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新星カラダレジェンド!夢の続きは来年へ

  • 2013年12月03日(火) 18時00分
カラダレジェンド

デビュー7日後に京王杯2歳Sを制したカラダレジェンド



◆新馬戦サクッと勝てたら次週の京王杯行くから

赤見:京王杯2歳S制覇おめでとうございます。連闘での勝利、驚きました。

尾形和:ありがとうございます。実は田辺くんのマネージャーさんには、新馬戦サクッと勝てたら次週の京王杯行くからって伝えていたんです。ほんの70−40くらいの追い切りで新馬戦勝って、次京王杯だなって思ってたんですけど、でもあまりにも青写真通りでちょっと恐ろしい気もしましたね。

赤見:どの辺りで勝利を確信しました?

尾形和:ちょっとスローペースで、2番手でピタっと折り合って。それで有力馬たちは後ろで苦戦しているように見えたんでね、早めに勝ったんじゃないかなって思いましたけど。それでも評判の強い馬たちも後ろから来ましたから、ゴールに入るまでは冷や冷やしました。ゴールした時は、厩舎にとっても初めてのことですから、すごく嬉しいことだし素晴らしいなと思ったんですけど。ホント言ったら、ちょっと時計の裏付けは欲しかったかなというのはありますね。それに、2戦とも外枠でスムーズだったんですよ。だから、ゴチャゴチャになった時にどうかなっていう不安はあります。そういうところを克服していけたら、さらに楽しめると思います。

赤見:デビューから連闘で重賞というのは、けっこう勇気が必要だったんじゃないですか?

尾形和:実は僕の大学の先輩が牧光二調教師なんですけど、すごく馬の様子を見極めて、けっこう連闘、中1週をする人なんですよ。そういう姿を見ているんで、参考にさせてもらった部分はありました。可愛い可愛いだけじゃなくて、しっかり馬の様子を見極めて、状態のいい時に行こうっていうスタイル。牧先生の背中見てた部分あると思います。

赤見:その先輩からは、何か言われました?

尾形和:すごい大量の『おめでとう』メールをいただいた中で、約1名だけ『調子に乗るんじゃねぇ』っていうメールで(笑)。師匠の久保田貴士調教師からもすぐ『おめでとう』ってお花を送って下さいましたし、本当に有難いです。

赤見:朝日杯は残念ながら回避となってしまいましたね。

尾形和:馬はレース後も元気いっぱいだったんですけど、骨瘤が出たんです。幸いにも小さなものなのですが、これからの馬ですし、賞金も持っているので、今は休ませて来年また頑張って欲しいと思っています。順調に行けば、共同通信杯かスプリングステークス辺りを目指す予定でいます。

赤見:カラダレジェンドって、名前も印象的ですよね。

尾形和:馬主さんが整体師の方なんですよね。実は、デビューする前は別の名前(アーベントイアー)だったんですよ。この馬との出会いは千葉セリで、僕はすごく気になったんですけど、その時僕にはお客さん(馬主)が付いてなくて。誰も手を挙げなくて、結局主取りになったんです。それで、すぐ次の日に岡田スタッドさんに電話して、『あの馬どうなっちゃうんですか?』って聞いて。岡田スタッドさんの息子さんの名前で走らせることになって、『そんなに興味があるならやってください』って言っていただいたんです。夏に別の名前で、一度うちの厩舎に入って来て、その時は夏バテして放牧に出したんですけど。そんなこんなしているうちに、(カラダレジェンドの)馬主の子安様が、この夏にどうしても2歳が欲しくなっちゃったということでね、多方面に連絡して『2歳あまってませんか?』って聞いたんですよ。色んなアクセスしてみたんですけど、2歳の夏ですからなかなかみつけられなくて。岡田スタッドさんにも聞いてみたら、『じゃぁこの馬でいいじゃないですか。名前を変えれば』ってことで、名義変更になったんです。そういう経緯がありますから、岡田スタッドさんにもとても感謝しています。

カラダレジェンドと尾形和幸師

厩舎でのカラダレジェンドと尾形和幸師



赤見:厩舎に入って来た印象はいかがでした?

尾形和:夏に入って来た時はバテてたんですけど、一回僕が跨った時に、ちょっとだけハミ受けで気に入らない部分があったので、ググッと押し出したんです。そしたら、これでもか!っていうくらい立ち上がって反逆されて(苦笑)。それでチビッて以来僕は騎乗停止です(笑)。『俺に指図すんじゃねぇ』ってくらいの勢いで、バンバン立ち上がって。いや〜、びっくりしましたね。2歳であそこまで立ち上がるのはすごいです。トモが強いからそういうことが出来るんでしょうね。今は敏腕厩務員がやってますから、大丈夫です(笑)。

赤見:この馬の良さというのは、どの辺りに感じてますか?

尾形和:やっぱり動きも素晴らしいのと、気の強いのが競馬にいっていい方に出てるんだと思いますよ。そのくせ馬房では大人しくて。だから能力も高いし、切り替えも上手なんですね。

赤見:主戦は田辺裕信騎手ということで、尾形先生とは長いお付き合いですね。

尾形和:そうですね。田辺騎手とは僕が久保田厩舎にいた頃からの信頼関係がありますし、もうだいたい、こうして欲しいっていうのをわかってくれてます。僕も田辺くんも東北人ですから、2人で胸に期するものがありますから。地震もあって、東北に対する想いもあって。田舎っぺコンビで、田舎者の執念で頑張りたいですね。

赤見:では、今後の抱負をお願いします。

尾形和:厩舎としては、このままチームワーク良く仲良くやって行きたいですし、その中で馬主さんやファンの方に楽しんでもらえるようなレースが出来る馬を育てられれば。少しずつでもいいので、飛び級しなくてもいいのでね。そして東北に対しても、今はまだ力がない身分ですけど、将来何かできたらなっていうのは常に思ってます。

常石勝義
1977年8月2日生まれ、大阪府出身。96年3月にJRAで騎手デビュー。「花の12期生」福永祐一、和田竜二らが同期。同月10日タニノレセプションで初勝利を挙げ、デビュー5か月で12勝をマーク。しかし同年8月の落馬事故で意識不明に。その後奇跡的な回復で復帰し、03年には中山GJでGI制覇(ビッグテースト)。 04年8月28日の豊国JS(小倉)で再び落馬。復帰を目指してリハビリを行っていたが、07年2月28日付で引退。現在は栗東トレセンを中心に取材活動を行っているほか、えふえむ草津(785MHz)の『常石勝義のお馬塾』(毎週金曜日17:30〜)に出演中。

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