スロー濃厚で実績馬は明暗分かれる!?/ジャパンカップ
■ジャパンカップ(G1・東京芝2400m)フルゲート18頭/登録22頭
【コース基本情報】東京芝2400m Cコース使用
・コース回収率
[やや低め] 単69%・複勝73% 上位人気の期待値高く順当決着傾向
・馬連万馬券出現率
[標準] 11.8%(平均値▼0.2% 馬連平均配当4532円)
・枠番別成績(16頭立て以上) ※枠番値については末尾参照
[1枠〜2枠] 勝率13.2% 連対率17.6% 複勝率24.3% 複回率107% 枠番値+0.6
[3枠〜6枠] 勝率 4.4% 連対率 8.5% 複勝率16.2% 複回率 64% 枠番値-0.2
[7枠〜8枠] 勝率 2.8% 連対率11.9% 複勝率14.1% 複回率 33% 枠番値-0.1
→内枠が圧倒的に強いという意外な結果。特に勝率の高さは段違い!
・脚質別信頼度
差し>先行>逃げ>追込 すべては能力次第も勝ち馬は差し優勢のコース
・推定ラップ&タイム
[底力] 35.9-36.6-36.4-34.9=2.23.8 一貫して速い底力必須の厳しい流れ
東京芝2400mといえば、中央競馬全コースの頂点に立つコース。枠番や展開による紛れはほとんどなく、全馬がその能力をしっかり発揮できる──というのが、ファンの共通認識ではなかろうか。実際、筆者も当コースについて「基本的には」そう思っている。
しかしこのところ、多頭数における「内枠」が異様なまでに強いことにお気づきだろうか? その非常にわかりやすい例が、オークスでのメイショウマンボ(2枠3番)とダービーでのキズナ(1枠1番)。その他にも好走例は枚挙にいとまがないほどで、内枠有利の傾向が目に見えて加速。ジャパンカップでも、1枠〜2枠の「内枠」は要注意である。
もっとも、脚質面などについては大きな変化はなく、相変わらず差し脚質が優勢。能力さえあれば逃げ〜先行脚質でも十分に粘り込めるが、こと1着に関していえば、やはり差し脚質が最も期待できる。しかし、追い込み勢はイメージ以上に不振なので、その点についてはゆめゆめ注意されたし。
【レース基本情報】ジャパンカップ(G1) 過去10年
・レース平均配当
単勝1027円 馬連2813円 3連複1万807円
・1番人気馬成績
[3-3-3-1] 勝率30.0% 連対率60.0% 複勝率90.0%
・3番人気以内馬成績
[6-6-6-12] 勝率20.0% 連対率40.0% 複勝率60.0%
・4番人気〜9番人気馬成績
[4-4-3-49] 勝率 6.7% 連対率13.3% 複勝率18.3%
・10番人気以下馬成績
[0-0-1-76] 勝率 0% 連対率 0% 複勝率 1.3%
・1着馬脚質シェア
[逃げ] 10.0% [先行] 10.0% [差し] 80.0% [追込] 0%
・3着以内馬脚質シェア
[逃げ] 3.3% [先行] 30.0% [差し] 46.7% [追込] 16.7% [まくり] 3.3%
・性別成績
[牡馬] 7-9-7-121 連対率11.1% 複勝率16.0%
[牝馬] 3-1-3-16 連対率17.4% 複勝率30.4%
・年齢別成績
[3歳馬] 2-4-3-26 連対率17.1% 複勝率25.7%
[4歳馬] 4-4-3-33 連対率18.2% 複勝率25.0%
[5歳馬] 3-1-3-36 連対率 9.3% 複勝率16.3%
[6歳馬] 1-1-0-23 連対率 8.0% 複勝率 8.0%
[7歳↑] 0-0-1-19 連対率 0% 複勝率 5.0%
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[3歳〜5歳] 9-9-9-95 連対率14.8% 複勝率22.1%
[上記以外] 1-1-1-42 連対率 4.4% 複勝率 6.7%
・枠番別成績 ※枠番値については末尾参照
[1枠〜4枠] 5-1-8-62 連対率 7.9% 複勝率18.4% 枠番値+0.4
