも最高だ。

牡馬2:牝馬1のマイ黄金比率「2:1」に今年も合致すれば、自動的に馬券はスリリングになる。

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非父サンデー系が毎年1頭は馬券圏内に入る。
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過去10年で7回父サンデー系が勝っているけれど、その内父サンデーサイレンスが5頭も占めていて、直近5年で見たら父サンデー系は2頭しか勝ってない。サンデーサイレンスの直子がいなくなってから、父非サンデー系でも勝てるようになってきた。

しかも過去10年で父サンデー系が馬券圏内を独占したことは一度もないけれど、父非サンデー系が圏内を独占したことは2回もある。

つまり今は非サンデー系でも互角に戦えていると言える。

サンデーサイレンス産が猛威を奮っていた頃もマイルチャンピオンに限らず重賞では馬券圏内を独占することはめったになかった。サンデー系2:非サンデー系1の黄金決着の方が多かった。

今年出走が確定している18頭の中で父非サンデー系の馬は3頭しかいない。
グランプリボス ルメール 予想5人気 父サクラバクシンオー
サンレイレーザー 藤岡康 予想13人気 父ラスカルスズカ
マイネイサベル牝 松岡 予想10人気 父テレグノシス

今年は少ない。毎年もっと多い。だから今年は違うと取れなくもないけれど、前記したように直近5年の馬券圏内の内訳は6頭が父サンデー系で、9頭が非父サンデー系でもある。ここをどう捉えるかで押しか引きかも決まってくるけど、自分はなるたけ楽な方を選ぶタイプだからもちろんアリでよかんべぇだ。

期待はもちろんサンデー2:非サンデー1の2:1だ。

おっとタスキ括りで一応信頼度の高かったグランプリボスがまた出て来た。しかも外国人騎手。マイネイサベルも牝馬括りにつづいての登場。

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タスキ括り・外国人括り・牝馬括り・父非サンデー括り
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今年は傾向が違う気がするといいながら、括ってきたことはすべて「傾向」だ。完全に矛盾している。ほこ×たてだ。

けれど左足で伝承を重視しながら、右足で伝承を崩すのって、それが前へ進む行為ならば、なんかワイルドでカッコイイ気もする。だから矛盾とは考えずにそのまま進んでしまおう。

タスキ括り(人気はすべて予想)
強敬意
サダムパテック 6人気
グランプリボス 5人気
ドナウブルー 13人気

弱敬意
リアルインパクト 11人気
レア敬意
ダノンシャーク 1人気

外国人括り
グランプリボス ルメール
ダークシャドウ ムーア
ドナウブルー  ビュイック
レッドオーヴァル Mデムーロ
リルダヴァル  バルザローナ

牝馬括り
ドナウブルー ビュイック
マイネイサベル 松岡
レッドオーヴァル Mデムーロ

父非サンデー括り
グランプリボス 父サクラバクシンオー
サンレイレーザー 父ラスカルスズカ
マイネイサベル 父テレグノシス

重複ホース
グランプリボス 5人気 強タスキ+ルメール+父非サンデー
ドナウブルー 13人気 タスキ+ビュイック+牝馬
レッドオーヴァル 14人気 Mデムーロ+牝馬
マイネイサベル 10人気 牝馬+父非サンデー

だんだん括りが強化されてきた気がする。

1番人気になりそうなレア・タスキのダノンシャークと上記の括りにも何1つ引っかからなかった傾向外・オブ・傾向外のトーセンラーに敬意を払い、伝承を守ったり、弾いたりしながら、まとめるとこうなる。

人気系 ダノンシャーク・グランプリボス
非人気系 ドナウブルー・レッドオーヴァル・マイネイサベル
そっと  トーセンラー

週の真ん中水曜日〜木曜日。ディープインパクトと牝馬と外国人騎手が強化されてしまった枠順確定前。

混戦模様で今回ばっかりは蓋を開けてみるまでは人気の序列がわからない。なんか大事な馬がポッカリ抜けている気もする。

でもまあいい。枠と実人気を見ながら微調整しつつ、何かの2:1を成立させられたらそれでいい。川田騎乗で2着か3着に粘りそうなクラレントをどう扱うか考えたいし。

正直、トーセンラーの予想3人気もそっと出すには躊躇する人気だ。まして2人気なんてもっての他だ。そっと出すなら4人気。今は人気がちょっと落ちるのをじっと待っている。

ちなみに武豊騎手は来週のジャパンカップで京都大賞典1着のヒットザターゲットに騎乗予定。こっちの方がそっと出しやすい気もする。

福島記念
◎ラブイズブーシェ
前走・札幌記念の惨敗の仕方がいい。
ハンデ54がいい。
鞍上・古川吉洋がいい。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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