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大記録達成の武豊騎手&GIトレーナー昆貢調教師を直撃

  • 2013年11月26日(火) 18時00分
競馬の職人



◆100勝全部覚えています!

 今週も競馬は話題満載! 武豊騎手がGIレース100勝を達成。JRAで68勝、統一GIが25勝、海外で7勝。そして今年の重賞は11勝と大記録。そこで、豊さんを直撃!

常石:100勝全部覚えていますか?

武豊:勿論。

常石:31勝目は・・・?

武豊:アドマイヤベガでダービーやな。

常石:52勝目は?

武豊:ビッグウルフでジャパンダートダービー。この馬はつねちゃんも乗っていたよな。

常石:はい。とっても乗りやすい馬でした。懐かしいな。2005年の1年間でGIレースを11勝されてますよね。

武豊:ディープインパクトでダービーを獲って。ディープがよく走ってくれたからね。カネヒキリも強かった。全て馬のおかげです。でも1勝も出来なかった年もあったのでまだまだです。馬と一緒に頑張っていきます。

 100勝が目的ではなく通過点という豊騎手。何処まで記録を伸ばしてくれるのか楽しみです。

 そして、ジェンティルドンナのお嬢様がジャパンカップ連覇。最後の直線、牝馬とは思えないほどの勝負根性を見せてくれましたね。これだけ強い牝馬には、なかなか出会うことができないでしょうね。有馬かドバイか? 先のレースが楽しみです。

 さて今週は、障害騎手シリーズ最終章。昆調教師のこだわりと障害レースの魅力お聞きしてきました。


競馬の職人

常石:馬ってどこで見極めているんですか?

:いきなり突っ込んできますね。厩舎で預かる馬全てが息子みたいなもんですよ。その仔の持つ能力を見つけ出すのが僕らの仕事と思っています。いつもベストパフォーマンスができる舞台を用意する。が、結果がだめならいろいろな条件を探して、馬の持つ能力を見つけ出していく。

厩舎に来ると頼れるのは人間だけだから、扱い方ひとつで変わる。1頭1頭しっかり見ていく。しつけはきちんとして、緩める区別をつける。言葉をかけて馬と会話する。馬に携わる人間は責任と課題をきっちり処理していくことが大事だと思っています。

◆ダービー馬を発掘、日高での馬探し

常石:馬と出会うために日高地方に行かれるそうですね。

:血統とかよく言われるんですけど、あまりこだわりませんね。自分の足で牧場を歩いていると、自然の中でのびのびと気持ちよく走ってるいい馬と出会えるんですよ。なんかピリッと感じる馬と出会えますね。

日高地方にはなかなかいい馬がいますよ。そんな馬と出会うために夏はずっとこつこつ歩いています。北海道での夏競馬開催中は、栗東を留守しています。同じ牧場の馬ばかりでレースをしても盛り上がらないし面白くないでしょう?

常石:その中に、ダービーを制覇したディープスカイもいたんですか?

:ディープスカイも強かったけど、面白いのがローレルゲレイロですね。高松宮記念、スプリンターズSを勝った短距離馬だけどダービーにも出走しています。だからいろんな可能性を持っているということなんですよ。

高松宮記念のレースは、厳しかったのによく勝ってくれました。ステップレースの上位馬がズラリとそろって混戦ムードでしたが、1番人気に推されて落とせないレースでした。スタートから穏やかでスムーズな競馬ができて、自分のラップに持ち込んで直線も粘って半馬身先着。JRA賞最優秀短距離馬として名誉な賞も頂くことができて、ゲレイロはいいレースをしてくれました。

常石:ディープスカイもJRA賞3歳最優秀牡馬で表彰されましたよね。厩舎の事務所玄関にプレートが沢山並んでいますよね。あれってわかりやすくていいなーと思いました。思わず名前を読んで 「あ、そうそう。天皇賞勝ったなー」とか「ダービー勝ったな」と思い出しますよね。


競馬の職人

:はい、ありがとうございます。もっとプレートが増えるように頑張ります。

常石:先生は、騎手から調教師を目指されましたよね。特に日本人騎手を大事にされているので嬉しいなと思います。

:今では想像もつかないだろうけど、僕も騎手だったころがありましたね(笑)。その時の苦労を知っています。難関を突破して騎手になるために厳しい訓練を受けて、騎手になってからも厳しいでしょう。だから応援したいと思います。

常石:ありがとうございます。嬉しいです。障害馬を作るのにもこだわりがあるんですよね。

:平地でダメだったから障害にもっていくというやり方ではなく、危険が大きく伴うので危険のより少ない馬を作っていく。オープン馬を使うなど、お互いが信頼関係を持って安心して跳べるようにしていきたいと思っています。

常石:今、楽しみな馬を教えてください。

:トキノフウジンはオープン馬なので活躍してくれると思う。西谷騎手が手綱を取るけど、この間のレースはちょっとダメやったね。障害馬は長く使えるから、これからが楽しみになってくると思う。背中に跨っていれば、馬のよさが伝わってくるからね。

競馬の職人

障害で活躍するトキノフウジン


常石:最後にファンの方にメッセージをお願いします。

:地味でこつこつやっていますが、「昆厩舎にも面白い馬がおるな」と興味を持っていただき、競馬だけではなく馬のファンにもなってもらいたいです。そのためにも北の牧場を歩いて馬を探します。よろしくお願いします。

常石:長い時間ありがとうございました。先生とご一緒に馬を探しに出かけたいと思いました。またよろしくお願いします。

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 苦労を共にする日本人騎手を大切にしてくださる先生のお話に感銘を受けました。つねかつこと常石勝義でした。[取材:常石勝義/栗東]

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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