[5枠〜8枠] 5-9-2-75 連対率15.4% 複勝率17.6% 枠番値-0.3
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[1枠〜3枠] 5-1-6-45 連対率10.5% 複勝率21.1% 枠番値+0.8
[4枠〜6枠] 2-5-3-47 連対率12.3% 複勝率17.5% 枠番値-0.6
[7枠〜8枠] 3-4-1-45 連対率13.2% 複勝率15.1% 枠番値-0.2
・厩舎所属別成績
[美浦] 2-0-3-23 連対率 7.1% 複勝率17.9%
[栗東] 7-9-6-60 連対率19.5% 複勝率26.8%
[外国] 1-0-1-49 連対率 2.0% 複勝率 3.9%
・日本馬 前走主要レース別成績
[天皇秋] 4-6-6-40 連対率17.9% 複勝率28.6%
[秋華賞] 1-0-1-0 連対率50.0% 複勝率100%
[アルゼ] 1-0-0-9 連対率10.0% 複勝率10.0%
[エリ女] 0-0-0-5 連対率 0% 複勝率 0%
・注目出走パターン
[絶好] 前走天皇賞(秋)で2番人気以内(連対率50.0%・複勝率91.7%)
[買い] 前走天皇賞(秋)で4番人気以内(連対率40.9%・複勝率63.6%)
[全滅] 前走10番人気以下または前走10着以下の日本馬(0-0-0-35)
[全滅] 前走中央G3〜条件戦に出走(0-0-0-2)
[全滅] 当日4番人気以下の外国馬(0-0-0-46)
[不振] 6歳以上馬(1-1-1-41)
[不振] 騎手が乗り替わる前走5着以下の日本馬(0-0-1-23)
単勝1027円、馬連2813円、3連複1万807円という平均配当を見てもわかるように、近年のジャパンカップはかなり堅め決着傾向。1番人気が[3-3-3-1]と鉄板級の信頼度を誇っている上に、10番人気以下馬が[0-0-1-76]とほぼ壊滅しているのだから、これはもう高配当が出るワケがない。今年も、波乱の可能性はかなり低いはずだ。
注目すべきは、1着馬に占める差し脚質の割合。なんと勝ち馬の8割が差し脚質と、圧倒的な強さを見せている。ペースや組み合わせ次第ではあるが、前提とすべきは「差し→差し」決着や「差し→先行」決着。逃げ粘るのはかなり難しく、同様に追い込みもそうそう決まらないレースである。
年齢別で見ると、馬券に絡んでいるのはほとんどが5歳以下馬。6歳以上馬は[1-1-1-42]と明らかに分が悪く、これを理由にスパッと消してもいいくらいだ。枠番別ではコースデータほど内枠優勢とは言えない印象を受けるが、枠番値が突出して高いのは、1枠〜3枠の「内枠」。やはり、内枠を引いた馬には相応のプラス評価をすべきであろう。
そして最後に、外国馬について。その成績が近年サッパリなのはご存知の通りで、しかも今年出走予定の3頭はいずれも6歳以上馬。日本の馬場適性や「格」の面でも疑問符が付くし、好走条件である「当日3番人気以内」をクリアする可能性も超・低め。レースデータ的にも、リスクばかり目立つというのが正直なところである。
【現在の馬場&血統情報】
・現在の馬場
引き続きCコースで、時計はそれなりに出る。内外の差はなさそうな印象。
・天候予測
週末まで好天継続。含水率の低い高速馬場となる可能性が大。
・勝利数トップ種牡馬
ディープインパクト 勝率16.7% 連対率23.6% 複勝率33.3%
・著者の注目血統
ハーツクライ産駒◎、ディープインパクト産駒○、ステイゴールド産駒△
勝利数トップはディープインパクト産駒だが、内容がトップなのは間違いなくハーツクライ産駒。連対率37.2%、複勝率48.8%というのは飛び抜けて高い数値であり、ディープインパクト産駒を連対率ベースで13.6%、複勝率ベースで15.5%も上回るという強烈な適性の高さを見せている。
それに次ぐのがディープインパクト、ゼンノロブロイ、キングカメハメハの産駒で、ステイゴールド産駒は「ボチボチ良い」くらいの成績。上位に食い込んだ種牡馬のラインナップからも、徹底的に瞬発力を要求してくるコースであるのは間違いない。
★総論×各論
現在22頭が登録している今年のジャパンカップだが、天皇賞・秋を制したジャスタウェイや凱旋門賞に挑戦したオルフェーヴル、キズナの出走はなく、盛り上がりに欠けるメンバー構成になった面は否めない。前走国内G1出走馬にしても、登録わずか10頭。ここまでメンバーが手薄になると、ペースも例年とは変わってきそうだ。
そう思わせるもうひとつの理由が、先行勢の少なさ。確実に前へ行くと断言できる馬が、なんと1頭たりともいない。ジェンティルドンナが天皇賞・秋のようなスタートを切ると、そのままハナに押し出されてしまいそうな組み合わせなのである。下手すると「ド」のつくスローで流れる可能性まである──といったあたりを踏まえた上で「各論」へと入ろう。
人気馬を素直に信頼すべきレースである以上、最も関連性の高い天皇賞・秋で最先着しているジェンティルドンナは、順当に高評価すべき。今年は惜しいレースが続いているが、海外遠征を挟んでのレースや前哨戦を叩かずの直行であることを考えると、これは「さすが」と言うべき戦績だ。順調に使われるのは今年初であり、おそらく1番人気に推されるのもプラス。「天皇賞・秋で2番人気以内」という好走条件までクリアしているのだから、データ的にはケチのつけようがない。
次点にエイシンフラッシュ。6歳馬であることなどマイナス面もあるのだが、天皇賞・秋の結果や脚質面など、それをカバーできるだけのモノを備えている。スローの瞬発力勝負についても、ダービーで豪脚を見せたように心配ナシだ。そして三番手に、アルゼンチン共和国杯組からアドマイヤラクティ。エイシンフラッシュとアドマイヤラクティの2頭は、脚質的に1着固定で狙っても面白そうである。以下は、ルルーシュ、アンコイルド、ゴールドシップという序列となった。
扱いが難しいのがゴールドシップである。京都大賞典5着からのローテや大きな割引材料で、軽くて速い馬場での瞬発力勝負に向くタイプではないのも、大きな懸念材料。ハイペースでのスタミナ&底力勝負になれば話は別だが、スローの瞬発力勝負に向かないのは証明済みなのだ。実績が実績だけに軽くは扱いづらいが、適性と展開の両面から凡走の可能性大と見て、大きく評価を落としている。
■京阪杯(G3・京都芝1200m)フルゲート18頭/登録25頭
現在の条件に変更されてから今年で8回目となる京阪杯。開催時期的に、スプリンターズSなどG1からのローテで出走する馬が人気を集める傾向にあり、今年もマヤノリュウジンが大きな注目を集めそうだ。
しかし、この「前走G1組」が意外にアテにならない。2007年にサンアディユが1番人気で快勝してはいるのだが、コレが唯一の好走例。人気より上の着順に来た馬も、昨年5着のハナズゴールしかいない。つまり、マヤノリュウジンは危ない人気馬となる可能性が意外に高そうなのである。
好走例が目立っているのは、前走でも京都で出走していた馬。過去7年で馬券に絡んでいる馬のほとんどがここに含まれており、トータル[6-5-5-50]で複勝率24.2%、複勝回収率129%と期待値も高い。同様に、5歳以下馬が[6-7-5-65]と非常に強いことや、牡馬よりも牝馬のほうが好走期待度が高いこと、前走連対馬が素直に信頼できることなども特徴としてあげられる。
となると、ポジティブな材料が多いのはアースソニック、エピセアローム、サイレントソニック、ハノハノ、プレイズエターナルの5頭。波乱決着となる確率がけっこう高めと見て、今年は穴買いを推奨したい。
※レースデータは2003年以降、コース&血統データは2010年以降が集計対象
※枠番値は、当該枠番における「平均人気−平均着順」を表すもの。プラスの数字が大きければ大きいほど、人気よりも上の着順に来ていることになります。